※この作品はR-18です。

インフィニット・ストラトス〜月を愛する操縦者の日常〜   作:ユークレース

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やって参りました福音編
上手いこと一夏たちの覚醒に繋げられるか不安な作者です

性格改変甚だしい今作
読者の皆様には楽しんでいただけてるのか不安です

そして……樹枯れろ(ボソッ


第十九夜 暴走

樹は自分の兵装の試験が終わったため、部屋に戻ろうとしていた

そこに、慌てた様子の真耶が走ってきた

 

「織斑先生!大変です‼︎」

 

真耶は千冬に駆け寄り、なにやらヒソヒソと話をしていた

 

「今この場に居る専用機持ちは全員着いてこい。緊急任務だ」

 

千冬の表情は少し強張っていた

その様子から余程の事なのだろう…とその場の全員が悟った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜旅館の一室〜

 

「アメリカとイスラエルが共同で開発していた軍用IS、銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)がハワイ沖での稼働実験中に暴走した」

 

千冬は専用機持ちが集められた理由を説明した

ISの暴走

その言葉に専用機持ち達は驚愕していた

 

「んで、暴走して飛んで来てる航路に近い俺らに止めろ……って言ってきたんですか?」

 

樹は一人、冷静に尋ねた

 

「ああ、私を現場指揮の指揮官とし、専用機持ちで銀の福音……以下、福音を止めろと言ってきた」

 

「うっわ……無茶言うな…ちなみに、奴さんの詳しいスペックは?」

 

「口外した場合、一年間監視が付くぞ」

 

そう言って千冬は端末を操作し、福音のスペックを公開した

 

「うっわぁ……広域殲滅を目的にした特殊射撃型…輝夜と同じオールレンジタイプか…平均的なスピードは輝夜の方が上…でもトータルスペックは向こうの方が上だな……あ、でも最高速は向こうが上だな。マッハ2以上って……これ、暴走して飛んできてるんならパイロット気絶してるな絶対…コアネットワークを利用して強制停止したりは?」

 

「試したがコアネットワークから遮断されている様で不可能だった」

 

「わお、用意周到……」

 

樹がそう言うと、千冬が樹を睨んだ

 

「用意周到?これには犯人が居ると言いたいのか?」

 

「もちろん。まず一つ目、無人機なら兎も角、有人機で暴走なんてあり得ない。ハッキングされたとしか考えられない、それも犯人はかなりの腕だ。ISをハッキングするなんざ普通の奴じゃ無理、余程の天才だね」

 

現在、樹の中で犯人の心当たりは二人しか居ない……束と、桂

そして、大方桂が犯人だろう、と目星も付いている

 

「次にタイミング。これは結果論かも知れないけど、俺たちイレギュラーの男性操縦者と専用機持ちが複数居るこのタイミングの暴走……ちょっと偶然にしては出来過ぎかな…と思った。一応、説得力は低いがこの二つが犯人が居ると考えた理由です」

 

「ふむ……成る程、なかなか考えているな」

 

「どーも」

 

「月森、貴様、何か作戦があるんだろう?」

 

千冬は、分かっているぞと言いたげに樹を見ていた

 

「ええ、俺が織斑を運んで、織斑と俺で奴を叩くシンプルなものです」

 

「ま、待て!何故一夏が出なければならない!お前だけで行けばいいだろう‼︎」

 

樹の作戦に反論したのは箒だった

 

「いやいや、俺一人とか無理だって。常識的に考えろよ、相手は軍で使う事を目的にしたISだぜ?一般人の俺に合わせて作られた輝夜じゃ勝ち目が薄い。それに、輝夜は確かに一撃はあるけど、それでも手数で攻めるタイプのオールレンジだ。向こうは高火力型、ジリ貧になっても俺が負ける。その点、織斑がいた場合俺が奴の動きを止めてる内に零落白夜で一気に畳み掛けられる。他の連中の場合は機動力の面で却下だ。ま、お前の紅椿なら別だがな」

