※この作品はR-18です。

ヒカルの碁 神様への反逆   作:modasi

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14 「神の一手」

 

 夏休みに入ってすぐ、ヒカルは棋士採用試験予選に臨んだ。6月の時点でヒカルは院生順位5位になっていたが、3か月の平均で予選免除が決まる為、残念ながらヒカルはその規定に届かなかったのだ。

 ヒカルは三連勝し早々に本選への切符を手に入れる。奈瀬明日美も予選通過したが、残念ながら松下香歩は予選通過出来なかった。残念会と決起会が香歩の家で行われ、ヒカルは二人の少女と熱い一夜を過ごすことになった。

 

 本選は8月末の土曜日から始まる為、1か月弱、間が開く。ヒカルは囲碁の勉強をしつつも恋人たちと夏休みを満喫した。

 あかりたちと泊りがけで海水浴に行った時は、ビキニ型についた日焼け跡がそそる少女たちと朝までセックスをして過ごした。

 あかりの姉のしおりとは二人でショッピングを楽しみ、夜はしおりが気絶するまで犯し続けた。

 塔矢明子とは一泊二日の温泉デートを満喫した。露天風呂付きの客室に泊まった二人は温泉の中でセックスし、温泉から上がった後もずっとつながりっぱなしで過ごす気持ちのいい旅行を満喫した。

 日高由梨と小林奈美とはプールに一緒に出掛けた。露出の激しい水着で視線を集めた由梨は露出癖を多いに刺激し、その後のセックスは激しい3Pとなった。

 市河晴美とは晴美の部屋で晴美の好きなアナルセックスを堪能した。

 そして最も多くセックスしたのは三谷響生であった。ヒカルはインターネット碁を多く打った為、その後に響生とカラオケボックスで多くセックスすることになったのだ。

 

 

 

 

 

 夏休みを満喫していたヒカルを愕然とさせる出来事が起こる。塔矢先生が心筋梗塞で倒れたのだ。ヒカルは驚きすぐに塔矢先生の見舞いに病院にかけつける。

 

「進藤君もお見舞いに来てくれたのか、ありがとう」

 

 広い病室には緒方と広瀬、そして市河が見舞いに来ていた。病状が悪くないと聞き、安心するヒカル。緒方がネット碁を塔矢先生に勧め、塔矢先生が病室でネット碁を打っているという話になり、広瀬は私もネット碁を始めてみようかなぁと興味を示す。そこに緒方がヒカルを指さし、

 

「進藤に教えてもらうといいですよ。進藤もネット碁をやってますからね」

 

「そうなのかい、進藤君」

 

「えっ!?な、なんのこと?俺ネット碁なんてやってねーよ?」

 

「ほぉ、お前とまったく同じ打ち筋なのに違うと言うのか?国際囲碁大会では『sai』は誰だと大騒ぎになったんだぞ。俺とアキラ君は黙っていてやったのに。いいのか、ばらしても?」

 

「騒動に?どういうことだい、緒方君?」

 

「先生、それがインターネット碁に『sai』というハンドルネームで無敗の奴がいまして。最近だと一柳棋聖にも勝ってしまったんです。中韓のプロにも勝っているらしいですね。無敗の素性が知れない棋士、今、ネット碁をしている奴は皆必至になって『sai』が誰か探している状況ですよ。進藤、お前はまだ院生の無名だからばれていないが、これからプロになって棋譜が出回ればすぐにばれることだぞ?院生の何とかという奴なんかは進藤が怪しいと言っていたがそれもごまかしてやったんだぞ。今、白状しておいた方が身の為なんじゃないか進藤」

 

 ほぉ、と驚く塔矢名人、押し黙るヒカルに広瀬が感嘆の声を上げる。

 

「へぇ、進藤君が一柳棋聖に!すごいな、進藤君!今週から始まるプロ試験はアキラ君と揃って合格間違いなしですね!」

 

「もぉ、広瀬さんは!そういうこと言うとヒカル君にプレッシャーがかかるでしょ。落ち着いて周りの雑音なんて気にしないで頑張ればいいんだからね、ヒカル君」

 

 市河が広瀬を窘め、ヒカルを元気づけようと笑顔を作る。

 

「ありがとう、晴美さん」

 

 ヒカルの強張った顔を見るのが辛かったのか、市河はほらほら、そろそろお暇する時間ですよ、と緒方と広瀬を引きつれて病室を後にする。部屋にはヒカルと塔矢名人だけが残った。

 

「先生は入院中しかネット碁はやらないんですか?」

 

「ああ、まぁね、やはり、実際の碁笥から石を掴んで打つ感覚がないと物足りなく感じてね、私みたいな古い人間にはクリックではどうもね、ははは」

 

