・この物語はZOIDSシリーズ、及びゾイドバトルストーリー等の世界観を元に作成された二次創作です。
・作中に各ゾイドシリーズに於ける登場人物の他に、作中オリジナルキャラクターやオリジナルゾイド、オリジナル改造ゾイドが多数登場します。
其れに伴い、原作に登場するゾイドであっても、細かい機体スペックや装備、能力等に差異が生じております。
また、今作はシリーズを通して上記オリジナルキャラクターやオリジナルゾイドが中心となりますので、そうした作風や展開が苦手な方は御注意下さい。
・時系列的にはゾイドバトルストーリーの年表を元に、ZAC2109年に戦争は三国の和平、併合により終結。
アニメ無印ゾイドにも登場したガーディアンフォースが設立され、
そこから更に17年が経過した設定となっています。
・今の所、各アニメキャラ(バン・フライハイト等の各アニメ主人公、及び各アニメ主要キャラクター等)の出演は予定しておりません。
時系列、物語的に矛盾が生じる可能性が大きい為、同名であっても別人、またはパラレルワールドの存在であるとご了承下さい。
・古代ゾイド人は出演予定ですが、各アニメゾイド等で語られる古代ゾイド人とは異なり、現代ゾイド人が喪ってしまった強大な能力(所謂読心術や精神没入等の超常的な能力)を持った『超人的な存在』とお考え頂いた方が良いと思います。
・今作に於いてデスザウラーはアニメゾイドの様な『破滅の魔獣』的な位置付けではなく、ガイロスやネオゼネバスの主力ゾイドの一つになっています。
・上記を踏まえた上での閲覧をお願い致します。
【ZAC2126年2月13日 快晴】
湿気に弱い荷電粒子にとって、乾燥した今の季節とこの天候は至極有難い。
お陰で新型超集束荷電粒子砲『メギドバスター』のテストでは、理論値以上の収束率と破壊力を観測する事が出来た。
現在我が子『バハムート』の完成率は70%を超えている。
生産ラインの不調と、慢性的な動員数の不足から来る低工場稼動率(各進捗統計より換算すれば約10%/月)にしては、生産開始から4ヶ月でこの数値は驚異的ではないだろうか。
後は尻尾に加重力衝撃破砕システムを組み込み、本体からのエネルギー伝達、
及び荷電粒子加速装置の経路調整を行い、取り付ければ機体そのものは完成だ。
しかし、必殺武器である『メギドバスター』の心臓となる超大型荷電粒子コンバータの調整、
ゾイドコア組み込みによる駆動バランス調整、
各プログラム郡の単体、及び全体の可動試験、
発覚すればそのプログラム郡のデバッグ、競合排除など、
行わねばならない試験や調整は文字通り山積している。
この子が完成し、惑星全土に配備された暁には、理不尽なテロリズムや莫迦げた誇大妄想によって無為な血を流す必要も無く、暴虐に涙する民は居なくなるだろうと信じている。
今まで血塗られた歴史を歩み続けた惑星Ziの守護を担う者として、人々の記憶に留まる様、祈るばかりだ。
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【ZAC2126年6月21日 快晴】
ゾイドコアに施すVR稼働テストが終盤を迎えている。
超大型ゾイドと言えども通常の場合、生産開始から遅くとも2ヶ月ないし3ヶ月程でVR稼働テストは終了するものだ。
(あのホエールキングですら、コアのVR稼働テストは4ヶ月程で終了する。)
しかし、我が子はそのテストですら、半年以上の月日を費やさねばならかった。
最もたる、しかし単純な理由としてバハムートは『大き過ぎる』のだ。
元々がセイスモサウルスの突然変異種とは言え、あのセイスモサウルスの5倍を優に超える体格の持ち主だ。
その性能は今や同志となったヘリック共和国軍のウルトラザウルスすら優に凌駕し、
用途や性能は畑違いではあるが、
体格だけならば帝国の誇る超弩級輸送ゾイド、ホエールキングにすら勝る。