 

「な、なら私が!」

 

私が行く

箒がそう言おうとする前に、樹がそれを遮る

 

「お前は操縦技術と稼働時間の面で論外。却下ですならない、話す価値もない。お前の場合は間違いなく死を招く。何か反論は?」

 

「ふざけるな‼︎私の紅椿なら負けるはずが無い‼︎」

 

箒が樹に詰め寄る

 

「そこで聞いてるんでしょう、束さん。あんたも作戦があるんじゃないんですか?」

 

樹が天井を見ると、そこから束が顔を出した

 

「さっすがきーくん!束さんの愛を感じ取ってくれたんだね!」

 

束はそこから飛び出し、樹に抱きつこうとする

が、鈴とシャルロット、ラウラに止められた

 

「樹に抱きつかないでください、篠ノ之博士」

 

「樹は…渡さないわよ!」

 

「お兄様に近寄るな‼︎」

 

「むー!きーくんは束さんの旦那さんになる人だもん!それに、きーくんが呼んだんだからお前らが私の邪魔をする理由は無いはずだけど?」

 

「力…強っ⁉︎」

 

「なんて馬鹿力よ……」

 

束は鈴とシャルロットとラウラを引き剥がし、樹の膝に頭を乗せる

 

「ふっふーん、きーくんが私とデートしてくれるって言うなら製作者権限で強制停止させるスイッチを貸してあげるよ!」

 

「なっ⁉︎」

 

「ちょっ⁉︎」

 

その言葉に鈴とシャルロットが驚き、ラウラは束を睨んでいる

 

「はぁ……報酬は後払いで良いですか?事態は急を要するので」

 

樹はため息をつき、束の言葉を受け入れた

 

「オッケー!」

 

束はポケットをゴソゴソと漁ったあと、赤いボタンのついた長方形のものを取り出した

 

「これを押せば止まるよ。でも、相手の10m付近じゃないと効果が無いんだ……ごめんね?」

 

「いいえ、ありがとうございます。大丈夫か?シャル、鈴、ラウラ」

 

樹が三人を心配すると

 

「うん、大丈夫」

 

「少し驚いたけど、怪我は無いわ」

 

「私も大丈夫です」

 

三人は特に怪我もなく元気だった

そんな話をしていると

 

「ま、待て!機動力なら紅椿の方が上だ!私の方が確実に成功させられる!こんな卑怯者よりも、私の方が強い‼︎私が劣っているはずがない‼︎」

 

先程、操縦技術の面で論外と言われたはずの箒が再度樹に詰め寄る

 

「良い加減にしろ箒‼︎」

 

そう声を荒げたのは一夏だった

 

「い、一夏……?」

 

一夏に怒られたその事実が箒に強い衝撃を与えた

 

「冷静になれ箒…樹の言う通り、今の箒じゃ行っても無駄だ……勿論、俺も……」

 

一夏は強く拳を握り、悔しそうにつぶやく

 

「くっ……」

 

箒はそれを聞くと部屋を飛び出していった

 

「おい、箒‼︎」

 

一夏も箒を追って部屋を飛び出す

 

「んじゃ、俺は行ってきます。ヤバくなったら逃げ帰って来るんで、第二第三の作戦用意しといてくださいね」

 

樹はボタンを手に部屋を出て行った

 

「あのー……篠ノ之博士?」

 

シャルロットは束に声をかけた

 

「ん?何お前、そう言えばさっききーくんと仲良さそうだったよね。そっちのナイチチと……後はそこの銀髪も……きーくんとどういう関係なのかな?」

 

束は三人に殺気を放つ

その殺気だけで常人なら殺せそうなくらいに強い殺気だ

 

「ぼ、僕と鈴は……樹の恋人です」

 

「わ、私はお兄様の妹だ」

 

「ふーん、きーくんの恋人……恋人⁉︎きーくんの⁉︎なんでお前らみたいなのがきーくんの恋人なのさ!納得いかない!それと、きーくんに妹がいるなんて聞いてないよ!」

 

