・この物語はZOIDSシリーズ、及びゾイドバトルストーリー等の世界観を元に作成された二次創作です。
・作中に各ゾイドシリーズに於ける登場人物の他に、作中オリジナルキャラクターやオリジナルゾイド、オリジナル改造ゾイドが多数登場します。
其れに伴い、原作に登場するゾイドであっても、細かい機体スペックや装備、能力等に差異が生じております。
また、今作はシリーズを通して上記オリジナルキャラクターやオリジナルゾイドが中心となりますので、そうした作風や展開が苦手な方は御注意下さい。
・時系列的にはゾイドバトルストーリーの年表を元に、ZAC2109年に戦争は三国の和平、併合により終結。
アニメ無印ゾイドにも登場したガーディアンフォースが設立され、
そこから更に17年が経過した設定となっています。
・今の所、各アニメキャラ(バン・フライハイト等の各アニメ主人公、及び各アニメ主要キャラクター等)の出演は予定しておりません。
時系列、物語的に矛盾が生じる可能性が大きい為、同名であっても別人、またはパラレルワールドの存在であるとご了承下さい。
・古代ゾイド人は出演予定ですが、各アニメゾイド等で語られる古代ゾイド人とは異なり、現代ゾイド人が喪ってしまった強大な能力(所謂読心術や精神没入等の超常的な能力)を持った『超人的な存在』とお考え頂いた方が良いと思います。
・今作に於いてデスザウラーはアニメゾイドの様な『破滅の魔獣』的な位置付けではなく、ガイロスやネオゼネバスの主力ゾイドの一つになっています。
・上記を踏まえた上での閲覧をお願い致します。
Beeeep
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『これより『バハムート』の実弾戦闘試験を行なう。
各要員は速やかに所定の配置に付け。
繰り返す、各要員は…』
けたたましくワーニングコールが試験場に響き渡る。
其れに呼応するかの様に巨大なコンテナを思わせる建造物の天井が開き、
四方の壁がゆっくりと地面へと収納されて行く。
コクピットに座る女は傍らのコンソールを叩きながら、全ての全方位投影モニターに目を配る。
砂嵐が一瞬にして純白の空間に変わり、次の瞬間、女の周囲には、ヘラス平地の広大な大地が広がっていた
此処は『ゾイド』と呼ばれる金属生命体と人類。
そして『ゾイド人』と呼ばれる原住民を擁する蒼き星、惑星Zi。
この物語は、中央大陸と名付けられた地より東に位置する島、ニカイドスより始まる。
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【第一章:出奔】
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「全方位モニター正常に作動、
各機関の駆動オールグリーン、
第一、第二砲塔、状況を送れ。」
『オーケイレディ准将、
こちら第二砲塔ジーク、
各システムに異常は見られない。』
『応、
こちら第一砲塔ベルセルク、
各種機関異常無しだ。』
各座式の砲塔から応答が帰ってくる。
だが、女の目は平地のただ一点に集中されたまま、動こうとはしない。
「了解した。監視塔、ターゲットを頼む。」
女はその一点を睨む様な。
否、
睨み付けながらテストの開始を要求する。
『監視塔了解。テスト開始、ターゲットを展開する。』
通信が切れると同時に突然無数の点がレーダーに表示され、ロックオンアラートが悲鳴をあげる。
モニターには次々に砲台が立ち上がり、こちらを睨み付ける様が映し出されてゆく。
「全荷電粒子コンバータ最大出力、
二連装収束荷電粒子砲、全門斉射スタンバイ。」
『荷電粒子コンバータ出力安定、
荷電粒子エネルギーライン接続。』
BEEEEEEP!!
