日本で言うならば四月~五月を思い出させるような暖かく、過ごしやすい時期。
天球の頂にて太陽がその恩恵を惜しみなく普く生物無生物に与え、来る暑さを想像させるそんな昼時。
練兵場では鍛錬に励む聖騎士達の声が響く中、正樹は今日も今日とて訓練をエスケープし、茜を怒らせていた。
それと共に、シェーナの行方もまた分からなくなっていた。尤も、シェーナの場合は神託、勅命などを受けて1日、2日であればちょくちょく姿を消すので、此方に関しては他の騎士達も余り気にしている様子はなかった。
日頃の行いの差、とも言える。
「まったく……」
自分の耳に入らないようにしているとは言え、同じ世界から来た正樹の陰口が囁かれている様子に溜息を一つ、茜は彼の気配を探る。
そして、どうやら自分からも気配を消している様子を感じ取ると、今度こそ茜は頭を抱えた。
――――――――――――
大半の騎士や茜の予想とは裏腹に、正樹とシェーナは共にいた。
王城の敷地内、その外れ。
咎人、政争に敗れた貴人を閉じ込める尖塔がある。
今代の王では使われる事のなかったその塔には今、二人の人間の存在。
但し、公に知られる塔ではなく、その地下に。
塔の地下、石造りの牢獄並ぶ通路。直系の王以外には――実際、【夢渡り】で記憶を除いても彼以外には誰も知らなかった――存在すらも忘れ去られて久しい、地下牢。
その最奥の最深、一際厳重な扉と多重の魔方陣が守る牢の中に、一組の男女の姿。ライトの魔術で照らされたその牢の中は薄暗く、黴臭い。陽の光さえ届かぬ地下故に、二人の肌を撫でる空気も薄ら寒く、女の身がふるりと震える。
そんな環境を気にした風もなく、男は淡々と作業を続ける。力なく項垂れる女の華奢な腕を持ち上げ、細くしなやかに伸びる手首を魔封じの鎖に繋ぎ止める。淡々と進む作業、聖女のローブを纏う女は力なく両腕に枷を嵌められ、縛められる。
「ぅ………ん…」
眉間に皺が刻まれるのは、膝立ちに両腕を掲げる体勢の苦しさ故にだろう。
無防備に自身の不快を表す姿に正樹は薄く嗤い、視線の高さを合わせると唇を奪う。
「ん……ぅ………ん、っ」
「はっ、ぁ、んく、っ、ん、ちゅ……ふ」
唇を覆われる不快感に首を捻って逃れようとする女を執拗に追いかけ、ねとりと舌が彼女の薄い唇に透明のルージュを塗りたくる。
神聖王国オーシェンの最も深き牢獄の、更に奥。人気の失せたその中で、唇を舐る【勇者】と意識ないままに舐られ尽くす【聖女】の姿。
交わす唇に塗りたくる唾液の音、互いの呼吸音、静かに揺らされる両腕が揺れるたびに響く縛めの鎖。石壁に反響し戻ってくるそれらの音が鮮やかに聴覚へと返ってくる。
果たして如何程の時間、女は唇をまさぐられたろう。唇に飽いて、頬やこめかみへ口付けを降らせる段になって、漸く女の意識が夢の世界から現実の世界へと舞い戻ろうとしているのか、睫毛が揺れた。
それを認めて、正樹は一度距離を取る。どちらのモノと知れない唾液で濡れた唇を、舌先で舐りとり、甘さに震える。
「ん……ぅ? どう、したの……ま、さ……ッ!」
茫洋と焦点が合わぬ瞳。目の前に立つ、異世界の友人の姿に僅かに小首を傾げる。自分の"今"を理解していない様子に正樹は薄く苦笑いを浮かべると微かに肩を竦める。
そんな正樹の様子にシェーナは矢張り彼の目的を理解し得ず、ともかく立ち上がろうとして、気付いた。両手を封じる枷の存在に。反射的に両腕を動かす、も。
