※この作品はR-18です。

パラダイス・ロスト Birth of UNKNOWN   作:さみに

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タイトルの言葉から一体何を連想されましたか?
ライダーファンとしては生存フラグ、といいたいところですけど黒いライダーが居た場合は話が別。
怪人側の死亡フラグへと早変わりしてしまうと思います。
理由については……多分わかると思うんですが、どうでしょう?


蛇と烏賊の幻獣和え(若菜と悠乃編)
水辺


私立栄開高等学校。

規模、学力共に平凡の極みだが、特徴として近年運動能力の高い生徒が増加している。

因みに男性全滅前の最盛期には生徒数1000人を数えたこともあるがそれも過去の話、今となっては450人程度にまで減少している。

 

 

荒木悠乃と戸田若菜はこの学校の二年一組に在籍している二人組。

友人やクラスメイトから「正直アブノーマルな関係なんじゃないの」という認識を持たれるほどに親密な間柄で、いつも二人一緒に行動している。

ただしそれぞれの家に居る時や、バレーボール部に所属する悠乃と水泳部に所属する若菜とでは活動場所の関係上、部活中にはどうしても別々の時間ができてしまう。

二人とも、それが少しだけ不満だった。もちろん我慢できないほどというわけでもなければストレスを溜め込む程の事でも無い、といった程度の話だ。

それに、例え離れている時間があったとしても、一緒に居る時間の方が圧倒的に長くて楽しくて幸せなのだから。

幼馴染であり、十年近くそうしてきた二人にとって、一緒に過ごすことが当然であり常識であった。

 

 

「ねぇ、若菜?」

 

以前、一人暮らしの若菜の部屋にいつも通り泊まりにきていた悠乃が質問したことがある。

二人で一つのベッドに隣り合わせに寝転び、布団の中で向き合った。

 

「なーに、悠乃?」

「もしこの先高校を卒業して、大学に進むなり就職するってなっても、一緒に居てくれる?」

 

それは、女子高生なら…そして学生の内ならば誰しも一度は考える願い、希望だった。

ただ、現実はそう簡単なことではない。たとえ幼馴染であっても、「高校時代の友は一生の友」だという言葉があったとしても、大多数は袂を別れて別の道を進んでいく。

ただ、若菜は違った。

 

「もちろんっ!悠乃と一緒に居たら楽しいもん、悠乃が大学に行きたいならあたしも同じとこに行く。会社に勤めても一緒!きっと、絶対についていくんだから!」

 

迷いなど無く、即答したのだ。それが正しいことだと、自分たちにとって幸福であると。

目の前に居る少女と他ならぬ自分自身にとって大事なことだと確信しているのだ。

それを聞いた時、喜びに胸が熱くなった。涙を堪えるために、思わず目の前の愛すべき親友を抱きしめていた。

 

「ありがとう、若菜……私達、ずっと…ずーっと一緒だからね…約束だよ?」

「うん……一緒に、居ようね。」

 

 

 

――――その日も少しの間だけ、いつも通り部活動関連二人は別々に過ごしていた。

若菜が県大会出場のために公欠を取り学校に居なかった、大会は二日間開かれるという話で、自分の半身が消えたような気持ちで、一人寂しく悠乃は母の帰りを待っていた。

父親が死に、女手一つで自分を育ててくれた。忙しくて疲れているだろうに、決して親子の交流を欠かさずにたまの休日も遊びに出かけてくれた。

そんな母が日付も変わろうかという時刻になっても帰ってこない。

「妙な怪物が夜になると現れて、人間を襲う」という噂も流れているせいで、嫌な想像が頭を過ぎる。

 

(大丈夫、残業なんて今まで何回かはあったじゃない。母さんに限ってそんな危ない目に遭うわけないって。

 ほら、きっとこうして下らない予想してる間にもインターホンが鳴って母さんが帰ってくるのよ)

 

 

         ぴぃ…ん ぽぉぉ……ん

 

 

間延びした少し抜けた音を立てて、ぴったりのタイミングでインターホンが鳴る。

オートロックつき、しかも自分の家に帰るだけだというのに、娘に防犯のために習慣づけさせようというのが母の意志だった。

部屋のパネル画面に表示された映像を覗くと、確かに母の姿が確認できる。

いま開けるね、と備え付けのマイクから声をかけてパネルを操作し扉を開く。

ほんの数分も待たないうちに、ハイヒール特有の固い足音が廊下から響いてきた。

予めドアの鍵を開けておこう、それから疲れている母のために荷物も持ってあげなければ。

外側からドアをノックし、娘の名前を呼ぶ母に応えつつドアを開く。

 

そこには確かに母が居た…だが、明らかに雰囲気が自分の知る彼女とは違う。

今年で38に手が届くはずのその顔は、アンチエイジングの賜物と考えるにしても明らかに若さに溢れている。

いつだったか見せてもらったアルバムに綴じられた20代の頃とほぼ同じといっていい。

そして、着ているスーツが少し乱れていた。普通なら細かい事だろうが、母は身嗜みに関しては人一倍敏感であり、少し着崩しただけで注意された経験もある。

そんな母が、服が乱れてそのままにするほどのことがあったにも関わらず、特に息を荒げているわけでもなく、何らかの危害を加えられた様子も無い。

 

「…母さん、何かあった?」

「え、何?どうしたのよ悠乃、藪から棒に。何か変?」

「いや、変っていうか…なんていうか。化粧品変えた?今日の母さんすっごい若く見えるよ?」

「やっだ、もう何言ってんのこの子ったら。お小遣いもっと欲しいなら上手い言い方くらい考えなさい?」

「そういうこと言うならもっとふざけた感じで言うってば、もう…調子狂うなー」

「あはは…、何でもいいから早く中に入れさせてくれる?」

「あっ、そうだね、ごめん。鞄持つよ、母さん。」

 

ありがと、と言い鞄を預ける母親からそれを受け取る。

資料や道具の詰まった重みは、働く辛さを否応無く教えてくれるようだ。

言葉には出さないが、こうして実感する度に改めて感謝の気持ちが湧き上がってくる。

背を向け、玄関から退いてリビングに向かいながら、照れくさそうに母へと口を開いた。

 

「今日はあたしがご飯作ってみたよ、母さんの腕前には敵わないけどさ、ちょっとは上手くできたかなって。気に入ってくれると嬉しいな」

 

後ろからはドアが閉まり、靴を脱いで後に続く母の足音が聞こえる。

くるっと振り向いて、恥ずかしそうに母に笑いかけた。

 

それに応えてくれたのは、

 

 

――瞳を真鍮色に輝かせ、奇妙な紋様と妖艶な笑みを顔に浮かべた母だった。

 

 

「私も、悠乃にプレゼントがあるの。」

 

 

   熟れた肢体に光が奔り

              灰が舞う。




原作の方では悠乃って最初に出てきただけなんですよね。
読み込んでおられる方なら、「あの子か」となりますが…どうでしょう。
…とはいっても悠子の方がわからないかもしれません。
本当に一瞬しか出てません、個人的になんだか勿体無い気がしたので出ていただきました。
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