快楽主義者《ヘドニスト》の輪舞曲《ロンド》 作:ポップマン
俺は今、園羅に睨まれている。
園羅の手にはビニールの手袋が。
これには訳がある。
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「園羅理奈さん、校則の第一条は知っていますね?」
水島先生が訊ねる。
「ええ、でも…」
言いかけた園羅を、水島先生は手で制する。
「Be quiet。ダメですよ、言い訳は。見てましたからね。」
そして不満げな園羅に言う。
「明日朝職員室に来てくださいね。渡すものがありますから」
そしてついでに俺に言う。
「ホドホドにしなきゃダメですよ?」
去っていく、水島先生を見ながら俺は思った。
死にたい…。
なんでバレてんのぉぉ!?
ハッ、臭い?臭いか?イカ臭いか?
その夜、俺は寮の洗面台でパンツを必死に洗っていた。
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そして今朝、園羅の手にはビニールの手袋がはめられている。
接触が発動のトリガーである能力者は手をなにかで覆うことで無力化できる。どうやら3日間日中は着けてないといけないらしい。
グッジョブ!水島先生。
俺は感謝の気持ちでいっぱいです!
園羅はそんな俺を睨む。
ハッハー、そんなに睨んでも全然怖くねぇぜー!?お前なんぞ能力が使えなきゃただのツインテールだろうがよぉ!
「3日後は覚えてなさいよ!」
ちょっとビビる。というか実際俺のせいなのか、これ?
「では学級委員を決めましょう」
壇上の水島先生が言う。そういやそうだった。
「………ね」
隣のヤツがなにかボソボソ言ってくる。
「え?」
「わたしに票入れるんでしょうね!」
え?
なんで?
百歩譲ってお前が出るのを俺が知ってたとして、俺がお前に票を入れる義理がどこにある?
恨みならあるぞ?タップリと。
「なんで?」
「だってあんたはわたしの僕じゃない」
なんだそりゃぁぁぁ!
いつ決まった?
何時?何分?地球が何回廻ったとき?
でたよ、フィクションでありがちなヒロインのぶっ飛び理論。俺がそれにいちいち付き合うと思ってるかっちゅーの。
よって無視した。
「学級委員は男女各1名ずつとなります」
ほへー。男が少ない普通の学校じゃあ男の学級委員なんていないんだろーな。
「それじゃ、女子から決めていこうかしら。なりたい人立候補してもらえる?」
手を挙げたのは、勿論俺の左隣のツインテール、それに出席番号1番の
「三人ね。じゃ石河くん。書記やってもらえる?」
呼ばれた出席番号2番の男子はそそくさと黒板に向かう。
「じゃ有栖川さんに入れる人」
髪を縦ロールにしている見るからにお嬢様な女子に投票したのは、さっと手を挙げた2人(あの2人は明らかにグループのメンバーだろう)と、その他合わせて4人だ。石河が4と書く。
有栖川さんがこっそり唇を噛んだのを俺は見逃さなかった。
「園羅さんに入れる人」
園羅は俺を睨む。それはもう睨む。
しかし俺は挙げない。テコでも挙げないように意志の力で腕を押さえ込む。
「4人ね」
水島先生の声が響く。驚いて見ると予想外に手が挙がっていた。意外にも昨日の最上さんも挙げている。
石河が4と黒板に書く。
若王子さんの勝ちは決まったも同然だろう。
「最後に若王子さんに入れる人」
黒髪を肩で切り揃えたいかにも秀才タイプといった若王子さんの顔は全くの無表情だった。
クールだなあ、と感心する。
「4人ね」
水島先生の声に驚き見てみると、確かに挙げているのは4人だ。石河が4と書く。
「もう1回やって数えてみましょうか」
結果は変わらない。
俺はそこで気が付いた。
挙げてないのは
男は(俺も含めて)5人共誰にも手を挙げない。それも当然だ。男には昔からクラスの中の女子に逆らわないように、誰にも手を挙げず波風を立てない生き方が染みついているのだから。
今しも俺に3人の脅迫的な視線が絡みつく。しかし、挙げるわけにはいかないッ!
