ホテルと言う名の城に戻ると、食事をいつにするかと訪ねられた。何だかんだ体が冷えきってしまったので、夕飯はお風呂の後にすることにした。
「夕飯の時間は自由。それに各部屋に露天風呂がついてるって、もしかしたら値段以上なのかもな」
そんなこんなで、カイズは十畳以上あるベランダに備え付けられた露天風呂に浸かっていた。
露天風呂の大きさは大人が四人入れるほどで、カイズがどれだけ体を伸ばしても届かないほどだ。
だからこそ、そこにヴィータが入っても変わることはないだろう。
「ヴィータさーん、まだですかー」
「お、おぅ。……いま行く」
タオルも何もつけていないカイズと違い、ヴィータはしっかりとバスタオルを巻くと、恐る恐る露天風呂にやってくる。髪の毛はすでにほどいてあり、くせのあるロングヘアはいつ見ても惚れ惚れするくらい綺麗だった。
(ヴィータさんは結婚してからも、ガードが堅いんだよな。……まあそうやって恥ずかしがってるところが、ものすごく可愛いんだけどな)
カイズは穴が空くほどの視線をヴィータに向ける。
「ほら、ヴィータさんも早く露天風呂に入りましょうよ。…………というか、早くタオル取りましょう」
包み隠すことなく本音を口にする。ヴィータは頬を赤く染めると、タオルに手をかけた。
「そ、その。……笑わないよな」
「笑わないって、今まで俺がどれだけヴィータさんの裸で興奮してきたと思ってるんですか。今更ですよ」
「そ、そうじゃなくてよ。その、もったいなかったから、えっと」
「もったいなかった?」
何がもったいないのだろうか。まさか、自分ごときに裸はもったいないと言いたいのだろうか。
まさかの倦怠期発言に、カイズに緊張が走る。依然ヴィータは何かを言い淀むように、もじもじとしていた。
「と、とりあえず寒いですしお湯に浸かりませんか」
「う、うん。……それじゃあ」
ヴィータは覚悟を決めたように、タオルを外す。パサリと床に落ちるタオル。彼女は素肌の九割近くをさらけ出すと、恥ずかしそうにうつむいてしまう。
「そ、その、えっと。これみんなに選んで買ったもらった水着で。お、おかしいよな。こんなむ、胸もないのにビキニなんて」
ギューット目を瞑ると、勢いよく水しぶきをあげヴィータはお湯に浸かる。そんな彼女の姿に、カイズはまだ思考が停止したままだった。
「あ、あの、ヴィータさん。もしかして恥ずかしがってたのって、その水着のことですか」
「…………うん。サクヤさんがきっとこっちのほうが喜ぶって、買う直前で中身を変えたんだ。あたしはこんな布地が薄いのは似合わないって言ったんだけど、その、だけど。……カイズが喜んでくれるならって」
そこまで言うと、ブクブクと口までお湯に浸かってしまう。
ヴィータの言うように、確かに彼女の姿は裸ではなく薄いながらも布地に覆われていた。
彼女を表すような赤のビキニは、確かに少し前に海に行ったものと比べようもないほどだ。
(ヴィータさん、水着姿で恥ずかしがるって。ほんと、ほんともうヴィータさんは)
カイズはにやけそうになる頬を全力で引き締める。だが引き締めてても、ものすごくにやけてしまった。
ヴィータはそんなカイズを見ると、「ううぅ~」と恨めしそうな目を向ける。
「そ、そんなに笑うなよ。……いいだろう。あたしもこの水着結構可愛いかなって思ってたんだからよ」
「い、いや、そういった意味で笑ってたわけじゃないですよ! でもまあ水着も可愛いですけど、今のヴィータさんのほうがもっと可愛いと思います。――――ですけど、これだけは言わせてもらいますよ!」
カイズはその場から立ち上がると、『めっ!』と子供を叱るように人差し指を立てて見せた。
「俺はそんなに肌のでてるヴィータさんの姿をみんなに見て欲しくないです」
「う、うん……」
ヴィータは「うっ」と少し後ずさってしまう。そんなに自分は怖い顔をしていただろうか。だがここで終わらせてはただの亭主関白だと、カイズは続きを話す。
「だけどヴィータさんがそれを本当に着たいと思ってるなら、俺は止めません。本当は死ぬほど止めたいし、可愛いヴィータさんをみんなに自慢したいですけど。…………泣く泣くそれも我慢して着てもらっても、その、だ、だだ、大丈夫です」
自分自身の言葉に、胸がキリキリと痛くなる。
