快楽主義者《ヘドニスト》の輪舞曲《ロンド》 作:ポップマン
次の日、記念すべき初授業の日。
…特になにも起こらなかった。
良かったぁぁぁ!
オイ、誰だ今「つまんね」って言ったやつ!こっちの身にもなってみろ!
1日おきにセクハラされたらたまらんわ!
今はお昼休み。大食堂でおのおのが好きなものを食べている。俺はカツカレーを。
自己紹介でも言ったが、俺はインドカレーが好きだ。
え?そんなのフレーバーじゃなかったのかって?
チッチッチ。分かってないなぁ、もう。
俺のインドカレー愛はそんなものじゃないのだ。好きなカレーはやはりチキンカレーだ。カレーといえば辛いという人もいるかもしれないが、俺のオススメはなんといっても甘口。マイルドな味わいにハマること請け合いだ。もちろん熱々のナンも忘れてはいけない。
オット話がそれたようだ。
まあ俺はインドカレーが好きなのだが、ここの食堂にそんな凝ったものはなく、仕方がないのでジャパニーズカツカレーで我慢しているのだ。
誰だ、コレをカレーといったやつは。
周りは知らない人ばかりだが、何人か見知った顔も見える。
最上さんが一つ机を挟んだところでうどんをすすっているので、俺は見つからないようにカレーをこっそり食べる。
すると向こうから縦ロールの女子が手下2名を引き連れて現れる。
有栖川さんだ。
後ろの女子は、大瀬さんに高丸さんだったかな?
入学後数日で手下をつくってしまうとは、やはりできる人は違うなあ。
有栖川さんはうどんをすする最上さんの隣で止まると、言い放った。
「最上さん、わたくしの仲間になりませんこと?」
声が大きいので俺の席までまる聞こえだ。
最上さんはズルズルとうどんをすすっている。
「あなたの
ズズズズルズル。
「大したことのない能力ですが、わたくしの
ズルズルズルズルズズズ。
「どうかしら?わたくしたちの仲間になれば、クラス内で優遇させていただきますわよ。悪い話じゃないと思いますわ」
ズルズルズズズズズルズルズズズズ。
プチッ。
「ズルズルうどんすすってないでなんとか言ったらどうなんですの!?」
有栖川さんはバンッと机を叩いて叫ぶ。
気持ちは分かる。
うどんを食べ終わった最上さんはどこか申し訳なさそうだ。
「すみません。これ1本うどんなんです」
「そんなわけないでしょ!普通のぶっかけうどんじゃない!」
「アラ、ブッカケがお好きですか?」
「誤解させる言い方するんじゃないわよ!」
有栖川さんはおちょくられるだけおちょくられて「覚えてなさいよ!」と捨て台詞を言って去った。
しかし、あの有栖川さんの能力、最上さんの能力と相互補完ということは…
彼女にも気をつけねばなるまい。
「なにやってんのよ」
うっわ!
こっそり影から最上さんを見ているといきなり後ろから声をかけられ、ビックリして振り向くと園羅がステーキの皿を手に立っている。
って、昼間っからステーキ!?
確かにお前好きなものステーキって言ってたけど!
比較的小柄な園羅は俺の隣に座るとナイフで厚いステーキを切り分けながら食べ始める。
能力者は常人よりエネルギー消費が激しい。能力や個人差の違いも大きいが、一般的に能力発動のプロセスでエネルギーを使うためと言われている。
しかし、昼間っからステーキってのはねぇ…。
大体コイツ昨日今日能力使ってないし。
まぁ園羅が太る分には俺は困らんが。
「太んないわよ」
!!
お前はエスパーか!?
「別に思ってないけど…」
「下僕が心配そうに見てるから主人が気をきかせてあげたんでしょ?」
「ちなみにデザートはモンブランよ」
ステーキといい、食堂にそんなメニューあったのかよ!
というか本気で太るぞ?
「太んないわよ」
「べ、別に思ってないし」
これじゃ俺がツンデレじゃねえか!!
「あら、香川さんに園羅さん」
うっわ!
最上さんがいつの間にか俺の前に立っている。
「言ってくださいよ。水くさいですね」
「それは悪かったわね」
あなたから隠れてたんです!
「そういえば、さっき有栖川さんのスカウトを受けましたよ」
それは見てましたから。
そんな俺の表情をさらりと最上さんは読む。
「あれ?なんで香川さんが知ってるんですか?ひょっとしてわたしに隠れてみてたんですか?」
ギクッ。
ヤバい!展開しだいではこれはヤバい!
