インフィニット・ストラトス〜月を愛する操縦者の日常〜 作:ユークレース
主に、デュノア家で
受け入れてもらえるか分かりませんが、どうぞ
ラウラの事件から二日後、シャルロットと樹は屋上で昼食を取っていた
「んで、話って?」
「そ、それはね……その…いつ…月森君に…聞いて欲しい事があって」
「どーせお前がこんな事してる理由だろ?良いよ話さなくて。重いだろうから」
「で、でも…いつ…月森君には聞いておいて欲しくて……」
「聞きたくないって……」
「で、でも……!」
シャルロットは樹の手を取って迫る
側から見たら男子が手を取り合ってるだけだが、実際は女子が男子の手を握っている訳で……
「デュノア、近い」
「あっ…ご、ごめん……だって、樹が聞いてくれないから……」
「はぁ……」
樹はため息をつき
「お前、呼び方直す気無いだろ」
「うっ……うん…ダメ?」
シャルロットはチラチラと樹を見る
「はぁ……」
樹は再びため息をつき
「もう良いよ、樹で」
「本当⁉︎」
シャルロットの視線に負けたのだった
「ああ」
「えへへ……」
満面の笑みを浮かべるシャルロット
樹としては、名前呼びを許しただけでこれだけ喜ぶ所を見ると
「(まさか……ねぇ?理由が見当たら無いぜ?)」
当然、少し勘違いをするのである
「さーて、とりあえず……そろそろ来る頃だな」
「来るって?」
樹が腕時計を見て言うと、屋上のドアが開いた
そこには、楯無が立っていた
「樹君、集まったわよ」
「お、さっすが先輩」
「今度お礼をたーっぷりシてもらうからね」
楯無は樹の側に来ると真っ先に抱きついたのだった
「い、樹?この人は……?」
目の前で起きた事にシャルロットは驚いていた
「この人は更識楯無」
「樹君の恋人1号です☆」
幸い、樹達以外に人は居ない
それ故に聞かれる事はなかったが
「1号……?」
シャルロットの目は死んでいた
「そう、1号。私達から頼んで複数人と付き合って貰う事にしたの。2号は中国の代表候補生の鳳鈴音ちゃんよ」
「え、ど、どういう事……?つまり…樹からじゃなくて…女の子の方から複数交際を迫ったって事……?」
シャルロットは状況を整理し、簡単に纏める
「あー、そうなるな……」
樹がそう答えると
「ちなみに、3号は山田先生らしいわよ」
「へ⁉︎」
「何でもう知ってるんですか……」
樹は既に情報が楯無に届いている事に驚いていた
「むぅ……樹のえっち…」
シャルロットは自分の体を庇うようにして、少し樹から距離を置いた
「あー……うん…反論出来ません……」
「そ れ よ り、樹君。これ、頼まれてた情報」
楯無は樹に書類を渡した
そして、樹はその書類に目を通す
「にっしっし……やーっぱそうだったか」
樹は満足そうに笑みを浮かべる
「な、何なのそれ……」
「ん?ほい」
シャルロットがその書類を受け取ると、表情を驚愕の色に染めた
「お前の義母、フローリア・デュノアの真っ黒な証拠の数々♡」
樹は実に楽しそうに答えた
「な、何でこんな事を……」
「ん?お前の父親、クロード・デュノアは一代で会社を育て上げた敏腕社長だ。元々ISのスーツを開発していたのに、結婚を期にISの開発にも着手し始めた。その辺りから男性社員の解雇が始まった……この辺りは調べれば直ぐに出る事だ。んで、簡単な推理だけど、クロードさんはフローリアの操り人形になった。…正確には、脅された……かな。結婚する直前に愛人が居たって話が見つかったし……多分、娘の命を盾に言う事を聞かせてたんだろ……って考えてた。まあ、これはお前が転校してきてちょっと調べて推理しただけだがな」
樹の推理にシャルロットは驚いていた
殆どが正解だったからだ
だが、シャルロットからしたら一つ違う部分があった
「で、でも……お父さんは僕と会うときは何時も冷たくしてたんだよ⁉︎そんな事、ある訳無いじゃないか!」
「とーこーろーが、そうじゃ無いんだよね。ここで、先輩に集めてもらった証拠が役に立つ」
楯無に集めてもらった証拠の中には、フローリアが雇ったスナイパー達が記されていた
「私達更識は対暗部用暗部。つまり、裏方でやってる連中に対する裏方……って事。暗殺者を斡旋する連中とも関係があるのよ。そこから引っ張ってきたわ。で、君と面会する時に必ずスナイパーが雇われていた……」
「で、でも…お父さんが狙われていた可能性もあるんじゃ……」
「だったら、わざわざシャルロットちゃんが来る日に雇う必要は無いわ。それ以外の日にスナイパーを雇った形跡は無いしね」
楯無は書類に目を通して答える
「んで、もう一つ。こっちはボディガードを雇った履歴だ」
こちらはほぼ毎日
それも、クロードのポケットマネーから支払われている
そして、対象は……シャルロットと、シャルロットの母…ディアナ・デュノアだ
「これ……」
「シャルロットちゃん…クロードさんはね、君と君のお母さんを守って居たのよ…しかも、フローリアにバレないように特殊なルートから」
