「満月…か」
少女は天を見上げて、ため息をつく。
その少女は、艶やかな亜麻色の髪をなびかせて…
白と赤のドレスを身にまとい…
そして、濃い体毛に覆われて、獣の耳が付いていた。
彼女の名前は、今泉影狼(いまいずみ・かげろう)。
男みたいな名前だが、れきとした少女である。
そして…少女であるが『狼男』、と言うか人狼であった。
そのため、満月が来る度、『獣』性が強い姿になる。
つまり…体毛やらなにやらの処理が大変になる。
乙女として、致命的な悩みだった。
そもそも妖怪は、満月になると気性が激しくなる。
影狼も例外ではない、気弱な彼女もこの日はハイになる。
そして満月が終わりシラフに帰ると…その辺のハイになる後の賢者タイムにも憂鬱にさせられる、一因ではあった。
「…でも、最近は、ちょっと満月がすき」
…そして、そんな奥手過ぎる彼女を正直にする、満月はそんな1日でもあった。
「あらあら、影狼さんですか」
影狼は、その満月の日…ある湖の前に立っていた。
そして、その湖の中から、上に有るような言葉を吐きながら現れた少女が居た。
青い巻き髪に尖った耳、そして下半身が魚。
彼女は人魚…淡水魚の、人魚だった。
わかさぎ姫、それがその人魚たる彼女の名前である。
影狼とは、妖怪草の根ネットワークなる、まあ下級から中級クラスの妖怪仲間の繋がりがある友人同士であり、一度影狼がわかさぎ姫を食べかけると、やらかした繋がりもあり…
「今日は、『ナニ』して…遊びます?」
「え…と、わかさぎ姫の好きなように…」
そして、恋人同士のような、更に言えば主人と下僕のような何かだった。
…影狼は、Mだった。
「…わかさぎ姫?両手と両足を縛って目隠しって、いきなりマニアックだよ… 」
影狼は、いきなりのわかさぎ姫の緊縛に困惑したかのように問いかける。
とは言っても…むしろ、自分から縛られるように縄をわかさぎ姫に渡し、一切無抵抗。
目隠しの奥の瞳は、期待に融けた眼をしている。
そんな格好が、敢えて一切服を脱がさず行われている事が、逆にエロスを醸し出していた。
そんな影狼の顔を、いきなり冷たいモノがなぞる。
わかさぎ姫の、手であった。
だが、目隠しでわからない影狼はナニが彼女の舐めたのかがわからない。
その恐怖と関知の為に身体が敏感に反応してしまい、ゾクっと身体を震わせる。
…かわいい反応ね、とわかさぎ姫はくすくす笑う。
そして、わかさぎ姫は、懐から何かを取り出した。
それは…T字の剃刀だった。
「影狼さん…怪我するから、じっとして下さい」
「ふえ…わ、腋に!何かショリって!?剃刀!?危ないわよ!ちょっと、ちょっと止めてよ!」
そして、わかさぎ姫は無表情になりいきなり影狼の腋の体毛を剃り始める。
慌てたのは影狼だ、目隠しされた状態で、抵抗できない姿で刃物を身体に当てられている。
敏感になって反応しやすい身体にそれは…怪我しかねない危険なモノだ。
それこそ、わかさぎ姫の言うとおり、必死で動くまいと影狼は頑張っている。
その顔は、恐怖と…僅かな期待で、笑みが浮かんでいた。
そして、その行為は、脇毛がツルツルになるまで続けられた。
「…ちょっとヒリヒリする」
「あはは、影狼さんがかわいすぎて…はい、仲直りのちゅー」
「ちょっと、ん…ん、あ…ん………」
その乱暴過ぎた脇毛処理が終わり涙目で抗議する影狼を、わかさぎ姫はキスで黙らせる。
ただのキスではなく、深い深い…舌を絡め合う、長いキスだった。
舌を食べられるかのような快感に影狼は流される。
そのうち、色々な事が影狼の頭から抜けていく…酸欠と快楽で。
そして、腋の痛みも、引いていた。
…頃合いかしら、わかさぎ姫は目隠しごしでもトロトロになっているだろう影狼を見ながら内心思う。
そして、キスから影狼を解放すると、くるりと対面していた影狼を背中側に向けて回す。
何事かと、慌てる影狼を、わかさぎ姫はゆっくり抱きしめる。
…ごめんなさい、いつもいつも影狼に意地悪して
…でも、あなたが可愛すぎるのがいけないわ
…どんな姿の影狼も可愛すぎるのがいけないんです
そんな甘い囁きを吐きながら。
