今回短めです
-あらすじ-
透明の薬を飲んだおかげで元気を取り戻した数人
まず周りに聞いたのは勿論ナナマキのことでした
「なにやってんの本当さ」
静かな囲炉裏部屋に数人の声が低く響いた。
数人は諏訪子にすら聞かせたことのない真剣な声色でリグルを叱る。
ちょっかいを掛けた時に返ってくるようなトーンではない、真面目な雰囲気にリグルは思わず正座で聞いている。
囲炉裏を挟んで庭側に数人とナナマキ、そしてカマキリとリグルが集まっていて、その様子をてゐたちは反対側から酒を傾けながら見ていた。
「ご、ごめんね?」
「カマキリにまで飲ますなよ、頼むからさぁ」
リグルの隣にいるカマキリは首を傾げた。
彼女の視線は数人というよりその下のナナマキに向いている。
ナナマキは数人の右脇に後ろから潜り込んでふとももに頭を乗せていたのだ。
親である数人に絶賛甘えまくり中の大百足は、2本の触手の間を撫でられるのが特にお気に入りらしい。
ふにゃんふにゃんになった触手がその証左だ。
「なんなのあの面白い絵」
「数人の太腿の上にナナマキが乗ってるね」
「甘える子どもと思えばまぁ、可愛く感じられそうじゃな」
「そこも!、リグル止めようとか思わなかったの?!」
だいぶナナマキに慣れてきたてゐたちは、部外者を装いつつ楽しげに酒を煽る。
しかし数人は、お前たちも責任あるんだからな、と身体を斜めにしてリグル越しに4人も叱った。
その間もナナマキを撫でる動きは止まっていない。
「おっ?!」
「飛び火だよ…」
「あ~~、その、ごめんね?、気付かなくってさ」
てゐが、自分らは巻き込まれただけだから、とリグルを突き放した。
リグルは、この裏切り者!、という視線を振り返ってぶつけたが4人は知らん振りしている。
数人は自分の身体に身を擦り付けてくるナナマキを撫でた。
「おぉおぉ、よしよし、……別にナナマキを責めてる訳じゃないからな」
数人が怒っている理由。
それは朝の騒動にあった。
夜が明けかけた頃、妙な寝苦しさを覚えた数人が瞼を開けるとカニをひっくり返したようなのが幾つも連なったものに絡みつかれていた。
何が何だかサッパリ分からないものの、とにかく嫌悪感が凄かった数人は大きな悲鳴を上げてしまう。
それに気付いたナナマキが、親の目覚めに喜んで顔を近付けた。
自分に巻き付いている化物の正体が大百足だと分かった数人は2回目の悲鳴を上げる。
ナナマキは起きた数人にもっと甘えたくなって締め付けを思わず強めたり、顔を摺り寄せたり、挙句口器を口に捩じ込んだりしてしまい、最終的に数人を気絶させてしまったのだ。
ちなみに具合が悪いはずの数人がマミゾウを飛び起きさせるほどの大声を出せたのは、心の底から命の危機を感じたからだった。
「寝覚め最悪だったぞ。……気絶するまで誰も助けてくれなかったし」
「ご、ごめんね」
走馬灯すら見えたような気がした数人にとって、ナナマキの存在は寝起きドッキリにしてはあまりにたちが悪いと本当に怒っている。
てゐはナナマキの生誕秘話を知っているからこそ、怒るところが違うよぉ、と思いつつ、その言葉は酒と一緒に飲み込んだ。
「で、ナナマキは俺の精液を飲んじゃったからこんなに大きくなった、て事なんだよね?」
「うん。その、精液をいつも貰ってるじゃない?、あれをどぶろくと混ぜて飲んでるんだけど、作り置きしてたのを全部飲んじゃったみたいで…」
数人は呆れて溜息を吐く。
まさか自分の精液でこんなとんでもないものを生み出してしまうとは思わなかった。
「管理はちゃんとして下さい、でないともう自慰しないよ」
「それは…、はい、スミマセン」
立場的にはリグルの方が上のはずなのに、今回ばかりは数人の前で小さくなるしかなかった。
それほど真剣に怒った数人が怖かったというのもあるし、何より朝助けなかったことについて非を認めていたからでもあった。
「…でもさぁ、数人ぉ」
「なに?」
「ナナマキに驚いてたわりに今は普通そうじゃん。というか慣れ過ぎじゃない?」
あれだけ大きな悲鳴を上げていたのに、今ではその元凶を膝に乗せて撫でている。
隣でルーミアが、母性本能でしょー?、と言っていたのを影狼が小突いた。
「うんまぁ、あの時はほんとにびっくりしたから。でも何か子犬のようなね、可愛さがあるんだよナナマキって」
「子犬じゃとぉ?!」
マミゾウは庭をおぞましい絵面にしてしまったナナマキをよりにもよって子犬と評した数人に驚いた。
「てゐたちって諏訪大社行ったの?」
「え、うん。行ったけど」
「ハクっていう大きな白蛇いたでしょ。あの子に俺初めてを奪われてるからさぁ、そういう部分が麻痺してるのかもしれないなぁ」
「初めてって……、数人、童貞をあの蛇に奪われたの?」
うん、と平気な顔をして答えた数人に一同は言葉を失う。
数人はその時のことを誰に頼まれてもいないのに如実に語り出す。
最初はハクを抱きまくらにして寝るだけだと思っていたら、違う意味で抱きまくらされるとは思わなかった、とか。
自分が必死に射精を堪えているのを諏訪子は嘲笑って見ていた、とか。
それから1週間毎晩毎晩ハクと交尾していた、とか。
話の締めくくりに、諏訪子だけは絶対許さんけどな、と笑いながら言った数人を見て、洩矢神の趣味の悪さを改めて認識した皆だった。
「そ、ぁ、いや、じゃ、じゃぁさ、ナナマキの世話をお願いしたいんだけど」
「世話って言っても言葉分かんないよ、俺」
リグルは無理矢理話題を変えた。
酷い経験談の余韻をとっとと消し去りたい一心だった。
「数人くんにナナマキが懐いているのは、飲んだ精液から同じ神力を数人くんに感じているからなの。もうここにいるのも短いけどさ、日中暇な時とか遊んであげて欲しいんだ」
「そりゃ構わんけど。……ナナマキと一体何して遊ぶんだ?」
「そこら辺は、まぁ、お任せするよ」
数人は庭を振り向いてとぐろを巻く胴体を見た。
ハクよりも数倍でかいこの巨体相手に一体どう遊んであげればいいのか、全く想像つかない。
この子が満足疲れするレベルの運動となれば、日本一周くらいのことをする必要があるのではないだろうか。
ふにゃんふにゃんの触角を指で弄びながら数人は思った。
久し振りに短めの話でした
次あたりで長々とエロを書こうと思っていますので、その前菜的な扱いです
今後ナナマキもハクと同様にメインに据えていきますが、コレ以上はオリジナルキャラは登場しません
出たとしてもその章限りの登場になる予定です