だがあまり束縛しすぎても、ヴィータに愛想を尽かされてしまうのではないか。
カイズは自らの首を両手で閉めると、必死に言葉を吐ききった。
そんな彼を見ると、ヴィータは嬉しそうに、恥ずかしそうにカイズを見上げる。
「な、なぁ、カイズ。この水着可愛いよな。その、カイズがこの水着を誉めてくれて、あたしを可愛いと思ってくれてるなら、もうそれでいいかなって」
「―――――――!?」
どうして自分がその水着が可愛いということがバレてしまったのか。いや、先ほど自慢したいとは口にしたが、いつものヴィータさんなら、『こんな胸がないのに~』と一度言葉を挟むはずなのに。
結婚したことにより、いよいよ以心伝心の領域まで達してしまったのか。
「ヴィータさん、どうして俺が興奮してることがわかったんですか」
「どうしてもなにも。…………こんな目の前で見せつけられたら、う、疑いようもないって言うか、その」
ヴィータは「うぅ~」と意地悪された子供のように、それを見上げる。カイズの視線が自然とその場所に導かれた。
ああ、それはそうか。だって俺のほうは裸だったんだ。
ヴィータの水着の話をしてから、自分はずっと立ちっぱなしだ。ついでにいえば、いつでも初々しいヴィータの姿にこっちもずっと立ちっぱなしであった。
「………………そうですよ。俺はヴィータさんのセクシーな水着姿に興奮しっぱなしです!!」
カイズはその場に仁王立ちする。ドンと反りあがったそれを見せつけられると、ヴィータは「開き直るなよ~」と身を縮めてしまう。
カイズはそんな彼女の反応にさらに興奮度が増してしまう。
「本当にヴィータさんは可愛いですね。だからやっぱり許しません。この水着を着るのは俺の前だけにしてください」
ザブンとお湯に浸かり直すと、そのままヴィータを抱きしめる。グリグリと柔らかいお尻に怒頂を押し当てると、それだけでイってしまいそうなほど気持ちよかった。
(正直、このまま出しちゃってもいいんだけどな。……ヴィータさんもあれ以来ちょっと敬遠がちだし)
敬遠がちというのは、本番行為のことである。実をいうと初体験を迎えたあの日以来、本番行為をしていないのだ。
そういう空気になることは何度かあったが、ヴィータの体が緊張しているのがわかると、どうにも踏み込めずにいた。
(まあそれ以外のことなら、ある程度のことはしてくれるんだけどなー。それに入れるだけがエッチじゃないしな)
「ん、やっ、水着が擦れて」
布越しの愛撫に乳首が擦れたのだろう。正直ヴィータの声だけでも十二分にイクことは可能だった。
このままお尻に擦りつけて。それで最後は素股をしてもれって今日は終わりにしよう。カイズはそう思い、さらに彼女の体を抱きしめようとする。
「――――だ、ダメ!!」
「ど、どうしたんですかヴィータさん! ど、どうして暴れるんです!!」
抱きしめる腕に抵抗するように、ヴィータが体を動かす。最後には腕を振り解くと、カイズの体から離れていった。
「ヴィータ……さん……?」
「カイズ、今そのまま終わらせようとしただろう」
「えっ、あっ、はい」
「どーして、いつもいつもそうなんだよ。……やっぱりあたしに気を使ってるからか」
「い、いえ決してそういうわけじゃ」
「じゃあどうして、その、ほ、本番を、し、しないんだよ。…………あたしじゃカイズを満足出来ないからか」
「――――っ!! そ、そんなことありませんよ。ヴィータさんってスレンダーで体も鍛えるからか、入れた時の締め付けがものすごくて。あの最後まで絞り出される感覚は正直一度覚えたら病みつきです!」
「じゃあ、どうしてそうしないんだよっ!」
「そ、それは……その……」
言い淀んでしまう。ここまで本音を語ってしまってはヴィータに非があると言っているようなものだ。
だが彼女が涙を流して痛みに耐える姿は、カイズの脳裏にこびりついて離れないのもまた事実だ。
ヴィータは体の造りの都合上、赤ちゃんを産むことは出来ない。だからこそ、彼女が苦しむ行為をする必要はないと自分の中で割り切ろうとしていた。
カイズは困ったように視線を外してしまう。ヴィータはそんな彼を見ると、ブツブツと小さく言葉を復唱する。そして一度大きく深呼吸すると、何かの決意をしたようだ。
ヴィータは言葉を確かめるように、何度も何度も言葉を述べる。そしてカイズにゆっくりと近づいた。
