押し倒されたシグナムは、心臓を高鳴らせながらギュッと目を閉じる。
(これから私は……)
不安に思わない方が無理であろう。だがあまり怖がった顔をして、コウキに負担をかけたくもなかった。
ただされるがままに、それを受け入れよう。シグナムはそう心に決めていた。
――――だがいつまで経っても、何かをされることがなかった。
「…………ど、どうしたんだ」
さすがにおかしいと思いシグナムはそっと細目で見る。そこに映ったのは、先ほどの興奮状態とは違いコウキの姿。まるでデパートで迷子になったかのように、心細い表情をしていた。
「あ、あ、あの、あのよ。…………ここから先、どうしたらいいんでしょうか」
相当不安なのだろう。コウキは思わず敬語でそう訪ねてきた。だがそう言われてもと、シグナムもまた困った顔をする。
「わ、私に聞くな。……こ、こういうことは初めてなんだ」
「俺だって初めてなんだよ!」
「さっきまでの勢いはどうしたんだ!」
「勢いだけはあったんだよ! でもいざってなると、ほんと困ったもんで」
こんな体勢になってまで、困られても困るのはこちらのほうだ。シグナムは初めこそ、そう思った。
だが少しずつ頭が落ち着いてくると、そうではないと思い直していった。
「す、すまなかった。コウキだけに任そうとして、私は何も考えようとしてなかった」
「い、いや、それはお互い初めてってわけだし」
「だが私には本当にそういう知識がなくてだな。……コウキのほうがああいうものを見てる分、まだわかっているのではないか?」
「ああいうものって。――――お、お前目ざといぞ!」
「高いところに置いただけで、隠しもしないからだ。……ん、んん。そういうわけでだ。――――コウキのしたいようにしてくれて構わない。何もわからない分、好きにしてくれ」
「俺の、したいように…………」
ゴクリと唾を飲み込む音が部屋に響く。そういえば、彼がゲームを始める前も、こんな音がしていたことを思い出す。
自分の言葉で、何か枷がはずれたのだろう。コウキはがっつくように、胸を視線を向けると恐る恐る復唱した。
「ほ、本当に好きにしていいのか?」
「…………ベルカの騎士に二言はない」
本当は今すぐこの場から逃げ出したいくらい恥ずかしい気持ちでいっぱいだった。だがシグナムは決心を固めると、そう言葉にした。
「そ、それじゃあ、失礼します」
よほど緊張しているのだろ。コウキはまた敬語になると、恐る恐るシグナムの胸に手を伸ばす。そして白のシャツからこぼれ落ちそうなほどのそれをゆっくりと揉んでいった。
「う、うわ、うわ、すごい弾力だな。握った指が押し返されるぞ」
「い、今更だな。少し前は私の胸をあんなに乱雑に扱ったはずだが」
「あ、あの時はお前を怒らそうとやったことだから。……正直感触を楽しんでいる余裕はなかった」
「なら今はどうなんだ」
「…………すっげえ幸せ。正直、夢でも見てるみたいだ」
コウキはその場で膝を突くと、シグナムに多い被さったまま両手を構える。そして再び胸に触れると、先ほどのよりも強く揉みしだいていった。
「すげえ、すげえ、どうしたらこんなに大きく育つんだよ。うわ、マジやばい」
相当嬉しいのか、語彙に欠けながらもただひたすらに胸を揉み続ける。だがその手の力がこもりにこもると、シグナムは顔を歪めた。
「――――っ! コ、コウキ、もう少し優しくしてくれ」
「えっ、わ、わっ、す、すまない! つい調子に乗っちまって」
「い、いや、わかってくれればいいんだ。その、少し乱暴だったから」
「……わかった。わかったんだけど、その。……服、脱がせてもいいか?」
「――――――!」
その言葉に、シグナムはびくりと少し跳ねる。だがこれからすることを考えれば、それも通るべくことだ。
しかしシグナムはそれを言葉にすることができず、コクンと頷くと自らシャツを脱いでいった。
コウキの目の前には彼女のトレードカラーと同じ、ピンク色のブラジャーが現れる。花柄をイメージした作りのそれは、シグナムのお気に入りの一つでもあった。
(よ、よかった。下着の色を合わせてきて)
コウキと付き合うようになってから、いつそんな時がきてもいいようにと準備した甲斐があったというものだ。
(――――! そ、それでは私がずっと期待していたみたいではないか!!)
