お気に入り1000件突破、ありがとうございます
これからもどうぞよしなに
この章ではいわゆる読者様にとっては箸休め的な、主人公にとっては息抜き的な、そんなお話にする予定です
いつぞやに「ひたすら主人公は虐められます」と書いたような気がしますが、それでは数人はあっという間に壊れてしまうので、この章はまったりとしたプレイをお楽しみ下さい
-あらすじ-
数人を待ち受けていたのは奇異と値踏の視線だった
耐えられなくなって泣いてしまった数人は脱走を計画するが…
「…帰りたいなぁ」
数人は瞼を開くと同時に呟いた。どうやら泣いている内に寝てしまっていたらしい。
首を下に向けると、膝を抱くようにして寝ていたことに気付く。女性の前で泣いてしまったことの無様さが、今の自分の幼気な格好と重なって数人は強い自己嫌悪の感情に包まれた。
逃げるようにこの部屋の外へと意識を向けると、隙間からぼんやりした光が差し込んでいるのが分かる。起き上がってその光を手の平に当ててみる。太陽の光とは違う、柔らかい光であることから外が夜ではないかと予想出来た。
「みんな寝たのかな」
今は午前2時とか3時とかそんな時間だろうか。鳥や虫の鳴き声1つ聞こえてこない。神子も青娥たちも多分寝たのだろう。
数人はふとここから脱走することを思い付く。立ち上がると、うずくまって寝たせいか体の節々から軽快な音が鳴る。あんな態度を取るぐらいなのだから自分が居なくなったところで問題は無いだろう、と背骨をパキポキと鳴らしながら腰を回すと、あることに気付いた。
数人の居る部屋は日本史で習ったような大部屋を垂れ幕や簾で仕切って作られたものではない。完全に一部屋まるごと数人の為に用意されていた。広さは六畳一間ほど。丁度数人の目の前には彼の持っている巫女服と良く似た服が木製のスタンドに掛けられていて、その巫女服の足元には壺や茶器のような物と筆らしき棒が低めの机に置かれている。これだけ見ると、わざわざ数人の為に手間をかけたように思えた。
数人は飾られた巫女服に近寄った。表面を撫でてみると、諏訪子が用意した物より幾分か質が劣るが、学んだ日本史の知識から判断して貴重な素材で織られていることが分かった。ゴワつきが一切無いことから、絹ではないだろうか。
てゐたちは数人を歓迎していたのに、住まわせた部屋は随分と殺風景だった。神子たちは全くいい顔をしていなかったのに、部屋はとても充実している。屠自古や布都は特段自分に対してキツい視線を送ってきていたが、最初からああならこんな部屋では無いはずだ。
「どうしてだろ」
自分は勘違いをしてはいないだろうか。彼女たちがああいう態度を取ったのは何か理由があるのではないか。
神子は輝夜から話を聞いて、そして自分に何かを期待していたかもしれない。一体自分にどういう期待像を描いていたのかは分からないが、わざわざ鴇矢数という巫女を伝説扱いしてまで話した辺り、よっぽど期待は大きかったのだと想像できる。自分を必要としていたからこそ、こんなにも準備してくれていたのかもしれない。
数人は何となく着ている巫女服を脱いで、掛けられている新しい巫女服に手を伸ばした。実際に来てみると服は厚手で少し重い。諏訪子のと違って、白衣の縁に赤い糸が3本なぞるように縫い付けられている。
「鴇矢数ねぇ…。本当に大した事は一切してなかったんだけどな」
そのままゆっくりと膝を畳んで座る。
あの頃の記憶を掘り返すと、そういう巫女らしい身振り手振りは全く教えてもらえなかった事を思い出す。数人の中の巫女像が、動作の緩慢さと言葉遣い、そして優しげな雰囲気の3つしか無かった事と、諏訪子に聞いても「適当でいいよ」という言葉しか返って来なかった事から、内心必死で巫女らしく見えるように振る舞っていたのだ。