影狼は口でこそ、調子良いことばっかりなどと文句ばかりだが、顔はよだれを垂らすほど幸福で歪んでいた。
身体もだらんと弛緩しており、わかさぎ姫のなすがままだった。
…そして、ここからが『本番』だった。
「…だから、影狼をもっともっと可愛くしてあげます!」
「ちょ…あ、あは、アハハハハ!」
いきなり、わかさぎ姫は影狼の腋をくすぐりはじめる。
コショコショコショコショと、最初はかわいいモノだった。
そんな軽いくすぐりでも、影狼は涙目になるぐらいの『イイ』反応を見せる。
だが、止めてとも言わず、かわいらしい声で笑うだけだった。
そんな影狼を見て、わかさぎ姫は加虐心を募らせる。
指の腹でくすぐっていたのを、わかさぎ姫は爪を軽くたて、敢えて震えるようになぞりながら…しかし、今までの三倍近いスピードでくすぐる。
そんな暴力的なくすぐりの前に、影狼は耐えられる筈が無かった。
「や…やめ……ハハハハハ…か…息でき……ハハハハハハハ……ハハハハハハハハハハ!?」
「あらあら、くすぐりだけじゃ無いわ…ふ~」
「…!?…!??!!!あ…ああああ!?」
更に、わかさぎ姫はくすぐりの快楽に限界近い影狼の耳に向けて、軽く吐息を吹きかける。
限界を超えた感覚の暴力であった。
くすぐりだけでも耐えきれないのに、獣人の最も敏感な部位を苛められてはもう理性も限界だ。
断末魔のように影狼は絶叫するしかない。
流石の影狼も、精神が限界近い状態だった。
だが、わかさぎ姫は不満そうな…と言うか、もっと欲しがる表情をする。
そして、影狼に向けてこう言った。
「息だけでこうなら、えい!」
「耳だべにゃいでぇぇぇぇぇ!?や……アアアアハハハハハハハハハハ!」
かぷっと、直にわかさぎ姫は影狼の耳を甘噛みする。
そして、舐めまわすように影狼の耳をわかさぎ姫は舐めまわす。
吐息だけで影狼はああなったのだ。
直に…しかも、ペロペロと言うかわいらしいモノではなく、穴と言う穴を舐めて吸い尽くすような、暴力的な舐め方だ。
影狼は、もはや快楽とくすぐったさに、殺されるんじゃ…と言う錯覚に陥る。
そんなうち、影狼の身体に異変が訪れる。
身体の奥が震える。
そして、液体が股から流れそうな危機感を下腹部に覚える。
…身体が弛緩し過ぎた事と快楽に負けた事からの、放尿のサインであった。
乙女として大事な一戦を超えてしまいかねない、SOSだった。
「わかさぎ姫ぇぇぇ!駄目…おひっこ、おひっこししゃう…」
影狼は、もう限界だと、わかさぎ姫に息も絶え絶えに伝える。
そこには、先ほどまでの多幸感に融けた声色は無く、危機感に震える乙女のそれだった。
「あら、やりすぎました…このままじゃ湖が汚れちゃうし、影狼さんの服もめちゃくちゃね」
「しょ…そうよ……だから、くしゅぐりは…もう……」
「でも、それはそれで面白そうです!おしっこだけ湖にかからないようにして、限界こえちゃえ~」
「あ……やぁぁ!ああああ!?」
だが、それは、わかさぎ姫に火をつけただけである。
更に、くすぐりは苛烈さを増す。
いつの間にか脱がされた靴を狙って足裏を徹底的に責められたり…
首筋をツツツ~と、爪で引っかかれたり…
時には、お尻を不意打ちでカリっとかかれたり…
どれも、影狼の身体を悦ばせ…そして、限界を迎えさせるものだった…
その責めによる結果は…遂に訪れた。
「…………!?あ、うぁぁ!?」
ぷしゃあ、と…一瞬だけ勢いよくその水は流れ……じわじわちょろちょろと、後は恥ずかしがるようにそれは流れ出る。
それは、影狼の羞恥心そのもののように思えた。
そして、遂にやらかしてしまった影狼はえぐえぐと泣き出してしまう。
だが、わかさぎ姫は…そんな影狼の姿を見て、むしろ嬉しそうだった。
そして、脱力して倒れる影狼の手枷だけ外し、力ずくでワンピースを無理やり脱がす。
…下着、やっぱりしてないんだ、変態
わかさぎ姫は見下したように言いながら、影狼を全裸にすると、いきなり股を舐め始めた。
「わ、わかさぎ姫ぇ!?今のそこ、汚い!汚いからぁ!?」
「あら、影狼のなら汚くないわ…綺麗にしてあげないと病気になっちゃいます」
