Harry Potter and Ancient Wolf 作:クレカ
「
ハリーが小さく唱えると、2人の姿はたちまち目に見えないものとなった。天井の低い横穴を身を屈めて進んで行くと、やがて目的の部屋が見えた。部屋の表札には713とある。案内役の小鬼が入り口で見張りをし、奥からガサツな森番の声が聞こえる。
「ーー
ハリーの詠唱とともに、瞬間、金庫は激しい冷気に包まれ、時が静止する。小鬼はランタンを掲げたまま、石像の様に固まり、豊かな髭が特徴の大男は身を屈めて片手をあんこうしょくの意思に伸ばしたまま、ピクリとも動かなかった。ハリーの魔法を見るのは初めてではないし、幼い頃から様々な呪文を披露してくれた父や母とて優秀な魔法使いだったが、ここまでの大魔法を短縮詠唱で成し遂げたハリーに、ドラコニカは驚きを隠せなかった。
一方のハリーは悠然と男へと歩み寄ると件の石をポケットに入れ、そしてそっくりなイミテーションを置き、そのまま金庫を出た。
「
「待ってハリー。貴方の時止めの魔法は時間制限なんてなかったはずよ」
「問題なのはそこではない。グリンゴッツのトロッコのスピードからしてハグリッドが石を回収して地上に戻るためには、10分と掛からん。例え俺にグリンゴッツ案内して、両親の金庫をで金を取り出した筋書きに改竄しても、それでは時間が余りすぎている」
「だからハグリッドより先に入った。記憶に齟齬が生じない様に?」
「ああ、あの男は割りかし口が軽い、塞ぐには念入りにしなくては。それから、彼が銀行に入るのはこの目で確かめたかったのもある。チッ、二股か。グリンゴッツ建造時の設計書にはこんな道なかったぞ」
「多分……こっち……」
苛々と舌打ちするハリーに、ドラコニカはそっと左の横穴を指差した。どちらのレールも指して居ない道だ。
「確信はあるのか?下手すると、一生出れない」
「悲しい声が聞こえるの。確証はないけれど、私達を呼んでいるわ」
「…案内しろ」
渋々と言ったハリーに対し、ドラコニカは何かに操られた様に、迷いなく横穴を進んだ。地下に網の様に張り巡らされた横穴と縦穴の幾つかをくぐると、少し開けた広間に2人は辿り着いた。すっかり息の上がったドラコニカの頭を、ハリーが押さえつける様にして、2人で横方向に転がった。間を置かず、頭上を巨大な火柱が通過する。引き続いて響く地鳴りと、揺れ。それは一体の雄壮なドラゴンだった。
「……ウクライナ・アイアンベリー」
思わず悲鳴を上げようとしたドラコニカの口を咄嗟に塞いで、ハリーは身を起こしながら淡々呟いた。ウクライナ・アイアンベリー種のドラゴンについては、少女も寝物語ついでに聞いたことがある。ドラゴンの中でも最大の種で、最も凶暴。加えて、200年前に小型帆船を運び去ったと言う逸話さえあるのだ。
鎧の様なメタリック・グレーの鱗に炎が照り返し、足首を堅牢な鎖で繋がれたそれは、ハリー達の動向を探る様に左右に首を振りながらブレスを吐いている。長年地下深くの闇に閉じ込められた影響か、トレードマークの赤い瞳に光はなく、彷徨う視線は頼りなかった。そして、よく見ると鱗に僅かだが何枚か鱗が剥がされ、痛々しい色をしている。
「あと5分もない。弱体化しているから、勝算はあるが…」
「
事態が膠着しているその時、少女が突如自らを杖で指して、ドラゴンの視界に姿を晒した。ハリーが止めるより早く、荒れ狂うドラゴンに近づいた彼女は、しかし炎に焼かれることはなかった。次のブレスを用意して大きく首をしならせたそれは、彼女の声を聞くなり、ピタリと動きを止めたのだった。