女の装着するHUDに、警告音と共に無数のミサイルが飛来する様が映し出される。
演習や模擬戦で使われる模擬弾の類では無い。
AZ《アンチゾイド》ミサイルと呼ばれる『実弾』である。
「ベル!!」
『御意』
女の一声で、バハムートの全身に搭載されたビームガンが一斉に火を噴き、飛来したミサイルを瞬く間に撃ち落として行く。
…そう言葉にするのは容易いが、元来音速を超えて飛来するミサイルを撃ち落とすのは至難の技である。
其れを無数であるにも関わらず、事も無げに行えてしまうのは、射撃管制システムの優秀さもさる事ながら、砲手の腕前もまた卓越した物である事の証である。
「ジーク!ピンポイントEシールド展開、砲撃に備えろ!」
『オーケイ、レディ。
ではミズALPHA、任せたよ。』
〔オーケイ、ジーク。任されました。〕
男はVRコンソールを通し、バハムートの火器管制用擬似人格搭載AI『ALPHA《アルファ》』にピンポイントE《エネルギー》シールドの操作権限を明け渡す。
瞬く間にバハムートの巨体のあちこちから、多面体の光が浮かび上がる。
多面体の光は飛来するビームを悉く弾き返し、設置されたビーム砲塔やミサイルポッド群に当てるという、曲芸じみた技を見せた。
『ヒュウ!流石だミズALPHA。
君が人間なら是非口説いて差し上げたいね。』
男が軽口を交え、ALPHAを称えるのも束の間、見ればレーダー上から攻撃目標を示す光点は全て消え失せていた。
展開された砲塔群が、全て撃破されていたのだ。
『…素晴らしい…ターゲットの総撃破までの経過時間が18秒足らずとは…』
『防御と攻撃を両立させる事が出来るとはな…これも擬似人格搭載AIの処理速度の賜物か…』
叩き出された高水準の記録の数々に、監視塔の研究者達から思わず感嘆の声が上がる。
「…おい、呆けるな管制塔、次だ。」
『…コホン、失礼准将。実弾運用試験を続行する。
当試験より各荷電粒子砲の使用を許可する。
各荷電粒子コンバータの稼働は宜しいか。』
女の怒りを交えた言葉に我に返ったのか、主任研究員は咳払いを一つ吐くと、手元の端末を操作し始める。
「…ああ、準備出来ている。」
『監視塔了解、対荷電粒子シールドを展開する。』
アラート音と共に監視塔の周囲がせり上がり、壁型の対荷電粒子シールドが展開されて行く。
先程のEシールドとは異なり、荷電粒子兵器に対しての防御、無効化に特化した物理シールドの一種である。
かつての戦中から現在に至るまでも尚、最強、必殺と恐れられる攻撃兵器『荷電粒子砲』を防ぐ事の出来る、数少ない防御兵器の一つだ。
『対荷電粒子シールド展開完了、
続いてターゲットを展開する。』
研究員のアナウンスと共に、破壊された砲塔群が地面に収納され、其処から新たに何かが射出される。
自立型の飛行砲台だ。
『こちら第二砲塔ジーク、メギドフレイムの準備は出来ているよ。』
『此方第一砲塔ベルセルク、各荷電粒子エネルギーラインの切り替え、及び荷電粒子充填、完了している。』
砲塔からの返答と共に、女のHUD上に新たな武装の準備が整った事を報せるウィンドウが表示される。
「艦橋了解。OMEGA、しくじるなよ。」
〔呵ッ!!こきゃあがれ!AIサマを舐めンなよ?ヒューマン!〕
女の問いに、OMEGAと呼ばれたAIは、些か粗暴な口調で女に言葉を返した。
「抜かせ。二連装収束荷電粒子砲『メギドフレイム』、全門斉射!」
閃光。
少し遅れて爆発音がバハムートと管制塔を包む。
バハムートの首と尾に据え付けられた、計31機、62門の収束荷電粒子砲が一斉に放たれ、ターゲット諸共に一帯の空間を焼き焦がしたのだ。
閃光と土埃の煙幕が晴れれば、バハムート周辺の土は赤熱化し、砂は硝子へと溶け変わっている。
ターゲットであった飛行砲台は赤熱化し、無惨に溶け崩れた小さな金属塊に変わり果て、焼けた大地の上に落ちて燻り続けているだけであった。
『こちら監視塔、着弾誤差0.001%、ターゲットの全滅を確認した。
其れでは最後に、新型超収束荷電粒子砲、メギドバスターの発射試験を執り行う。』
アナウンスと共に、一際巨大なターゲットが現れる。
かつてのゼネバス帝国の落日を顕現せしめたゾイド、マッドサンダーの頭部だ。
…とは云え、マッドサンダーの象徴であるマグネーザーもサンダーホーンも無く、対荷電粒子シールドだけが幾層にも重ねられ、そこに電源車でシールドを稼働させているに過ぎない。
『こちら監視塔、ターゲットの展開完了、人員の退避も完了している。
何時でも開始してくれ。』
「…了解した。」
『…『始める』かい?レディ。』
『…此方の『準備』は出来ている。』
砲塔からの通信に、女の口角が微かに上がる。
「…そうだな。
では『始めよう』。」
女の言葉と共に、バハムートがゆっくりと歩き出す。
しかし、バハムートは目標に向き直る所か、次第に目標を外れ、あらぬ方向を向き始めた。
『どうした准将、火線がターゲットから外れているぞ。』
監視塔からの通信に応える事無く、バハムートの体はゆっくりと『ターゲット』に向き直る。
『何をしている!こっちにはターゲットは存在してな…』
そう云いかけた研究員の耳に、嘲笑を交えた女の声が響く。
「監視塔、其処にターゲットが有るじゃないか…
お 前 の す ぐ 足 元 に な。」
バハムートが開口し、『メギドバスター』の発射態勢を取る。
全身の荷電粒子コンバータが唸り、大気中の荷電粒子が放電を伴ってコンバータに吸収され、増幅を始める。
『レディ准将、これは正式な試験だ!
