---ファルビウム---
魔王会議で次期魔王に推薦したい人物がいると、サーゼクス、セラフォルー、アジュカから、提案があった。その人物の名前を聞くと、3名とも同じ人物をあげてきた。現状、悪魔ではなくて人間であることが、俺にはネックに思えた。
「魔王って、悪魔の王だぞ」
一応、確認する。
「わかっている。将来的には魔王輩出家の次期当主の旦那になる予定だ」
「サーゼクス、それでも、人間だろ?」
「将来的には、私の旦那さまになっているかもしれない」
「セラフォルー、マジか?」
セラフォルーは頷いている。
「いや、しかし…ただの人間じゃなぁ」
「彼の後見人は、リリンだぞ」
「はぁ?生きる屍か?」
「そう、その生きる屍が、生き生きとして、彼に尽くしているぞ」
「マジか?アジュカ?」
「あぁ、マジだよ。しかも、彼の強さは、ここにいる魔王4人が束になってもかなわないと思う」
「尋常じゃない強さだね。何者だ?ただの人間に思えないぞ」
「血縁的にはただの人間だが、DNAレベルだと、リリンとオーフィスとグレートレッドのハイブリッド人間だ」
すぐにアジュカの言った意味が理解できなかったが、頭の中で復唱してたら…おい、それって…
「悪魔の遺伝子入りの最強のドラゴンか?」
「そういうことだ。魔王の資格はあると思う」
腕組みをして考え込む。悪魔とドラゴンのDNAを持つハイブリッド人間だと…普通の配合ではあり得ない。リリンが仕込んだのか?
「彼は旧魔王派のリリンの差し金じゃないのか?」
「いいや。リリンは新魔王派を名乗っているぞ」
サーゼクス、マジか?あの生きる屍のリリンは悪魔の未来を見ているのか?
「俺がその彼と面接してみよう。それからだ。その推薦が妥当かどうか考えるのは」
3人が俺の提案に頷いた。
「あと、例の『王』の駒の件だが、イッセーくんのおかげで半数くらいが回収できた」
アジュカから違法レーティングゲームの駒の摘発状況が報告された。うん?押収でなくて回収って?
「押収でなくて、回収なのか?」
疑問を口にする俺。
「あぁ。イッセーくんの『強奪』の能力で、相手に悟られずに回収してくれている」
それは、穏便な方法だな。って、すでに彼は、魔王の仕事に協力をしてくれているのか?
「彼は律儀な人物だよ。依頼したことは着々と進めてくれる。僕の依頼内容について他言もしない。その人柄も魔王に推薦した理由の1つだ。」
「そうか。俺も一度会ってみたいな」
正直な感想をぼそっといった。
---イッセー---
暴走してしまった自分には記憶がないけど、たくさんの方々に、迷惑をかけてしまったみたいなので、カウンセリングを真面目に受けている。僕の制御できないペニスは、誰にもどうにもならないので、極力自分からはペニスを動かさないようにと、その練習とかしている。有り難いことに、精神面は時間をかけて、みんながフォローしてくれるみたいだ。
気分転換に、冥界の森をオーくんとアポくんの三人で散策していた。ドラゴン三人、初めて見る物が多く色々観察していた。そんなとき、突然オーくんとアポくんが臨戦態勢に入った。
「イッセー 我の後ろにいて」
オーくんが、僕の前に立ちはだかった。目の前には、金色と黒色が入り乱れた髪で、目の色が右は金、左は黒というオッドアイを持つ、黒いコートを羽織った長身の男がいた。
「オーフィスとグレートレッドだと?面白い組み合わせだな」
男はオーくんとアポくんの正体を見破った。彼もドラゴンなのかな?
