---サーゼクス---
たぶんリリンの手によるものだろうけど、証拠がなかったので、フェニックス邸の悲劇は突然の落雷による火災からの爆発というのが公式な見解となった。ライザー君の亡骸と共に両親、親類、親戚が集まり葬儀の準備をしている最中、それは起こった。
幸い、長男はプロリーグの遠征、長女はその付き添いで居なかったため、フェニックスの血は絶えずに済んだ。
---ルヴァル・フェニックス---
愚弟ではあったが、いざ居なくなると寂しいものである。もう一人の弟は、冥界メディアの幹部として、今回の発端になった番組に関わり、未だにTV局に缶詰状態のようだ。
今、妹と二人で、大公様のお屋敷に身を寄せている。大公様より、元々の発端の話しを聞いた。魔王様を侮辱した発言をしたようだった。その場に親父達もいたのに、涼しい顔をして、愚弟の発言を容認するような態度を取ったようだ。そのことで、魔王様への詫び状を書くことになったらしいが、それを無視して、あの番組で双方の遺恨が再燃したようだった。
冷静に考えて、こちらに非があることは明らかだった。大公様からも、詫び状をもって、謝りに行くように言われた。あちらサイドには、蘇生の術を持った者がいるそうで、俺達、生き残ったフェニックス家の面々の出方次第で、今後が決まるようであった。
既に、バアル家は和解して、サイラオーグ君は生き返ったそうだ。
「お兄様、よろしいですか?」
妹、レイヴェルが、俺に話しかけてきた。
「あぁ、なんだい。レイヴェル」
妹は愚弟の死を知り、泣き明かしていた。その為か、両目が腫れぼったくなっていた。
「詫び状を書いて、謝りに行きましょうよ。それでライザーお兄様が生き返るのであれば、しないよりした方が良いですわ」
「それはわかっているんだが、ライザーの性格上、生き返った直後に悪態をして、再度葬られそうで怖いのだ」
愚弟の性格は最悪だからな。魔王様にふっかける大馬鹿野郎だし。きっと、生き返ってもケンカをふっかけそうだ。
「私もそうすると思います。ルヴァルお兄様がライザーお兄様の愚行を止めて下されば、良いかと思うのですが、いかがでしょうか?」
確かに、俺が止めに入れば、生き残ったフェニックス家の意向は、ライザーとは違うと証明できそうだ。
「そうしよう。レイヴェル。残った兄妹三人で一通ずつ詫び状を書いて、魔王様に直にお詫びをしに行こうな」
「はい!」
---イッセー---
あの最悪の放送後、冥界に居られなくなった僕。いや、冥界に行きたくない僕には好都合なんだけど、理由が最悪だ。「悪魔にPTSDを植え込んだ男」として有名になってしまったからね。
僕の事を、次期魔王候補として認めていなかった悪魔の上層部が、僕の強さに惚れ込んだようで、全員一致で僕を次期魔王候補として推すことになったみたいだ。はぁ…
正月休みの残りは秘密基地で過ごした。まだグレイフィアさんからの基礎教育の終わっていないユラとシーナと、グレイフィアさんの目を盗んでアレコレしたり。アーシアとコタツで性交しながら昼寝したり…あまり、誉められた事はしていなかった。
正月休みというか冬休みが終わり、3学期がスタートした。久しぶりの朝練…正月にだらけた生活で染みついた引き締まっていない身体には堪えた。道場の雑巾がけ…冷たさで指が切れそうな感覚になる。ユラ達お持ち帰り組は来学期、高校2年から転入してくることになった。もちろん剣道同好会に入会決定である。
2月も近いある夜、夜練をしていた時に、殺気を感じた。
「村山、片瀬、ヴァレリー、オカ研の部室に逃げろ!トスカ、ギャスパーは彼女達のガードしてあげて!」
僕は叫んだ。他の者は臨戦態勢になっていた。
「お前だな、ライザー様を惨い殺し方をした人間は」
声がしたと同時に空から炎の玉が多数落ちてきた。ぼくは『無価値』を発動して、ピンポン玉のような無害な物にした。
僕の周りからは剣と剣のぶつかる音がしていた。
「みんなでイッセー君を守るぞ」
木場の声だ。おかげで、僕は空にいる奴に集中できるよ。ありがとう、木場。
「おい、お前は誰だ?ライザーの女か?」
「私たちは、ライザー様の眷属だよ!死ね!!」
今度は火柱が地面から生えてきた。
「きゃ~」
誰かが火柱に飲み込まれたみたいだ。許さない僕の仲間を…龍門を開けるだけ開いた。ドラゴンなら炎に耐性がありそうだからね。
「アジ、クロウ、ウ~ロン、ティア、手加減無しでいいぞ」
「「了解!!」」
「アポ君、オー君は怪我した仲間を救出して、安全な場所に運んで」
「わかった」
「我 アイツを許さない」
オー君は僕の命令を無視し、龍化して空に浮かぶ敵に向かっていった。なんで?周囲を見ると…白音が…火柱に…くそっ!
