マンコがサイトを召喚しました 作:げへへへへ
「マンコの化け物、略してマンコバ」
サイトは謎の言葉と共に目を覚ました。顔には白い布がかけられている。向こう側は若干透けて見える。それを手に取って外そうとすると、頭がクッと動いた。
「帽子?」
布は帽子とつながっていた。サイトはよく分からない帽子を被らされていた。
その帽子を脱ぎ、体を起こすと、古い印象のベッドや建物が目に入る。年代物の洋館のように思う。部屋がやけにベトベトジメジメしていて、不快に感じる。
なぜこんなところで寝ているのだろう。記憶がない。
「あっ、起きられたのですね」
ふと、女の子の声が聞こえた。ドアの辺りにメイド服の女の子がいた。それ自体も不思議だが、何故かサイトが被っていたのと同じような布付きの帽子で顔を隠している。
「きゃあ! 不潔です!」
女の子は慌ててサイトから顔を背け、しゃがんだ。
何があった? まさかズボンが脱げていたとか!?
サイトはふとんをめくって下半身を確認する。ズボンは履いている。しかしチャックが開いて、パンツの中央も開いて、中身が出ていた。
「ご、ごめん!」
サイトは慌てて一物をズボンの中に隠し、チャックを閉める。
女の子は恐る恐るサイトを伺う。
「し、下着を早くつけてください! 早く! アレが!」
しかし、再び顔を背けてしまった。サイトはわけが分からなくなった。再び自身の下半身を確認する。当然ズボンのチャックは閉まっている。
「な、なあ。チャックは閉めたんだけど」
「チャック……?」
女の子はもう一度チラとサイトをうかがう。しかしまた大声を上げる。
「ぜ、全然変わってないじゃないですか! 何がしたいのですか! エッチ!」
「はあ?」
サイトはポカンと口を開けてしまった。
それからしばらくそんな状況が続いた。しかし、ある時サイトはハッと気付いた。初めの、布付きの帽子を被ってみた。
「はあ、はあ、はあ。どうして早く着てくれないんですか? 耳はちゃんと聞こえるんでしょう?」
当たりだったようだ。しかしなぜ女の子はサイトの顔を見たがらないのか。イケメンとは言わないが、中の上以上ではある自信がある。もし不細工だとしても失礼なやつだなと思う。
「お前なあ。人の顔を見て不潔はないだろう。ちゃんと洗ってるぜ」
サイトは注意してやった。しかし女の子は逆に怒ってきた。
「な、何言ってるんですか! 見せたいのですか! 変態です! 衛兵を呼びますよ!」
「はあ?」
サイトはだんだん腹が立ってきた。変態という言葉に釣られて女の子の胸や股に視線が動いたのは、エロガキだから仕方ない。しかしそこでとんでもない物を見てしまった。
「ま、ままっ」
サイトはハッとして口を閉じた。言ってしまってはもったいない。
ハサミで切ったように女の子のアソコだけ丸出し。ピンクのビラビラがこれでもかと突き出され、その存在を主張していたのだった。
「な、なんですか?」
「い、いや、なんでもない」
サイトはいいものが見れたと思った。いや、今もジッと見続け、目に焼き付けようとしているわけだが。もはや先ほどの怒りは消えていた。
「うっ」
ふと、サイトは頭痛を覚えた。ピンクのビラビラの形が、彼の記憶の何かを刺激した。よくないものだった。サイトは頭を振って気を紛らわす。
しかし、後ろから聞こえてきた。記憶に新しい、あってはならないはずの音が。
くちゅくちゅくちゅ、くぱぱあ(んんっ、ああっ)。
「あっ、ミス・ヴァリエールが目覚められたようですね」
女の子が立ち上がり、サイトの後ろに顔を向けた。サイトは振り返りたくなかった。ぺちゃぺちゃと水で遊ぶような音が聞こえてきた。
続いて、ザバーンとプールから上がるような音。
くちゅ、くぱぱぱああ、ねちょっちょ(ああ、起きたようね。おはよう)
