---イッセー---
冥界での焼き鳥屋事変の後、秘密基地で新年会を開催した。リゼおじさんは、そういう事が苦手なので自室に籠もっていた。朱璃叔母さん特製のお雑煮を持っていったら、美味しそうに食べていたけどね。
木場もギャスパーも守りたい存在が出来て、とても嬉しそうだった。僕も守りたい存在が増えて嬉しい悲鳴だよ。
そんな楽しい新年になったけど、トラブル臭は寄ってきた。冥界のTV局で、『次世代の魔王候補』って、新年特番をやるそうで、僕に出演依頼が来た。僕は丁重にお断りをしたはずだったのだが、僕の代わりにお兄さん達魔王4人組が了承したようだ。はぁ…
ファルビーさんが付き添いで、TV局に来た僕。控え室に通されて台本に目を通すと…ライザーとサイラオーグが共演って、絶対にトラブルになる予感。更に中立的な立場で、大公令嬢のシーグヴァイラって、トラブル臭がプンプンだよ。はぁ…
そして、スタジオ入り。予想通り、殺気めいたオーラが渦巻く収録現場となった。二人は僕を睨んでいる。一人は僕に笑顔を振りまいている。どうしましょう。
そして、最悪な状況を生み出しそうな、ゲスト解説者のアザゼル…もう、どうにでもなれ!
収録が始まった…あれ?生放送らしい。まず、三人それぞれの足跡を、簡単にまとめたVTRが流れた。僕のパートは、公に出せない事が多いので、端的な物が流された。次に司会者がアザゼルに三人の特徴を聞いている。
「ライザー君はフェニックスの特徴である再生能力と火の鳥を思わせる攻撃が特徴だと思います。もし彼を倒すとなると、再生できないような惨い攻撃になるかもしれませんね。サイラオーグ君は、鍛え抜かれた拳と肉体が武器で、肉弾戦は避けないと勝てないと思います。イッセーは…まぁ、基本、人間ですから、その程度かと思います」
おい、僕の説明は酷く手抜きじゃないのか?二人の怒りのオーラが膨れあがっているみたいだ。どうしましょう。
CMを挟んで、それぞれの試合風景とか練習風景が流された。僕のモノはない。正式な試合をしていないし、練習は非公開だし。司会者は、流された映像についてのコメントをアザゼルに尋ねた。僕以外の二人については的確なコメントを発したけど、僕のパートは残念なコメントのオンパレードだった。いや、そう言わざる負えないのだけど。
司会者は以上を踏まえて、シーグヴァイラに、付き合うなら誰が良い的な質問をした。当然のように僕を選ぶ、彼女。その瞬間、スタジオ中からブーイングの嵐が吹き荒れた。まぁ、僕は悪役が似合うんだろうな。たがが人間風情ですから!
最後に今後の抱負を三人に聞く…のかぁ…
「そこの人間風情が、デカイツラをして冥界を歩けなくしたい」
とは、ライザー。
「そこの人間と生死をかけた勝負がしたい」
とは、サイラオーグ。
「大好きなシーグヴァイラを守りたいです」
とは、僕…公開カミングアウト…そんな僕の言葉に彼女は、顔を赤らめた。
これで、収録が終わりと思ったのだが、前者2名の発言を受けて、二人と戦うことになった僕。視聴率アップ狙いはわかるけど…どうんすんだ?