シャルロットには記憶があった
自分たちの家の周りに、何時も誰か人がいた事を
田舎で家が周りに無いのに、常に……
「そんな……どうして…じゃあ、どうしてそんな大事な事を教えてくれなかったのさ!」
シャルロットの目には涙が
そして、信じられない…といった様子だった
「教えられる訳ないだろ、そんな事。そして、クロードさんが行った君の保護の最終手段が……お前を男子として日本に送る事。そうすれば、IS学園のシステムが自動的に保護してくれる……だからこそ、彼はこんな無謀な事をしたんだ……俺たちのISのデータ収集、なんて嘘の任務を与えてフローリアに止められないようにしてな……それでも、ディアナさんは病に倒れてしまったけど……」
「う…そだ……」
「嘘じゃない」
「嘘だ!どうしてボディガードなんて派遣したんだ!それなら、会いに来てくれれば良かったじゃないか!」
「嘘じゃない!彼はお前に…シャルロットに会いに来れなかった………お前に会いに行けば、フローリアが殺し屋を派遣する……だから、会いに行けなかったんだ」
「そんな…じゃあ、僕はずっと……勝手にお父さんを恨んでたってこと……?」
「そうならざるを得なかった……そういう事だ」
「そんな……そんな…」
シャルロットは頭を抱えていた
そして、涙を流した……
「ごめんなさい……お父さん…ごめんなさい…‼︎」
「シャルロット、この証拠があればクロードさんを助けられる。デュノア社も多少影響を受けるだろうが、それでもフローリアの呪縛から解放出来る。既に準備は出来ている、更識の息がかかった警察、女性権利団体を批判している女性裁判長と裁判官。それらの準備が出来ているから、逮捕すれば確実に有罪に出来る」
樹はシャルロットの手を握り、前を向かせる
「後は、お前が決断するだけだ」
その言葉にシャルロットは……
「お願い……お父さんを…助けて‼︎」
今までの懺悔をするかのように叫んだ
そして、その言葉を聞いた樹は笑みを浮かべ
「先輩!」
「了解!たった今、ゴーサイン出したわ。これで、今日中に逮捕出来るはずよ」
楯無は大きめの電話で二言三言言葉を交わした
そして、警察を動かした事を伝えた
「樹……どうして…ここまでしてくれたの?僕は敵だったんじゃないの?」
「あー…色々調べる内にほっとけなくなった……かな」
樹は照れ臭そうにそう言った
「……それだけ?」
「それだけ」
「ふっ……ふふふ。樹って、お人好しだよね…絶対」
シャルロットは涙を流して笑っていた
「樹君は優しいわよ、誰よりも。私たちの事も受入れてくれたし」
「そっか……樹は優しいんだね」
「先輩、そういうの恥ずかしいんで辞めてください。それと、シャルロットも納得しないでくれ」
「ねえ、樹……もう少し泣きたいから…胸貸してくれる?」
「……ああ」
シャルロットは樹の胸に顔を埋める
「ありがとう、樹……」
その様子を見た楯無は屋上を後にし、千冬に事情を説明しに行った
勿論、樹と楯無はこっ酷く説教を食らったが、最後に千冬が
「だが、良くやった」
と言うのを聞き逃さなかった
そして、この日の日本時間夜8時
フローリア・デュノアが逮捕され、デュノア社のISコアはシャルロットが持っているもの以外を没取し、IS研究を禁止され、デュノア社は再びスーツ開発の会社になると発表し、シャルロットとクロードを縛っていた呪縛がこの日、無くなったのだった……
〜16年前〜
フランスの病院の一室
そこには窓際に座る男性と、子供を抱く女性がベッドで寝ていた
「クロード、この子の名前…決まったわ」
「聞いてもいいかい?ディアナ」
「この子の名前は……シャルロット」
「おいおい…在り来たりじゃないか。この子に対する願いを込めて……とかは無いのかい?」
「願いならあるわ……シャルロットは在り来たりな名前…でも、これまで多くの人に愛されてきた名前……だからこの子も、多くの人に愛されて欲しい……私は貴方の妻になれないから…せめて、これくらいの我儘はいいでしょう?」
ディアナの妊娠が分かった頃には、既にクロードは親の決めた相手と結婚していた
会社に関わらなかった彼の父が、勝手に決めたのだ
「そうか……だったら、いい名前じゃないか…僕も、この子を一生愛するよ」
クロードはシャルロットの小さな頬に優しくキスをした
反射か、理解したのか…シャルロットは笑みを見せ、クロードの指を握った
「ディアナ…君とこの子は僕が守るよ……あの女に、殺させるものか…!」
「クロード……ありがとう」
この日、ディアナとクロードは最後のキスを交わした
そして、この16年後に……両親に心から愛されて生まれた少女、シャルロットは愛する人を見つけるのだった……
クロードさん、ちょっといい人にし過ぎましたかね?
シャルロットも…多分入ると思います
あれ?
箒……今まで殆ど出てなくね?
まあいいや
モッピーだし
ではまた次回