当然彼女の動きを枷は束縛する。
――カシャン。
金属音が室内に響く。石造りの床に膝立ちになったままシェーナは信じられない物を見るよう、手枷と正樹を交互に一度見遣り、瞳を見開いてゆく。半ば開いた唇は何も紡げず、呆然と。
「お目覚めですか、聖女様?」
シェーナの余り見ない種類の表情を目にし、慇懃に腰を折って放つ声色は感情に染められて禍々しく、高揚を抑えきれずに弾んでいた。
正樹のその様子に、シェーナはにわかに警戒の色を双眸に宿す。
にぃ、とそんな彼女の様子に三日月型に亀裂が入った笑みを浮かべると、周囲に浮かぶ幾つかの光球とは別に、新たにライトの魔術によって光球を呼び出す。石畳の上をふわふわと揺らいで浮かぶ淡い灯りが、惑いながらも敵を前にした怜悧な女の顔を浮かび上がらせる。
「正樹、冗談にしては性質が悪いと思いますけど?」
自分を射貫くように見上げてくるシェーナに正樹は事前に決めていた台本通りに口を開く。
「魔族の性質が良い訳ないでしょうに」
本日の台本、シチュエーション。
【勇者】に対して有象無象のちょっかいを掛けて来ていた魔族の影響を示唆し、高田正樹自身の身柄を交渉材料に【聖女】を弄ぶ。
「ッ、貴様。正樹をどうした……?」
途端、目の前のシェーナから発せられる気配が鮮烈に変化する。
その気配の名は殺気。
実戦経験に劣る正樹が思わず、半歩後退る程の威圧感を纏い、詰問する黒髪の聖女の声は酷く低い。
「っ、く……」
「問う、我が友人高田正樹をどうした?」
「ふ、は……立場が分かっていないな【聖女】」
枷で封じている、その事実と記憶をもって、精神をどうにか立て直す正樹。
強張っていた身体を解し、忍び笑いめいた笑いの音を苦労して喉から零す。告げる言葉は明らかな嘲弄――引き攣っていなかった事を正樹は自分で自分を褒めた。
「そうか、ならば――…」
返答と同時、艶やかな黒髪が重力に逆らい僅かに舞う。身に溢れる魔力が何らかの魔術へと変換されようとした瞬間、不可視の力は唐突に霧散する。
「な……ッ?」
唖然とする聖女、しかし忘我は一瞬。自らを束縛する鎖を一瞥すると、ぎしり、と歯が軋むほどにきつく噛み締める。
「封魔の腕輪か」
「正解。より正確に言うならば、嘗てこの国で生まれた【狂った聖女】を幽閉するために作られた【聖女殺し】。いかに貴女でも、貴女が聖女である以上、この拘束より逃れる事は能わず」
忌々しげに呻くシェーナと、安堵の色を濃くする正樹に寄生した魔族――の演技をした正樹。朗々と語る正樹の言を確かめる訳ではなけれども、シェーナは魔力を何度か集束させようとして、そのいずれにも失敗する。
次いで、肉体的な抵抗。
白皙の肌に痣や擦過傷が出来るのにも構わず、腕を振るい拘束を逃れようとした。無論、魔力で強化されていない細腕で石壁に頑丈にくくりつけられた鎖を外せる訳もなく、空しく鎖の擦れる音だけが木霊する。
「………望みは?」
瞳には殺気を篭めたまま、忌々しげに紡ぐ声はそのままに正樹にしか見えない魔族を睨むシェーナ。
演技を続ける正樹は、普段自分に掛けられる優しい言葉や雰囲気を霧散させた彼女の姿に唇を歪める。背筋を甘い衝動が駆け抜けるのは、自分を簡単に消滅させられる異性を好きに弄ぶ悦楽が正体だろう。
無言の儘、魔力を掌に集束、無色の砲丸と化したそれを無造作に放つ。
