皇歴2010年8月10日 神聖ブリタニア帝国は日本に宣戦布告。ブリタニアが誇る物量による空と海の兵力、そして最新の兵器、ナイトメア・フレームに一月ともたずに敗れ去った日本。自由と伝統、権力と誇り、そして、名前を奪われた。AREA11 それがこの場所の名前。イレヴン、その数字が、新しい日本人の名前になった。
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俺は死体が溢れるこの場所で、C.C.の体を舐め回すように見ていた。もうちょっとだ。もうちょっとでこの体も俺のモノになる。C.C.は額に銃弾を受け死んでいる。もう少しすれば驚異の再生が始まって弾丸も体外に排出されるのだろう。だがそれを見ている暇は俺にはなかった。
「またな」
そう呟くと前を向いて歩き出した。その直後、壁が破壊され一台のナイトメア・フレームが入って来た。量産型第五世代のサザーランド、か。俺はニヤリと笑うと、その機体に近付いて行った。両手は上げて、戦意はないとポーズを示す。
「――ガガ、ピ――ここで何があった。ブリタニアの学生が何故こんな所に居る!? 答えろ。さもなくば」
「動くな!」
女性の声で響くその言葉を遮るように叫ぶ。これでヴィレッタ・ヌゥは体を動かせなくなったはずだ。ギアスのように直接目を合わせなくても効力があるのがこの絶対催眠の便利なところだ。記憶は残ってしまうがな。ちなみに「催眠状態になれ」と命令すれば本人の自意識がなくなる、記憶が残らない状態にできる。
「コックピットハッチを開け!」
重ねて命令する。そうして開いたコックピットに、ヴィレッタの助けを借りてよじ登る。暗証番号も聞いておかないとな。さて、これで俺はこのサザーランドを自由に動かせるようになった訳だが……。ヴィレッタに操作させてもいいんだよな。だけどこれからの闘争においてナイトメアの操作は必須事項だ。アッシュフォード学園にあるガニメデ、第三世代のそれで練習していたとはいえ、サザーランドに乗るのはこれが初めてだ。操作に慣れる為にも俺が操縦していた方がいいだろう。そう結論づけると俺は意識はあるが体が動かせないヴィレッタをコックピット内部の後方に移動さ……あ、今もう命令しちゃっていいのか。
「ナイトメアから降り、軍服の上着を脱いで、誰にも見つからないように隠れながらトウキョウ租界へ行け、租界についたら適当な上下の衣服を購入し着替えろ。脱いだ軍服は買い物袋にでも入れておけ。次に、着替えが終わったら同じく人目をさけながらアッシュフォード学園の門前に行き俺が到着するまでそこで待機していろ。誰かに何か聞かれても適当にごまかせ。命令は以上だ」
俺が絶対催眠でそう命令すると、ヴィレッタはコックピットから出て下に降りた。褐色の肌のうなじがなんともそそるじゃないか。今日の夜は……へへ。
さて、アニメの記憶を頼りに動きますかね。まずはナイトメアの調達からだ。
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「ガガ――西口だ。線路を利用して西口方面まで移動しろ」
トラックにあった無線を使ってカレン、改造グラスゴーのパイロットに連絡する。原作のルルーシュと違い、この展開がわかっていた為購入しておいた変声器も使って。
「誰だッ! どうしてこのコードを知っている。」
「誰でもいい。勝ちたければ、私を信じろ!」
って言ってもなぁ。原作のルルーシュはよくこんなことが言えたよな。俺と違って軍事関係の勉強とかしてなかっただろうに。チェスの経験だけで武装集団を操るとかどんだけだよ。