「大丈夫。もう大丈夫よ。辛かったね」
「きゅうううううううううううう」
優雅に首を曲げたそれは、少女に鼻先を包まれて、甘える様に、叫ぶ様に、悲痛なな鳴き声を迸らせた。その隙にハリーが素早く金庫に近づき、名義を書き換えた。この時点で、残り2分である。
「終わった。行くぞ、ドラコニカ」
『
「この子ならきっと直ぐに地上に連れて行ってくれるわ。ハリー、お願い!」
「好きにしろ。如何せん、時間がない」
『
聞いたこともないような言葉を少女が紡ぐと、山のような巨大なドラゴンは、忽ちヒッポグリフほどの大きさになり、鎖から脱出して2人の前に平伏した。その背に乗ったドラコニカを後ろから守る様にハリーが騎乗すると、その意を汲んだように、ドラゴンは矢の様に飛び出した。そして、瞬きの間に張り巡らされた地下洞窟をすり抜け、713番金庫に到着した。
「ピッタリだ。ドラコニカ、お前は先に戻っていろ。俺はこいつの記憶を修正する」
「分かったわ『
そう言って、変装を解き、マグル風の少年姿となったハリーを背に、少女はドラゴンに跨ったまま、地上へと降り立った。入り口へと到達する直前、ドラゴンには手のひらサイズになってもらい、ポケットへ隠した。受付では、既に抜け目無い表情のグリップフックと、従者のスキールニルが待っていた。
「レディ・フェンリル。金庫は堪能されましたかな?中々お戻りにならないので、どうしたものかと」
「心配ありがとう。金庫は面白かったわ。スキールニル」
「はい、奥方様」
内心ドギマギしながら、ハリーを真似てできるだけ尊大な口調でガウンをスキールニルに投げた。それを無表情で受け取り、青年はじっと側で控えている。
「それはようございました。して、フェンリル卿は?」
「あら、あの人なら貴方と先に上がったじゃない?これを上手くやっておいて頂戴。行くわよ、スキールニル」
「仰せのままに」
できるだけ声が震えないように平静を装いながら、ドラコニカは別れる直前にハリーに押し付けられた封筒をグリップフックに手渡し、答えを聞く前にスキールニルを伴ってグリンゴッツを後にした。視界の端では、ハリーが小汚い格好の巨人とともにトロッコを下りるとこだった。今にも倒れそうな男の背をハリーがさすっている。
「大丈夫だったかしら、スキールニル。どこもおかしくなかったかしら?」
「いえ、見事な演技でした、奥方様」
姿現しで帰宅した後も、ドラコニカの心臓は早鐘を打ち、先ほどの出来事にまだ足が震えていた。ハリーに事前にどうするかを少し聞いていたとは言え、グリンゴッツの小鬼相手に一芝居打つのは、うら若き少女にはまだ少し荷が重かった。そんな彼女に、相変わらずスキールニルは氷のような視線で一瞥して、事務的に答えただけだった。だがドラコニカはいつもは気になる視線を気にする余裕すらなく、倒れこむようにソファーに腰が掛けた。
「奥方様、ローズティーを。お客人が窮屈そうにしておられます」
「あら、ごめんなさい。今出してあげるわ」
スキールニルのブレンドティーを一口飲んで、ドラコニカはようやくポケットの中でもぞもぞしている小さな塊を思い出した。今や手乗りサイズのドラゴンは、ドラコニカの治療で鱗が生え変わり、眼の光も幾分かマシになっていた。
「グリンゴッツで拾ったの。ハリーには許可を取ってあるわ」
小さなドラゴンを守る様に胸に抱え、ドラコニカは早口でまくし立てた。この厳格な従者が、彼女のわがままを容認するとは思わなかったからだ。ドラコニカの腕の中で、ドラゴンは甘える様にぐるるるるると喉を鳴らしている。