「君もドラゴン?」
僕はきいてみた。
「コイツは邪龍だ。それも筆頭格の『三日月の暗黒龍』クロウ・クルワッハだ」
アポくんが答えてくれた。
「おい、そこの少年。変わったオーラだな。お手合わせをしたいんだが」
僕と手合わせしたいのか。
「イッセー ダメ。コイツ しつこい」
オーくんがいうのだがら、相当しつこいみたいだ。
目の前の邪龍が動いた。オーくんが応戦してくれているが、オーくんよりも攻撃の手数が多い。オーくんより場慣れしているみたいだ。オーくんの息があがってきている。オーくんを助けなきゃ…僕は…
---クロウ---
あのオーフィスが必死で、俺があの少年に近づかないように応戦している。だが、オーフィスは強いのはスペック上であり、場慣れしていない分、俺にとってはカモ同然だ。オーフィスの息が上がってきた。
もう少しで勝てるって時に、信じられないオーラを感知した。俺の…この俺の身体が震えている。初めて感じる恐怖からだ。俺の本能が逃げろと、俺に言い出していた。いきなり右腹部に激痛が走り、吹き飛ばされた。見ると、裂けていやがる。相手の気配を感じないまま、2撃目は左顔面だった。痛いという感覚が感じる前に、顔が半分なくなっていた。後から激痛が襲ってくる。なんだ?この破壊力は…俺は初めて戦線から離脱をする気になった。羽を展開して空へ逃げようとするが…両羽ともむしり取られていた。戦っている相手の手には俺の羽が1対、握られていた。相手は、あの少年だった。背中に感じたことがない激痛が走っている。
きっと、俺の目には恐怖の色が浮かんでいるのだと思う。身体が動かない。もう1撃食らったら、たぶん俺は死ぬだろう。観念したときに、グレートレッドが間に入って、あの少年を抱きしめて封じ込めていた。
「もういい。オーフィスは大丈夫だから。もう、戦わないでよい。落ち着くのだ」
少年のオーラがしぼんでいく。そして、その場に倒れた。
「クロウ、邪龍といえ、彼と戦闘することはやめておけ」
「グレートレッドよ、助かった。俺は初めて死を覚悟した。何者なんだ、この少年は?」
俺は、激痛に耐えながら、グレートレッドに質問した。
「最強のドラゴンだ。これでもまだ全力を出し切っていないし、まだまだ未熟な子供だ」
「こ、これで全力でないのか?邪龍の俺から戦意を失わせる殺傷力なのに…」
「あぁ、全力の彼とやりあったが、私とオーフィスの共同戦線で、私とオーフィスは地面に叩きつけられた」
「まだ未熟で、すでにそこまで?」
「あぁ。なぁ、クロウ。お前も仲間にならないか?私もオーフィスも実戦での経験がなさ過ぎる。お前の実戦経験を彼に教えてあげてほしい」
「生きられるなら申し出を受けたいが、もう俺はダメだ。ダメージがデカすぎたよ」
「約束だぞ。彼は蘇生の術を持っているから、あとで蘇生してもらう」
「それは便利だ…たのむ…」
俺の命はそこで尽きた。
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目が覚めると、俺は金髪の少女姿だった。
「クロウ これ おいしい」
オーフィスが俺に黄色い三日月状の物をくれた。食べ方のお手本を見せてくれたので、俺もマネしてたべてみた。甘くて美味しい。
「これはなんだ?美味しいな」
「これ バナナ。我 大好物」
「私も大好物だ」
オーフィスとグレートレッドが美味しそうにバナナを頬張っている。
「クロウ ここ バナナ部屋。食べ放題だ」
あの二人(二匹?)が幸せそうに見える。ここはドラゴンにとって楽園なのか?
「クロウ、約束を守れよ」
グレートレッドにいわれた。そうだ。生きていられたら、あの少年に実戦での戦い方を教える約束だった。
「グレートレッド、約束は守るよ」
「あと、私はここではグレートレッドでなくて、アポだ。名前を間違えるなよ」
紅髪の少女が俺に名前を名乗った。