モニターの視界の中でカレンの乗ったグラスゴーが指示通りに動くのを確認する。
「おいっ。これからどうすればいい」
指示を求めるカレンに、線路の上を走る列車が近付く。
「この上に飛び乗れ!」
一台のサザーランド――俺の記憶が確かならジェレミア・ゴッドバルトが乗っているはずだ――が電車を受け止める。その後方にいたもう一台のサザーランドが空中を跳び列車の上に乗ろうとした無防備なところを撃墜する。俺は線路の横にあるビルの中だ。壁が壊れて崩れているところからサザーランドのスラッシュハーケンを撃ちだしたのだ。
「貴様どこの部隊だ! 敵は片腕の……」
撃墜されていない方のサザーランドが何か喋りかけてくるところを、アサルトライフルを使った銃撃で黙らせる。
「まさか、テロリストッ!」
「うおおおおぉぉぉぉー」
俺の銃撃で片足を破損し膝を突いたサザーランドにカレンのグラスゴーが突撃する。攻撃が当たる前に、敵パイロットはイジェクションシートを作動させてコックピットを後方に飛ばした。
「助かったよ。でもどうやってサザーランドを……」
カレンのお礼から耳をそらし、扇要に向けて通信をとる。
「ガガガピィーガ――お前がリーダーだな? そこに止まっている列車の積み荷をプレゼントしよう。勝つ為の道具だ。これを使って勝ちたくば、私の指揮下に入れ!」
電車の積み荷、それは俺が補給線から奪ってきた予備のナイトメア。全てサザーランドだ。
「こっちにもあるわ!」
「こっちもだ!」
「すげぇぞこりゃ。話だけでも聞いてみるか!」
「こんなに、どうやって」
再びカレンに向けて通信を行う。
「グラスゴーにいる女。お前はそのままだ。その機体は攪乱に向いている」
「わかった」
「エナジーフィラー(燃料)は?」
「15分ほどなら」
「ではニューパックにしておけ。10分後に次の指示を連絡する」
ふぅ。意外とやれる。状況は困難だ。だけど俺には決意がある。この闘争の先にある報酬……それは女達との蜜月の日々。俺は必ずそれを手に入れてみせる!
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……どうやらメンバーの一人、玉城が本当に信じていいのかどうか疑っているな。そりゃそうだ。突然現れて一方的に指示してくる謎の相手なんて信じられないよな。だが信じてもらわねば勝てないのだ。
「P-1、動かせるか? 基本は今までのと変わらないはずだ」
「君は何者だ! 名前だけでも」
「それはできない。通信が傍受されていたらどうする。それより、Q-1が予定通りなら23秒後に敵のサザーランドがそこに行く。恐らく二機。壁越しに撃ちまくれ!」
自分で勉強した戦術とアニメのルルーシュの台詞から想定される行動を選択し、扇グループに伝える。心臓に冷たい汗が流れるようだ。絶対催眠と違って、これは成功するか失敗するかわからない試みなのだから。失敗したら自分の知っている知識と違った展開になってしまう。それだけはさけねば。
予想したポイントに二機の敵機が来た。しばらくしてシグナルがロストした。扇達は上手くやってくれたらしい。
(識別信号は諸刃の剣だ)
「P-1、P-4、P-7、100m右へ移動し、スラッシュハーケンを3時の方向に撃て」
「ようし! この声に従え!」
扇はどうやら腹を決めてくれたらしいな。
「まだか、P-5」
玉城はまだまだ懐疑的……と。
「Q-1、そこのビル屋上に敵一体。進行方向そのままなら背後をつける。飛び上がって殴れ!」
よし、一機撃破。
「R-2、アンカー発射」
撃破
「P-7、UN弾を」
撃破
「Nグループはそのまま前進」
撃破!