しかし今回はそれではいけないのだろう、と数人は考える。何せこの時代の中心的存在である、あの豊聡耳神子の元で巫女をやるのだ。適当で良いはずがない。となればそういう所作を教える誰かが必要になるのだが…。
「青蛾が、良いなぁ…」
神子が直接教えてくれるはずはないと考えれば、候補は3人に絞られる。その中ではまだ優しそうな青娥が指導係に就いてくれる事を数人は祈った。豊姫は数人にとって苦手な存在であるはずが、その彼女と似たような雰囲気を持つ青蛾が今の数人にとって1番近づきやすい。豊姫の持つ強引な母性による抱擁を彼女にも期待しているからだろうか。
「まぁとにかく屠自古じゃなきゃいいや。あの人目つき鋭くておっかないし」
いつの間にか頭の中に浮かんでいた逃走という二文字は消えていた。その代わりに、あの4人に認められたいという気持ちが徐々に湧き上がっていた。多分彼女たちは鴇矢数の正体を知って、ああして落胆の心情を面に出したのだ。そうなるほど巫女という存在に期待していた理由は分からない。しかし輝夜やてゐたちが自分を性の対象として求めたのとは明らかに違うことが、数人は少なくとも嬉しく思った。
数人は正座の状態から立ち上がると、皺にならないように丁寧に服を脱ぐ。そしてスタンドに掛け直すと、脱ぎ散らかしていた白衣の上に、緋袴だけ着てから寝転んだ。
指導係が誰になろうとも、みんなの期待に応えられるように頑張ろう。ただ、出来ることなら指導係は青娥がいいな、と思いながら、数人は再び眠りに就くのだった。
そして2週間が経つ。
数人の願った通り、指導係は青娥となった。彼女は手取り足取り数人に巫女としての知識、そして所作、礼法、作法を教え込んでいった。 2人の間にそういう関係は一切無く、そして数人もそうなることを望んではいなかった。
神子の元で巫女を務める。それは村の人々だけを相手にするのではない。それよりも遥かに位の高い存在を前にして儀式を行うということである。
数人にとって2週間はあっという間であり、高校の時よりも一生懸命勉強したとさえ感じていた。また屠自古と布都は数人に対して強く失望したことから一切関わろうとしなかったのが、かえって数人の集中を促す一因になっていた。
「にしゅうか…、いえ、この前は情けない姿を見せてしまったこと、お詫び致します。すみませんでした」
数人は両手を八の字になるように床に置き、深々と頭を下げる。
今彼は神子、青娥、布都、そして屠自古の前で勉強の成果を披露するべく、4人に初めて会ったあの部屋に呼ばれていた。
数人の変容ぶりに目を丸くする3人に対して、青娥はクスクスと笑っている。彼女も数人の変わりように驚いた1人だったが、そのことをわざと3人には教えないでいたのだ。悪戯が上手くいったとでも言うように神子たちの様子を楽しんでいる。
「あの、神子様」
「ん、ん゛んっ、……、はい、何ですか」
数人は平伏から肘を伸ばして上体を起こす。そして教わったように、神子の足元を見るようにして話し掛ける。
たった14回日が変わっただけで、数人は見違えるように巫女らしくなった。彼の纏う空気に神性すら感じるほどだ。初めて会った時の数人は何処に行ってしまったのか、もしかしたら2つの精神を身に宿しているのかと神子は思った。
「青娥様から私のこれからを神子様からお聞きするように指示を受けました」
「分かりました。それでは話しますが……、大丈夫ですか?」
「はい?、大丈夫とは?、風邪などはひいておりませんが…」
「ああ、いえ、そういう意味では…」
神子が我慢しきれなくなって、つい、尋ねてしまう。神子の言う「大丈夫?」とは数人の二重人格を心配したものだったが、当然本人にその意図が伝わるわけもない。
