インフィニット・ストラトス〜月を愛する操縦者の日常〜 作:ユークレース
今回はバトルはありません
早くシャル達を出したいんじゃ〜
「くぁ……眠っ…」
疲れ切った様子で、樹は机に突っ伏していた
「ほう、月森。私の授業は退屈か?」
樹の側には出席簿を構えた千冬が立っていた
「すみません……ちょっと寝不足で…」
ドゴッ…と出席簿では到底出ないであろう音が教室に響いた
「いってぇぇぇえ……」
「目は覚めたか?」
千冬の背にはマサカドが降臨し、有無を言わせぬ迫力があった
「はい……目から火が出るくらいです…」
「そうか、ならきちんと起きていろ」
「了解です……」
頭を抑えながら、樹は授業を受けた
「……」
そんな樹を、一夏は睨みつけるのだった……
〜昼休み〜
「樹!屋上行くわよ!」
昼休みになり、鈴がいつも通り樹を誘いに教室に来た
「あれ、樹は……?」
しかし、教室に樹の姿は無かった
「月森君なら、織斑君と一緒に屋上に行ったわよ」
「屋上に……?分かったわ、ありがとう」
「本当、鳳さんって月森君大好きだよねー」
生徒のその言葉に、鈴は顔を真っ赤にさせながら屋上へと向かったのだった
「なんか……織斑君の雰囲気…悪かったよね」
その生徒の呟きは鈴の耳には届かなかった……
〜屋上〜
一般の学校ならば屋上は封鎖されている。だが、IS学園の屋上は整備され日頃から解放されている
だが、人気はない。女子が多いこの学校では日に当たる屋上に人はあまり来ないのだ
ここに来るのは殆ど限られている
その屋上に影が二つ
その二つとも、男子生徒のものだった
「で、何なんだ話って」
樹は普段のペースで何の変わりもなく話した
「お前…この間なんであんな事した」
それに対し、一夏は怒り心頭といった様子だ
「この間?なんかあったっけか……」
「ふざけんな‼︎この間の無人機の襲撃の時だ!」
「あー、お前蹴っ飛ばした事?あの後ちゃんと謝っただろ、根に持つタイプかお前」
「違う!なんで一人で戦おうとしたんだ!」
一夏は今にも樹に掴みかかりそうな雰囲気で樹を睨みつけていた
「いや、だって邪魔だったし」
「邪魔だと…ふざけんな!あんな奴、俺だって倒せたさ!お前が邪魔しに来なければ……!」
ギリ…と歯ぎしりし、樹を睨みつける
完全な逆恨み、それは一夏にも分かっていた
だが、そうでもしなければ一夏の気が晴れなかったのだ
ISを動かせると知って、これで姉を守れる…そう思っていた。だが、現実は違った
自分と同じく男でISを動かせる月森樹に自分は何一つ及ばなかったのだ
ISに関する知識、操縦技術、生身での戦闘
どれを取っても樹の方が一夏よりも上なのは明白だった
それら全ては樹の努力による産物だ
だが、それが一夏の焦りを大きくさせた…自分はまた守られる側…それが腹立たしくて仕方ないのだ
「あのさ、お前それ本気で思ってんの?」
そして樹は、一夏の睨みなど関係無く話を進める
実際、一夏の睨みに迫力は無く大して気にする必要は無かった
「なんだと……」
「大方、ISっていう力を手に入れて、これで誰かを守れる……とか思ってたんだろ。でも、自分の理想と現実に差がありすぎてイライラして、その鬱憤を俺に吐き出そうとしてるって所か」
「違う‼︎」
「じゃあ、どう違うってんだ?答えてみろよ」
「俺には力がある!誰かを守れるだけの力が‼︎」
「はぁ……誰かを守れる……ねぇ。一つ聞くが、その誰かってのにお前自身は入ってるのか?」
樹はため息をつき、一夏を睨みつける
それも、殺気を放ちながら
「そ、そんなの入るわけないだろ……」
樹の殺気に一歩引く一夏
怯えつつも樹の質問に答えた
「だからだよ。だからお前は弱いんだ」
「なんでだ!誰かを守るのに、なんで自分を守る必要があるんだよ‼︎」
訳がわからないよ
そう言いたげに一夏は樹に怒りをぶつける
「お前さ、例え誰かを守れたとして……自分が死んだ後、そいつを守れるのか?この間の件だってそうだ。お前があの時やられて、俺が来なかったらどうしたんだ?それでもお前は鈴を守れる…そう言えるのか?」