出したばかりのデリケートな部分を、まるで美味しそうなものを舐るように舌を這わせるわかさぎ姫。
影狼は羞恥心と異常さにうろたえるが、わかさぎ姫は一切気にしない。
むしろ、当たり前のような、そんな口調だ。
そして、影狼は…先ほどと同じ、いや、それ以上の危機感を身体に募らせた。
「あ…う………出る、また出ちゃう……残ってるの、全部出ちゃう……」
そう、もう一度の放尿の危機だ。
羞恥心とプライドは完全に一度目の失禁で砕かれたが…二度目は、親友かつ恋人の眼前でのそれだ。
やらかした事を見られる快楽と、顔にかかるだろう申し訳で顔を歪ませる。
だが…
「あらあら、私の顔にかけるつもり?それは困ったな…てい!」
「ふえ!ぐるんって!?やだ、お尻丸出しでひっくり返しちゃ駄目!?」
わかさぎ姫は余裕の表情で、いわゆる『まんぐり返し』のポーズで影狼を固める。
大事な部分を見せつけるようなポーズにされて、砕かれた羞恥心がまた芽生える影狼。
目隠しされているが…むしろ、目隠しされているからこそ、その羞恥心は限界の限界だった。
…そして、影狼は自分で直感した。
このまま出してしまえば、もう『戻って』これないだろうと。
だが…わかさぎ姫は容赦しなかった。
「えい!とどめのラストスペル~なんちゃって!」
コショコショと、まんぐり返しの姿を崩さない程度に優しく腋をくすぐる。
だが、その程度でも…再び影狼が築き上げた、なけなしの羞恥心とプライドを完全に砕くには充分だった。
「あ、出ちゃう!出たら駄目ナノ出ちゃうあアアアア!?!」
「あ~凄い勢いよく出ましたね…」
ふしゃぁぁ、と、黄色い虹が描かれた。
「ん……ああ、止めて……もう、全部出たのぉ………」
「そう?影狼、貴女のあそこから、おしっこ以外の味がしてきました」
「ああ、酷い、酷いよぅ…」
わかさぎ姫はあれから、完全に心が折れた影狼の足枷と目隠しも外し、デリケートな部分をまた舐めて処理してあげていた。
あれ以上は『苛め』はわかさぎ姫はせず、優しく愛撫したり舐めたりするだけだったが…影狼は、子供のようにぐすぐすと泣き出してしまった。
そんな影狼を…わかさぎ姫は呆れるような表情で見て、そして、ついに舐める事を止めてしまう。
そして、ぎゅっと影狼をわかさぎ姫は抱きしめると、よしよしと、頭を撫でた。
「今日は…ちょっとやりすぎました、ごめんなさい影狼」
「わ、わかってるなら…やめてよぅ、子供みたいに撫でないでよぅ…」
「…本当は、私もこんな感じで優しくしたいのに…影狼が悪いのですよ?何時も何時も、もっともっとと激しくてマニアックなプレイばかりつき合わされて…毎回、妙なプレイを考える身になって下さい」
諭すように影狼へと言い、背中を優しく撫でられて…影狼は申し訳なさとわかさぎ姫の愛を一身に受けて、ついついわかさぎ姫の暴挙を許してしまう。
…わかさぎ姫の言うことは、一字一句、事実だから。
影狼は、否定する事はできなかった。
そして、わかさぎ姫は最後に付け加えた。
「…毎回、月1しかできないなんて溜まりすぎるの…もうちょっと、回数増やしてもいいじゃないですか」
満月じゃないと、求める勇気もなくて…と、わかさぎ姫の言葉に、子供のようにしゅんとする影狼。
そんな影狼を、わかさぎ姫は…いきなりくすぐった。
「…!?またぁ!?もうくしゅぐりはやらぁ!」
「そんなつもりじゃないの、ちょっと堅すぎた影狼を崩したかっただけです」
「う…むぅ……」
「別に…そんな頑なにならなくて良いですよ?だって…」
私、影狼なら何時でも大丈夫ですから!満月以外でも愛し合いましょうよ…ちゃんと、普通に。
影狼は泣きながら、大好き!とわかさぎ姫を抱きしめた。
そして…
「…だからって、毎日は極端すぎですよ」
「だって、月1時代の時にわかさぎ姫が毎回やりすぎるから…もう、1人じゃ満足できないの!」
はあ、とわかさぎ姫はため息をつく。
コレも、惚れた弱みですか、とわかさぎ姫は影狼と優しくキスをする。
影狼も、そのキスにゆっくりと応え…優しく、愛撫しあう2人なのであった…。