送るその先は 作:にしまる
「今日も朝からあっついなぁ~」
本日は六月十七日、朝の七時四十分。すでに日は昇り、学校へ向かう学生たちを夏の暑さでうだらせるには十分な気温となっている。今日も時間通りに家を出て自転車でじめじめとした風を切るのは、
「トラから反応ないなー」
いつもであれば、SNSアプリでほとんど毎朝スタンプを押してくるのだが、今朝は無かったようだ。トラとは、峰が丘第二高等学校に入学してから知り合った同学年の友達だ。本名は
峰が丘第二高等学校、略して二高は、海岸沿いに位置する学校だ。印象としては、年中潮風の絶えない場所で、その香りそのものが学校を思い出させる。お陰で夏に海へ遊びに行っても学校のことを思い出させるのだ。
潮風が横から吹き付け、とても自転車が漕ぎづらい。
「今日も時間通り」
二高の門が見え、入ってすぐの駐輪場に自転車を置き、自分のクラスへ急ぐ。二高は、校舎が三棟あり、門に近い方から三年生、二年生、一年生の校舎となっている。まるで、ちょっとした集合住宅のようだ。トラは、横から見ると二年生の棟が挟まれててサンドイッチみたいだと言っていたな。
「よー、陽平!」
自分のクラスに入ると、すでに来ていたトラが声をかけてきた。夏服のシャツをズボンから出し、右耳だけピアスを開け、金色の短髪という風貌だ。一見、不良にも見えるヤツだが、授業は居眠りもせず聞いて成績も毎回トップ5に入っている。外見とちょっと手が出る素行を除けば優等生だ。
「なんだ、先に来てたのかよ。今朝はスタンプ押してこないから珍しく寝坊したんだと思った」
「今朝はちょっと腹の調子が悪かったんだよ」
がははと笑いながらいつものやりとりをする。二人は正反対の容姿をしている為、周りから見るとギャップがあるだろう。僕自身、何で仲良くなったのか分からないが、気が合うのだから仕方ないだろう。
「俺からのモーニングスタンプが無いと寂しいのかー?」
「そんなワケ無いよ。毎朝しつこいくらいにしてくるから、今日は珍しく寝坊したのかと思ったんだ」
「寝坊なんてするハズ無いだろ?俺、毎晩九時半には寝るんだぜ?」
小学生の頃の僕がそれくらいに寝てたな。
「そんなことよりよー、今日部活終わったら少しヒマか?」
「大丈夫だけど、何か用事?」
「用事ってことでもねーんだけど、ちょっと頼みたいことがあんだよ」
たまにトラは面倒事を抱えてくることがある。それは、彼が正義漢で身内の揉め事に首を突っ込みたがる習性があるからだ。
「分かったよ。今日は少し早めに切り上げてくるから、18時半には終わるよ。どこで待ち合わせる?」
「わりーな!」
とらが両手を合わせて頭を下げてくる。こいつの面倒事は、迷子のペット探しから不良たちのトラブルまで様々だ。今度は何が舞い込んで来るのか。高校生の僕には少し楽しみだった。
初めて投稿するので、一回がどの程度の文字数が読みやすいのかテストも兼ねて投稿してみます。
慣れないと改行とか段落の操作がちょっと難しいです。