「カイズはいつだってあたしに気を使ってくれてた。だけどそれと同じようにあたしだって。…………あたしだって、旦那様の気を使いたいんです」
「……………………ええっ!? い、今なんて言いました!!」
突然の言葉に、聞き間違いかと思ってしまう。ヴィータは自らの言葉に顔を赤くしながらも、それでも正直な言葉を放ち続ける。
「あたしは確かに普段は年上で、仕事の上司で、気も強いほうかもしれない。だけど今は新婚旅行で。あたしとカイズは夫婦で対等同士だから。……だからワガママだっていっぱい言ってほしいんだ。カイズはヴィータの旦那様だから。…………それとも迷惑かな」
「いいいい、いいや、いや、そ、そ、そ、そんなことは、は、はは、は」
旦那様発言に、カイズの思考がぐるぐると暴れ始める。こんなしおらしい、いやどちらかと言えば慎ましやかな彼女は今まで見たことがなく、そのギャップにカイズの手が自然に動きそうになる。
ヴィータはその場から立ち上がると、湯に浸かっているカイズの前に立つ。
お風呂でのぼせたのか、それともそう見えるくらいの羞恥心に襲われているのか。彼女は下の水着に人差し指を引っかけると、震える声で言った。
「お願いします。ヴィータに旦那様の大きくて逞しいチ○ポを入れてください。ヴィータを何度でも旦那様のものにしてください」
引っかけられた人差し指が目の前の水着をゆっくりとずらしていく。目の前でヴィータのまっさらな割れ目が露わになる。その周りは、お湯よりもヌメリ気のある何かで濡れているような気がした。
「………………………」
「カ、カイズ?」
しばしの沈黙にヴィータが戸惑い出す。だがその心配はいらぬものだった。
「だああああぁぁああぁあぁっ、無理無理無理、そんなこと言われて耐えられるわけないじゃないか!」
「カ、カイズ? ん、んんっ」
カイズもまたその場から立ち上がる。ヴィータを全力で抱きしめると、そのまま唇を重ねていった。
「ん、あむっ、ん、んにゅ」
結婚してからでは一番激しいディープキスだ。咥内を犯されながらも、刺激はそれだけに尽きない。
「あっ、やっ、やっ、指、あんまり激しくしないで。それにお腹も旦那様のがぐりぐり当たってる」
「だけどゆっくりとほぐしてかないと、本番が痛いだろう。……だけどどうしてもっていうなら、ちゃんとおねだりしないとな。ヴィータ」
スイッチが入ったカイズは、先ほどよりも激しく指を動かす。ヴィータは膣をかき回されるたびに、ビクビクと体を動かす。
ヴィータは腰砕けになりそうながらも、絞り出すように声を上げる。
「だ、旦那様。もう少し、や、やんっ! 優しくしてください」
「……よくできました」
カイズは最後にくいっと強く指を動かすと、ゆっくりじらすように指を引き抜いた。
カイズはほっとしているヴィータの顔見ると、満面の笑みを向ける。そして空いていた右手で、優しく彼女の髪を撫でた。
「それじゃあ、ちゃんと言えたヴィータにご褒美です」
「ふっ、ふえ? ――――――ンン、アアァァァッ!」
先ほどよりも広く深く、指がヴィータの膣に侵入する。あまりの衝撃に思わずヴィータは下を向いてしまう。
「そ、そんな、二本、きゅ、急にどうして」
「ヴィータさんが。……ヴィータが悪いんだぞ。俺の理性を納得させるよりも、本能のほうを刺激してくるなんて。実に効率的で、効果的でした。だから今日はもう止まる気はないですからね!」
クチュクチュと先ほどよりも、激しくかき混ぜられる。
悔しいけど、ギャップ好き(ヴィータに限る)の自分には、今回の流れは本当に完璧だった。
だがこの計画を提案したのは、きっとヴィータではないだろう。カイズは悪友が今頃高笑いしているであろう姿が目に浮かぶ。
しかしその何倍以上の感謝してしまうのが、ありがたくもあり悔しくもあった。
だが本能に訴えかけてきたからこそ、理性はある程度残っている。だからこそカイズは何も考えず、いきなり突っ込むことをせず、しっかりと順を踏んでヴィータをほぐしていけたのだ。
「ヤァ、アッ、アア、アアッ、ンン!!」
ひときわヴィータの体が強く動き出す。
カイズはそろそろかなと思うと、指を抜いていった。
「ほら、見てください。俺の指、ヴィータさんでベトベトですよ」
「~~~~~!!」
こういうアプローチは初めてだからか、ヴィータは両頬を押さえるとギュッと目を閉じてしまう。