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30分のインターバルの後、くじ引きで戦う順番を決めて、仮想フィールドで戦うらしい。ルールは、ハンデなしで持てる力を総て使ってよいみたいだ。
「ドラゴン召喚は避けた方が良いな、イッセー君」
ファルビーさんからアドバイスをもらった。身一つで戦うのかぁ。焼き鳥にはアレで行くかな。ふふふ
第一試合は焼き鳥ライザーになったようだ。僕と焼き鳥は仮想フィールドに転移された。転移されたと同時に、焼き鳥が火の鳥状態になった。僕はフィールドの真ん中に噴水を創造して、聖水の雨を降らせた。そして、真なる聖剣を構える。
「うっ、これは…ライザー君を避難させろ~。殺されるぞ~」
アザゼルが実況席で騒いでいる。火の鳥は聖水の雨の中に墜落していた。
「どうだ?焼き鳥よ。聖水の雨の威力は」
ライザーは全身を、聖水で焼き焦がれて、声を出せない位苦しんでいた。
「今、楽にしてやる」
僕は聖剣でライザーの首をはねた。その瞬間、ライザーは光に包まれて転移し、代わりにサイラオーグが現れた。僕は噴水を撤去した。
「貴様、ライザーになんて事をしやがる!」
おぉ、怒りのオーラはマックスかな?
「生死をかけた戦いなんだろ?それとも悪魔は嘘つきか?」
僕は能力を全解放した。そして、僕は全長500m以上の漆黒に紅のドラゴンになった。僕を見たサイラオーグが悲鳴を上げて驚く。
「あ、あいつ…能力を全解放しやがった。サイラオーグを避難させろ~」
アザゼルが実況席で叫んでいる。でも、もう遅いよ。踏んだら、プチッって音がしてつぶれちゃったもの。踏みつぶしたトマトのような状態のサイラオーグと、人化した僕は光に包まれて、仮想フィールドを後にした。
戦場から戻ると、アザゼルが駆け寄ってきた。
「おい、イッセー。やりすぎだろう?」
「生死をかけた戦いって、あぁいう事でしょ?」
「いや、そうなんだが…」
「気が向いたら、生き返らせてあげますよ。バアル家と焼き鳥屋しだいですけどね」
僕はシーグヴァイラとTV局を後にした。
この最悪で最凶の試合は、生放送で全部流れてしまったそうだ。新年のまったりとしたお茶の間で見ていた悪魔達は、PTSDを発症したようだ。僕のせいでないんだけど、僕のせいらしい。なんか、納得いかないなぁ。
秘密基地に帰ると…お持ち帰りした組はショックで放心状態だった。それ以外の組は平然としていた。まぁ、トレーニングルームでの光景の方が惨いことが多いからねぇ。
予想はしていたけど、魔王4人組とアザゼルが秘密基地に転移して来た。
「イッセー君…」
僕の名前を呼んで、その後の言葉を飲み込むお兄さん。
「僕は戦いたくなかった。ほとんど無理矢理、戦いに持ち込んだ、あの二人が悪いと思うよ」
「いや、そうなんだけどねぇ、イッセー君」
そんな哀しそうな目をしないで下さい、お姉さん。
「すまない、イッセー君。傍にいて、何もしてあげられなくて」
「ファルビーさんは悪くないです。悪いのはあの二人とTV局です」
「まぁ、上層部もイッセー君の実力を目の当たりにして、魔王候補と認めてくれたし」
他の三名とは違い、喜んでいるアジュカ父さん。
「で、イッセー。これからどうするんだ?生き返らせる条件はどうするんだ?」
アザゼルが尋ねてきた。
「取り敢えず、前回の詫び状も届いていない焼き鳥屋は厳罰だよ。バアル家は、リアスの従兄弟だから、穏便に済ませたいけどね」
「ありがとう、イッセー君」
お兄さんの表情が、少し緩んだみたいだ。あっ、そうかぁ。リアスの従兄弟なら、お兄さんにとっても従兄弟だねぇ。
「フェニックス家の処分だな。さてどうするか。早く決めないと、リリンが動くと不味いぞ」
僕は早速、サイラオーグの身体を創造して、魂を身体に戻した。徐々に意識を取り戻し、僕を認識できたのか、逃げようとしている。
「サイラオーグ君、今後イッセー君に失礼な事をしたら、次は無いからな」
お兄さんが、きつく戒めた。それに対して、頷くサイラオーグ。
「あと、焼き鳥かぁ」
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その頃、フェニックス邸は、リリンの手により消滅していた…