大きく意気込んでお披露目に臨んだ数人は、周りの反応が自分を訝しむようなものばかりであることに不安を感じていた。2週間自分なりに真面目に勉強してきたつもりだったけど、まだまだという事なんだろうな、と数人は勝手に落ち込んだ。
そんな思いが噛み合わない4人を楽しげに見ていた青娥は頃合いを見計らって口を開く。
「数人ちゃん顔を上げても大丈夫よ。神子様は貴方の変わりようにちょっと驚いてしまっただけだから。……ね?、布都」
「うん?!、う、うむ。そうであろうとも。……の?、屠自古」
「あぁ?、何でアタシに振るんだよ…。ま、まぁ?、それなりに出来上がってるようだし。良いんじゃないですか?、神子様」
青娥から布都、そして布都から屠自古へと無茶振りのリレーは続いていく。そして神子にバトンが渡されると、「え、ええ。用意した巫女服も似合っているようで何よりです」とお茶を濁して締めくくられた。取り敢えず責められていないことが分かった数人は、安堵の表情を彼女たちに向ける。
「しかしお主見違えたのう」
「ええ、本当に…。まるで別人のようでしたので、少々反応に困っていたのです」
「それは…、あはは。ちょっとあの時は緊張し過ぎちゃってたみたいで…」
布都の視線がくすぐったく感じる数人は照れ臭そうに顔を伏せる。あの時とは明らかに違う彼女たちの反応が、彼には恥ずかしいながらも心地良い。ましてや褒めてくれる存在が東方Projectのキャラクターであり、もっと言えば歴史的に見て重要な人物であるのだから尚更である。
「それで、あの…」
その嬉しさが今度は小恥ずかしさへと変わり始めると、数人はその感情から逃げるように言葉を発した。触らずとも分かる顔の火照りから、どれだけ自分が赤面しているかが予想するに容易かったからである。
(ふふ、数人ちゃんたらあんなにお顔を真っ赤にしちゃって…)
(照れておるなぁ。うい奴じゃ)
(変わりように驚きましたが…、やはり中身は普通の男の子なのですね)
その赤面姿を意識して見ていたのは屠自古を除く3人だった。屠自古は、褒められているから照れている、という情報をそのまま受け取ることしかしていない。
この4人をある点で分類すると、青蛾と布都と神子、そして屠自古という別れ方をする。青蛾たちなら数人に対して可愛げがあると評価するところを、屠自古は褒められることに免疫の無い人間だとしか見ない。だからこそ、こういった客観的事実のみを見る屠自古と、その反対に主観性を大事にする青娥はよく対立する。
(青娥の案に乗るのはムカつくが…、こいつの顔を隠すのは必要だな。いちいち感情を表に出すようじゃ巫女らしくないし、何かやらかして神子様を困らせるようなことはあってはならないしな)
数人に柔らかく微笑む3人に対して、屠自古はあくまで彼を利用する算段でじっと見つめていた。
「…と、言うわけなのです。是非協力して頂けますね?」
「………」
「数人ちゃん?」
「ぁっ、ハイ、だい、大丈夫です」
数人は一拍遅れて反応した。それもそのはずで、数人が想像していた以上に自分の役目が非常に重要だからだ。
(てっきり諏訪子たちの威光を借りたいとか4人の前だけで演舞をするとかそんなんだと思ってたのに…)
数人の思い浮かべる絵には、様々な豪族たちの前に鎮座する自分が描かれている。神子という存在をより一層大きく見せるための演出に使われるというが、今まで好意的に接してくれた村人相手にしか振る舞ってこなかった自分にとってそれはあまりにも荷が重たい仕事だ。
数人の顔に段々と暗い影が挿していく。その様子を4人はデジャヴュのように思いながらも、数人の役回りがかなり大変であることに少なからず同情もしていた。
