ルカ Side
次の目的地は、イリアスベルクの商人から聞いた『隠れ里エンリカ』という場所に行こうと思う。僕の故郷からそう離れていないのに、名前さえ聞いた事がない。
一体どういう村なのだろうか?
アリス「エンリカなる名前は旅の書にも載っておらん。もしかしたら思わぬ名産品があるやもしねぬ。」
ルカ「食べ歩きツアーじゃないんだから。とにかく行ってみよう!」
こうして僕達は大陸南西の隠れ里エンリカに向かった。
龍牙「ルカ、エンリカの場所ってこっちで合ってるのか?」
ルカ「イリアスベルクの商人の話では、このへんだった筈だけど。」
アリス「むっ?なかなか珍しい魔物だな。」
ルカ「えっ?」
龍牙「後ろか。」
僕が振り向いたと同時にその姿を現した。
龍牙「何だ、あいつは?」
ルカ「褐色の肌に、長い耳。間違いない、ダークエルフだよ。」
ダークエルフ(剣士)「直ちに引き返しなさい。この辺りは人間が近付いていい場所ではないわ。」
ダークエルフとは、エルフと呼ばれる『森の番人』の種族で、心優しい者達が闇に堕ちてしまった者のことをいう。ダークエルフは剣を抜いて、その刃を僕達に向けた。
ルカ「何で人間はダメだって言うんだ?」
ダークエルフ(剣士)「あなたが人間だからよ。」
龍牙「話にならないな。ルカ、俺はそこの茂みに隠れてる奴を倒すから目の前のダークエルフを頼んだ。」
ルカ「茂み?」
????「あら、見つかってしまったわね。」
茂みから現れたのは、気持ちの悪い触手を持ったダークエルフだった。
龍牙「お前の相手は俺がするぜ。ついて来い!」
龍牙が触手のダークエルフと戦うため、向こうへ走っていった。触手を持ったダークエルフも後を追った。
ダークエルフ(剣士)「言っても退かないなら堕としてしまうわ。」
ルカ「それでも、通らせてもらう!」
僕の目的は人と魔物が共存する世の中を作ること。人間を一方的に排除しようとする魔物を黙って見過ごすわけにはいかない。
ダークエルフ(剣士)「退く気はないようね。じゃあ堕としてあげる。闇で汚されて私のモノになりなさい。」
向こうは快楽攻撃を仕掛けそうだが、まず動けなくしてそこからジワジワと嬲っていく気だろう。やられる前にやる!
ルカ「魔剣・首狩り!!」
素早く踏み込み、相手の喉元を突いた。向こうは反応出来ず、技をまともに喰らった。
ダークエルフ(剣士)「くっ、このっ!」
ルカ「うわっ!?」
相手の剣を辛うじて躱し反撃しようとしたが、相手はすでに後ろに回り込んでいた。
ルカ「しまっ・・・」
ダークエルフ(剣士)「遅いわ。」
ダークエルフに頬を口づけられた。途端に意識が朦朧となり、何だかいい気分になってきた・・・
ルカ「ふぁ・・・あ。」
ダークエルフ(剣士)「まったく、手こずらせて。そのまま恍惚に浸ってなさい。」
ダークエルフがズボンをまさぐり、僕のペニスを取り出した。そして軽くそれを口に含んだ。
ルカ「うっ、ぐっ。」
ダークエルフ(剣士)「んちゅっ、まだ抵抗する元気があるの?」
このままじゃ確実に射精させられる。こんなところで無様にやられるわけにはいかない。
ルカ「(負けて、たまるかぁ!!)」
ダークエルフ(剣士)「きゃあ!!」
僕は腕に力を限界まで溜め、ダークエルフに振った。恍惚してるせいで全力の一撃にはならなかったが、それでも先制攻撃で弱っていたおかげで封印まで追い込めた。
ダークエルフ(剣士)「これはなに?私の体が・・・」
ダークエルフは掌サイズの小人の姿になった。よし、危なかったけど勝つことが出来たぞ。・・・早くズボン穿かなきゃ。
