快楽主義者《ヘドニスト》の輪舞曲《ロンド》 作:ポップマン
ぼおっとして、入学式はほとんど耳に入らなかった。既に快感はなくなっていたが、先程の不可思議な経験になんとか理由をつけようと俺は必死に考えていた。
俺は断じて変態ではない!
ドMでもない!
でも、彼女のビンタは気持ちよかった!
信じてくれ!
校長(
しかし、女子の理不尽なら俺はなれっこだ。今はジッと我慢の時、いずれやり返す機会もこよう。
ようやく入学式が終わる。
教室に戻って、初めてのホームルームだ。
一人一人壇上で喋るように、若い美人の担任(これは中学の担任がオバサンばかりだった俺には嬉しかった)に促される。好きなものや、趣味etc. etc. 俺は他のやつを差し置いて、さっきの女子に神経を集中していた。
やつの出席番号は3番、そして席は俺の隣だった(間違うわけだ)。20人という少人数の都合上一列に3ないし4人しか座らない計算になる。スッキリして気分がよろしい。
お、アイツの番だ。
「
とチラッと俺をみる。
「嫌いなものは、席を間違える男です」
プッツーン。
キレましたよ?キレちゃいましたよ?
許してくれればいいじゃん。初日に席間違えたぐらいさぁ。人間の器が小さいなあ。
ブーメランという言葉を意識せず、俺は園羅と名乗った女子をグチグチと心の中で罵倒する。
既に園羅はよろしくお願いします、と頭を下げて自分の席に戻っている。
俺は他のクラスメイトの自己紹介の途中、ずっとどうやって園羅にやり返すかを考えていた。
「
前の席の女子のなんだかエキセントリックな自己紹介が終わった。
よし!俺の番だ!
ゆっくり前の教壇に進み、振り返ってクラスメイトの顔をみる。おもむろに話出す。
「香川 太郎です。趣味は昔のマンガを読むことです。好きな食べ物はインドカレーで、嫌いなものは、細かい女子とビンタする女子です。1年間よろしくお願いします」
一息にそれだけ言ってしまうと、園羅の方を見もしないで自分の席に戻る。さっきのビンタを見ていたクラスメイトは園羅の方を見ているが、俺が見てしまうと園羅を意識しているみたいで効果が薄れる。
しかし、俺は好奇心に勝てず、席につくときにチラッと園羅を見てしまった。
彼女は猛烈に俺を睨んでいた。
動揺して机に足をぶつける。
痛みを堪えながら、すごく理不尽だと思う。喧嘩を売ってきたのは向こうなのに、なぜ俺が恨まれるのか。
何だかなあ、と思いつつ、残りの自己紹介を聞き流す。
水島
配布物がいくつか配られお開きとなった。
「それじゃ、明日は学級委員を決めますからそのつもりで」
先生が教室を出ていき、疲れることが多すぎた俺も心折れて帰ろうとすると、女の子の声がした。
「待ちなさい」
見ると隣の席の園羅がプルプルと怒りで腕を震わせて立ち上がっている。
特に理由はないが、これはヤバい!と思った俺は口をパクパクさせて(コミュ障の習性)謝ろうとする。
「あなたさっき、ビンタする女子は嫌いって言ったわよね?」
必死に言い訳しようとする(しかし言葉にならない)俺に園羅は言う。
「好きになるようにさせてあげるわ」
そしてニンマリとゲスく笑うと、右手をふりかぶった。
パァーン。
さっき以上にいい音。そしてさっき以上の快感。俺は膝をガクガクさせて耐えようとする。園羅は容赦せず、左手をあげる。
スパァーン。
そして立て続けに打ち下ろす。
パァン、パァン。
俺は熱い快感に悶えながら、必死に事態を把握しようとする。しかし、俺にとって全く予想外の事態が発生した。
ムスコがムクムクと起き上がってきたのだ。
俺の不肖のムスコはこう言ってはなんだが、並だ。並中の並だ。しかし一度起き上がれば、ズボンの中から自己の存在を強烈にアピールしてしまう。
俺は前屈みになろうとしたが、遅かった。
園羅のバカ笑い。
「アハハハッ、大分素直になってきたわね」
俺は動揺した。
動揺して、脚の力が抜けた。
前につんのめり、かろうじて手で支えるが、これはマズイ!
これでは四つん這いだ!
女子にビンタされて喜んで勃たせて、這いつくばるドMにしか見えないではないか!
立とうとするも、力が抜けて倒れそうなのを支えるのに精一杯だ。
すると不意に、ズボンがパンツごとずり下がられる感覚。尻がスースーする。
ヒイッ。
ビビって後ろを振り向くと、園羅の悪魔のようなニヤニヤ顔。
「これでも喰らえ」
ズパァァーンッ。
盛大な音をたて、手のひらが尻に当たる。
そして、白状しよう。俺は声をあげてしまった。
「ヒギイッ」
あたえられたことのない快楽。抗えるものではない。射精を我慢するので精一杯だった。
「オラッ」
ズッパァァァン。
「アアアッ」
「とりゃっ」
スパァァァーン
「アガアッ」
「せいっ」
スパアーーン
「ヒグウゥゥ」
俺を情けないというやつは俺に代わってビンタされろ。だが、勘違いしないで欲しい、確かに尻へのビンタは気持ちよかった。それも顔よりも。しかし、俺はドMではない、断じてだ。
ハァハァと倒れ込む俺の横で園羅は悦びに歪んだ顔をしていた。
お巡りさんこいつです。
「ラストスパートの前に教えてあげる。これがわたしの能力
18禁小説のようなセリフを吐く園羅に俺は懇願するしかなかった。
「俺が悪かったです、園羅さん。許してください」
園羅はニヤリと邪悪に笑うと言った。
「ダメ」
そして最後の一撃。
ズッッパアアァァァーンッッ。
「アアアアアッーー」
俺は衆人環視の状況の下、情けなくもパンツの中に盛大に射精してしまった。 なんか音もいつもより卑猥な気がする。
泣きたい。
ていうか既に半泣きです。
園羅は周りを見回して言う。
「どう?誰かあたしの無敵の能力と戦ってみる?」
俺が言うのもなんだけど、フィクションの中で言えばそこまで強くないと思いますよ、園羅さん。
特に誰も名乗りでないので(ドン引きしてるだけかもしれないが)、園羅はご満悦のようだ。
「そうよね、いるわけないわよね。じゃああたしがこのクラスの支配者ってことで…」
「待ってください」
1人の女子が歩みでる。
確か…名前は
「わたしが挑戦しましょう」
園羅は少し不機嫌になる、が気を取り直してニンマリと笑う。
「いいわよ、最上さんだったっけ?かかってきなさいよ」
最上さんは少し笑うとかぶりを振る。
「いいえ、わたしの勝負は彼を使うものです」
そう言って、何故か情けなく床に這いつくばった俺を指差す。
え?
次の話はできてるけどいつになるやら。
ちなみに筆者はドMではありません。