本来ならこれ74話の続きに書く予定の話でした
という訳でまたも短めです
-あらすじ-
数人に謝ることにどうも抵抗を感じてしまう神子
そんな精神すら自己嫌悪の材料になっていました
「神子様、遅れてしまってすみません。…ちょっとコイツラが」
屠自古は睨みつけるように青娥に視線をぶつけると、鼻を鳴らして座った。対する青娥も事を邪魔されて相当苛ついたのか、彼女にしては珍しくツンとした表情を見せていた。
険悪な空気が漂う中、数人はおずおずと青娥の隣に座るが、当事者の1人であるのが相当いたたまれないのか肩身をちんまりと縮こませている。
「何をしておったのじゃ主らは…」
布都は呆れ顔のまま、青娥に話し掛ける。
実際何をしていたかなど聞かずとも分かるのだが、思わずそう言わずにはいられない程に彼女は呆れていた。お披露目の後に反省会を開くと言っていたはずなのに、青娥は数人と致そうとしていたのだ。いくら青娥が少年嗜好であるとしても、個室で二人きりになった途端盛る程に制御が効かないのでは最早病に近いものがある。そしてそれを屠自古に止められて、反省するどころか腹を立てるようではもう庇いようがない。
屠自古はそんな布都の愚痴にも近い言葉を、そうだそうだと頷きながら聞いていた。
「……」
「…」
青娥も数人も黙りこくっている。弁明する気もないらしい。
「まぁ、良いのじゃ。…神子様、取り敢えず2人も来たことですし、早速本題に…」
「なぁ」
布都は呆れつつもこのままにしておくわけにもいかないと話を切り出そうとした矢先、屠自古がそれを遮った。
屠自古の視線は数人を捉えている。
「どうしてお前、あの時喋った」
布都はマズイと思った。今回の一件は確かに数人を見直すきっかけにはなったものの、前もって決めていた約束から逸脱した行動をとったことには変わらない。元々数人のことをあまり良く思っていない屠自古のことだ。内心では怒りを滾らせているに違いない。
焦ったのは神子も同じだった。ついさっきまで数人のことについて話していた。謝ることの難しさを痛烈に感じていた手前、その謝罪の対象が屠自古に叱責されるのは見たくなかった。数人は私たちの為に頑張ってくれたのです、怒ってはなりません。そう言いたかったが、どうしてか口は開かなかった。
「アタシらは決めてたな?、数人を喋らせず、置物のように扱うって。…どうして勝手に喋った」
そんな2人の心配をよそに、屠自古は鋭い視線を数人にぶつける。低く、大きくないはずのその声は何故か部屋に響いた。
「あ、あの…」
数人は縮こまらせた肩を更に小さくさせた。手筈通りに動かなかったことに非を感じているとはいえ、自分の腿に拳を押し付けるようにして縮んでいる様は痛ましい。
彼は一言一言選ぶように、ポツポツと喋り始める。
「その、偽物扱いされたことに腹が、立って…。それに、自分は本物なのに、神子様たちまで馬鹿にした、のが、許せなかった、から、です…」
申し訳なさを滲ませながら話す数人を屠自古は真剣な表情で見つめていた。その傍で真意を聞いていた布都や青娥は一層嬉しく感じ、神子はさらに心が苦しくなった。自然と顔を綻ばせる2人に反して、神子の顔はますます苦々しいものとなっていった。
「…そう」
屠自古は怒っているだろう。誰しもがそう思って、彼女を見ていた。
屠自古はゆっくりと瞼を閉じると、1つ大きな息を吐いた。胡座をかいている彼女の身体は、ふぅーという音に合わせて僅かながらしぼんだ。
数人はそれが頂点を超えた怒りを抑え込むように見えた。余りに怖くなって目をギュッとつぶってしまうと、自分の右手を温かい何かが包み込んだ。隣にいる青娥の手だった。怒られてしまうとも、隣に青娥がついているなら安心出来る。そう思って、瞼を開くと屠自古と目が合った。思わず、息を飲んだ。
屠自古の口がゆっくりと開く。怒られる、そう身構えて。
「すまなかった」
数人はそれが誰の声か分からなかった。思わず青娥を見た。彼女は優しく微笑んでいる。