つまり、現存する超巨大ゾイド郡では、データの参考にならぬ程の『規格外』なのだ。
故に、我々バハムート開発陣営は、絶望的な個体数の野生体のデータから逐次予測データを作成し、
細やかな調整とシミュレーションを繰り返しては、その結果に一喜一憂を繰り返して来た。
だからだろうか、私はこのバハムートを我が子同然に思っている。
『手間の掛かる子ほど可愛い』とはよく言ったものだ。
しかし、開発陣営やネオゼネバス帝国内には、和平による終戦から既に17年が経過しているにも関わらず、
過激派による打倒共和国の動きが活発化しているという噂が絶えない。
もし今一度不毛な戦争が起ころう物ならば、
過激派連中はこの子をもう一度血生臭い戦場へと駆り出すだろう。
そんな事は絶対にさせん。
絶対にだ。
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【ZAC2126年7月11日 曇天】
VR可動試験も無事通り、とうとう機体へのコア実装が行われた。
既にメギドバスターの収束率管理制御システム、及びピンポイントEシールドを機体に組み込み調整済み、
(ネオゼネバス軍上層部から再三言い渡された過剰とも言える)外装兵器も
(少々、否、かなり癪ではあるが)機体に搭載され、本格的な駆動テストも行われた。
だが、一つ気になるのは左前足の衝撃緩和機構に若干の不調が見受けられる事だ。
コア単体でのVR駆動テスト、及び非武装状態での外装駆動テストでは見られなかった『軋み』が確認されている。
同僚や現場主任は「ごく僅かな軋みなので問題無い」とは言うが、我が子は他に類を見ない規格外の巨躯だ。
乾燥重量6990t、全装重量9778tにもなる巨体を支える足が軋みを上げていると言うのに、問題無い筈が無い。
これ程の武装を施せば、幾ら重力コントロールシステムを搭載しているとは言え、当然の結果だ。
ネオゼネバス本国の愚かな戦争屋どもの所為で、我が子のシルエットはまるで首が伸びたハリネズミの様だ。
此れに加えて更に専用BLOXゾイドが3機も合体すると言うのだ。
そんな事をすれば、我が子の左前足は確実にその重量に耐えられず、潰れてしまう。
絶望的な個体数の突然変異体を探し出し、その体から予測値の算出を繰り返し、気の遠くなる程の試算、試作を行い、
コアから手塩に掛けて育てて来た我が子を、これ以上あの戦争屋共の玩具にしてたまるものか。
悪い事は重なる物で、ネオゼネバス本国に残っている私の部下から厭な噂を耳にした。
ネオゼネバス本国ではセイスモサウルス一個大隊を此処ニカイドス島に駐留させる手筈を整えていると言う。
既に戦争が終わった筈の、しかもこんな小規模な島国にだ。
我々開発陣営の駐留するヘラス平原臨時基地にも、本国から得体の知れぬ『兵員補充』が引切り無しに行われている。
(そもそも、開発やテスト用地確保の為とは言え、何故臨時基地なぞを作る必要があるのか、甚だ疑問である。)
いよいよ過激派連中の嘯く打倒共和国の噂が現実味を帯び始めて来ている。
計画を急ぐ必要がありそうだ。
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【ZAC2126年8月16日 快晴】
それ見た事か!
とうとう3度目の駆動実験中、左前足の衝撃緩和機構が破損してしまった。
只でさえ28機もの重力コントロールシステムで漸く支えられる体だというのに、
是見よがしに取り付けられた武装のお陰で、とうとう我が子は横倒しに倒れてしまった。
ホエールキング6機とネオ・タートルシップ2機に漸く引き上げられた我が子の足は、
無残にも潰れ、へし曲がってしまっているではないか。
ネオゼネバス本国の莫迦者共は
「早急に修理、機体強度を増強し、実戦に耐え得る状態にせよ」
などと宣う始末。
何度立体モニター越しにでもあの腸の煮え繰り返る面を殴り飛ばしてやろうと思った事か!