目を瞠り、息を呑むシェーナは反射的に体を強張らせ、来る衝撃に備えようとして。
「――ッ、く! …………ぁ?」
その身に、いつまでも何の変化もない事に怪訝を浮かべる。
人一人を殺めるに足る魔力は、けれど直前で霧散していた。強力に過ぎる【聖女殺し】は枷に囚われた人間だけでなく、その周囲の魔力全てを無効化させてしまうからだ。
「あは、あははははははッ! びくって、びくってしてやんの! 何、殺されると思った? ねぇ? ねえ?」
「黙、れ……ッ」
無論、そんな事を百も承知の正樹は、彼女の生存本能の業を笑い。
シェーナは魔力の余波に風に踊った髪が肩に舞い降りる頃には頬を朱色に染め、歯軋りの音を大きくした。
「さて。まあ、おふざけはこの辺りにして」
哄笑は一転、感情を消し去った能面と化し。魔力を剣に変え、女の細い首筋に突きつける。
「これからが本題」
正樹が力を篭め手を引くだけで死を迎えるシェーナ。状況が変化しても、敵意の減らぬ聖女の姿に満足げに瞳を眇めると、魔力の剣は首筋を素通りし、純白のローブへ刃先を差し入れ。女の理解が追いつかぬ内、縦に引き降ろす。
「ッ、な………貴様、何のつもりだ!」
鎖が揺れる音、軋む音と共に紡いだ悲鳴めいた詰問。
そんな事にお構いなしに正樹の指は踊り。滑らかな肌を押し出す鎖骨が覗き、黒子や染み一つない胸元を。更には戦いを為すには豊かに過ぎる双乳の麓と、それを包む下着の白を晒させる。
左右に分かたれたローブから覗く、女をはっきりと主張する膨らみを下着越しとはいえ晒す羞恥にシェーナの肌は耳までも赤く染まっていく。
「――不思議と思いませんか? 仮にも【勇者】と呼ばれるだけの潜在能力を持つ、"彼"が。こんな簡単に魔族に表層意識を乗っ取られるなんて」
「……どういう意味だ」
「簡単ですよ。彼が、したかったから。【聖女】の肌を思うが儘に愛で、犯したかったからこそ! 私のような魔の妄言に騙される」
「嘘だ……! 正樹が、そのような!」
「嘘であるなら、どうして私の支配から脱しないのでしょうな」
「そ、れは――きさま、が……妖しい術で……や、っ、ぁ、やめろ!」
強く抗弁する度にローブの合間から揺れるたわわな果実へ舌なめずりを為し。一息に、ローブの全てを引き裂いた。
強硬に自分を擁護してくれているシェーナの姿に、何度も綴るが健康体の正樹はいたく感激していた。友人と語ってくれた言葉に嘘がない事を喜びながら、その視線には発情した獣が浮かべるような本能の光が宿る。
悲鳴めいた制止の声。普段の昼行灯のような正樹しか知らないシェーナにとっては見慣れぬ雄の姿に、仇敵の魔族の卑しい姿に、本能が嫌悪を露わに、そして心の奥底でほんの少しであれど怯えを走らせる。
それをみて、小さく零れる正樹の笑い声が小さく、石造りの壁に反響して揺れる。
「見るな……」
純白のショーツまでも晒してしまう羞恥に、シェーナの膝が隠したがるように擦り合わされ、低く殺気を含んでいた声が僅かに羞恥の成分を濃くする。
陶磁のように滑らかな肌を隠す術のないシェーナは、獣のように露骨な正樹の視線を受けて逃れようとするよう膝でにじり下がり、すぐさま石壁に退路を断たれる。
一歩、正樹が距離を詰める。その足が、擦り合わせた膝の合間に入れられて、無理矢理に足一つ分とは言え広げられる事実にシェーナの喉から悲鳴が迸る。