サイトは耳を疑った。いや、頭だろうか。くちゃくちゃ音がしているだけなのに、そいつの発した音に言語的な意味を感じてしまった。しかもそれがやけに人間的なのだ。
「くちゅくちゅ、ぱぱぱあ。ねちょちょーっちょ(おはようございます。ミス・ヴァリエール)」
女の子の方も謎の音を口で発した。しかしサイトはその意味を理解できてしまった。
「あ、あ? ああ? くちゅくちゅ? あはっ」
サイトは半狂乱で、バカみたいな面で笑みを浮かべた。そしてやけになって後ろを振り返ってしまった。
くぱぱあっ、ねちゅちょっちょ、くちゅっ。(何よ。人の顔じろじろ見ないでちょうだい)
巨大なピンクのアワビが、すぐ後ろで横たわっていた。いや、冷たい露天風呂みたいなものに浸かっていた。
「あっ、あっ、あっ」
フラッシュバックする記憶。草原で巨大なピンクのアワビと赤黒いきのこに囲まれた。そのうち2番目くらいにピンクがはっきりしたアワビが追いかけてきて、サイトに覆いかぶさった。とても気持ち悪い粘着液で全身ベトベトになった。
サイトは大きく口を開け、目の前のアワビを指差し、その状態で固まってしまった。大声で叫びたいのに恐怖のあまり声が出ない。
ねちゅっ、くちゅくちゅくちゅ。くぱぱあちゅちゅぱっぱ。(なっ、失礼なやつ! 主に向かって指を差すなんて!)
ピンクのあわびはビクンビクンと震え始めた。どこか誘っているように見えてなお気持ち悪い。ふと、アワビがその場で回転した。巨体の割にとても素早かった。
アワビの後方に、貝殻のようにして人肌のような肌色の部分があり、そこにはピンク色の毛が生えていた。サイトの背丈くらい長く、指くらい分厚い。サイトは髪の毛のようだと思った。しかしすぐ後に、より厳密には陰毛だと思った。
ふと、その毛の1つが、サイトの方に伸びてきた。とても素早く、ムチのようにしなってサイトの顔へ飛び込んだ。パシン。とても鋭い音が出る。
「ぶほっ」
毛にぶつかったサイトは、首が回って反対側を向く程の衝撃を受けた。とても痛い。しかしそれ以上に、現実が信じられなかった。パシン。もう一度ぶたれる。
「い、痛い」
くちゅっ、んぱぱぱあ。くぱあ、くちゅちゅちゅくちゅう。(ふん、当たり前よ。ご主人様を怒らせるとどうなるかその体に叩き込んでやるわ)
サイトは打たれた頬をすすりながら思った。ここはお化け屋敷だ。早く脱出しなければ化け物に食われてしまう。
サイトはアワビに連れられて廊下へ出た。建物内は相変わらずジメジメしており、廊下の両脇には幅1mくらいの水路があった。水路の中には、先ほどのピンクのアワビの毛のようなものがちらほら浮いていた。色は黄色が一番多く、黒や赤や青もある。メイド服の女の子はそれを見つける度に水路に手を突っ込み、拾って、背中に負ったかごに入れていった。手袋はしていた。しかしサイトはゾッとしてしまったのだった。
くちゅ(略)(水路が珍しい? まあ平民にはもったいないものね。右が男性用。左が女性用よ。と言っても貴族専用だから、あんたみたいな平民は入っちゃダメよ)
右がきのこ用。左がアワビ用だとサイトは覚えようとした。しかし、右側だけ粘っこい白い液が浮いていることに気付いた。そちらがきのこ用なのだ。彼の常識でも簡単な推論で導けることに気付いた。
他、使い魔だなんだ言われたが、きっと太らせて後で食うための罠なのだろうと思った。
「ミス・ヴァリエールは3日も授業時間以外ほとんど付きっ切りで看病されていたのですよ。薬代だって」
メイド服の女の子はやさしい声でサイトに話しかけるが、サイトは彼女も騙されているのだと思った。女の子の花びらを見せてくれた恩があるから、縁があったら一緒に脱出させてあげよう、とかも思った。