「……塔矢先生、お願いがあります。ネット碁で俺と真剣勝負してくれませんか?」

 

「ネット碁でかい?どういうことかな、進藤君。君とは研究会で真剣勝負をよくしているのだし、ここに来てくれれば直接対局だって出来るが……」

 

「……ネット碁で俺は『sai』というハンドルネームで打ってます。緒方先生の言っていたのは確かに俺です。でも、saiは本当は師匠の名前なんです。師匠の名前を使って俺が打っていたんです。……それが、大騒ぎになってるなんて知らなかった。俺がsaiだってこと絶対に周りに知られるわけにはいかないのに!俺の師匠を消すことになっちゃう。だからもう『sai』としてネット碁は打てないんです。でも、だから最後に俺の師匠がどうしても打ちたがっていた塔矢先生とネット碁で『sai』として勝負がしたい。お願いします先生!」

 

「ふむ、進藤君、いくつか確認するよ。……君の師匠はもういらっしゃらないんだね。それはお亡くなりになられたということかい?」

 

「……はい」

 

「そうか、そして君はその師匠の名を借りてネット碁を打っていた。その師匠は私と打ちたがっていた。その願いを叶え、そして師匠の代わりに私と最高の勝負をして師匠の名をネットに残してやりたい。そういうことかな?」

 

「そうです」

 

「わかった。君の想いは素晴らしいことだと思う。私はネット碁で君と、君の師匠である『sai』と真剣勝負をしよう」

 

「先生!ありがとうございます!」

 

 ヒカルは涙を堪えるのに必死になりながら塔矢先生にお礼を言う。塔矢先生も優しい表情でヒカルを見つめる。

 

「しかし、いつ対局するかな」

 

「俺はいつでも大丈夫です!先生の都合のいい日でお願いします!」

 

「ああ、ありがとう。そうだな、少し慣れないと、間違ったところに石を置いてしまうだろうからね、それでは君の師匠に失礼な対局になってしまう。2日練習時間が欲しいな。碁聖戦の第五局が来週の月曜日にあるから、その前か、金曜日に対局があるからな。土曜日なら、いや、土曜日はプロ試験初日か、ふむ難しいな」

 

「土曜日で構いません!お願いします先生!」

 

「……それほどまでの覚悟か。わかった、土曜日に私は全身全霊を持って対局をしよう。君の師匠の名を汚さぬように戦うよ」

 

「先生!ありがとう!」

 

 ヒカルは泣きながら塔矢先生にお礼を言う。ヒカルが落ち着くのを待って詳細を詰める。土曜日の10時から、持ち時間は3時間、ヒカルが設定し塔矢先生に申し込むことを確認し、もう一度お礼を言って、病室を後にする。

 

 

 

 

 

 金曜日、ヒカルは塔矢先生の棋譜研究をしていた。どの棋譜も塔矢先生のバランスが冴え渡ったすばらしい名局ばかりだ。この相手に明日ヒカルは『sai』として挑む。

 塔矢先生が倒れた時期が前回とまったく違ったことにヒカルは驚いた。ヒカルはもう少ししたら塔矢先生の顔色が悪いから精密検査を受けるよう言うつもりであった。その前に塔矢先生は倒れてしまった。未来は変化し、ヒカルの知るものではなくなっているのだ。

 

 それでも、半ば諦めていた、『sai』vs『toya koyo』が実現するのだ。ヒカルは本当に塔矢先生の優しさに感謝した。これまで、『sai』は無敗で来れた。もともと早碁が得意なヒカルが佐為として打つのだ。大抵の相手には勝てる。そして、ヒカルは『sai』の名をかけているのだ。対戦相手が遊びでやっているネット碁をヒカルは命がけで打っている。勝つべくして勝ってきた。

 でも、その無敗も明日終わるだろう。佐為として打ったところでヒカルの実力では塔矢先生には勝てない。実際に研究会で打って一度も塔矢先生には勝てていないのだ。ああ、くそっと気を散らしていたところに、あかりが来たと母親が声をかけてくる。

 

「ヒカル、明日のプロ試験で集中しているかもしれないと思ったけど、最後の応援がしたくて」

 

 ヒカルの部屋に入ってすぐに、あかりは迷惑なら帰るからといいつつ、来訪の目的を告げる。ヒカルは心が落ち着いてくるのを感じた。

 

「あかり、ありがとう。俺、ちょっと緊張してたから、あかりの顔見れてほっとした。一局打たねぇ?」

 

「えっ、大丈夫?私なんかと打ったらヒカルの調子が狂っちゃうよ」

 

