※この作品はR-18です。

おお、我が豚よ   作:江上音

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魔王の独り言

 

 

 ――じゃあ、産まれたときの話をして?

 

「この流れで、なにが「じゃあ」なのか理解はできないけど…まぁいいよ。作業しながらでいいか?

 

 産まれたのはえっと…20年くらい前かな。

 

 洞窟? いやいや、街だね。

 俺も記憶が不確かだけど、いま思い返すと親父たちに襲われた街なんだと思う。

 

 そ。多分その街。有名なんだ。まぁ、そこ出身だね。

 

 お袋は…こんな話キミみたいな子に話していいのかな?

 わ、わかったよ、全部話すよ。

 

 お袋は豚の人間だったよ。豚人族? へぇ。まぁ俺は豚人族とのハーフってわけ。つっても、俺の種族の特性上、俺は親父の血を色濃く引き継いじまった。

 いや、たまには母親のほうに似るときもあると思うよ。だけどみんな食われるんだろうぜ。あーやだやだ。

 

 お袋も、俺を産んですぐ食われたって言うし。

 

 で、俺を育ててくれたのは人族の女性人。

 そー! そこなんだよ、勘違いされがちなのは。

 俺たちの種族だって、年がら年中エロいことしてるわけねぇのにな。狩りは男の仕事。子育ては女の仕事。乳が出なくなったら種付けするって知識はあるんだよ。

 

 まぁ、そういう意味では年がら年中エロかったかな。

 でも、人族は人気ねぇからな。

 

 え、だっておっぱい2つしかないじゃん?

 まぁキミはおっぱい自体がないみないなぎゃ、やめろ砂はやめろ。

 

 俺を育ててくれたお袋はな、まぁ美人だったかなー。いや、まぁ、お袋補正なのかね」

 

 ――マザコンなの?

 

「な、なんだその嫌な響きは…。よくわからんけど否定しておくわ。

 というか、俺がこうやって普通に話せるのは、そのお袋のおかげだぞ。

 こんな化け物相手に頭を撫でてな。

 

『強い力は、周りを巻き込む。だから、皆を守るために使いなさい』

 

 ってな。言うんだよ、毎晩毎晩。

 俺以外にももう一人、そのお袋に育てられたんだが、やっぱりちゃんとしたやつに育ったね。死んだけど」

 

 ――なぜ?

 

「ん…まぁ、本当になんでだろうな。そのお袋を助けに来た騎士たちにな。まぁ俺たちはほとんど殺されたよ。詳しくは知らないけど、良いところの出だったんだろうね。ヒメ!って呼ばれてたよ。

 俺は怪我してて動けなかったけど、お袋が連れ去られそうになったから、兄貴は一人でお袋を助けようとした。だけど、まぁ…呆気なく殺されたね。

 で、騎士が言ったんだよ。

 

『化け物がヒメを母親と呼ぶなどとおこげが美味しい!!』

 

 いやいや、そんなこと言うわけないだろ。ただそう聞こえてさ、騎士の怒り狂った表情を見てさ、あぁ、俺たちは汚い存在なんだなーって始めてわかったね」

 

 ――そんなことないよ。

 

「おお、ありがと。

 人族にそう言ってもらえると、多分兄貴も救われるよ。

 

 兄貴が死んだとき、お袋は涙を流してくれてな。無論俺だって、泣いたさ。泣きながら、体引きずって騎士に向かったよ。

 でも、お袋に斬られた。

 

 まぁ、普通はそう思うよな。お袋だって人族だ。

 でも、お袋が俺を切ったのは、演技だ。

 

 お袋は自殺用にナイフを隠し持っててな。愛する男に贈られたとかなんとか。

 これ、このナイフ。

 

 俺の宝物。で、それ以上にお袋の宝物。

 

 このナイフで斬られて、どこへなりとも行きなさいこの化け物め! って言われたよ。

 でも、俺にはこう聞こえたね。

 

『どこへなりとも、生きなさい』

 

 ってな。ナイフを投げつけられた俺は、そこに取り残されて、まぁあとは一人で生きてきた。

 

 まぁこんな身なりだ。マトモな生活なんて出来なかったけど、力だけはあったからな。俺の群れを作ろうと思ったわけだよ。

 西へ東へと向かっては、強そうな化け物を片っ端から殺し回った。

 そのうち体が成長してな。…いや、まぁ種族も違くなったけどさ。とにもかくにも、俺は一国一城の主になりかけたわけ。

 

 だけど、いつからか、化け物の中でも化け物扱いされててな。

 気がつけば、知能の低いやつらはみんないなくなってた。喋れる奴も少しはいたけど、襲うことしか能のないやつでな、俺が人族を避けてたことに憤慨して、みんないなくなった。

 あ、これは俺が殺しただけであって、いまでもちょっと悪いことしたかなーって思ってる」

 

 ――無頼の魔王…。

 

「フライパンは黒? なんだよ、遠いよ。

 

 飯の話か?

 虫が好きでな。こればっかりは誰にも理解されない。俺の嫁には虫好きのやつが相応しいな。

 

 そりゃあたまには肉も食うけどさ。

 虫はまた旨くてさぁ。

 あ、もういいですか。…わかったよ…。

 人族も食ったことあるけどさ、お袋がやめてって言うから、それ以降食ったことねぇなー。

 あ、でも人族の飯はうめぇ。人族で虫好きで俺を愛してくれるやつが…いないか…そうか」

 

 ――ねぇ、なんでお墓を作ってくれるの?

 

「なんで? わからん。お袋に聞いてくれ。俺は真似をしてるだけだ。本当の意味で、俺は人族を理解してるわけじゃない。

 

 でも、穴掘ってると考えるんだよな。

 そいつが、なにしかたったのかな、土被らなきゃどうなってたのかな…とかさ。

 

 他は? 聞きたいことあるか?

 

 ないなら、俺から質問…していいかな?

 

 

 

 

 まだ、生きてるか?

 

 

 

 

 人間って、なんでそんなに脆いんだろうな…。

 ごめんな、なにもしてやれなくて…。

 ゆっくり、休んでくれよ…」

 

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