龍牙 Side
龍牙「さて、やろうか。」
ダークエルフ(召喚)「意気の良い子ね。食べがいがあるわ。」
ダークエルフが触手を伸ばして襲ってくる。その攻撃をアダマンソードで弾き、反撃でダークエルフに斬りかかるが、俺の攻撃をステップで回避された。
そんな攻防が数回程行われた。
ダークエルフ(召喚)「やるわね。でも刃の無い剣なんかで私を倒せるかしら?」
龍牙「それはどうだろうな?」
アダマンソードを構え直し、相手の攻撃を待つ。速攻をかけるのも手だが、あの触手がどんな動きをするのかが分からないため迂闊に攻撃が出来ない。
龍牙「っと。」
伸びた触手による薙ぎ払いを躱し、反撃でその触手を攻撃する。攻撃を受けた触手は宿主の所まで戻っていった。いくら触手を攻撃しても本体にはダメージがいかないか。
龍牙「リスクは高いが攻めに移るか。」
防御姿勢から攻撃体勢に入り、俺はダークエルフに向かって突進した。
ダークエルフ(召喚)「ふっ。」
三方向から襲い掛かってきた触手を横薙ぎで打ち払い、距離を詰める。相手は更に触手を増やすが、何度かの攻防で慣れたおかげか防御・回避は苦ではなかった。
ダークエルフ(召喚)「これはどうかしら?」
一度距離を取ったダークエルフは十近い数の触手を一斉に出現させ、その全てを俺に向けてきた。
龍牙「これはちょっとヤバイな。」
当然ながら触手を一斉射出をしてきた。ステップで回避するも触手に剣を絡め取られ、動けなくなってしまった。
ダークエルフ(召喚)「ふふっ、捕まえたわ。」
一見ピンチだが、これは・・・チャンスだ。俺は一度深く深呼吸をしてから・・・
龍牙「・・・らあっ!!」
気合の掛け声と共に剣を持ったまま思い切り腕を引いた。触手と繋がっているなら当然ダークエルフも連られて引っ張られる。
ダークエルフ(召喚)「っ!?」
突然の俺の行動に反応出来なかったダークエルフはバランスを崩し、前に倒れそうになった。
龍牙「せあっ!!」
空かさず剣を地面に捨て、一気に駆け出した。握り拳を作り、相手の腹に一撃を見舞う。俺の拳が深く腹にめり込んだ。
ダークエルフ(召喚)「ぐっ、うっ。」
重い一撃を受けたダークエルフは気絶した。倒れる前に体を支え、地面との激突は避けられた。
龍牙「剣が無くても、戦うこと自体は出来るんだよ。」
ダークエルフを担ぎ、ルカの元へ戻る。多分、ルカの方も終わってるだろう。
ルカ Side
龍牙「おーい、ルカ。」
向こうの茂みからもう一人のダークエルフを担いで戻って来た。
龍牙「こいつも封印も頼む。」
ルカ「うん、分かった。」
地面に寝かせたダークエルフに僕は胸のあたりの一刺しした。すると、先程のダークエルフ同様に小人になった。
ダークエルフ(剣士)「私達を封印するなんて、覚えてなさい!」
剣士の方のダークエルフがもう一人のダークエルフを担いで、どこかへ行ってしまった。
アリス「まさかこのような場所にダークエルフがいるとは。」
龍牙「そんなに珍しいのか?ここは森だからエルフがいても別におかしいとは思わないが。」
確かにエルフと聞くと、森の中で静かに暮らす清純なイメージがあるが、ダークエルフは別だ。
ルカ「ダークエルフ自体数が少ないんだよ。」
アリス「本来エルフとは清純な種族だが、ごく希に魔素を蓄えてしまう者が出てくる。そうなると好色かつ堕落を振りまく存在となる。」
龍牙「さっき俺が倒したダークエルフも明らかに元が清純なエルフだとは思えなかったな。」