なんてふしだらな女なのだろうか。シグナムは脳内で自身の頭を何度も叩く。
コウキは鼻息を荒くすると、食い入るようにブラジャーを見る。そして申し訳なさそうに、口に出した。
「……すまん。それの外し方わからないんだ」
「あ、ああ。わかった」
脱がされるのだって恥ずかしいのに、まさか自分で脱げと言われるとは思っていなかった。だが互いのことがわからないもの同士だ。コウキのそれが意地悪で言っているのではないとわかっている。
シグナムは背中のホックに手を伸ばすと、それをパチンと外して見せた。
サイズが合っていなかったのだろう。ピンク色のブラジャーがはずされると、彼女の胸は大きく揺れていった。
「す、すごいな。元々でかい胸だったのに、ブラ外したらもっとでかくなった」
「は、恥ずかしいことを口にするな」
「それにでかい胸して、ここは小さくて可愛いんだな」
一秒でも我慢できなかったのだろう。コウキはすぐに手を伸ばすと、生の胸を鷲掴みにする。
今度はそれが見えているからか、人差し指を乳首の上に置くとぐりぐりとこねてみせた。
「ち、小さくて可愛いとは、や、やはり私の胸は変なのか」
「違う。そうじゃなくて、お前の胸は本当に最高だって言ってるんだよ」
「そ、そんなほめ言葉があるか。あっ、あまりそこばかり動かすな」
ぐりぐりと指が動く度に、ビリビリと何か不思議な感覚が体を駆け巡る。シグナムは体に力が入らず、されるがままだった。
「やっべえな。シグナムってそんな顔もするんだな」
「そ、それはコウキがずっと触っているからだろう! 私ばかり不公平だ!! 貴様も脱げ!!」
シグナムは胸に置かれていた手をどかすと、そのまま上体を起こす。彼女は乱暴に手を伸ばすと、彼のシャツを無理矢理奪い去る。
「って、い、いいのかシグナム」
「……いいもなにも、どちらにしても脱がなければいけないんだろう」
「そ、それはそうだけど。…………じゃあお願いします」
緊張すると、自動的に敬語になってしまうのだろう。コウキはベッドの上で立ち上がる。
そしてシャツを脱がしたからと、シグナムは下まで脱がす流れになってしまった。
確かにブラと違って、コウキのズボンはただのジャージのハーフパンツだ。ただそのまま降ろすだけで脱がすことはできるだろう。
それよりもだ。シグナムが気になっているのは、ズボンを持ち上げているその膨らみだ。
先ほどから何度も太股に感じていたそれに、ズボン越しなら触れたことはある。だがこうやってマジマジと対面したのはもちろんこれが初めてだ。
「そ、それでは降ろすぞ」
シグナムは恐る恐る手を伸ばすと、ハーフパンツを両手でつかむ。それをゆっくり降ろしていくと、次に現れたのは男物の青シマのトランクスだ。
先ほどよりも、起立しているコウキのモノがハッキリとわかる。シグナムは震えた手で下着を掴む。だが決心が付かず、ゆっくり、ゆっくりとしか動かせなかった。
「だ、大丈夫かシグナム?」
「も、もも、問題ない」
「えっと、だったらもうちょっと早くていいか。ずっと引っ張られたままだと、ちょっと痛くて」
「す、すまない!」
先ほど胸を揉まれた時とは立場が逆になってしまった。シグナムは慌てたように下着を降ろす。
その瞬間、ずっと下に引っ張られていたコウキの怒頂がぐいっと頭を上げた。
「………………あっ」
重力に逆らうように、反りあがったそれと真正面から対面する。シグナムは、顔の下からゆっくりと赤くなっていくとわなわなと口を動かした。
「な、あ、ああっ、あああっ」
「お、落ち着けシグナム」
「わ、私は落ち着いて。…………落ち着けるか! お、男のそれは、そ、そんなに大きものなのか……」