唯一の救いは、ヘリック共和国軍上層部が専用BLOXゾイドのサポート能力強化を約束してくれた事位だ。
3機全てに重力コントローラーを搭載し、合体時はバハムートの重力コントロール能力を更に引き出せるという。
ともあれ、へし曲がってしまった我が子の脚を修理してやらねばならん事に変わりは無い。
恐らく、また貫徹の作業が続くだろう。
それにネオゼネバス上層部の口ぶりや焦りを察するに、本国の同僚から聞いたあの噂は近い内に現実になるだろう。
予てより練っていた計画も、前倒しで進めねばならないかも知れん。
我が子の足同様、私も潰れてしまう訳にはいかないが、やるしかあるまい。
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【ZAC2126年9月26日 雨天】
漸く我が子の左脚の修理が完了した。
が、同時に問題も発生していた。
件の衝撃緩和機構の破損は左脚の構造ではなく、重力コントローラーの出力不足が原因であるらしい事が解った。
内部構造の関係上、左脚部分をカバーする重力コントローラーの幾つかが、大型荷電粒子コンバーターの近くに配置されている。
(其れも追加された外装兵器用の物だ。軍上層連中が関わっている都合上、外したくとも外せない)
荷電粒子関連の武装を使用する際発生する余剰荷電粒子が、この重力コントローラーの出力を阻害している様なのだ。
既に配置されている分は排熱や余剰スペースの都合上、動かす事が出来ない。
仕方無しに上層部に連絡、このままでは戦闘行動はおろか、稼働させる事も困難だと伝えると
「即時問題解決せよ、但し納期は伸ばせない。何としても納期限内で『我が国の旗艦の』状況を改善せよ」
などと理不尽な事を宣った。
あの上層連中が共和国側に重力コントローラーの追加発注を即座に行う辺り、例のクーデターまで時間が無さそうだ。
一応、秘匿回線で共和国の友人にこの事を報告し、警戒する様忠告した。
2年前に第三代皇帝になってからと言うもの、ネオゼネバスの中が如何にも焦臭い。
そもそも、第三代皇帝が戴冠式にすら姿を現さなかったと言うのもおかしな話だ。
一説では代々続くヘリック・ゼネバス家の根幹であるムーロアの血筋から外れた人物という噂まで流れている始末。
私個人としては三流ゴシップ誌の記事にも劣る下卑た話題
と云いたい所だが、国として観れば、真偽を問わず
『偽りの国家元首を打ち倒す』
というクーデターの大義名分にするには充分だろう。
左脚用の追加重力コントローラーが到着するのは来月頭辺り。
如何な理由が有れど、我が子をそんな下らん事に使わせてなるものか。
此方も『計画』の仕上げに入るとしよう。
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【ZAC2126年10月12日 曇天】
追加発注された重力コントローラーが左前足に組み込まれたが、如何せん出力が足りない。
既に各武装の出力伝達に大半の動力を割いている上、想定外の過剰武装により、動力炉が出力不足に陥っている。
ましてや、これ以上出力を上げれば、今度はコアが持たなくなるだろう。
追加武装の大型荷電粒子コンバータにバイパス回路とエネルギー変換装置を組み込み、何とかギリギリの出力は稼げたが、矢張りこの過武装を幾つか排除せぬ限り、根本の解決には至らない。
所が、軍上層部の連中が痺れを切らし、バハムートの前倒し観艦式を行うと通達して来た。
恐らく明日の実弾戦闘試験が例の計画を実行する最後のチャンスだろう。
資材と人員は全て揃っている。
後は…決行するだけだ。
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【日付無し、記載日時不明】
愛するリックへ。
下らん戦争を避ける為とは言え、
お前を闘争の直中に駆り出す私を赦してくれ。
否、
いっそ、生涯私を恨んでくれて構わない。
牙無き者の牙となる筈のお前を、
眼前の敵を打ち倒すだけの牙に変える私を赦すな。
平和の為と嘯き、
お前を闘争へと駆り立てる私を赦すな。
無垢のまま過ごせた筈の牙を、
敵の血に染める私を赦すな。
何時の日か、お前が心安らかに過ごし、
私がお前の背負う罪諸共に、
地獄の釜の底に落ちるその日まで。
私を
お前の手で葬り去ってくれるその日まで。
私を、赦すな。
リック、お願い。
私を…
【以降記載無し】
【押収物目録】
【押収日時:ZAC2128年11月26日】
【押収場所:ニカイドス島、詳細位置は機密次項により伏す。】
【機密区分:国家機密LV4機密文書に相当。佐官以下の者は軍部司令の許可無き閲覧を禁ず。】
【取扱区分:ガーディアンフォースLV3国家機密文書地区にて厳重保管。】
【補足:戦前から戦中に及ぶ戦史資料として、重大なる価値有り。紙媒体の為、取扱いには細心の注意を払われたし。】
【公開区分:所有者並びに関係者の要請有るまで、全LVでの公開を禁ず。】
【以上】
【管理責任者:ネオゼネバス帝国軍部統括者 ユーベル=レーヴェリヒト=シュヴァイツァー四世】
御初に御目に掛かる方は初めまして。
そうでない方、渋やツイッターでシユウの名にピンと来る方はお久し振り。
シユウ改め蚩堂尤仁と申します。
今作は某所にて投稿していた小説がガラケーでの投稿が出来なくなり、一時執筆を中断していた物を、ガラケーでの投稿が可能な此方で再度加筆を交えて再度投稿させて頂く物となります。
また、某所ではアニメゾイド各種二次創作が主流の為、オリジナルゾイド系の二次創作作品がかなりマイナージャンルに位置してしまう事もあり、新たな読者層の開拓も兼ねての投稿となります。
まだ素人染みた文章ではありますが、今後とも是非に御贔屓頂ければ幸いです。
蚩堂尤仁