「…その、僕、口は達者な方じゃないです、よ?」
「見りゃ分かる」
「ご、ごめんなさい…」
屠自古にピシャリと言われると、数人はシュンとなって縮んだ。
「屠自古ちゃん。そういう言い方はあんまりじゃないかしら。知らないだろうけど、数人ちゃんこの前からずっと頑張っていたのよ?」
「そうじゃぞ。流石に言いすぎであろう。そういう不安要素を排除するために、青娥が前もって策を講じたはず。…お主いつもより苛ついておらんか」
縮こまる数人を2人が庇うように言う。
屠自古は心の中で小さく舌打ちをした。数人の頑張りようなど気付いたに決まっている。彼が部屋に入ってきた時から、纏う雰囲気の明らかな違いに驚き、そして少なからず感心したのだ。しかしどうしてか彼に思うのはそれだけではなかった。何やら胸の内にピリピリとした、まるで山椒を噛んだような痛みを時折感じるのだ。そしてその痛みが屠自古の口を乗っ取ってしまう。自分は口調こそ乱暴だが、迂闊な発言はしない人間だったはず。勝手に開く口にも屠自古はムカついていた。
「すまん」
「いえ…、屠自古様の言うことも正しいですから…」
2人に言われて屠自古は止む無く謝る。しかし自分は悪く無いのだ。胸の内に勝手に湧いた得体の知れない痛みが悪い。だから謝ってしまうと途端に居心地が悪くなって、屠自古はもぞもぞと身体を動かした。
「安心してね数人ちゃん。数人ちゃんの負担を減らすためにも、不安要素を排除するためにも、私が作戦を練っておいたのよ」
「作戦、ですか?」
再び淀み始めた空気を入れ替えるつもりで、青娥は少し大きな声で“策”について説明し始めた。
青娥の考案した作戦を聞いた数人は、自分はただの置物として機能すればいい、と理解すると、少し大げさに安堵の溜息を吐く。巫女として振る舞うのが精一杯の自分に、神子を守るような役割までは演じきれない。彼のイメージする反対勢力とは、老獪で重箱の隅をつつくようなイヤらしい爺であっただけに、得られた安心も大きかった。
「ただ顔を隠すと言ってもどういう風にするかまでは決めていないの。だから取り敢えずこの布を適当に被ってもらえるかしら」
そう言って青娥は彼女の服の色とよく似た布を取り出す。そこで数人は見てしまった。彼女が布を胸の谷間からまるで手品のようにスルスルと抜き取るのを。思わず、「何処から取り出してんだお前」と言いそうになるのを慌てて右手で抑えながらも、視線は彼女の胸元に縛り付けられている。
布都は青娥の意図を直ぐに見抜いて、そして呆れたが、彼女を咎めようとはしなかった。屠自古は顔隠しをどのようにデザインするのかしか考えておらず、神子も同じだった。
「はーい、じっとしててね~」
「ちょっ…」
取り出した布を右手に青娥は立ち上がり、数人の後ろに回ると顔を隠すようにファサリと布を掛けた。布は長さにして1メートルほどで、数人の顎元から頭頂部、そしてうなじからその少し先までを覆っているが、幅はあまり無いため、耳は見えてしまっている。
「あら~、ちょっと幅が足りなかったかしら~」
「……白々しいのぅ」
布を掛けられた数人は固まってしまい、微動だにしない。それどころか、布に隠れていない耳が段々肌色からピンク色、そして赤色へと染まっていく。
(ふふ、可愛いわねぇ)
(新しい標的になってしまったようじゃな。…まぁ、助けはせんがの)
数人は神子の元に連れて来られてから2週間の間、一切性的なことはしていなかった。巫女についての勉強が大変で、部屋に戻ってくると倒れるように寝てしまっていたのもあるが、何より数人の気持ちのベクトルがそういう事に向かなかったのだ。
しかしソレが今、忘れていた性欲が、溜まりに溜まっていた射精欲が、最悪のタイミングで目覚めさせられてしまった。