「で、あんたはなんて言ったの?」
フゥ。ここは園羅に感謝だな。
「フフ。ちょ~~っとからかったら火のついたように怒りだすんですもの。滑稽でしたねえ」
あ、悪女だなぁ。
「今ごろクラスの男子で鬱憤を晴らしていると思いますけど」
ぬぁにぃ!?
そこまで読んでやってたんかい、この人は!
急いでカツカレーを掻き込んで、返却口に返しにいく。
ヤバい!
このままでは誰かが俺の二の舞になってしまう!
それだけは止めなくては。
惨めな思いをするのは俺一人で充分だ!
クラスの前では既に男子のか細い抵抗の声が聞こえる。
「や、やめてくださいよぉ~」
犠牲者は出席番号14番の田宮 草太だ。
机の上に大股開きで抑えつけられている。既にズボンとパンツは脱がされ、下半身はまるだしだ。抑えているのは有栖川さんの手下2名。有栖川さんは田宮の前に腕を組んで仁王立ちしている。
「どう?田宮くん?来週わたくしに投票してくれるかしら?」
「します。しますからぁ~」
俺が言ったら相手に失礼だが、これではダメだ。田宮は白くてナヨッとしてるがはっきり言ってイケメン。こんな弱々しい抵抗では相手の嗜虐心を煽るだけだろう。
事実有栖川さんは興奮で顔が火照っている。
「そんな口約束では信用できませんわね!」
もはや言ってることも支離滅裂だ。
パチンと有栖川さんが指を鳴らすと、高丸さんがスカートのポケットから小さい器具を取り出す。
あれは俺でも分かる。
ローターだ。
「フフ。大瀬さん!あなたの出番ですよ!」
「は、はい!」
呼ばれた女子は、足を抑えたまま目を閉じ集中する。
「
「さぁ、田宮くん?わたくしに来週投票してくれるかしら?」
田宮は口をパクパクさせるが声が出ない。そりゃそうだ。田宮としてはここを切り抜けられればそれでいいんだから。
知ってやってる有栖川さんの性格が悪い。
「あらあ~。やっぱり嘘だったのね。嘘つきにはオシオキしなくてはなりませんわよね?高丸さん」
「ハイ」
高丸さんはそう言ってローターを近づける。
と、有栖川さんが手をパンッと打った。
「あら、わたくしとしたことがうっかりしてましたわ。これでは田宮くんが気持ちよくなれませんわよね」
そう言って、ジッと田宮を見つめる。
すると徐々に田宮の顔色が赤くなり、汗が流れ始めた。
「あら?もうお分かりになって。敏感ですのね。そう!これがわたくしの能力
しょーーもねぇーー!!
しかし、今の田宮にとってこれほど恐怖の能力はないだろう!
助けには入りたいが、俺は金輪際あんなことはされたくねえ!スマン、田宮くん!俺の代わりに生け贄となってくれ!
「ふふ、この能力はフルパワーなら相手を排便だけでイかせることすら可能ですのよ!」
なぜか言いながらポッと赤くなる有栖川さん。あっ(察し)。
「さあ!高丸さん!ローターを『強』にして、ヤっちゃいなさい!」
「ラジャー!」
近づくローターが唸りをあげる。
そこで田宮は叫んだ。
「入れますッ。来週の投票で有栖川さんに入れますから、止めてくださいぃ」
ローターが止まる。
有栖川さんはニッコリ笑った。
「ありがとうございます、田宮くん。ご褒美をあげなくては」
パチンと指を鳴らす。
ローターが再度唸りをあげる。
「ああっ、やめ、やめ、やめぇぇぇぁぁあぁああああっ」
ブブブブブブブブと震えるローターが肛門に当たる。首をのけぞらして悶える田宮を意に介さず、高丸さんはローターを少しずつ少しずつ先に進める。
「あああっああああぁぁあっ」
ブブブブブブブブ。
「どう?田宮くん、気持ちいいかしら?」
有栖川さんが聞く。そして俺は大瀬さんの能力
「気持ちいぃぃぃいですぅぅぁああ」
ブブブブブブブブ。
ローターの唸り声を掻き消すほどの本音の吐露。俺は誓った。絶対に有栖川さんの敵にはならないようにしよう。
「ふふ、クラスのみんなに今自分がどんな状態でどういう気持ちでいるのか報告しなさい」
有栖川さん、あなたは正真正銘のゲスキャラです。
「あああっ今ぁぼくはぁっお尻にぃブルブル震えるぅぅぅうあああっあ」
ブブブブブブブブ。
「ほら、全然言えてませんわよ。頑張って!」
有栖川さんは胸の前でガッツポーズをつくる。この人容赦無さすぎるだろ!