「御意のままに。飼うならば名前をつけられるよう。我々に取って、名前は何よりも大事なものですから」
少女は意外な反応に目を見開いたが、直ぐに華やぐような微笑みを浮かべ、ドラゴンにリントヴルムと名付けた。ハリー・ポッターがみすぼらしいマグルの服で帰宅したのは、丁度その時だった。
「あんまり甘やかしてくれるな。ドラコニカ、拾ったからには餌から何からまで自分で世話しろ。グリンゴッツを守ってきた奴だ。まともに鍛えれば相当使えるぞ」
「はいっ」
夕食は相変わらず2人の時間だった。気温が蒸し暑いこともあって、その日は色とりどりの冷菜が机に並んだ。特にヴァンデ地方産の合鴨の蒸し焼きと、茄子やパプリカ、獅子唐辛子、エシャロット、白マッシュルームをオリーブで和え、白トリュフとサフランを添えたナポリ風カポナータが絶品だった。
食後のティーは干し林檎をブレンドしたフルーティなアッサムだった。ドラコニカは何処かで今日のことについて話したかったが、ハリーが終始それを許さなかった。沈黙のうちに粛々と食事を終え、ハリーは18歳位の青年の姿を取った。フェンリル卿としてまた繰り出すものだと少女は思ったが、その心配は杞憂に終わった。
ハリーはひょいとドラコニカを横抱きにすると、風呂場へ向かったのだった。これから始まるであろう淫らな行いに、少女は戸惑い半分、諦め半分にため息をついた。
ゆっくりとバスに浸かった後、ハリーは子供にするように少女を膝の上に座らせた。丁度向かい合わせである。バスタブの淵に腰掛けた青年の足が唯一の支えもあって、ドラコニカは思わらずハリーにしがみついた。必然と、熟れかけの、胸の頂がハリーの目の前に晒される。
乙女椿のように徐々色づく淡い赤を、青年の舌がそっと絡め取った。体温が上昇しているせいか、いつにも増して血色の良い肌が、瞬く間に色づき、少女はピクリ、ピクリと身体を震わせた。しつこく舌先で弾き、唇で吸われたそこは、発達しかけの慎ましやかな膨らみの上ですっかり立ち上がり、まだ幼さの残る敏感な体への刺激に、少女は思わず身をそらし、かえって過敏になった胸を男に押し付けるようにしてしまう。
「ぅ…あ、あっ……は、りー…ハリー……」
体を支えるため、か細い腕で青年の頭を抱えながら、しっとりと濡れた嬌声を上げる。べっとりと唾液で濡れた胸から広げる様にして肌を吸い、青年は白皙の肌に幾つもの花弁を散らした。それすらも少女には過ぎた刺激なのか、気づけばねだる様に腰が揺れていた。
「ぃっ…やぁ……ぃく、いくぅっ……」
再びハリーの唇がドラコニカの未熟な胸を捉え、その頂を舌先で強く擦れば、身体をビクビクと脈打たせ、少女はあっさりと絶頂に達した。脱力し、濡れた瞳でぼんやりとハリーを眺める彼女の、薄く開かれた口の端に流れる雫を拭ってやりながら、青年は下生えすらないつるりとした秘裂に指を這わせ、花弁の様なそれを割り開くと、透明な蜜を垂らしながら、そこはねちゃりといやらしい水音を浴室にこだまさせた。
「胸だけでいくのかお前は。上からもしたからも涎垂らすほど気持ち良いのか?」
「…あぁっ……ゃあ…」
我に返った少女はあまりの羞恥に思わず視線を逸らそうとするが、それより先に男の長い指が、ぷっくりと膨らみ、顔を覗かせる肉芽を捉えた。再びしなる身体を抱きしめ、所在なさげに視線を彷徨わせる少女の頬にキスをしながら、男は彼女を抱き上げた。その足の向かう先は、昨日少女があられもない嬌態を晒した寝室だった。