「そ、それは……」
「誰かを守るなら、自分が死んだら終わりなんだよ。誰かを守れる強さを持ってる奴は、自分を守れる強さを持ってる奴なんだ。それが理解出来てないお前に、誰かを守る事なんざ出来ねえんだよ」
樹の言った誰かを守るならまず自分を守れ
これは樹の母の教えだ
自分自身すら守れない人間が他の誰かを守れるはずがない
自分を守る強さを持って初めて他人を守る事が出来る
だから樹は自らを鍛えた
誰かを守るために、自らを守る術を身につけたのだった
「……」
樹の言葉を聞いて、一夏は口を閉じた
「誰かを守りたければ、先ず自分を守れるだけ強くなれ。今のお前は道具を与えられただけだ」
樹は一夏に背を向け、屋上を後にした
「誰かを守りたければ、自分を守れるだけ強くなれ……か。だから、あいつは強いんだ…白式を手に入れて…強くなったって勝手に勘違いして…勝手にあいつと自分を比べて……ははっ、だっせえ……」
一夏はベンチに座り、空を見上げた
「強くならなきゃな……」
強くなる…その決意を胸に、一夏は立ち上がり、屋上の扉に手をかけた
「ほら、さっさと屋上行くわよ樹!」
「いや、今は屋上に近づきにくいと言うか……」
しかし、一夏が開けるよりも早くに扉は開いた
そこには弁当を片手に扉を開けた鈴と、鈴に手を引かれて戻ってきた樹が居た
「……」
「……」
シリアスな空気でカッコつけて去ったにもかかわらず、わずか数分で再開する事になった樹は少し恥ずかしそうにしていたのだった……
〜その後〜
一夏は学食に向かい、樹と鈴はシートを広げて昼食を取っていた
「ほ、ほら…お弁当作って来たから……食べなさいよ」
ちなみに、楯無は仕事が溜まっており生徒会室で仕事を片付けながら昼食を取るそうだ
「で、献立は?」
「す、酢豚……」
弁当箱の蓋を開けると、形は悪いが酢豚が入っていた
「へえ、美味そうだな」
「じ、じゃあさ……口…開けて」
「へ?」
「食べさせてあげるって言ってるのよ…早くしなさいよ」
「分かったよ……あ、あーん…」
樹が口を開けると、鈴が酢豚を箸で掴み、酢豚を口に入れた
「うん…美味い。流石だな、鈴」
樹が鈴の頭を撫でると、鈴は気持ちよさそうに目を細めた
その姿は、まるで猫のようであった
「えへへ……もっと撫でて…」
鈴は樹に擦り寄り、猫のように樹の膝に寝転がった
「お前…甘えすぎだろ……」
「甘えるのが好きな子は嫌い?」
「いや、嫌いじゃない…ったく……」
悪態をつきながらも、樹は鈴を撫でた
樹もまた、鈴に甘えられると弱いのであった
「一ヶ月の間樹の部屋に行けないから……こういう時しか甘えられないじゃない……」
勝手に他の部屋に泊まったとして、楯無と鈴は一ヶ月の間他の部屋に遊びに行く事を禁止されたのだった
なんとなく、千冬に関係がバレてそうだが気にしてはいけない
「あー、うん……すまん…」
「次遊びに行ったら、樹の恋人が増えてたりしてね」
「あはは……そうならない事を願う……」
「まあ、彼女が増えてたとして……自分の彼氏はこれだけモテるって事だから…別に良いんだけどね」
「おいおい……」
「本当の事よ?どうせなら、先生でも捕まえちゃいなさいよ。私は構わないから」
「俺の胃が持たないので遠慮したいな……」
「そうかしらね……」
鈴の頭にはある人物が浮かんでいた
樹の副担任、山田真耶……彼女が樹に特別な目を向けているのは大抵の人間が気付いている
気付いてないのは樹だけである…とは言っても、樹からしたらそんな考えに至らないだけなのだが
「えっと……万が一、増えてたらどうします?」
樹が恐る恐る尋ねると
「三人纏めて抱いてもらう」
あっさりと答えたのだった
「さいでっか……」
樹はそうならない事を願うのだった……
樹君の願いは届くといいなー(棒読み)
天然巨乳の眼鏡っ娘とか……属性盛りすぎだろ‼︎
では、また次回