「や、やめ…ッ! 正樹ッ! 目を覚まして! 貴方の心は、それ程脆弱ではない筈だッ」
「無駄だよ」
「貴様、はッ……黙っていろ」
揶揄する正樹に、決死の説得を試みるシェーナが苛立ちのままに不可視の魔力を放つ。無論、無害な風と化した残滓が正樹を襲うだけだったが。
そんな無駄な抵抗しか出来ない決戦兵器となる存在【聖女】の姿に、正樹はいよいよ欲望を滾らせ。手慣れた様子で、己の楔を取り出す。
「――…ッ、正樹!」
「ははっ、貴女の艶姿を見て随分と【勇者】も昂ぶっているようで」
「っ、違う!」
正樹の逸物を見て、シェーナは小さく声を挙げた。兵士を鼓舞し、正樹や茜を導いた玲瓏たる声に滲む怯え。戦場で命を落とす覚悟も、魔族に穢される覚悟も宿していた心なれど、その性根は清冽に過ぎた。知己に一方的に貪られる未来を看過出来ぬ程度には。
信じていた友に裏切られたという思いと、そんな気持ちを振り払うように、それ以上に友を奪った魔族に対しての憎しみを瞳に宿していた。
「くふ、ははは……なぁ、【聖女】よ。一つ、取引だ。貴様が私の問いに一つだけ、正直に答えるのなら、私の今日の戯れは此処までにしてやる。この情けない【勇者】も解放してやるぞ?」
「その言葉、どう信じろというのだ」
「だが、他に選択肢もない」
「………」
くっくっ、と忍び笑いを漏らす魔族な正樹。すっかり堂に入った演技に、このまま嬲られるしか道のないシェーナは、それが罠と十二分に分かっていてなお、頷くしかない。
「重畳」
そんな聖女の姿に満足げに瞳を眇めると、正樹はたった一言、呟いた。
「――処女か?」
「ぁ、たり前だろう……」
羞恥に染まる肌は、更に桜色鮮やかに。仇敵たる魔族に、自身のそんな秘すべき事柄まで話す姿に、正樹の楔からは透明な雫がぷくりと滲み出る。
「くっ、くくくくく……なるほど、なるほどね」
ああ、確かにキミは処女なんだろうけどね――続いた正樹の言葉は、胸中でのみ呟かれる。彼女は、彼女にとっては本当に未だ男を目にした事がないのだから、嘘ではない。
「いいでしょう、では今日の所はこれにて――――……ぅ、ぁ…………し、ぇーな?」
「正樹! 正樹っ! 大丈夫っ? 」
唐突に膝をついて、呻き、寝起きのように瞬く正樹。自分の臭い演技に大笑いする内心に気付く事もなく懸命に正樹の無事を問う声は、それでも喜びが滲んでいた。
「っ、ひ、ぁ! や、待っ…………ど、して」
「ぅ……あ…………か、らだが………勝手、に」
「ッ! 約束が、ちが……ひゃ、ん! そこ、ダ…メ」
その声が唐突に甘く染まったのは、正樹の手がシェーナの豊かな胸を掬い上げ、揉みしだき始めて。成人男性とさして変わらぬ程に成長した、正樹の手から零れるほどに豊かな乳房。ローブを切り裂いてから、発情を招いていたその源を捏ね回す手は手慣れていて、桜色の輪をなぞる爪先にシェーナの体はひとりでに仰け反り、まるで差し出すかのように胸を突き出す体勢を取ってしまう。
「ま、さき……こころ、ぉ……ッ、ん! 強く……ぉ、ねが……先、や、ぁ」
「と、まら……んっ、ふ、ぁ……シェーナの、シェーナのおっぱ、ぃ………」
「ゃぁ。言、わないで……ッん! 正樹、先………ね? ほ…………ほんと、ダメ、なの……」
