「葬る」
気持ちの切り替えを行う為の言葉を呟くとアカメは刀を構える。
先程からの数度の突進によりバルシーの速度は最初の数倍にまで跳ね上がっており アカメをもってしてもかわすのが限界になってきていた。
「次 殺害 女 処刑」
先程までよりも深く体を沈めて突進の態勢に入る。彼もこの一撃で決めるようだ。
「……」
集中力を総動員し、次の一撃を避けることだけに費やす。
しかし、それは廊下の闇からやってきたそれによって止められた。
「!!!?」
背中に感じた違和感に慌てて背後を振り返るバルシーが見たのは 自らの背中に刺さっている銀色の槍とそれを投擲したままの態勢で立っていた緑髪の少年だった。
「お待たせアカメちゃ~ん。」
口調は軽いが纏っている雰囲気は一流の暗殺者 ラバックだった。
「来いよ。 ご自慢の瞬足は俺にはきかないぜ」
中指と人差し指で招きながら構えるラバック。
「男 邪魔 先 処刑!! 」
全力の突進をラバックに向けて行うバルシー、 だがそれを見てなお いや見たからこそ 彼の顔は笑みを絶やさなかった。
そんな彼の面前で深紅のそれがあたり一面に広がった。
「悪いね~ 俺たちはさぁ殺し屋であっても戦士じゃ無いんだよ。 不意打ちも騙し討ちもやれることは何でもやるんだわ。 まあ奥の手を使うぐらいには敬意は評してやるよ」
千変万化クローステール 雲海に住むといわれている伝説の竜から作られた糸の帝具だ。 取り分け急所を守る体毛から作られた 界断糸 と呼ばれる糸は他の物とは比べものにならないほど強靭な糸である。 その界断糸が一本、血に塗れて廊下に張り巡らせられていた。
「俺 足 切断!? UGAAAAAAAAAA!!!」
奇声を発しながら薬を撃ち込むバルシー。 数秒もすると彼の足の断面からは危険種のような動物的な足が生えてきた。
「その再生力はすごいけどさ…クローステールが胸に刺さった時点であんた終わってるよ。」
ラバックが右手で糸を引っ張り上げるとバルシーは大量の吐血と共にピクリとも動かなくなった。
「クローステールの糸は刺さった場所から心臓に絡みつく。 いくら薬で再生力を上げても心臓までは再生できないだろ?」
つまり最初の槍ー クローステールを束ねた槍が刺さった時点で勝敗は決していたのだった。
「すまないラバック…助かった」
「いいってことよ。 それよりも皆の所に行こうぜ」
「ハァァァァ!!!」
爆砕拳王ギガンテスの圧礫槍により作られた不可視の空気の槍と破壊力の高い瓦礫の飛礫のせいでレオーネは近づく事さえままならなかった。
否、彼女は近づくのを止めひたすら回避に専念していたのだ。 さすがに不自然に思ったドルゴーが叫ぶ。
「どうした。避けるだけでは勝てんぞ!!」
「なら、遠慮なくいかせて貰うよ。」
言葉が耳に入った瞬間ドルゴーの体から力が抜ける。そして頭に違和感を覚えた瞬間彼の額から血が吹き出し事切れた。
「マイン、サンキュー!!」
レオーネの背後から現れたのはパンプキンを構えたレオーネだった。
「流石にピンチが無い分威力は低いけど頭を撃ち抜くぐらいは出来るのよ。」
ハイタッチを交わす二人だったが、突如外から鳴り響いた ズドーーーーーン!!! という爆音に慌てて外にでるがそれが失敗だった。
外にでて僅か数歩で二人は倒れてしまう。
「こ、これって…」
「くっ………毒…か……」
口を動かすのもつらいほど彼女達は麻痺毒を吸い込んでしまったのだった。
一応次でスタイリッシュ襲撃編は終わらせてあの二人がようやく登場します。 チェルシーファンの皆様お待たせしました!!