---イッセー---
この世界でも高校2年生だった。前回よりも季節は進んでいる。う~、勉強がわからない。運が良いというか、この世界の僕は勉強できない組だったみたいで、周囲は違和感を抱いていないみたいだった。アーシアとは同じ学年、同じクラスで、席は隣だった。きっと、理事長の職権がなされているのだろう。
放課後、桐生が近づいてきた。
「今日のアーシアは、なんか自信が漲っているわねぇ」
「え、わかります?」
アーシアの視線は僕に向いている。そのことに気づいた桐生が
「イッセーとなにかあったのかな?」
僕は桐生をスルーして、アーシアとオカルト研究部に向かった。そんな僕らを、桐生が纏わり付いて付いてきた。桐生はアーシアとの間に何かあったかを、夢中になって聞きだそうとして、オカルト研究部の部室に入室したことに気づいていないみたいだし。
「ちょっと、あなた!入部希望なの?ここは部外者立ち入り禁止よ!」
怒りのオーラを感じるリアスの声が、桐生に向けられた。
「え?2大お姉様!」
スマホで写真を撮る余裕の行動をみせる桐生。
「イッセー、どうして連れてきたのよ!」
怒りの矛先が僕に向かってきた。
「勝手に付いてきたんです」
「あなたは、ここになにをしに来たの!」
リアスの言葉をスルーして、学園のマスコットと言われているらしい白音を、スマホで撮っている桐生。キレたリアスの滅びの力で桐生のスマホが消失した。それに驚く桐生。
「あれ?私のスマホが消えた。なんで?」
周囲を見回してスマホを探す桐生だったが、リアスの怒りの表情が目に飛び込んできたのか、無言で部屋を出て行こうとした。
「ちょっと待ちなさい!部外者なのに、勝手に部室に入ってスマホで撮り放題撮って、無言で退出って、失礼じゃない?どうなのよ!」
桐生は聞こえない振りをしてドアのノブを回すが、ドアは開かなかった。リアスが結界を張って閉じ込めたから。
「開かない…なんで…」
必死になってドアを開けようとする桐生。僕は近づいて肩をつかんだ。
「おい、リアスに対して失礼だろ?」
まだ正体がバレたくない僕は、桐生にだけプレッシャーをかけた。桐生は恐怖のあまり失禁してその場に座り込んでしまった。
「リアス、どうするの、コイツ?」
一応、部長の指示を仰ぐ。
「どうしようかなぁ…イッセーはどうしたい?」
僕は正直に答えた。
「早く家に帰って、アーシアと寝たい」
今朝の事を思い出したのか、アーシアの顔が真っ赤になっていく。
「いや、そうじゃなくて…その娘のことよ」
頭を抱えてリアスは、あきれた口調で聞き直してきた。
「あぁ。桐生のこと?特別な能力ないから、記憶を消して放り出せば?」
「記憶を消すかぁ…そんな都合の良い能力を持っている子はいないしなぁ」
部屋の隅でお菓子を食べていた白音が、食べ終わって僕の近くまできた。
「イッセー先輩、あなたは誰ですか?」
僕とこの世界の僕との気の違いで気づかれたかな?
「僕は兵藤一誠。エロの権化だけど…」
まじまじと僕の顔を見る白音。
「いつもと纏っている気が違うのはなぜですか?」
理由…う~ん…
「あぁ、今朝リアスと2ラウンド、アーシアと1ラウンドしたからかな?」
僕の発言で、リアスの顔が真っ赤に染まり、アーシアの顔は更に赤くなり、二人と俯いてしまった。
「今朝のイッセーくんは、別人のようにお二人とプレイしていましたものね。ふふふ」
ナイスフォロー、朱乃ちゃん。
「そうですか。それにしては、いつもより強大なオーラを感じますけど」
怪訝な顔をする白音。この世界の僕って、まさか能力なしなのかな?