それに応えるように乳房に貪りつく正樹。ちぅちぅ音を立てて吸い付き、啜る音が石牢に反射し、いつまでも残今日して耳に残る錯覚にシェーナは羞恥や廉恥にかき乱されるように首を左右に振って逃れようとする。その抗う仕草も、早くも屹立してきた桜色の突起を甘く食まれると霧散してしまう程度の淡い抵抗にしか過ぎなかったけれど。
「はぁ、は…ど、して………ぇ?」
同時に、シェーナは酷く戸惑っていた。自らの体の火照りに、正樹の指が辿りなぞるだけで声を抑えきれなくなる自分に。
自らの女性の奥、未だ漏れてはいないけれど蜜が泉のようにこんこんと湧き上がる自分の、知らなかった淫らさに泣きそうに眉を寄せ、否定の声を弱く紡ぐ。
「シェーナぁ…………ダメ、なんだ…体。うごかな、くて………ゴメン、ゴメンね」
「………ぅ、うん。知ってます、から……私こそ、ごめんなさ、ぃ……気づけ、なくて」
乳房を揉まれ、吸われ、幾つか朱色の華を肌に刻まれているというのに、シェーナは微笑む。正樹の心が、後々壊れぬように、魔に囚われてしまわぬように。小振りで、柔らかな唇を正樹の目尻に落とすと、未知の恐怖に震えながらも、自らの脚を左右に開いていく。
魅入る正樹の視界に飛び込む純白のショーツ。レースで縁取られた薄布の底に、楕円の染みを見出すと正樹は唾液を飲み込んだ。
『何度見ても』、彼女が身を捧げる姿は美しい。
「ぁ……な、にを?」
「きっと。魔族の狙いは、私の処女性、でしょうから………」
【聖女】の祝福は神々の祝福。それ故に、男を知ればその力の全てという事はなくとも、何割かは失われてしまうのは歴代の【聖女】が語っている。
「名も知らぬ魔族、よりは………正樹。あなた、の……方が」
それと引き替えにでも、正樹を守る決意。歯の根がかちかちと震えるのを無理矢理に噛み殺し、娼婦のように脚を開いて出迎える彼女に見惚れ――『いつものように』襲いかかる。
「ぁ、ああ………シェーナ!」
「っひ……ぅ! いっ、った…………! ま、さき……や、さしく、やさしく!」
広げた脚の間に顔を埋め、妖精達の縫った下着を噛み千切る。現れた秘裂は、まるで男を知らぬように一本の線のよう。未だ蜜を漏らしていないそこに唇を寄せ、唾液を塗りたくる舌に「ひぅん!」と可愛く鳴くシェーナに鼓動のリズムを跳ね上げながら、じゅる、と塗りつけた唾液を啜る。露骨な水音に、羞恥を煽られたシェーナが腰を僅かに左右に動かして正樹に何かを伝えようとしても、そんな事には委細構わずに舌をねじ込み、振るわせていく。
「…う、…ぁ……ふ、ッ……~~っ ん、ゃ」
股を開く【聖女】に、聖女の股座を舐め啜る【勇者】。
咎人の地下牢で為す淫靡な光景。
快楽でか逃れようとしてか、シェーナは腰を左右に捻るのだけれど、そうすると正樹の鼻先が膨れた淫核に触れて甘い電撃が身体を駆け巡る。だからといって大人しく受け入れるには、下肢から聞こえる水音は、性的な事柄に縁のなかったシェーナにとって生々しすぎる。
甘受する事も抵抗する事も取り上げられ、シェーナの瞳には涙が浮かぶ。
「ぁ、っふ……お、ねがい……まさ、きぃ…………ゎ、たし………はじめて、だから…………ァ! ひッ?」
淡い懇願は、鮮烈な快楽に打ち消される。
正樹の舌先が器用に淫核の包皮を剥いたのだ。その奥に眠っていた真珠色に、柔らかな舌がねとりと触れて、シェーナの腰が跳ね上がる。
平素の面影なく、瞳を快楽に濁らせ、涎を垂らす姿を見上げて正樹は笑い。悪戯に、唇で淡く食む真似。