「ん~ん、あかりと打ちたいんだ。あかりと打てば、明日は落ち着いて対局出来る気がするんだ俺」

 

「うん!」

 

 顔を赤くして喜ぶあかりと対局をする。ヒカルがあかりをからかい、あかりはもぉと拗ねる。ごめんごめんとヒカルが謝り、笑いあう。その一局はヒカルを落ち着かせ、あかりを楽しませた。これもまた囲碁の素晴らしさなのだろう。

 

 

 ベッドの上に仰向けになった裸のあかりを上から覆いかぶさるように抱きしめる。伸ばし始めたセミロングを後ろにまとめたあかりの髪から香るシャンプーと汗の匂いが混ざり合い、ヒカルの鼻腔をくすぐる。勃起したヒカルの肉棒を優しく撫で、しごいてくるあかりの手が気持ちいい。唇が重なる。

 

「っちゅう、ん、んん、ちゅっ、はふぁ、れろれろ、ちゅう、ん、んあん、ああ」

 

 ヒカルの胸とあかりの胸が擦れ合い、それぞれに快楽を与える。

 

「今日は安全日だからこのままいいよヒカル」

 

 あかりは蕩けるように微笑み、ヒカルの肉棒を己の膣入口に誘導する。ずぶりとヒカルはあかりの膣に肉棒を挿入する。そのまま動かず、ヒカルはあかりと口付けをし、耳元で愛してると何度も囁く。私も愛してるとあかりが答えてくれるのが嬉しく、ヒカルはあかりを強く抱きしめる。

 

「ヒカルのが私の中にあってね、それで抱きしめられてると私とヒカルがくっ付いちゃったみたいでね。ヒカルの鼓動が聴こえてきて、とっても落ち着くの」

 

「俺もあかりの鼓動がわかるよ。こんなに落ち着けるのはあかりとだけだ。愛してるよあかり」

 

「私もヒカルのこと愛してる」

 

 二人は啄ばむようなキスを繰り返し、やがてディープキスに至る。お互い抱きしめあったまま、ゆっくり抽送を行い、あかりの膣で果てるヒカル。あかりもうっとりした表情のまま深く絶頂し、スローセックスは終わりを告げた。冷房が効いた室内だったが二人は汗みずくになっていた。

 

「こういうセックスもいいね、ヒカル」

 

「ああ、落ち着いた気持ちになれた。ありがとうあかり」

 

 あかりはヒカルの家で夕食を食べ、ヒカルに家まで送られて帰って行った。ヒカルは肩の力が抜け、リラックスすることが出来た。明日は万全の状態で臨めそうだ。

 

 

 

 

 土曜日、インターネットカフェにヒカルは来ていた。今日は三谷響生のシフトが夕方からな為、受付で料金を払い、席に着く。画面を立ち上げ、ワールド囲碁ネットへ接続する。

『sai』としてログインし、塔矢先生を待つ。『toya koyo』が対戦画面に現れる。申し込みボタンを押し、対局時間の設定をする。『toya koyo』が対局を承認する。ついに『sai』の最後の戦いが始まった。

 

 ヒカルは恐ろしいほど集中出来ている自分に気付いていた。あかりのおかげだろう。そして、かつてないほど簡単に佐為をイメージすることが出来た。いや、佐為はもう出来上がっていたのだ。佐為に成りきるのではない。仮想の佐為がヒカルの頭を乗っ取ったのだ。佐為がヒカルの身体を動かしていく。

 

 対局は先番の行洋が佐為の勝負手に妥協し、受け入れる展開で進んだ。しかし手が進むと佐為の勝負手が働きを失い、行洋の形勢有利へと傾いていく。どちらも相手の手を読み合い、少しの隙もない着手が続く。このまま行洋勝利へ向かうかと思われた勝負は、大ヨセの段階で佐為の会心の一手を持って形勢逆転となる。猛烈に細かい碁となるも佐為有利になっていた。

 しかし、行洋の181手目、右上隅オキを持って形勢は行洋へと再度揺らぐ。残る挽回の道はなし。この一手を持って勝者は行洋のものとなった。

 佐為が投了をクリックする。画面に『White has resigned. Black won.』と表示され終局を迎える。

 

 佐為が消え、ヒカルが覚醒する。頭痛のする頭を振り、画面を見る。ヒカルは行洋との勝負の最中、意識を失っていた。ヒカルが作った佐為がヒカルを乗っ取り勝手に対局していたのだ。

 

 画面に映し出される棋譜を見て、ヒカルは固まる。それは前回、佐為と行洋がネット碁で打った対局とまったく同じであったのだ。しかし、結果が違う。前回、ヒカルが気付き、佐為に指摘した勝負の別れ目を今回の行洋は間違えることなく打っていたのだ。

 

 茫然とするヒカル。そして理解する。

 

 なぜ神がヒカルを過去に戻したのか。

 どうして佐為はいなかったのか。

 ヒカルとして囲碁が打てなくなったのはなぜだったのか。

 

 全てはこの一局を仮想の佐為に打たせる為だったのだ!

