久々過ぎて色々とヤバイです。
龍牙 Side
長い移動を終え、俺達はイリアスポートに到着した。だが・・・
アリス「港町にしては活気が無いな。」
そう、港町というからには人の行き交いが多くて船も沢山来るものとばかり
思っていた。しかし現状は商人がほとんどいない状態だった。
龍牙「とりあえず聞き込みでもするか。」
ルカ「そうだね。あっ、あそこにいる人に聞いてみるよ。」
唯一営業していた店の店主にルカが話を聞きに行った。
ルカ「何かあったんですか?港町にしては随分寂れてますけど。」
店主「昨年からセントラ大陸との往復便が出ていないのさ。原因は酷い嵐のせいだ。」
龍牙「昨年から?そんなに長い嵐何か実在するのか?」
店主「何でも沖を出たところから激しい嵐に襲われるとらしい。それが毎回起きているんだ。」
ルカ「ということは誰かが意図的にやってるとしか思えないね。」
アリス「ふむ・・・そういうことか、少々厄介なことになったな。」
アリスが一人で何か考えていた。あの様子だと大体予想が出来ているみたいだな。
龍牙「真因でも分かったのか、アリス?」
アリス「んっ、まあな。ある強力な妖魔が船の横断を妨げているのだろう。イリアス神殿に冒険者を向かわせないために。」
ルカ「妖魔?」
龍牙「お前が強力というくらいだ。今の俺達だとまず勝ち目が無い程の強さなんだろ。」
アリス「察しがいいな。その通りだ。しかしこれでは各地の名産品が楽しめんな。」
名産品はともかく、このままだとずっとここで立ち往生だ。何とかして船を出して貰えそうなところを探さないと。
????「手はあるは勇者さ・・・」
龍牙「せいっ。」
????「グエー!!」
残念なラミアを倒した。
ルカ「ちょっと、何してるの龍牙!?」
龍牙「いや、魔物だと思ったから成敗した。悪い悪い。」
アミラ「ぐふっ、いい一撃だったわ。」
おっ、復活早いな。
龍牙「取りあえず要件を言え。」
アリス「自分から叩き潰しておいて酷い言い草だな。」
ルカ「えっと、セントラ大陸に渡る方法を知ってるの?」
アミラ「ええっ、私の集めた情報によれば、この町を出て東に行った場所に洞窟があるの。そこには・・・」
アミラが言うには、キャプテン・セレーネという伝説の女海賊が残した財宝の中に『海神の鈴』と言われるアイテムがあるらしい。その鈴があればどんな荒れ狂った海でも沈まないという効果があるとのことだ。
龍牙「本当か嘘かは行ってみないと分からんな。ここで指咥えて待つなんて御免だ。」
アミラ「でもその洞窟は魔物の巣窟になっているわ。今まで財宝を求めて潜った冒険者が・・・」
ルカ「・・・生きて戻ってないとか。」
アミラ「そうよ、だから気を付けて行ってきて。私もずっとイリアス大陸で足止めなんて嫌だわ。」
そう言ってアミラはその場から立ち去った。
龍牙「それじゃ、その洞窟に行ってみるか。」
アリス「海賊の秘宝なんかよりも美味いものの方がいいな。」
ルカ「本当に食べ物のことしか頭にないのか・・・とりあえず向かう前に町で聞き込みをしておこうよ。何も知らずに行くよりはいいと思うし。」
龍牙「まあそれもそうだな。」
ルカの提案に賛同し、街の住人に聞き込みを行った。やはり船が来なくなったせいで営業が出来なくなったという話が多く出ていた。
少し気になったのが、街外れで狐を見たという話だ。只の動物の狐ならいいが、仮に魔物だとしたら少々警戒する必要があるな。
龍牙「やっぱりどこに聞きに行っても『船が止まってるせいで商売に支障がある』って話が多かった。」
ルカ「僕の方も同じ感じだった。」
龍牙「後は狐が町の近くでうろついているって聞いた。魔物かどうかは知らんが警戒はしておくべきだろ。」
アリス「狐など鍋にして食ってくれる。」
龍牙「お前と狐の間に何があったか激しく気になるのだが。」
洞窟に向かったはいいが、意外と距離があったため野営することになった。
アリス「無計画な奴だな。まあいい、今日も鍛錬といこう。二人とも、剣を取れ。」
龍牙「それじゃ、お願いするぜ。」
ルカ「よろしく。」
今日は基礎を磨くということで剣の素振りとルカとの模擬戦を行った。剣の鍛錬を二時間程やった後、少し休憩を入れた。
ルカ「はぁ、疲れた。」
龍牙「同じく。」
アリス「まったく、これしきでへばるとは情けない。お前達は動きに無駄が多いのだ。」
多少自覚はあるがどうしても癖みたいにやってしまう。今の内に直す努力をしていかないとな。
アリス「とりあえず座禅でも組んで心を落ち着かせろ。いくら体が強くても、心も強くなければ真の強者とは言えん。」
ルカ・龍牙「うえぇぇぇ。」
アリス「文句を言わずにやれ。堕天使エリゴーラは瞑想で傷をたちどころに癒やしたという。」
そんなの迷信レベルのものだろう。
ルカ「あっ、本当だ。傷が治った。」
アリス・龍牙「はあ!?」
ルカ「えっ、どうかしたの?」
龍牙「待て待て待て、お前何したの?」
アリス「どういう体をしてるのだ、貴様は。」
ルカ「でも、ほら。」
ルカはもう一度同じように瞑想をした。すると、ルカの体の傷が本当に無くなっていた。この現象にアリスはドン引きしていた。
龍牙「お前実は堕天使とか?」
ルカ「いやいやそれは無いでしょ。」
ルカが新しい技を覚えたところで、今日の鍛錬は終了した。
翌朝、野営セットを片付けて洞窟に向かった。道中では魔物に会うことなくすんなりと目的地に着くことが出来た。
アリス「狐の匂いがやけに強いな。」
龍牙「狐?」
狐と聞いて昨日の住人から聞いた事を思い出す。町の近くをうろついていた狐がここにいるかもしれない。俺達は警戒を強めて奥へと進んでいく。
因みに狐の匂いとは油揚げの匂いとだとアリスは言っていた。
お前にとっては狐=油揚げなのか?