「あッ、は、ぁあ……っぅ! ぁ! あぁ…ん、ッんひ、ぃッ……ふ、ぁっ、う、ぁ、も…いィ… ひ、だ、っめ………!」
小刻みに震え、股座から多量の飛沫を零す【聖女】。
顔面のその飛沫を受け止めながら、淡々と顔を持ち上げる【勇者】。
勇者は薄く唇を綻ばせ、忘我から舞い戻らぬ聖女の髪を掻き上げ、小振りな耳朶を食む。
「ふぁ………!」
「やらしいな、シェーナは………舌だけで、イッちゃうなんて」
「イッ………? ち、がうの………正樹…………ぁ、の、これは……」
絶頂から戻りきらぬ思考で必死に否定を紡ごうとする姿に、正樹は愛おしさを募らせ。その心の赴くまま、未だに力が入っていない様子であるシェーナの両脚を抱える。既に、最後の砦たるショーツもなく、薄い恥毛だけがシェーナの性器を隠している状況。
だが、当のシェーナはその状況をどこまで理解しているのか、譫言めいて今のは違うと、繰り返し紡いでいた。
閉ざされた空間に反響するのは、悦楽に踊らされた聖女の呼吸音。
そして、彼女の秘裂に押し入る楔が掻き分ける淫らな蜜音。肌と肌がぶつかる乾いた音。
「ぁ、ッ、ひ…ッ? や、ぁ…! ッ、…! ぁ―…っ、い、や、やだ、や、待っ、いま、まだ、だめ…――ッ…!!」
僅かな理性は、声を潜めるという選択肢を取れず。狭い膣道が抉り引き裂かれて生じるのは、痛みよりも明確な快楽。懸命に奉仕するように多彩に舐め、締め付ける内部とは裏腹、入り口は雄の侵入を拒む様に硬く締まり、突き出される楔を拒むように締め付ける。
絶頂後の鮮やかな五感から戻り切れていない身体に走る快感。
【聖女】とあるべくして育ったシェーナが知らぬ境地。
正樹が腰を振るう度に、響く淫らな水音や自らが零す嬌声が更にシェーナを昂ぶらせる悪循環。
最奥、既に降りきっている子宮口を正樹の切っ先が叩く。
「ぁ、ぁ、っひ…!? んく…ッ、ん、…ん……ん、ま、さき、ぃ……う、ぁ…っ、ぁ! ふ……ッ! ダメ、ぇ…おく、ダメ、やらぁ……」
「――じゃ、止める?」
「……ッ!」
既に、操られたという演技も止めた正樹が、優越感たっぷりに囁く。
呆けた、雌の顔を晒していたシェーナの蕩けきっていた表情が、その声に凍る。それに合わせてシェーナを穿っていた楔も動きを止める。聖女の矜持を打ち砕く様な、甘い、甘ったる過ぎる問い掛け。砂糖を撒き散らしたような誘惑。
その間にも、脳髄を灼くような疼きが身を燻らせていて。
「―――…い、イか…せ、て……」
「ください」
「ぃ…イかせて……ください…」
「誰ので?」
「………?」
「誰の、ちんぽで、えっちなシェーナはイきたいの?」
沈黙の時間は優に十を数えて。羞恥と屈辱と苦悶に表情を歪め、押し殺した声で紡いだ懇願。
されど、正樹はそれだけでは足りないと。
泣きそうに自分を見下ろすシェーナに、露骨な淫語を紡がせようとする。
その意図に聡明であるシェーナが気付かないはずもなく。無言でふるふると首を左右に振った。
もう、許して欲しいと。
「ふぁッ……!」
最奥を突き上げる。
「や……ん、ひっ!」
乱暴に。
「っぐ、ぁ…!」
「………シェーナ?」
止まる。再度の問う声はやはり甘く、シェーナの耳朶に囁かれ。
沈黙。
そして、震える唇が開かれる。
最深の地下牢、耳を澄まさねば聞こえぬ程の、蚊のような小さな声で――