「あああっぁあぃい入れられてぇぇっあああっ恥ずかしいぃのにぃぃっ感じてぇしまってえぇぇぁああっ」
ブブブブブブブブブブブブ。
俺を含めて田宮以外の男子は既に恐怖でガクブル状態だ。
「あ、あとついでにあなたの性器の状態も言ってもらえますわね?」
そこまでしなくても!田宮くん泣いてるぞ!
「ああぁっお尻のブルブルがぁあああっチ〇コに響いてぇえぇぇっ、ビクビクしちゃってるぅぅうぅ」
ブブブブブブブブブブブブブブ。
泣きたい!聞いてる俺が泣きたい!
「よくできましたわ」
有栖川さんはパチパチと拍手する。
「じゃあそろそろラストスパートにしますけど、イくときはしっかりイくって言ってくださいね」
ブブブブブブブブブブブブブブブブ。
「あぁぁあぁっっ!!?はわあぁぁああああああ、イくっイくぅイくイくイくイっくぅぅうぅうう」
田宮は盛大に自分に白濁液をブッカケた。
俺は思った。一昨日の俺なんぞ、これに比べりゃ甘いもんだったんだな。
「フゥ、ようやくスッキリしましたわ。田宮くん、投票の方はよろしくお願いしますわね」
そして彼女は周りを見渡して言った。
「他の方々もね」
その時、田宮が抑える力が緩まった隙をついて足を振り払った。そのまま反動で上体を起こそうとする。
と、机の上で田宮はつんのめった。
目の前には有栖川さん。
ドターンッというテンプレな音の後に見ると、田宮は有栖川さんの上に馬乗りになっている。
そして尚悪いことに、彼の両手は有栖川さんの小ぶりだが形のよい胸の上に置かれていた。
俺も、そして恐らく田宮自身も彼の死を確信した。
有栖川さんは馬乗りになった田宮の首に指をつきつける。
「田宮くん、今すぐどいたら今の5倍の折檻で許して差し上げますわよ」
「あっご免なさい」
そして田宮はああっ、と叫ぶ。
「な、なんですの?」
田宮はうろたえるばかりだ。
「あっ、スイマセンっ!ぼく、今自分の能力
有栖川さんは当惑顔だ。
「なんですの?それ」
その時パチンッと何かが壊れる音がする。
有栖川さんの背中から。
「へっ?」
有栖川さんの目前で、有栖川さんの(おそらく80ほどだった)胸がグングン持ち上がる。
「な、な、なんですの、これはッ!?」
田宮は既に有栖川さんの上から飛び退き、自分のズボンを拾っている。
「す、スイマセンッ。ぼくの
既に半泣きだ。
有栖川さんはまだ余裕をみせようとしている。
「フフ、構いませんわよ。今元通りにすれば許して差し上げますわ」
田宮は言われた意味が分からないようだ。
「え?」
有栖川さんも当惑する。
「え?」
「「え?」」
そして2人の顔は同時に青ざめた。
有栖川さんの胸のボタンが弾け飛ぶ。
そして俺は気付いた。さっきの音は有栖川さんのブラジャーのホックが千切れた音だと。
「ひょ、ひょっとして…元に戻せないの?」
有栖川さんが恐る恐る尋ねる。
田宮は白い顔をさらに蒼白にさせて、口をパクパクさせる。
そしておもむろにズボンをつかみ、ムスコをブラブラさせながら教室を飛び出した。
「ごめんなさいぃぃ~」という叫びを残して。
残された有栖川さんは肩をフルフルと震わせて、ブツブツと呟いている。
「…わ、わたくしの…ベストバランスボディが…そんな…」
そしてプツンッと音がしたかと思うと、彼女も教室から走り出ていた。
「待てや!こらあぁぁ!」と叫びながら。
気がつくと、園羅と最上さんが横に立っていた。
「いやあ、面白い見せ物でしたね」
「ふん、あんなやつ、わたしに勝とうなんて100年早いわね」
俺は確信した。
やはり一番危険なのはこいつらだ。
書いてみると意外と長かった。