(あああぁぁぁ、いい匂いだよぉ、す、すっごい甘くて良い匂いがするぅ…)
青娥の胸元に隠されていた布はほんのり熱を帯びていて、顔を覆った途端、鼻に濃厚な女の香りを嗅ぐわせてくる。神奈子のサラシと違って、少しお香の薫りが混じっているのがまた数人のツボを鋭く突いた。
「はぁ、ぁ、あの、も、もうこれ、取っても、いいですか…?」
神子の前であることを思い出した数人は、意識が塗り潰される前に布をどうにかしようと抵抗を試みる。
「もうちょっと待て。今どういう形でお前の顔を隠すか考えてんだ」
「そ、そんな」
しかしその抵抗は、イマイチ分かっていない屠自古によって遮られる。彼女はあくまでデザインについてのみ真剣に考えているからこそ、青娥の悪戯に気付いていない。
痛いくらいに勃起してしまった股間を必死に隠そうと、数人は股ぐらを抑え込むように両手で隠す。そして出来る限り鼻呼吸をしないようにするも、口から入る女の香りが肺に溜まっていくのを感じるだけで更なる興奮を呼び起こした。
今にも部屋に戻ってオナニーに耽りたくなる衝動を必死に抑えるだけで一杯一杯だ。
「数人の様子がおかしいようですが、どうかしましたか?」
「あー、問題ないのじゃ。神子様は気にする必要はありませんぞ」
「何だったら神子様ぁ?、彼の欲を聞いてみるのは……、あんっ」
「これっ。余計な事を言うでないわ」
神子までも巻き込もうとする青娥を、布都が小突く。
(止めんか愚か者。無垢な神子様を汚すような真似は我が許さんぞ)
(良いじゃないのよぉ。もうそういう事を知っても良い歳じゃない)
(それはそうであるが…、それにしてもお主に任せられる訳なかろうが。その時は我がやる)
(…屠自古ちゃんは?)
(あれは知らん)
目の前でああでもないこうでもないと唸る屠自古を見て布都は溜息を吐く。敏いんだか敏くないんだか。細かな事にも気を配れるはずなのに、そういうところは全く気付かないのはどうなのか。神子の嫁のはずなのに、よく分からん。
「うーむ、やっぱり耳も隠した方が良いよなぁ。どうですか、神子様。完全に覆い隠すように作ったほうがやはり良いですよね?」
「そうですね。数人はどうも感情が面に出やすいようですし、その方が良いでしょう」
「…あの、ま、まだ、ですかぁ?」
一向に数人の様子に気付かない2人。助け舟を出してやろうかと一瞬布都は考えたが、こうして悶々とする数人を見続けるのも悪く無いと思う自分も居る。
青娥の方を向けば、ずっとニコニコと笑いながら数人を見ていて助ける気は無いらしい。
(ならば、我も放っておくとしよう)
結局それから1時間ほど経ってようやく、フードのような帽子を作ることに決まったが、その頃には数人の呼吸は非常に荒くなってしまっていた。彼の吐く吐息はムワッと熱を帯び、強く発情していることは一目瞭然である。
なけなしの自制心でオナニーを我慢する数人は、怪訝に思った屠自古に喋りかけられても一切の反応を示さない。布を取られると、まるで熟したクコの実のように真っ赤になった顔が現れ、目が虚ろになっていた。彼の頭の中は鼻奥でしっかりと覚えた青娥の体臭をオカズに致すことで一杯で、ギンギンに勃起した股間は大きな山を作り上げ、手で隠す意味が無くなっている。
(うぅぅ…、オナニーしたい、オナニーしたい、オナニーしたいぃぃっ)
「何だコイツ。どうしちまったんだよ」
「お腹が痛いのでしょうか…?」
まるで的外れな事を言う2人に青娥は笑いを堪えているが、口角がヒクヒクと引き攣っている。
(まぁ、前傾姿勢じゃし、そう見えんこともないと言えばないが……)
もしかしたらこれは機会なのかもしれないと布都は考えた。これから数人とは長い付き合いになるだろう。彼を教材にして神子様にそういう勉強をして頂くのも悪く無いかもしれない。彼なら万が一が合っても力ずくで抑えられる。