本当に自分は、どれだけヴィータのことを好きになれば気が済むのだろうか。
このまま目を開けさせて攻めたい気持ちに駆られるが、それは今の段階では度の過ぎた意地悪だろう。
カイズは自身の指のそれを一度舐めとると、ヴィータの両肩に手を置いた。
「それじゃあ、そこの岩に両手を置いて。お尻をこちらに突き出してください」
「突き出すって、こ、こうか」
いわゆるバックの体勢になると、ヴィータは心細そうにカイズを見る。カイズはその場に一度しゃがむと、「ふむふむ」と目を向ける。
「こういう感じです。もうバッチリヴィータさんが見えます」
「ば、ばかぁー。ど、どうしてそんな意地悪な事ばっかり言うんだよ」
「そうしたのは可愛すぎるヴィータですから。――――ほら、ヴィータ。もう一度、お願いして」
ぐいぐいと割れ目の周りを、カイズ自身で撫で回す。ヴィータはビリビリしたものを感じながら、半分涙目で懇願した。
「お願いします。旦那様のチ○ポでヴィータのことめちゃめちゃにしてください。だ、だけど、えっと」
「ん?」
「……優しくもしてください」
「――――はい。無理です」
きっと最後は二人とも完全に素だったのだろう。本能を陥落され、理性もぶち壊されると、カイズは一気に猛りを挿入した。
「アアアアァァァアアァァァァ!」
指よりも太いそれにヴィータは声をあげる。だがそれは初体験のような、悲痛なものではなかった。
そのためにギリギリのギリギリまで、指で快感を高めたのだ。カイズのモノがヴィータの膣に飲み込まれると、ギュウウウっと締め付けられる。
(うわ、やばい。この前はヴィータさんの体調を気にしてあれだったけど。本当に、やばいくらい気持ちいい)
正直、気を抜いたらすぐにでもでてしまいそうだ。指で愛撫をしている間も、こちらもずっとお腹に押しつけて擦りつけていたのだから当たり前かもしれないが。
カイズは一度腰の動きを止めると、落ち着いていく。何度も深呼吸をすると、心を落ち着かせていった。
「それじゃあ動きますよヴィータさん」
緊張のあまり、テンションが素に戻ってしまう。カイズはゆっくりと腰を動かすと、ギュッと目を閉じた。
「アッ! イヤッ! ……くぅぅん」
腰を動かす度に、ヴィータは可愛らしい喘ぎ声をあげる。この声は反則だ。
(こんな声だされたら。――――もっと激しくしたくなっちゃうじゃないかよ!)
もう射精管理もヴィータの絶頂も関係ない。全てを忘れて、カイズは快楽のままに腰を動かす。
「はあ、はっ、はっ、はっ、はっ……」
ヴィータもまた余計なことなど考えてる余裕はないのだろう。広い露天風呂ではあるが、外であることも気にしないで声を上げ続けた。
「俺、俺、いまものすごい気持ちがいいです! ヴィータさんがギュッて掴んで離さないで!!」
「あっはあ、あっ、ああああ……あたしは、カイズと繋がってる場所がジンジンして……もうわ、分からない」
腰を振れば振るほどに、結合部分から液体が絡み合ったような粘っこい音が響き渡る。それが広がれば、広がるほどに二人の気持ちは高鳴りだした。
限界などとうに超えている。だがその時その瞬間が来るまで、カイズは一心不乱に腰を動かし続けた。
「ヴィータさん、いきますよヴィータさん!」
「あたしも、あたしも!」
「ぐっ、ううっ!!」
カイズは最後にヴィータの腰を引き寄せると、深く深く猛りを差し込む。
ヴィータもまたその勢いに全身に痺れが走った。
「ああああ、やああぁぁぁぁっ!」
ドンッ! ドンッ!! とヴィータの膣に打ちつけるようにカイズの欲望が吐き出される。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、うっ」
挿入よりも滑らかに抜き出されると、カイズの肉棒がお辞儀する。
ヴィータは立ったまま息を荒げている彼の前に座り込む。そして上目遣いでカイズを見た。
「かっこよかったですよ。旦那様」
ヴィータは目の前の彼のを愛おしく見ると、精液で汚れたその先っぽに軽く口づけをする。
そして最後にいたずらっぽく、チロっと舌を見せるのだった。
そんな彼女の行動にカイズが一瞬で元気を取り戻したことは、きっと語るまでもないことであろう。
それから二人はのぼせるまで体を重ね続けていくのだった。