「色々言わなきゃならないことはある。でもそれより先にアタシは数人に謝らなければいけない。……お前を見くびってた。骨のない奴で、青娥の教育を受けてようやくまともになったものだと思い込んでいた。でも違った。数人は気骨があることを見せてくれたんだ。色々馬鹿にしたようなことを言って、本当に悪かった」
視線を戻すと、本人なりに柔らかくしたつもりの表情で謝っている屠自古の姿が目に飛び込んできた。狐につままれた気分の数人は、そんな彼女の様子を呆然と見ていた。
「いや…、そんな、あの、別に…」
戸惑ったのは数人だけではなかった。まさか謝ると思っていなかったのは神子も同じだった。自分よりも冷たい言葉を投げかけていたあの彼女が、いきなり謝るなんて。神子は裏切られたような感覚に陥ったと同時に、そんな感情を抱く自分がますます嫌になった。
「そんな、あの、もう布都に謝ってもらってますし、気にしてないですって」
頭まで下げようとする屠自古を慌てて数人は止めた。確かに一番辛い態度を取ったのは屠自古だったが、もう済んだ話だと数人は思っていた。だから後からそれについて謝罪されるのはどうもむず痒い。
屠自古はそんな数人にぎこちなく微笑む。
「優しいなお前は。あいつらとは大違いだ」
彼女の笑みは眉が引き攣っていたり、口角が上がりすぎていて少し気味が悪くもある。しかしその笑みが自分に向いているということ、それが数人は堪らなく嬉しかった。その笑顔が、自分を認めてくれた証だと感じられた。
「それで、だ」
そんな喜びも束の間、屠自古の声色がいつものに戻る。それと同時に硬い笑みも消えた。
「勝手に口を開いてしまった以上、お前はこれから常にアタシ達と共に会議に出て、意見を交えなくちゃならない。…いいか、お前の発言は神の巫女としての発言になる。あの糞ジジイ共はお前の口を滑らそうと色々邪魔をしてくるはずだ。分かってんのか?」
屠自古の意見は最もだ。数人は、これから巫女としての振る舞いをより正さなくてはならなくなった。また政治や治世などあらゆる事を学び、忌憚なく意見を交わせるようにならなくてはならない。置物として扱われるよりも遥かに大変なのだ。
その事を厳しく指摘する屠自古だったが、それを聞いている数人の目にはやる気が灯っていた。ようやく認められた彼女に、不甲斐ない姿は見せられない。それどころか、自分の発言で青娥や布都、そして神子様にまで迷惑が掛かってしまうとなれば、自ずとやる気が漲ってくる。
「はい。折角認めてもらえましたから、それに応えられるよう頑張ります」
「おお、いい返事だ。頼もしいな」
屠自古は嬉しそうに鼻を鳴らした。
ようやく屠自古と打ち解けられた事に嬉しく思った数人も笑顔を零したが、そんな2人と相反して神子の表情は更に影を強めていった。
(どうして屠自古が謝った時、私はそれに合わせることが出来なかったのでしょう。どうしてこんなにも私の口は重いのでしょうか…。ただ一言数人君にごめんなさいと言えば済む話なのに。彼に謝ることをどうして難しく感じてしまうのか。どうして……?)
自己嫌悪は胸中で渦巻いて、心を針で何度も貫いた。このままでは指導者として情けないと分かっているのに、指導者だからという考えが口を鈍らせる。思考は歪み始め、遂には数人は自分にだけ許してくれなくなったんじゃないかと考え始めるようになる。しかし思考の片隅に、そんなはずはない、数人君はそんな悪い子ではない、早く謝るんだと訴える自分もいる。人格が2つに分かれてしまったかのような錯覚に神子の意識は泥沼の中に沈みはじめていった。
次のお話は久し振りのエロでございやす
-ちょっと汚いお話-
考えれば当然の話なんですけど、肛門を弄るプレイってちゃんと前もって綺麗にしておかないと普通に付くんですよね、アレが
なので例を挙げると、マジ恋の直江大和の性趣味の関係でそういうプレイをする時って、必ず女性キャラは皆一度トイレに行っているはずなんです
そこら辺の描写を省こうと思って永琳に数人の肛門を手術させた訳ですが……
要らんかったね、そこの描写
もうやり終えた後でした、みたいな表現にしとけば良かったです