 

 塔矢門下に入ったヒカルは佐為として行洋と打っていた。前回とは違い、行洋はこの対局に備えることが出来たのだ。その結果がこの結末を生んだ。

 

 行洋はこの一局をきっかけに恐ろしいほど成長するのだろう。かつてのヒカルのように!

 そうだ!神の一手に一番近い男の成長を促す為だけにヒカルは過去に戻されたのだ!

 佐為に会わせる?そんな必要はない。ヒカルは佐為のおかげで成長するきっかけをすでに得ているのだから!

 ヒカルとして囲碁が打てない?当たり前だ!この一局を打たせる為に、仮想の佐為をヒカル自身で生み出させる必要があったのだから!

 

 全ては神が望んだ通りの展開だ!

 

 神への復讐の為に神の一手を極めようとした。だがそれすら、神の掌の上だったのだ。

 

 ははははははははは!!!!

 

 ヒカルは泣きながら、笑った。嗤って、哂って、泣いた。

 

 仮想の佐為がヒカルの中に溶けて消えていくのがわかる。佐為の力がヒカルのものになっていく。ヒカルとして打てないという呪縛が外される。

 

 ああ、神はヒカルの成長をも促す為にこのようなことをしたのか。

 

 ふざけるな!

 

 絶対に絶対に許さない!

 

 佐為はお前の駒だったのか!俺はお前の操り人形だったのか!

 

 神とはどこまで人間を好き勝手に出来るというのだ。許さない。だったら、神の思惑を超えた先に行ってやる。塔矢行洋は成長し、最強の碁打ちになるのだろう。ならば、俺は塔矢行洋を超える。それもお前の思惑か。構わない。誰よりも強くなってやる。

 

 あの真っ白な夢で見た光景は神が人間の代表と打っていた光景なんだろう?最強の人間を招いてお前は碁を打ち楽しむのだろう。後悔させてやる。お前を完膚なきまで叩き潰すほど強くなってやる。

 

 

 頭を抱え、泣きながらうずくまるヒカルを抱きしめてくる手があった。

 

「ヒカル君、大丈夫?」

 

 響生の優しい声がヒカルの耳朶を打つ。抱きしめられ、頭を撫でられる。

 

「大丈夫よ、大丈夫だからね、お姉ちゃんが付いてるから」

 

 ヒカルのことを本当に心配し、安心させようとする響生の優しい声。ヒカルはその声を聞き、その温もりを感じることで、急速に怒りが消えていくのを感じる。落ち着いたヒカルは、ヒカルと交わった佐為の息吹きを、想いを感じる。心が熱くなる。ヒカルと愛し合ってきた女の子たちの笑顔が浮かぶ。

 

 恋人たちの笑顔がヒカルの心を神様から解放し、ヒカルに無限の力を与えてくれる。神様への復讐心、そして反逆への道を捨てることこそが、神様への反逆になるのだ。

 

 そうだ。佐為の愛した囲碁を復讐の道具にするなんて、もとから間違っていたんだ。神の一手なんてそんなものは存在しないんだ。囲碁という何よりも楽しい遊びを誰よりも遊び尽くす。その果てに誰もがびっくりする一手、神様の悪戯のような一手、それが打てたなら、その一手こそが神の一手と呼ばれるものなんじゃないのかな。

 

 あかりが、明日美が、香歩が、久美子が、由梨が、奈美が、茉莉が、碁打ち皆を楽しませる一手を打ちたい。

 

 ヒカルと溶け合った佐為が笑った気がする。それがあなたの答えなのですね、いい答えです。

 

 響生の温もりを感じながらヒカルは顔を上げる。涙で濡れた瞳は輝き、笑顔が弾けている。

 

「響生お姉ちゃん、俺はやっぱり囲碁が好きだ。それと同じくらい、響生お姉ちゃんも好きだ。これからも一生俺の傍に居てくれる?」

 

 響生はヒカルの輝く笑顔に見つめられ、顔を真っ赤に染めながら、満面の笑みを見せてくれるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






お読み頂きありがとうございました。
これにて本編完結とさせて頂きます。
この後は、エロとかエロとか主人公Tueeeeとか、エロとかの蛇足を書かせて頂きます。
ですが、しばらく休憩させてください。疲れました。
最後に、ここまでお付き合い頂き本当にありがとうございました。


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