(もしや月の姫が言っていた“神の寵愛”とはそういう事なんじゃなかろうか。我には敵わんが、男にしては可愛い方であるしな…)
体調不良ではないかと心配し始めた性に疎い2人を放っといて、布都は1人で彼の真相に気付く。
寵愛という意味が“そういうこと”であるならば、輝夜は嘘は言っていないと言える。確かに嘘ではないが、もう少し丁寧に言ってくれれば良かったのだが。
布都が内心で恨み言を呟いていると、ひとしきり楽しんだ青娥が「具合が悪いようですし、お部屋に連れて行きますわね」と言って彼の手を取った。フラフラと立ち上がった数人は、引っ張られるように青娥に連れられて行く。
(ヤる気だな)
誰が見たって分かる。誰が見たってこの後数人がどうなるかなんて簡単に予想が付く。……付くはずなのだ。
2人が部屋から去って行くと、神子と屠自古が不安気な表情で布都を見た。
「布都、お腹の病に効く薬草を煎じて上げて下さい」
「神子様の言う通りだ。せっかく使えるかもしれないって感じになったのに、病で倒れられちゃ困る」
「…あれは青娥に任せれば良いやつなのじゃ。神子様が気を揉む必要は一切ありません」
「それなら良いのですが…」
布都の目にも彼の勃起は見えていた。多分2人にも見えていたはずなのに、気付かない。というかアレが何なのか分かっていない。
何だか腹が立ってきた布都は近いうちに2人に性教育を行おうと強く決め込んだ。あの時2人が心配してましたけど、実際は全く違うことだったんですよ、と突き付けてやりたい気分になった。
この国の政を司る人間と、その人間の妻が性知識を持たないという情報はあの爺たちにとって格好のネタになる。色んな方向から私たちを突こうとするような奴らにこれがバレてしまっては布都の心労は一層増えてしまう。現状で手一杯の自分たちをどうにかするために数人を呼んだはずだ。だったら彼にこの悩みを解決してもらうのは何の問題もないはずなのだ。
(神子様をお守りするためであろう?、そうであろう?)
布都は若干虚ろな目で、都合が合う日を確認し始める。すると今日から数えて7回日が変わると3人同時に暇な日を迎えることが分かった。
神子様を汚すな、と青娥を叱った手前、衝撃を与えない程度に優しく性を教えなくてはならない。また屠自古はやり方だけを覚えて拗らせそうなので、前もってどう教えるか考える必要がある。
「余計な仕事が増えてしまったぁ…」
「そうだよなぁ。被り物が出来るまでは数人を表に出せねぇし、まだ休めそうにねぇよな」
「布都、屠自古、もう少し頑張りましょう。あとちょっとの辛抱です」
項垂れる布都に2人はズレた発言をする。あながち間違ってはいないのが、布都の神経を逆撫でる。
神子様が居なかったら今頃屠自古に掴みかかっていたかもしれない。必死に抑えこんだ自分を誰か褒めてくれ。布都は心の中で泣いた。
うおー、飛鳥時代のまとめサイトとかありませんか?!、欲しい情報が無くて辛いです
そして布都の口調が難しいし、屠自古の口調はやり過ぎ感があるような…
一切時代背景に絡まないストーリーにするつもりだったのが、どうしてこんなことに
恐らく2回目の輝夜の登場の時も僕は泣きを見ると思います
小説は書き始めは割りと楽なものの、どう着地するのかが非常に難しいですよね
この東方被嗜虐も最終話は既に考えてはいるものの、1話1話はノリと勢いで書いているだけにピンとくる終わり方を探し続けて1日が終わることも多々有ります
いつぞやの話は5000字位書いてから、どうにも納得いかなくて全部消したこともありました
物書きを生業にする人達って凄い
と本当思います