今、今挙げてしまえばッ!誰に挙げても他の2人には確実に嫌われるッ!どうやら実力者らしいこの女子たちを敵に回せばッ、俺の学院生活は地の底の底、ドン底でのたうちまわることになる!!
困った水島先生をは打開案を出す。
「え~と。じゃあ来週のこの時間にもう一度決めましょうか」
助かった~~。マジ神。
「じゃあ男子の学級委員を…」
忘れてたァァ!
俺になりませんように俺になりませんように俺になりませんように…
「ハイ、じゃあ19票で香川くんね」
クソがぁぁぁぁぁぁ!
なんで?なんで?なんで?
いや…分かるよ!?
確かに昨日、入学初日でワル目立ちしちゃったからね!?
でも尻でイく情けない学級委員でいいの、みんな!?
危ないよ!?
「授業中は全員お尻にローター入れなさい」とか決めたらどうすんの!?
「じゃ全員来週のこの時間までに女子の学級委員を誰にするか考えておくように」
残りの雑多な係を決めている間、俺はずっとどうやってこの立場を生かしてみんなに復讐するか考えていた。
そして授業後。
また園羅が絡んでくる。
「ちょっと、何でわたしに入れないのよ」
逆になんで入れると思ってんの!?
「入れるよりイれられる方が好きなんですよね?」
最上さん!字が違います!それと俺は多分ですがイれる方が好きです!
「とりあえず、作戦会議よ」
園羅が宣言する。
なんで俺も一緒なの?
「香川さんを引き込めたのはわたしたちの強みですね」
引き込まれた…?いつ?今?
まぁ、最上さんは分かる。マンガでよくあるもんね。戦った相手がいつの間にやら仲間になる展開。
でも俺は?戦ってないよ?一方的に(主に尻が)蹂躙されただけだよ?
「でも、コイツ権力とかないのよ、残念なことに」
なんでお前はもう俺を軽んじる方向に傾いてんの?
「園羅さん、香川さんが不満げですよ。ちゃんと調教してるんですか?」
ちょ…う…きょう…?
え、いや…されてませんし、される気もないですけど。
「したくてもね、今コレなのよ」
園羅はビニール手袋をはめた手をピラピラさせる。
したかったんかイィィ!
危ねぇぇ、俺のナニかの貞操が危ない!
最上さんは口に手をあてて驚く。
「まぁ。もう放置プレイですか?」
ハイ。あなたのアタマがヤバいのは充分分かりました。
「まあ、とにかく学級委員よ。今回あたしに入れたのは最上以外浮遊票だから、1週間後までに固定票を集めなきゃね」
「ハイ質問」
「何かしら、僕1号」
「他の名前で呼んでください」
「却下よ」
「なんでそんなに学級委員になりたいんですか?」
「あんた、バカァ?」
なんか、どっかで聞いたようなセリフだな。
「この『国立祖土夢学院』には東日本中から能力者が集められてんのよ。その中で頂点に君臨できれば、東日本を制したも同然じゃない」
ポカーン。
なんか途中のプロセスがすごい抜けてる気がする…がまぁ言いたいことは分かる。
俺に関係ない話だということを除けば。
「さて、香川さんには策はありますか?」
「いや、あの…俺のことは放っておいてください」
「あんたにはあるの?最上?」
華麗にスルーかいぃ!
「ええ」
そう言って最上さんは天使のように微笑む。その顔が悪魔に見えるのはきっと俺の幻想…ではないんだろうな。
「今回入れたのは全員女子の方々です。つまり、男子を引き込めれば、この勝負勝ちだということです」
「確かに、ね。で、どうやるの?」
「フフ、色仕掛けです」
そんな生易しいモンじゃないのは分かります。
「周囲を見てください。他の方々もきっと同じこと考えてますよ」
見ると有栖川さんも若王子さんも何人かで集まり、ヒソヒソと話し合っている。
ニッコリ笑って最上さんは言う。
「この1週間男子の方はとっても楽しい思いをするでしょうね」
こうして俺たち男子の地獄の1週間は幕を開けた。
分かったかもしれませんが、能力名ついた話にエロがある感じでいこうと思います。