Harry Potter and Ancient Wolf 作:クレカ
清冽な月光が背の高いフランス窓から差し込み、寝室の様子を切り取っている。幻想的な白色光に反射して、マホガニー製の艶やかなクローゼットの扉に、二つの影がありありと映し出される。獣の様に這う少女と、それに覆いかぶさる精悍な青年の姿である。
少女の陶磁器の様に滑らかな雪肌はすでに淡く色づき、無数の紅い花弁のような鬱血痕に覆われている。高く突き出された柔らかな双丘割る様にして、青年の凶悪な逸物が埋め込まれている。だがそれは今だ少女の奥には踏み込まず、代わりに近頃肉付きの良くなった内腿に挟まれ、割り開かれた蜜唇の間を通り、熟れて突起した肉芽に先端を擦り付けられている。
「はっ…はぁぅっ……やっぁ……」
荒い息を吐き、涎でシーツを汚しながら、少女は狂った様に頭を振り乱した。さらさらと絹の様な金糸がシーツの上でうねる。過ぎた快楽から逃げる様に浮かされた細い腰を、節張った大きな手が鷲掴みにし、逃げられない様固定している。少女の柔らかな腿の間は、すでに彼女の愛液でべっとりと濡れており、男の送迭をスムーズにしている。
意識を正常を保てないほど、絶え間ない絶頂の波がドラコニカを襲い、腰をくねらせ逃避しようとすればするほど、敏感な花芯への刺激は強まる。チカチカと明滅する視界に思わず濡れたシーツを握りしめる。すかさず抱える様にして、そらされ突き出された発展途上の胸に男の手が這わされた。
「ゃ、らっ…ハ…ィー、おねがっ……やぁっ……」
「この程度でイキ狂っているとは、先が思いやられる。ああ、そう言えばお前は胸だけでいける変態だったな」
転がす様にして胸の先端に摘ままれ、すでに興奮と快感でぷっくりと立ち上がっていたそれは益々硬く隆起した少女はもう逃げようと必死である。往生際悪く腕を伸ばした彼女の白魚の様な手を掴み後ろ手に拘束した。そのまま強く引き、もう片方の手で半ば髪をつかむ様にして、頭を反らせれば、男の大きくそり立った屹立は滴る蜜の滑りを借りて、一際強く彼女の肉芽を突き上げる。
「ひっ…、ぃっ…ぁあああああああ……」
悲鳴の様な嬌声を上げながら、少女の記憶はぷつりと途絶えた。
少女が気だるい微睡から再び意識を覚醒させた頃には、すでに空が白み始めていた。淡く色付く霞の空を、まだ冷ややかな早朝の風が吹き抜ける。さらさらと肌を滑るそれに反して、少女がの心は憂鬱だった。自己主張する愛撫の痕と、体のあちこちに放たれた青臭い白濁液に羞恥と自己嫌悪で死にそうになる。
「ああ、起きたか」
「…ぉ、はよう、ハリー」
挨拶が無いことを割合嫌う家主に、少女は途切れ途切れに声をかけた。どこか消えてしまいたいほど、恥ずかしかった。汚されきった彼女の体を、舐め回す様に一通り鑑賞して、少年はーー今は11歳の姿である彼は、悪戯ぽく微笑んだ。
「おはよう。なかなか良い格好だ。そう睨むな、また勃ってしまう。それより、枕の下に触れてみろ」
「これは、昨日の?」
素直に体勢を変え、枕の下を探ると、暗紅色の綺麗な鉱石があった。その拍子に露わになった、少し開かれた美しい椿色の花弁が、蜜をたっぷり含んでしとどに濡れる様子を、少年が鑑賞していた事など、彼女は知る余地もない。少し掠れた鈴の様な声とともに、あどけない好奇心に満ちた瞳がハリーに向けられた。
「詳細は階下で話そう。まずは支度をしてこい」
この日は部屋まで侵入しなかった従者に何故かほっとしながら、少女は浴場へと向かった。
シフォン製の白いカーテンが揺れる窓辺で、少女は旬のアップルパイに舌鼓を打ちながら、少年の説明に耳を傾けていた。余談だが、林檎はわざわざ海を跨いで青森から取り寄せた最上級品だそうだ。
「多くの人にとって心惹かれる分野でありながら、学術的には全く解明されていない分野の一つに、錬金術は位置している。錬金術の基本は物質の性質転換と保存だが、多くの学者は
「ニコラス・フラメル、賢者の石の創造者」
「その通り。あの2人は目に見えない魔法自体を物質化し、
「でもなんでそれを?」
「ヴォルデモートが狙っているからだ」
「どう言うこと?ハリーが10年前に倒したはずじゃ…」
「死から逃避する方法は案外多い。知られていないだけだ。とは言え、あの男は今はただの搾りかすだ。賢者の石を用いたところでそう効果はない」
「けれど賢者の石は命の水とも呼ばれ、延命、若返りとなど様々な作用があるんでしょ?」
「そんな万能の物あるわけがないだろう。さっきも言ったように、これの本質は性質転換が容易であることだ。願望をなんでも叶えるお伽の存在じゃない。
例えばーー
ハリーが唱えると、賢者の石は容易に砕け散った。ぎょっとしたドラコニカの掌に一欠片乗せて、ハリーは言う。
「この石に、氷となる様願ってみろ」
ドラコニカが、賢者の石にその様に願うと、忽ち氷のかけらとなり、少女の掌からゴブレットへと滑り落ちて、カツンと音を立てた。
「
続いて、ハリーがもう一欠片の賢者の石を杖で指し、呪文を唱えると、そちらもあっさりと氷となり、ゴブレットへと落とされた。
「お前の前の二つの氷は、片方が賢者の石に命じて変えたもの、もう一つは俺が無理やり魔法で変えたものだ。違いはなんだと思う?」
「…分からないわ。肉眼で観察出来る限りでは何も変わらない」
ひとしきりハリーに渡されたゴブレットの中身を検分してから、ドラコニカは困惑した表情を浮かべた。どう見ても二つともただの氷にしか見えなかった。
「その通り、この二つとも変わらない。本質的には、二つとも変化魔法による産物ーー変化の過程が同一のものだ。それでは何故俺が杖を使ったのに対し、お前が念じただけで変えられたか?