「ま、さきの。【勇者】の、……ぉ、ね? 【勇者】高田正樹、の……………ち、…ん、ぽ…。――…【聖女】の、シェ…ーナ、の。…ぉ……ぉ………ぉま、んこ…に…ぃ……つっこんで、ぐちゃぐちゃにかき混ぜて、イ、きたい………のぉ」
雌としての屈服を、自分を貫く雄へ告げる。
声には媚びを乗せて、腰を自ら振って蜜音をささやかに散らして。
「いいコ」
正樹は嗤う。【聖女】の堕ちた姿に。今日『も』陥落させた事実に男は唇を綻ばせ、腰を穿つ動きを再開する。
途端、撒き散らされる嬌声に粘り気のある水音。
「ふぁ、あ…ッ!あっ、ぁ、ぁっ! ひ、ぃ…っ、そ、こぉ…っ…ン 、ひ……そ、こ……いいっ、イいのぉ!」
指の跡が付くほどに乳房を絞り上げる五指に喘ぎ、首筋に散る朱華によがり、子宮口を叩かれて狂う。雌のフェロモンを撒き散らし、汗を飛ばして尻を振りたくる女に、【聖女】の面影はなく。全身を蹂躙される悦びに、娼婦の如き喘ぎ声を地下牢に響かせる。
「いいのか……ッ、そんな! この淫売ッ、歴代の【聖女】が泣くぞ!」
「ん、ひ…ぃっ! ぁ、っ、ぁ、う、…ご、めなさ……ぎ、もち、ぃい、の……悦、ぃの!」
「はっ、正直過ぎ………もういいや…イッちゃえよ」
声に、僅かな落胆が滲む、【段々】脆くなっている理性の壁に溜息を吐くと、今回はもう終わらせてしまおうとスパートを掛けるよう、腰の動きを加速させていく。
嬌声。
よがり声。
揺れる乳房を眺めながら、正樹は最奥に楔をぶつけ、ぶつけ、叩き込んでいく。
「や、やぁ…、激し! イ…っ、く、い……っ、ぁ、ま…さ、き、中…っは、だめ、ヤ、なの…! イっちゃ、ぁ~~~ っ、イっ、……くッ、ぁ、ふぁああぁっ!!」
そして、絶頂。
全身が小刻みに痙攣し、震え、阿呆のように涎を垂らして、喚くシェーナ。
乳首を腫れさせ、結合部の下は水溜まりになる程に様々な分泌物を漏らしたシェーナ。
獣のように荒い呼吸を繰り返すシェーナ。
「流石に九度目ともなると初物感は薄れるなぁ」
そんな聖女の姿を見下ろし、ぽつりと囁く正樹。その声には落胆を微かに滲ませながら、首をかくりと後方に傾け反らしたままのシェーナの額へ掌を翳す。
「ふ、ぇ……?」
未だ忘我の極みにあるシェーナに対抗できる筈もなく。
シェーナは上書きされる。
正樹の秘したスキル【忘却】により、この陵辱劇を知る前に。
続いて正樹はもう一つ、呪文を唱える。治癒魔術。彼女の精液をこぽり、こぽりと零す膣口へと柔らかな光を纏った手を翳し、癒やすは処女膜。
残る後始末は、己の死霊に任せ、正樹は鼻を鳴らして立ち上がる。
「開発しちゃったし、弱点も分かってるからなー。茜の時は気をつけないと」
呑気に【聖女】を堕とす手管を早くに知りすぎたと悔やみつつ、地下牢を後にしていく。
とりあえず此処まで。
【七強】
主席【傀儡女王】:未登場。ボンキュッバーンな女帝。
次席【聖女】:登場済。シェーナ
三席【星賢】:未登場。細目なおねいさん
四席【剣神】:未登場。ロリィ
五席【銀鬼】:一番の犠牲者。
六席【番人】:未登場。男。出てもサクッと退場する予感
七席【断絶】:未登場。中二病。
【勇者】:高崎茜。異世界転移者。幼馴染み。スレンダー。貧相って言って昔殺されかけた。【剣】の特性、単騎世界最高戦力。【七強】と一対四までなら生き残れるチート。
【執事】:【銀鬼】の思い人。口にしてないけど両思い。王都防衛戦で死亡。最期にはゾンビとして蘇って本懐を遂げ(させられ)たかも。やったね!