「ウォォォォォォォォォォ!!!」
宮殿の離れにある研究室に煙と何者かの咆哮が上がる。 本来ならば宮殿内で煙があがるなど異常事態でしかないのだが煙の発生源である研究室を見た誰もが口を揃えてこういうだろう。
『研究室か、なら仕方ない』
なぜならば大臣自らスカウトしたとされる天才にして天災とされる研究者がいるのだから。
「おや、ようやく来ましたか。」
紫色の野性的な装甲を纏い咆哮をあげるそれを見て眼鏡をかけた研究者は呟く。
しかしその目は来訪者をではなく彼自身の肩に乗っている人形へと向けられている。
「彼自身の意識はなく暴走しているようですね。 では彼には良き終末を始めるための生贄となって戴きましょう。」
彼の理念は只一つ 『醜く変わる前に美しく優しいうちに終わらせる』つまり彼にとっては終末こそが完成、理想なのだ。
彼 真木清人の体を紫色の光が包んだかと思うと紫色の怪人へと変貌する。 紫色を基調とし絶対的な戦闘力を持ったグリード 『ギル』へと変身する。
「善き終末を…」
「ウォォォォォォォォォォ!!!」
エネルギーを纏ったギルの右ストレートとプトティラのメダガブリューがぶつかり合い激しい火花を散らす。 しかしその拮抗も一瞬のもので直ぐにプトティラはギルに吹き飛ばされる。
「今代のオーズはこの程度ですか。文献にあった800年前のオーズの方がまだ幾分か強そうでしたね。」
確かに現段階の能力値はギルの方が遥かに高かった。しかし、いや だからこそ その慢心が生まれたのだろう。
『スキャニングチャージ』
「何!?」
一瞬のうちにギルの全身をプトティラの発した冷気が凍結させる。
それを確認したプトティラは、いや、一瞬ながら意識を取り戻したセイジは慌てて宮殿からの脱出を図る。 なにしろ敵の本拠地なのだ、命がいくらあっても足りるわけが無い。
その一瞬でプトティラを解除しタジャドルへとコンボチェンジを行うと一気に脱出しようとする。
「賊が逃げれると思うな!! 雷帝招来!!!」
空から落ちてきた無数の雷撃によってそれは阻まれた。
セイジが慌てて振り向くとほかの兵士とは明らかに動きの違う近衛兵を十数人引き連れた男が立っていた。
「その手に着けた雷撃の帝具……ブドー大将軍か!?」
「賊程度でも私の名を知っているか…… お前たち下がっていろ。 帝具持ち相手ならば私がやろう」
マントを脱ぎ捨て戦闘態勢へと入ったブドー大将軍が帝具『雷帝憤怒アドラメレク』を向けながら部下へと告げる。
そして死闘は始まる。
「くそ…やべぇよ…」
プトティラの暴走をようやく一時的にとはいえ押さえたと思ったらギルがいるし、宮殿内だし 挙げ句ブドー大将軍と戦うしって詰んだな俺。 とは言え何としてでも逃げないとヤバい。 逃げるにしてもとにかくブドー大将軍に隙を作らないといけない…正直ムリゲーだな…
「しゃーなしだ、やるだけやってやんよ!!! 変身」
『ライオン トラ チーター ラタラタ ラトラータ!』
「姿が変わっただと!?」
コンボチェンジをして姿が変わった俺を見て驚く大将軍。 とにかく一撃だ!!
『スキャニングチャージ』
「はぁぁぁぁぁ せいやー!!」
ラトラータの必殺技 ガッシュクロスを大将軍の胴体に叩き込んだ と思いきや
「なめるな!!」
アドラメレクで防がれ辺り一帯に放電を撒き散らす。
「うぐっ…」
至近距離でくらい体に僅かながらも痺れが残る。それでもまだやれる。
「面白い事になっているではないか。」
しかしそんな期待もすぐに潰えた。 ブドーに続いて帝国最強と名高いエスデスまでも現れたのだ。
「ブドー、私も混ざるがいいな?」
「賊を討つためだ仕方ない。」
腰からレイピアを抜き放ち構えるエスデス。 もしここで俺が殺されればオーズは奪われる。 使用的にメダルは奪われないからDr.に悪用されないとは思う……奪われない!? それだ!
「起死回生の奥の手行くぜ! 変身」
『クワガタ カマキリ バッタ ガータガタキリバガタキリバ』
そのままガタキリバは無数に分身を始め
「「「変身!!」」」
『タカ トラ『クワガタ カマキリ『ライオン トラ『シャチ ウナギ 『タカ クジャク『 カメ コブラ』』』』』』
ベルトの音声が何重にも重なり合いもはや聞き取れないレベルにまで達している。
「何だと…」
「やるではないか、こうこなくてはな」
驚きを隠せないブドーと喜びに顔を綻ばせるエスデス。
オーズのコンボを同時に展開するある意味奥の手 ボンディングエイトクラッシュ (プトティラがないのでボンディングセブンクラッシュか?)
全員が同時に攻撃を開始し、かわされると同時に逃亡を開始する。
「逃がさんぞ」
「逃がさん」
エスデスとブドー その部下が一斉に追いかけていく。
ー宮殿外ー
「なんとか逃げ切れたな」
シャウタコンボの液状化で帝国二強から逃げた俺はコンボ乱発による体力の消耗によりほとんど体が動かなくなってしまった。
「くそ……なんかすげーデジャヴ」
しかしあのときとは違うのは誰も助けにきてくれないことだ。
ひとまず体を引きずって近くの洞窟に避難した。