通常変身術は、対象物体そのものに魔法を及ぼし、その性質すら別のものへと変化させる。この時点で、手段を異にするにしろ、性質変換を基本にする点では錬金術と同様だ。だがそれ故に、正確な詠唱、的確なイメージ、それから潤沢な魔法を有しなければ制御は難しく、成功することなどできない。
その制御を助ける媒介の一つが杖であるが、杖にも限界がある。俺が言いたいことは分かるか?」
「賢者の石は杖と同じく、魔法を行使するための媒介の一つに過ぎないと言いたいの?」
それは、あまりにも暴論だった。人の寿命にさえ鑑賞出来る錬金術の髄、その最たる物質である賢者の石が、賢者の石が、そんなーー
「その通りだ。賢者の石は所詮媒介物に分類される。言うなれば、持ち主の魔力を増幅し、詠唱を経ずとも魔法を行使させる奇跡の物質だ。何故ならそれは自らと、自らを通過するものの性質を容易に変換出来る代物だ。なおかつそれが固体として保存すら出来る。
フラメル夫妻が600年も長く生きたのには理由がある。彼らは賢者の石を媒介にし、自らの魔力を命へと等価変換したに過ぎない」
「じゃあ、魔力がなければ…」
「ああ、マグルにとってはこれはただの石ころだ。スクイブにも同じことが言えるだろう。魔力によって賢者の石の効果には勿論格差が生じる。フラメル夫妻は元より魔力が潤沢だからその恩恵を多く受けているだけだ。それが、魂の大部分が失われ、殆んど行使できる魔力が残っていないヴォルデモートなら、効果は薄いだろう」
「そう。ハリーはこれをどうするつもりなの?」
「用立てる対象がなければ廃棄処分だ。フラメル夫妻には既に許可は得ている。古代魔法の契約を受けている今の俺と人工物の相性はあまり良くない。お前にくれてやってもいいぞ?」
「本当に?好きに使って良いの?」
「やると言ったからには、後悔はせん。だがくれぐれもーー」
ハリーが何か注意を促そうとした時には、少女は既に残された石のかけらを、窓から広い草原へと放った。曰く、この敷地面積に比べて異様に広い山地は窓を媒介に無理やり繋げたイングランド有数の牧草地らしい。そして砕け散った宝石の欠片は設置した瞬間、無数の牛や、羊や、猪や、鹿の群れに変わった。間髪をおかず火柱が上がり、草を薙ぐ疾風とともに、大きな影が焼け焦げた獲物を攫った。
「…くっ、ぷ、ふははははは……驚いたよ。真逆奇跡の石と謳われるそれをドラゴンの餌にするとは」
「好きに使って良いって言ったのはハリーでしょ?それに、これが私の一番困ってる事だもの」
腹を抱えて笑い転げる少年に対し、少女は頬を染めてばつが悪そうに口を尖らせた。ひとしきり笑ってから、少年は在りし日の自分を思い出しながら、心からの笑みを浮かべた。
「いや、確かに名案だ。これで学校に居る間でもお前のドラゴンは安心だな」
「それでもいつまで持つか分からないわ。リントヴルムったら大食いだもの、私の頭は餌代でいっぱいよ」
「傷が完全に癒えたら体積を圧縮してホグワーツに持ち込めば良い。あそこなら食料に事欠かない」
眩しい朝日に照らされ、ドラゴンが大空に抱かれ、旋回するのを、2人はいつまでも眺めていた。