龍牙「そういえばここって冒険者が一人も帰って来なかったって町の住人は言ってたよな?」
アリス「それがどうかしたか?」
龍牙「幽霊が出るんじゃないかって思っただけだ。まあ危害を加えてくるならその場で斬り倒すけどな。」
ルカ「物理攻撃って効くのかな?んっ、どうしたアリス。」
アリス「な、何でもない。」
ああ、分かった。幽霊が怖いってことだろ。
アリス「そんなこと無い!!」
龍牙「心を読まれた!?」
そんなことをしていると、何か横切ったのが見えた気がした。
龍牙「魔物か?」
ルカ「そうみたい。」
アリス「さっさと片付けろ。」
アリスはいつものように離れていった。
龍牙「おい、そこでコソコソしてんのは分かってんだよ。観念して出て来たらどうだ。」
妖孤「わわっ、見つかった!!」
現れたのは二本の尾を持った狐だった。確か狐の妖魔は尻尾の数が多い程強いって聞いたことがある。だとすると、この狐はそこまで強い魔物ではないな。
ここは一度交渉してみるか。
龍牙「そこを通してくれんか?」
妖孤「に、人間に海神の鈴を渡すなってたまも様から言われているんだから。」
ルカ「成る程、やっぱりここに海神の鈴があって、君はたまも様っていう奴から冒険者に渡さないようにしてるんだね。」
妖孤「あうぅ・・・」
あっさりと情報を喋ってくれた妖孤は困った顔をする。
妖孤「こ、こうなったら勝負だ。」
龍牙「どうやら通してくれないようだな。どうする、流石に二人でボコすのは気が引ける。」
ルカ「じゃあ僕がいくよ。」
龍牙「了解、任せた。」
ルカにこの場を任せ、俺は少し離れた場所から見ることにした。
ルカ Side
ルカ「いくぞ、てやぁ。」
僕は剣を取り、先制攻撃で雷鳴突きを放つ。突きは見事妖孤に命中した。
妖孤「ひゃっ、このぉ。」
妖孤が二本の尻尾を振り回してきた。咄嗟に剣を盾にして攻撃を防いだ。
ルカ「せやっ。」
振りかざしの攻撃が当たり、妖孤は弱ってきていた。よし、このまま押し切ろう。
妖孤「むむっ、こうなったら分身の術だぁ。」
妖孤は何らかの術式を組むと、二体の妖孤が現れた。
ルカ「な、分身だって?」
妖孤「ふふん、どれが本物か分かるかな?」
ルカ「んっ?」
ふと違和感を覚えた。一体の妖孤は得意気な顔をしてるのに、他の妖孤は表情を一切変えていない。
ルカ「お前か?」
得意気の妖孤に近づいて攻撃してみた。
妖孤「きゃふん。」
ルカ「やっぱり。」
妖孤「きゅうぅぅぅ・・・」
やがて妖孤は可愛い子狐の姿になった。ふぅ、何とか勝てて良かった。
龍牙「終わったか?」
ルカ「うん。ほらこの通り・・・あいた!!」
子狐に触れようとしたが噛まれてしまった。
アリス「やはりここに狐がいたか。しかし何故こんなところに?」
龍牙「さっきの妖孤は『たまも様』っていう奴から鈴の防衛を頼まれたってことなら、ここに『たまも様』がいることになるな。」
ルカ「なら先を急ごう。盗られでもしたら向こうの大陸に行けなくなっちゃう。」
僕達は急いで先を進んでいった。