アリス「そういうものだ。またダークエルフが更に多くの魔素を蓄えれば別の魔物に変質するということもあるらしい。何にしろ、そうウロウロしている魔物ではないはずだ。」
ルカ「へぇ、詳しいんだねアリスは。」
アリス「当たり前だ。余を誰だと思っている。」
龍牙「さて、何だろうな。」
ルカ「?」
疑問を持ちつつも僕達はエンリカへ向けて再び歩き始めた。
龍牙「ここがエンリカか。」
歩き続けて数時間後。ようやく目的地に辿り着くことが出来た。見たところ狭く慎ましやかな村だ。何だろう、神秘的というか・・・とにかく不思議な感じだ。
アリス「成る程、そういうことか。あのダークエルフの事も含めて全て合点がいったぞ。」
ルカ・龍牙「?」
アリスはなにやら一人で納得してしまったようだが、何だろうか。
ルカ「あの人は?」
龍牙「村の住人みたいだな。」
村の奥から一人の女性が歩み出てくる。どこか普通とは異なる雰囲気を持った不思議な女性だ。
エンリカの女性「あなた方は・・・少なくとも商人ではないようですね。」
ルカ「は、はい。」
龍牙「イリアスベルクの商人からこの村の場所を聞いて来てみたんだ。」
エンリカの女性「お引き返し下さい。必要な物資の搬入してくれる行商人以外、この村には足を踏み込ませないしきたりなのです。」
立ち入りさえ拒まれてしまった。この村は余程外とは閉鎖的なんだな。
ルカ「そ、そんな。」
エンリカの女性「お気を悪くされたでしょうが・・・我々はずっとそうして暮らしてきたのです。あなた方が良識のある旅人ならば、どうか我々をそっとしておいてください。」
龍牙「分かった。こっちこそ知らなかったとはいえ、興味本位なんかで来て悪かった。」
ルカ「ご迷惑をお掛けしました。」
これ以上干渉しないためにその場を去ろうとした時、女性の視線が母さんの形見の指輪へと向けられる。
エンリカの女性「その指輪は!もしかして、あなたはルカ!?」
ルカ「えっ?そうですけど。」
なぜ、この人が僕の名前を知ってるのだろう。僕はこの人に会ったことも、村に来たこともないのに。
エンリカの女性「やはりルカなのですね。あの子がこんなに大きくなって。」
龍牙「その様子だとルカのことを知ってそうだが。」
ミカエラ「ええ、私の名はミカエラと申します。あの子の両親のことをよく知っているのですが。」
ミカエラと名乗った女性はそこで口淀んだ。その目には深い決意の色が浮かぶ。
ミカエラ「しかし今はどうかお引き返し下さい。もし時が来れば・・・お話しすることもあるでしょう。」
ルカ「分かりました。」
今は話すことが出来ない。ならここは食い下がるより素直に立ち去ったほうがいい。
龍牙「最後に一つだけ聞いていいか?」
ミカエラ「答えられるものであれば。」
龍牙は胸ポケットからイリアスヴィルで渡した赤い宝玉を取り出す。あの宝玉は指輪と同じく母さんが残したものだ。
母さんからは御守りだと聞かされてきたが、詳しいことまでは分からない。
ミカエラ「それは!?」
龍牙「何か知っていそうな感じだが、これについては答えれそうか?」
ミカエラ「・・・すみません。」
龍牙「いや、気にするな。」
ミカエラ「ただあの子がこれを渡してくれるということは、あなたを信頼してくれているのですね。」
ミカエラさんが優しく龍牙に微笑んだ。
ルカ「じゃあ、また来る事があれば。」
ミカエラ「ええ、ご武運があらんことを、ルカ。それと・・・すみません、あなたのお名前を聞いていませんでしたね。」
龍牙「覇山龍牙だ。」
ミカエラ「リュウガ、ルカのことをお願いします。」
こうして僕達は隠れ里エンリカを後にした。