「いや、他の男がでかくなったところなんて見たことないし、見たくないからわからないが。…………すまない。もう一度言ってもらっていいか」
「えっ、あっ、コウキのそこは、大きいのだなと……」
「いやいや~♪」
シグナムがそう口にすると、コウキは嬉しそうに笑みを浮かべる。何がそんなに嬉しかったのだろうか。シグナムにはその理由はわからない。
いや、そんなことを考えている余裕がないと言った方が正しいだろう。
シグナムは両手で顔を押さえながらも、指の間からちらりと彼の姿を見る。
ずっとズボンの中に入っていたとは思えないほど、大きくモノは反りあがっていた。コウキはシグナムの視線を感じると、少し顔をにやつかせた。
「そうだ。シグナムも俺の触ってみるか。さっき胸触らせてもらったし」
「い、いや、私は」
「ほら、そんなこと言わないでさ。ちょっと、ちょーっと触ってみろよ」
「ひゃ、ひゃあ」
ぐっ、ぐっと猛りを近づかせると、シグナムは困ったように顔を背けてしまう。だがこの後のことを考えれば、これで止まっているわけにはいかないのは確かだ。
シグナムはできるだけコウキのモノを見ないようにすると、反りあがったそれにゆっくり手を伸ばした。
「す、すごいのだな。ここは……」
まるで骨でも入っているかのように固い棒に触れる。シグナムは、おっかなびっくりではあるが、それを優しく握りしめた。
「う、うあぁ」
「す、すまない。痛かったか」
「いや、そうじゃなくて。……すげえ気持ちよかった。自分の手と全然違って。話では聞いてたけど、本当だったんだなって」
「気持ちよかったと言われても。私はただ少し触れただけだぞ」
コウキの言葉を聞くと、シグナムは握りしめた手をぐっと下の方に動かしていく。たった半往復。それをするだけで、コウキ自身はぐいぐいと暴れ出した。
「こ、こら、あまり意地悪をするな!」
「そ、そうじゃなくて。今のがめちゃくちゃ気持ちよくて、危うく――――」
「今のが気持ちよかったのか。これだけでか?」
シグナムは指を這わせたまま、コウキの怒頂を上へ下へと往復する。コウキはそのたびに、声を漏らすと「待った」と制止の声を上げる。
「や、やばいこれ以上されると」
「されると。ん、んんっ!?」
まるでシグナムの手から逃げるように、コウキのモノが上へ上へと暴れ出す。シグナムは反射的にそれを逃がさないようにと、手に力を込める。
その瞬間、彼の中で欲望が弾けた。
「う、やば、うわっ」
―――――ビュ、ビュグルウ!!
と音が聞こえそうなほど勢いよく、コウキの欲望が吐き出される。シグナムは手のひらに熱い何かが叩きつけられるのを感じた。
グッ、グッと何度も何度も猛りは暴れると、しばらくしてその勢いが落ちていった。
「ど、どうしたんだいったい。ん、なんだこれは?」
シグナムが手を開くと、そこには粘りけのある白い液体が広がっていた。独特の臭いを放つそれは、いったいどこからでてきたのであろうか。
シグナムは首を傾げながらその液体を見ていると、コウキはすぐにティッシュを何枚も引き抜く。そしてそれをシグナムに渡すと、その場で深々と土下座をした。
「すみません。童貞早漏如きが調子に乗ってしまいました。もう調子に乗りませんので、どうか今一度チャンスをください」
「ん? あ、ああ、よくわからないが、わかった」
コウキの言っている意味がよくわからない。
シグナムは手に着いた液体をティッシュでふき取ると、わからないなりに彼の行いを許してあげるのだった。
誤字脱字チャックが終わり次第、続きをあげます。