「小猫ちゃんの言う通りです、部長。今日のイッセーくんはいつもと別人です。」
イザイヤも気が読めるものなぁ。この二人のこの世界での呼び方がわからないと、声は迂闊にかけられないかも。
「小猫、祐斗の言うことも一理あるわね。今日のイッセーは積極的に私にアプローチをしてきたし」
赤い顔したリアスまで、疑い始めた。どうしよう。楽しい学園生活が、送れそうな世界なのに。祐斗?イザイヤのことかな?小猫は白音のはずだけど…
イザイヤが僕を試すかのごとく斬りかかってきた。あれは、魔剣か?僕も魔剣を取り出し応戦をする。刃先が触れ合った瞬間、イザイヤの魔剣が折れた。ニセモノだったのか?驚いた顔をしているイザイヤ。
「君は何者だ?イッセーくんをどこにやったんだ?」
イザイヤが僕を問いただす。はぁ、白状しないとダメなのかな?
「僕は紛れもなく兵藤一誠だ。但し、別の世界から飛ばされてきたね」
僕は、経緯を話した。
「え?じゃぁ、この世界のイッセーは?」
リアスが僕に問うてきた。
「別の世界に飛ばされたんじゃないかな。1つの世界に同じ者は存在できないみたいだからねぇ」
「え?じゃあ、私の処女は?」
「僕が頂いちゃいました。処女膜なら再生できますよ」
みんな、驚いている。なんで?
「あなた、再生能力持ち?」
リアスが僕に聞いてきた。処女に戻りたいのか?
「たぶん、作れない物はないです。『万物創造』の能力があるから…」
「私の眷属にならない?この世界にいる間だけでいいから」
眷属?慣れない予感…
「それはいいですけど、たぶん駒の価値が足りないかと…」
「ねぇ、一緒に来て!朱乃、後を頼んだわよ」
そういうと、リアスとどこかに転移した。
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転移先はアジュカさんの居室だった。
「リアスくん、どうしたんだい?」
アジュカさんとリアスは顔見知りなのか。
「この子を眷属にしたいのですが、価値はどのくらいか、調べて欲しいです」
僕はアジュカさんの前に突き出された。
「ふ~む、興味深い子を連れてきたね」
僕の前に術式プログラムを展開して、ステータスを調べているようだ。調べていくうちに、アジュカさんの顔色が蒼くなっていった。
「この子は、別世界から来たのかな?」
「そうのようです。何故分かるのですか?」
「僕しか持っていない能力『覇軍の方程式』とサーゼクスしか持っていない能力『滅殺の魔弾』とディハウザーくんしか持っていない能力『無価値』と前魔王ルシファーの子しか持っていない能力『神器無効化』を持っているんだが…」
「それって…」
リアスは言葉を飲んだ。
「『神器無効化』は初めから持っていたみたいで、後のは『強奪』で手に入れました」
正直に説明した僕。
「『強奪』持ちなのか…」
アジュカさんの顔が蒼から蒼白になっている。なんで?
「まず、リアスくんの依頼だが、彼は誰の眷属にならない。価値は無限大だ」
「…」
言葉すら出なくなったリアス。
「君は何体のドラゴンを宿しているのかな?」
「何体?それは難しい質問です。僕にもわからないです」
「…」
アジュカさんも言葉が出なくなっている。なんかマズイ状況かな?
目の前の術式プログラムで、調べた結果をみたアジュカさんの顔色は、蒼白から白になってきた。
「君は人間だよね?」
「はい。両親は人間ですから」
「あぁ…リアスくん、彼を君以外の者に渡しちゃダメだぞ」
「なんでですか?」
「彼はウソを言っていないのは検査結果からわかる。もしかすると、彼本人も知らないのかもしれない情報に、問題があるから…」
僕の知らない情報?あっ、あれのことかな?
「もしかして、あれのことかな?僕の両親が僕に強く生きて欲しいからって、僕にグレートレッドとオーフィスとリゼおじさんのDNAを組み込んだみたい。リゼおじさんがそういっていたよ」
二人とも、固まっているのか?
