インフィニット・ストラトス〜月を愛する操縦者の日常〜 作:ユークレース
〜日本近海〜
出発してから10分程で速度が遥かに落ちた福音に追いついた
「おおおおお‼︎」
一夏は福音を発見した瞬間、斬りかかった
「待ちなさい、一夏!」
鈴が一夏を制止させようとするが間に合わない
「食らいやがれぇぇぇえ‼︎」
奇襲を仕掛けるつもりなのだろうが、声を出しては意味がない……筈なのだが福音はそれに気付いていない
雪片が福音の背中を捉え、斬りつける
「とりあえず、追撃するわよ‼︎」
「了解しましたわ!」
鈴の合図で全員が散開し、福音を囲む
一夏が攻撃し、気を向けている間に鈴が衝撃砲を放って背後を攻める
セシリアがブルー・ティアーズ4機で福音の動きを制限し、シャルロットがラピッドスイッチで銃を持ち変えながらダメージを蓄積させる
ラウラがAICで動きを止め、一夏が零落白夜を使用して福音を攻撃する
いくつもの連携攻撃で確実に福音のシールドエネルギーを削っていく
が、しかし…その連携も直ぐに崩される
『prrr!』
福音の羽が広がる
広範囲殲滅兵器、シルバー・ベルが発動したのだ
無数の銀色の光が羽から放たれる
その光はセシリアのビットを、鈴の衝撃砲を、シャルロットのサブマシンガンを、ラウラのレールカノンを、そして一夏を襲う
「一夏‼︎」
「一夏さん!」
特に、接近していた一夏は多くの攻撃を受け、零落白夜で減少したものもありシールドエネルギーを大きく削られてしまった
「くっ……」
一夏を襲う物はどんどんと増えていく
装甲の薄い部分に当たる物には絶対防御が発動する……が、装甲がある部分には働かない
それ故に、白式の装甲にヒビが入り始める
「織斑君は…落とさせないよ!」
シャルロットが背後からパイルバンカーで襲いかかる
福音は身体を捻り、シャルロットを蹴り海に落とす
「しまっ……!」
「シャルロット!」
海に落ちるシャルロットを、鈴が受け止める
「機体スペックに差が有りすぎる……⁉︎」
鈴は少し危険を感じていた
死ぬかもしれない……そう考えていたのだ
「だとしても…俺は強くならなくちゃならないんだ!」
一夏は再び福音に迫る
が、しかし…福音はシルバー・ベルで迎撃する
それも、今度は一夏だけを狙って
「うわぁぁぁぁぁぁあ‼︎」
一夏を爆炎が包む
そして、ボロボロになった一夏が堕ちる
「一夏さん‼︎」
セシリアが叫ぶ
しかし、一夏は堕ちていく
「(ああ……くそッ…また俺は…何も出来ないのか…‼︎)」
堕ちながら一夏は自分の無力さを実感した
「(悪い箒……樹…俺、死ぬかも)」
その時、一夏は紅い光を見た
鮮やかな紅色の光
それは次第に大きくなり、その中心に黒い影を映し出す
「一夏ぁぁぁあ‼︎」
その影は一夏に手を伸ばす
「箒⁉︎」
その正体は箒だった
「手を伸ばせ、一夏!」
「箒!」
一夏は手を伸ばす
そして箒がその手を摑む
「私はまだ弱い……だから一夏、私と共に強くなってくれ!」
「箒……」
箒は自らの弱さを認めた
そして、共に強くなって欲しい……と本心を伝えた
「だから一夏、お前も……一人で背負わないでくれ!一夏が誰かを守るなら…私も共に守る!」
「箒……ああ、そうだな…」
一夏は微笑んだ
そして…
「(俺一人で背負わなくて良いんだ……箒や樹達が居る…だからお前も力を貸してくれ……白式!)」
もう一人の仲間に言葉を伝える
そして、それに呼応する様に…白式が輝く
「これは……」
「二次移行⁉︎」
白式の姿が変わる
崩れた装甲は完全に修復され、限界だったシールドエネルギーも全快した
大きなブースターが付き、左腕にはユニットが搭載されていた
「白式第二形態……雪羅」
「それが……名前なのか?」
「ああ……そうみたいだ」
「私も……共に立って良いか?一夏」
「もちろんだ!」
「ありがとう……一夏」
その時、箒の紅椿にも光が灯る
暖かい黄金色の光だ
「絢爛舞踏……これが紅椿のワンオフ……」
ここまでエネルギー効率を無視して全速力で来た紅椿のシールドエネルギーが元に戻る
「行こう、箒!」
「ああ、一夏!」
紅と白
二つの機体が銀の機体に向かう
「はぁぁぁあ‼︎」
箒が雨月を突き出し、レーザーを放つ
そして、空裂を振りエネルギー刃を飛ばす
それらは福音の羽をもぎ、その能力を奪う
「うおおおおおおお‼︎」
一夏は零落白夜を使用し、斬りつける
「先ずはセシリアの分!次に鈴の分!シャル、ラウラそして箒!」
仲間の数だけ攻撃した
「そしてこれは……樹の分だぁぁぁぁあ‼︎」
一夏は左手のユニットを変形させ、銃の形態に変える
バチバチと音を立て、電撃が収束する
「食らいやがれぇぇぇえ‼︎」
いわゆる、荷電粒子砲
某帝国軍のサソリ型や恐竜型の金属生命体が搭載している物のような凶悪さは無いが、威力は十分である
放たれた電撃は福音を飲み込み、その活動を停止させ、海に落とした
「すご……」
「あはは……勝っちゃった…」
「あれが……白式の力…そして、篠ノ之さんの力ですの……」
「お兄様……仇は…織斑が討ちました……」
専用機持ち達も、一夏達の機体性能に驚いていた
「はぁ…はぁ……」
「やった…のか……?」
一夏も箒も息が上がっていた
一夏は連続攻撃の疲れが、箒はなれない音速飛行の疲れが出たのだ
その影響か、箒の絢爛舞踏が解除された
「一夏……私達は…」
「ああ、勝ったんだ!」
2人が喜びを感じた瞬間、モニターに警告が表示される
「まさか…!」
一夏達は福音が落ちた場所を見た
そこには、先ほどの一夏と同じように装甲が修復され、装備が強化された福音が居た
「福音まで……二次移行…⁉︎」
そして、その福音を五色の光が襲った
「えっ……?」
「今のは……」
一夏の箒は光の発生源を見る
鈴やシャルロット達も同様だ
「……」
そこには五色の球を漂わせ、赤いマントを羽織った樹が居た
「降臨、満を持して……」
やけに上手いモノマネで樹がゆっくりと降りてくる
「い、樹…?」
「やれやれ……鈴達をボロボロにしてくれやがって……」
鈴やシャルロットが樹に通信で色々言うが、樹はそれを無視する
「俺も……ワンオフ使わにゃマズいよな……」
「えっ、樹…ワンオフ持ってたの⁉︎」
鈴が驚き、樹に尋ねた
「ああ、親父が調整したらしい」
「うわぁ……」
鈴は引いていた
「ま、お前らはそこで見てな」
ふう…と樹は一つ息を吐き
「ワンオフアビリティ……月の不死の秘薬…発動」
樹の言葉で、輝夜の背中のリングが輝く
「さて…今の俺は無敵モードだ。鈴達の分はきっちり返させて貰うぜ」
樹は子安貝を展開して切っ先を福音に向ける
「こっからは俺のステージだ‼︎」
そう言って樹は福音目掛けて加速した
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