ルカ side
イリアスベルクから数時間歩き、僕達はイリナ山脈に到着した。しかし、ここで一つの問題があった。イリナ山脈に着いたはいいが、肝心のアジトの場所が分からないのだ。
ルカ「困ったなぁ。退治するといっても、どこにいるんだ?」
アリス「この広大な山地をしらみ潰しに捜すわけにもいくまい。どうするつもりなのだ?」
龍牙「ま、とりあえず行こうぜ。盗賊団の下っ端でも見つけたら、そいつから口を割らせればいい。」
ルカ「うーん、そう簡単に喋ってくれるかなぁ。」
龍牙「もし下っ端が男なら俺が殴って吐かせる。女だったらルカが犯して吐かせる。これでいいだろ?」
ルカ「いや、全然良くないよ!?」
そうやりとりしていると・・・突然目の前に小さな影が飛び込んで来た。
コブリン娘「やい、金目の物を置いていけ!」
現れたのは小さくて可愛い子鬼モンスターだった。ただ抱えているハンマーは体格に不釣り合いなほどに大きい。当然アリスはどこかに消えてしまっている。
ルカ「もしかして、魔物の盗賊団か!?」
龍牙「見た感じ下っ端のもんむすだな。よし、出番だルカ。」
ルカ「だから犯らないって!?」
コブリン娘「?」
ゴブリン娘は頭の上に『?』マークを出している。
龍牙「冗談はさておき、お前が盗賊団の一味か?」
ゴブリン娘「いかにも!ボクは盗賊団四天王の一人、ゴブリン!」
ルカ「ええ・・・?四天王!?」
こんな少女モンスターが幹部クラスとは思えない。もしかして外見は弱そうでも実は強かったりするのか?
ゴブリン娘「分かったら早く金目の物を出しちゃえ~!」
ルカ「僕は勇者なんだ。盗賊団を懲らしめにきた。」
龍牙「俺は勇者さんの連れだ。同じくお前達を懲らしめにきた。」
ゴブリン娘「えええ?そんな弱そうなのが勇者?」
ルカ「う、うるさい。弱そうなのはそっちも同じだろ。」
ともかく、この少女が盗賊団四天王の一人なら当然アジトの場所も知っているはずだ。
僕はこの子を懲らしめようと剣を抜こうとした、その時。
龍牙「ルカ、今回は俺に戦わせてくれ。」
ルカ「龍牙?」
龍牙が僕を呼び止めた。
龍牙「イリアスベルクで手に入れた新武器を試したいんだ。だからここは譲ってくれんか?」
龍牙はイリアスベルクで買った剣を抜いた。刃がついておらず、分厚い剣だ。
ルカ「その剣は?」
龍牙「相手を殺さずに敵を沈静化させる武器だ。お前が魔物を殺したくないのと同じように俺も極力魔物を殺したくはないんだよ。お前の夢である魔物との共存のためにな。」
ルカ「僕のために?」
龍牙「ああ。そのためにも頑張れよ。」
ルカ「ありがとう、龍牙。」
本当に龍牙はすごいや。龍牙の期待に応えるために僕も強くならなきゃ。
龍牙 side
ゴブリン娘「お前が相手なのか?」
龍牙「ああ、待たせたな。」
ゴブリン娘「よし来い、勇者の連れ!盗賊団四天王の一人、『土のゴブリン』が相手をしたげるから!」
ゴブリン娘がそう名乗る。子供の遊びということで付き合うか。
龍牙「勇者の連れこと覇山龍牙。手加減無しで行くぜ。」
といっても、子供相手に全力なんか出さんけどな。
ゴブリン娘「くらえ、サンドハリケーン!!」
龍牙「んっ?」
ゴブリン娘は足元の砂を掴むと、こちらに投げてきた。
龍牙「っと、目潰しか。」
咄嗟に目を閉じ、少し距離を取る。万が一のにも目に砂なんか入れられたら面倒だしな。
ゴブリン娘「これならどうだ。くらえ、大地の怒り~!!アースクラッシュゴブリンだ~!!」
龍牙「その名前だと砕かれるのはゴブリンだぞ。」
俺はツッコミつつ、相手が力を溜め終わるのを待つ。
ゴブリン娘「て~りゃ~ぁ~!!」
ふらふらしながら振り下ろされたハンマーを躱す。躱されたハンマーが地面に当たり、罅ができた。
龍牙「へぇ、動きはとろいが力だけはすげぇな。」
普通はそのまま攻撃して無力化させればいいが、ちょっと自分の力を試したくなってしまう。
龍牙「おーい、土のゴブリン。」
ゴブリン娘「んっ、なんだ?」
龍牙「さっきの技・・・えーとアースクラッシュゴブリンだっけ?もう一度やってくれんか。次は避けんからさ。」
普通に考えて敵に技のアンコールなどしても聞き入れないのが当たり前だが・・・
ゴブリン娘「よーし、いいぞ。もう一度くらわせてやるぞ。」
さすがは子供。あっさり承諾してくれた。
ルカ「だ、大丈夫なの?あの技、結構な威力だったよ。」
龍牙「まあ大丈夫だろ。」
ゴブリン娘「いくぞ~、アースクラッシュゴブリン!!」
力を溜め終えたゴブリン娘は、再びふらふらしながらハンマーを振り下ろした。俺も剣を構え、受けの体勢になる。
ゴブリン娘「て~りゃ~ぁ~!!」
<ガギンッ>
龍牙「ぐ、ぐっ。」
すげぇ重いが、耐えられないほどではない。剣の方は・・・全然大丈夫そうだ。流石、剣が厚いだけある。
ゴブリン娘「うぎぎぎっ。」
龍牙「そ、りゃっ!!」
腕に力を込め、ハンマーを弾き返した。
ゴブリン娘「うわわっ。」
弾かれた反動でゴブリン娘は転んだ。体力を使い尽くし、肩で息をしている。
龍牙「アースクラッシュゴブリン破れたりっと。さて、アジトの場所を教えてくれるか?」
ゴブリン娘「あっちのほう・・・洞窟があるから。」
指を指した先には確かに洞窟があった。
龍牙「そう遠くないな。」
ゴブリン娘「で、でも。四天王のあと三人までこんな簡単にいくと思うなぁ!!それにラミアや、ヴァンパイアやドラゴンが相手なんだ。お前等なんかやられちゃえー。」
龍牙「お前より強いのか。そいつは楽しみだ。」
脅しのつもりだったらしいが、俺はケロっと返した。ゴブリン娘は悔しそうにしながら逃げ去った。
龍牙「ふぅ、子供の相手は疲れるな。」
アリス「さて、アジトの場所は分かったようだな。」
戦闘もとい遊びが終わり、アリスが戻ってきた。
ルカ「残りの三人にドラゴンまでいるんだね。」
龍牙「らしいな。どんだけ強いかやってみてぇな。」
アリス「貴様等は無駄死にしたいのか?」
ルカ「無駄死になんかしたくないよ。でも、イリアスベルクの人達が困っているんだ。それを黙って見過ごすなんて、勇者じゃない!」
龍牙「だそうだ、止めてもたぶん無駄だぜアリス。」
アリス「・・・ドアホめ。他人のために己の命を危険にさらすとはな。」
アリスはそういうが、内心では止めても無駄なのは分かってるだろう。
ルカ「よし、行こう!!」
龍牙「ああ。」
俺達はアジトである洞窟に向かった。