質の悪い冗談は止めろ!
下手をすれば懲戒処分も…』
「此れでも貴様には冗談と思えるかよ。
…つくづく目出度い頭だな、研究屋。」
モニターに映る女の手には、発射用のガンスコープが既に握られていた。
照準は…
平地に架設された監視塔
『お…おい!やめろ!何を考えている!!気でも狂ったか!?』
「気なんざとっくの昔に狂っていたさ、
貴様らが正常だ、と言うなら、な」
慌てふためく研究者達を他所に、女は酷く冷静に言い放った。
『荷電粒子収束率220%、尚も上昇中。
重力アンカー1番から24番作動。』
『艦内電圧正常、グラビティーコントロール最大出力。
荷電粒子チャンバー内、圧力最大。』
バハムートの口が怪しく放電し、荷電粒子の充填が完了した事を計器が告げる。
次第に胴から口に向けて、更に引き寄せられた大気中の荷電粒子が幾条もの放電と閃光を走らせる。
「イナーシャルキャンセラー最大出力。
ターゲット、インサイト。
総員、対ショック、対閃光防御。」
女のHUDから外界の景色が消え、フレームモデルCGで再現された外界が新たに浮かび、ターゲットスコープとリンクする。
『ほ…本部!本部っ!!応答を!応答を!!
レディ准将が反乱!反乱をっ!!!!』
監視員が狼狽とも怒号ともつかない絶叫を上げる。
「…それが貴様の辞世の句か?
…知れてやがる…」
引き金を引いた女の指には、一片の躊躇も見られなかった。
極光、暫しの後に遅れて、烈風と激震、大地が捲り上がる程の衝撃。
まるで地上にもう一つの太陽が現れた様な閃光と、
この世の終わりを思わせる様な、土砂と大気の嵐の後に残ったものは、
跡形も無く溶解し、炎を上げて赤熱を続ける大小無数の金属塊と、
ウェスタ砂漠へと続く、溶岩と硝子の道。
そして、その溶岩と硝子の道にくっきりと残された、巨大な足跡だけであった。
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ヘラス平野臨時基地消滅から3時間後。
のそり、のそりと、巨大な影が、ウェスタ砂漠を貫く硝子の道を歩いて行く。
硝子の道は、まだ地平線まで続いており、まだ終わりが見えない。
その情景を女、レディ=ハーケン准将は流石我が子だ、と満足そうに眺めていた。
『…これからどうするつもりだ?レディ。
…もう後には退けないぞ。』
そんなレディ准将を見兼ねたか、ジーク=フリード准将が釘を刺す。
「後に退く、だと?
はっ!!莫迦奴(ばかめ)、
お前達にこの話を持ちかけた時から、既に後には退けなくなっていたさ。」
ジークの言葉を、レディは一笑に伏した。
ネオゼネバスが主体開発を行ったとは言え、ガーディアンフォースの、其れも最重要軍事機密である旗艦級の最新型ゾイドを、実弾試験中に開発者自らが強奪したのである。
如何なる理由があろうとも、もし捕まったならば、良くてガーディアンフォース軍刑務所に死ぬまで服役、最悪軍事裁判を待たずにその場で即刻銃殺される運命が待ち構えている。
ネオゼネバス本国にしてみればレディ達は、
『自国のみならず、各国の最重要軍事機密を盗み出した、国家反逆の大罪人』である。
動機の如何を問わず、生かしておく理由は皆無だ。
どちらに捕まるにせよ、死期が如何程早まるかの違いしか無いのである。
『…フッ…還らずの旅か…其れも悪くない…風の如く流るるもまた一興か…』
レディの言葉から何かを察したのか、ベルセルク=ジオ大佐が一人ごちる。
「さて…先ずはニビルシティでこいつを修理してやらねばな…
さっきのメギドバスターで、また左前足が破損してしまったらしい。」
左の前脚を引き摺りながら、バハムートはゆっくりと、しかして確実にニビルシティへと歩みを進めて行った。
さて、漸く本編の開始と相成りましたが、如何でしたでしょうか。
尚、今後本編最後に登場人物、及び登場機体の紹介、解説を記載して参ります。
物語や登場人物への感情移入、キャラの容姿イメージの助けとなれば幸い至極。