しばらくして、
「リゼおじさんって?」
「僕の両親が、契約した悪魔なんだって。本名が長いから、リゼおじさんって、僕は呼んでいるんだ」
「リゼヴィムっていわないかな?」
「そうそう、そんな感じだよ」
---アジュカ---
彼のいた世界のリゼヴィムは、強い子が欲しいと、願う人間の両親の願いを叶えるために、どういう方法を取ったかわからないが、グレートレッドとオーフィスとリゼヴィム自身の遺伝子情報を、彼に埋め込んだみたいだ。
調べた結果、ステータスは全てのパラメーターが計測不能。僕の考える能力の限界想定値をオーバーしているみたいだ。これって、最強生物っていうことになる。
リアスくんの近くにいれば、制御しやすいが、悪の道に引き釣り込まれたら、とても危険な状況になりかねない。
「君はこの世界でしたいことは、なにかな?」
「アーシアとリアスのそぼにいたいなぁ」
「わかった。そうできるように協力するよ」
「隔離とか幽閉とかしたら、この世界をつぶすからね。ここに来る前の世界では、魔王が裏切って僕を隔離したら、魔王を全員屠ってきたよ」
彼から押し寄せるプレッシャーは僕ですら潰す圧力である。怖い…これが恐怖心ってものなのかな?彼を怒らせないように、接しよう。
「ねぇ、それと、僕が元の世界に帰れる方法も調べてもらえると嬉しいです」
急にプレッシャーは消えて、彼からリクエストがでた。
「もちろん、協力する。あと、なにかわからないことがあったら、ここに来なさい。たいてい、俺はここにいるからね」
笑顔でリアスと転移していった彼。味方にすれば、ほぼ無敵の戦力になるなぁ。
---イッセー---
部室に戻ると、ドSの朱乃ちゃんに責められている桐生がいた。
「お帰りなさい。部長、イッセーくん」
リアスの見る目が暖かい。
「イッセーの価値はわかったわ。眷属にできないけど、好きなだけそばにいていいからね」
「はい」
素直に返事をした僕。正体もバレたし聞きたい事を質問する。
「リアス、質問。この世界では、イザイヤと白音はどう呼べば良いの?あと、ギャスパーはいないの?」
リアスとイザイヤと白音が固まった。
「なんで、僕(私)の本名を知っているの?」
イザイヤと白音から質問された。
「イザイヤとトスカを、研究施設から救い出して、二人共仲間にしたから。白音は、朱乃ちゃんに頼まれて、リアスの眷属から足抜けさせたからだよ。僕のいる世界では、イザイヤはトスカと、白音は黒歌と同じ部屋で暮らしている」
「そうなのか…イッセーくん、この世界では、僕は木場祐斗だ。よろしくね」
「イッセー先輩、私は塔城 小猫です。よろしくお願いします」
「ねぇ、なんでギャスパーの事を知っているの?」
今度はリアスから質問が。
「ギャスパーは、イザイヤ…じゃなくて木場とトスカを救出しに行く途中で救助して仲間にしたんだ」
「ねぇ、イッセーくん。なんで私の事は朱乃ちゃんなの?」
朱乃ちゃんからの質問。
「僕と朱乃ちゃんとオーくんは幼なじみだったんだ。バラキエルおじさんに頼まれて、リアスの眷属から足抜けさせて、僕の世界では、家族三人暮らしているよ」
「え?家族三人で…?オーくんって?」
「朱璃おばさんは蘇生させたんだ。オーくんは無限の龍神さまのオーフィスだよ」
「ねぇ、イッセー。あなた、色々問題発言しているわよ」
リアスが何故か怒っている。
「朱乃と小猫を足抜けさせたって…この世界でもする気?」
「しないよ。ここで僕の眷属にしても、僕のいた世界に連れて行けないもの。それに朱乃ちゃんとはいつでも一緒だから」
僕はお守りにしている、僕の世界のリアスの『女王』の駒を見せた。
「それって…」
「朱乃ちゃんに入っていた駒だよ」
「駒って抜けるの?」
「うん。僕の作った『ドラゴンの駒』を使うとね」
「ねぇ、お母さんを蘇らせてください」
リアスと話していたら、突然朱乃ちゃんが、僕に願いを言ってきた。僕は頷いた。禁手『万物創造』を発動して、朱璃さんの身体を作り出して、聖杯で魂を召喚して、魂の器となる身体に入れた。
しばらく経つと、朱璃さんの意識が戻ってきた。
「え?朱乃?」
「お母さん」
全裸の朱璃さんに抱きつく朱乃ちゃん。リアス達の僕を見る目が変わった瞬間だったのかな?