「さて、敵の選択肢は……五つ」
手のひらでチェスの駒(人家で見つけた)を回しながら戦況を読む。レーダーの敵影は……。
「なんだ。一番下手な手を打ったな。Q-1、地図は正しいんだな」
「ああ、旧市街は。しかし現物も見ずに」
「充分」
ああ、今の自分は悪魔のような笑みを浮かべているのだろうなぁ。こうも想定通りに行ってくれるとは。
「ミッションNO.3、準備はいいな? ……ふっ。これで……チェックだ」
その指示とともに道路が崩され、敵機が飲み込まれていく。
敵影ロスト。ロスト。ロスト。ロスト。ロスト。ロスト。ロスト。ロスト。ロスト。ロスト。ロスト。ロスト。ロスト。ロスト。ロスト。ロスト。ロスト。ロスト。ロスト。ロスト。
「やれる! やれるぞ! この頭脳と知識なら!!」
§
さて、全ての敵を撃破したところでこの戦場での戦闘は終わりだ。すぐにランスロットがくる。扇達を引かせねば。しかし勝利したあいつらが大人しくしたがってくれるだろうか。
「あぁん!? 退却しろだ~!? 何言ってやがる!」
やっぱこうなるよね。トホホ。
「私の持つ情報が確かなら、敵は最新型の第七世代型ナイトメア・フレーム、ランスロットを戦場に投入するつもりだ。この機体は第七世代というだけあって特別なのだ。たとえこちらが第五世代サザーランド数十機で挑もうが、鎧袖一触される。勝ち目はない。だから引くんだ」
「はぁあ~!? なんだそりゃあ!」
その後も俺は言葉を尽くしてランスロットの危険性を伝えたが、実物を見ていない扇達は俺の言葉といえど信じられないようだ。
「……信じられないならそれでもいい。たぶん敵ランスロットのパイロットはできるだけコックピットを、パイロットを傷つけないやり方で攻撃してくるはずだ。イジェクションシートさえ作動するなら君達の安全は保証される。命は助かるはずだ」
敵パイロットはあのスザクだもんな。できる限り不殺攻撃してくるだろう。しかし数十機のサザーランドが……ああもったいねー。軍備が増強された物語後半ならともかく、序盤はナイトメア一体あるだけでも大きく違ってくるのに。こいつらが信じてくれないせいで数十機が……あああ。
にしても……やっぱり扇は使えないな。いや「リーダーとして」は不適格だというだけで、副リーダー、組織内の調整役としては使えるのだ。だがリーダーとしては失格だ。彼がリーダーたるのであれば、この場合ハッキリと決断するべきなのだ。俺の言葉を信じるなら仲間達を退却させる。俺の言葉を信じないなら配下の数十機で敵本陣へ攻撃をしかければいい。だのに彼は今どっちつかずの態度だ。たぶん俺の言葉はある程度信用がおけると考えてはいるが、声の大きい仲間(玉城)が反対しているのでどっちをとったらいいか悩んでいるのだろう。だがその悩みが命取りになるのがリーダーの責務だ。やっぱ原作のラストで扇が首相になったのは間違いだよ。俺個人としてはそこまで嫌いじゃないけど、首相になったのは、しちまったのはミステイクだと思うぜ。
さて、俺はこのサザーランドをゲットーの隅にでも隠すか、コックピットから降りて電源を切れば識別信号では見つかるまい。これ一機だけでも保持できれば大きいもんな。あとは適当な歩兵に絶対催眠をかけて、軍服を奪って敵さんの内部に侵入するとしますかね。
§
侵入を果たした俺は警備兵達に全て絶対催眠をかけた。ギアスは使わない。使いすぎるとON/OFFが効かなくなっちまうからな。常時催眠発動状態なんてどんな地獄だっつーの。絶対催眠にはデメリットがない。そこも重要な部分だ。
そうして俺は総督が指揮する部屋へ乗り込んだ。
「全軍に告ぐ、ただちに停戦せよ! エリア11総督にして第三皇子クロヴィス・ラ・ブリタニアの名のもとに命じる。全軍、ただちに停戦せよ! 建造物などに対する破壊活動もやめよ。負傷者はブリタニア人・イレヴンに関わらず救助せよ。クロヴィス・ラ・ブリタニアの名のもとに命じる。ただちに停戦せよ。これ以上の戦闘は許可しない」
よし、停戦命令を出させた。これでシンジュクゲットーの虐殺行為は禁止され、扇やカレン達も助かったはずだ。
「もういいのか」
「ええ。素直に従ってくれてありがとうございます」
俺はクロヴィスに向けていた銃口を下げた。
「次は何だ? 歌でも歌うか? それともチェスのお相手でも?」
「懐かしいですね。覚えていますか? 二人でチェスをやったことを。いつも俺の勝ちでしたけど」
そう言いながらメットを脱ぎ、顔をさらす。
「何?」
「ほら、アリエスの離宮で」
「貴様……誰だ!!」
暗闇の部屋の隅からライトが当たる部屋の真ん中へ歩いて行く。俺の顔が見てとれたことでクロヴィスの顔色が変わった。
「お久しぶりです。
随分と驚いているな。
「ルルーシュ、しかしお前は……」
「死んだはず……ですか。何とか生きて戻って参りましたよ、殿下。全てを変える為に!」