珍しく束が取り乱す

余程衝撃的だったのだろう

 

「束、恋人が複数居るのは後で月森を問いたださねばならないが…ボーデヴィッヒが月森の妹だというのは事実だ……正確には、月森の母の卵子を使って産まれたデザイナーズベイビーだ」

 

千冬は簡潔にラウラの経歴を話した

 

「ふーん、きーくんの妹なら、私の妹同然だね!ラウちゃんって呼ぶね。私のことはおねーちゃんって呼んで良いから」

 

すると束はラウラを抱きしめ、撫で始めた

 

「それと、お前ら二人……きーくんの恋人って本当?」

 

キッ、と鈴とシャルロットを束は睨む

 

「は、はい……」

 

「も、文句あるんですか?」

 

「別に……ただ、天才束さんが凡人に嫉妬するとか……私も変わったなーって思って」

 

束は何処か遠くを眺めるように、天井を見つめていた

 

「なんでなのかは分からないけど…何故かきーくんに惹かれちゃったんだよね……きっときーくんには特別な力があるんだよ…女の子がきーくんを好きになる特別な力……でも、そんな力があったとして……やっぱり私はきーくんが好きなんだけどね」

 

えへへ、と束が見せた笑顔は照れ笑い

いつも浮かべてるような笑顔ではなく、高校生の女の子が浮かべるような笑顔だった

 

「全く……あいつはこんな人にまでフラグを……」

 

「あはは…樹らしいね」

 

鈴とシャルロットは互いに笑っていた

 

「こうなったら絶対にきーくんの恋人にして貰う‼︎帰ってきたら襲わなきゃ……」

 

「僕も手伝いますよ、束博士」

 

「私も手伝うわ」

 

束、シャルロット、鈴が手を組み、ニヤリと笑う

 

「全く……」

 

そこに近づくのは千冬

 

三人に"ほぼ同時に"げんこつを食らわせる。しかも、束には二発

 

「「「いったぁぁぁあ⁉︎」」」

 

「教師の前で淫行の話とはな……」

 

千冬はなれない話のせいか、少し顔が赤い

 

「酷いやちーちゃん!自分が彼氏居ないからって!」

 

「だ、大丈夫ですよ織斑先生!きっと彼氏出来ますって!」

 

「そうね、織斑先生なら大丈夫よ。神話のブリュンヒルデもジークフリートって恋人が居たし」

 

束の言葉で機嫌を悪くするが、シャルロット、鈴の言葉で少し機嫌を直す千冬

 

「しかし、ブリュンヒルデはジークフリートと最終的には別れるのでは……」

 

「ゴフッ」

 

ラウラの言葉で千冬は膝をついた

 

「やはり……私は…」

 

千冬が凹んでいると、一夏が部屋に飛び込んで来た

 

「大変だみんな‼︎箒が…箒が……!」

 

余程慌てたのか、一夏は息を荒げている

 

「落ち着け織斑、何があった」

 

即座に立ち直った千冬が一夏に事情の説明を求める

 

そして、一夏の口から告げられたのは衝撃の内容だった

 

「箒が……勝手に樹の後を追って行っちまった‼︎樹は多分それを知らない!」

 

「なんだと⁉︎」

 

「白式で通信してみたけど……あいつ、通信を切ってるみたいで……!樹の方も福音に探知されないようになんかやってるみたいで連絡つかないんだ!」

 

「くそっ‼︎」

 

千冬は机を叩く

その顔には悔しさと後悔が現れていた

 

「箒ちゃん……」

 

束は箒の名を呟いた後

 

「お願い、きーくん……箒ちゃんを守って……」

 

今、この場に居ない想い人に祈るのだった……




HAHAHA!
ロクな事しないなウチの箒
次回も引っ掻き回します

箒好きの方々

本当にすみませんm(_ _)m
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