僕は怒りのオーラに包まれて、意識が遠のいて行く…
---アザゼル---
旧校舎の前で、膨大なオーラを検出した。教員室にいた俺は急いで現場に向かった。現場では、ドラゴン軍団がどこかの勢力とやり合っていた。どこの勢力だ?一番、怒りのオーラが激しいのはオーフィスだ。アイツの逆鱗に触れた奴がいたんだな。イッセーは暴走状態のようだ。グレートレッドが止めようとしている。
まずい状況だ。この戦力の指揮を執れる者がいないぞ…サーゼクスに緊急連絡をした。
---ソーナ---
旧校舎の方から物凄い音がした。私と椿姫が急いで向かうと…地獄絵図のようだった。火柱に包まれて、燃えている白音さん、木場くん、朱乃さん…イッセーくんは?あぁ…暴走して敵を屠りに行っている。オーフィス君を始めドラゴン軍団は全員龍化して、敵を屠っている。
私と椿姫は白音さん達を救助しに行った。火柱を私の水の魔法で消していく。消し炭のようになってしまったイッセー君の仲間達…ひどい。生徒会の仕事が早く終われば、防げた惨事だったかもしれない。私は初めて怒りのオーラに飲まれた。
---サーゼクス---
謝罪がしたいというルヴァル君、レイヴェル君の元に、リアスと来ていた。詫び状を確かに受け取った。レイヴェルとリアスは談笑できるまでに関係は和らいだ矢先…アザゼルから緊急連絡があった。リアスの留守を狙って、オカルト研究部が襲われたようだ。重傷者が多数出ていて、怒りに飲まれたイッセー君とソーナ君が暴走、ドラゴン軍団は総て龍化して、敵を屠っているそうだ。最悪の事態が頭を過ぎる。今回の敵は…罠にはまったのは僕達なのか?僕も怒りのオーラに飲み込まれそうだよ。
「ルヴァル君、この詫び状は受け取れない」
「なんでですか?サーゼクス様」
「今、イッセー君達が襲われて、重傷者が多数出ているそうだよ」
「まさか…」
「僕達をここに呼んだのは罠かね?」
「お兄様、イッセーは?」
リアスの顔は蒼白だった。自分の留守に被害多大の攻撃を受けたのはショックだったはずだ。
「リアス、早く行け。小猫君、木場君、朱乃君が重体だそうだ」
リアスは転移していった。
「さて、どうしてくれるかな?フェニックス家の生き残りの諸君」
僕は抑えてはいるけど、身体から滅のオーラが湧き出して来て、そのオーラを纏い始めている。
「サーゼクス様、信じてください。罠を仕組んだつもりはないです」
ルヴァル君が取り乱し始めた。それ程僕の姿は恐怖の対象になってきているんだね。
「なんで、私達に会う前に、ライザー君の眷属を止めておかなかったのかな?ふふふ」
---アジュカ---
サーゼクスからの緊急連絡を受けて、急いで奴のいる場所に向かった。そこでは…サーゼクスが…ルヴァル君、レイヴェル君のフェニックス兄妹に向けて、滅の能力を解放しそうになっていた。
「おい、サーゼクス。正気になれよ!」
俺でも近寄れないくらい、サーゼクスは危険なレベルになっていた。
「アジュカ、今日ほど怒りを感じた日はないよ。自分では抑えていたのに、後から後から滅のオーラがあふれ出てくるんだ。その位の怒りを、僕は今感じている。アジュカ、親友だろう?僕を殺してくれ!この二人、いや冥界を滅ぼす前に、僕を殺してくれ。頼むよ、アジュカ」
サーゼクスは泣いていた。どうしようもない怒りが暴走しようとしているようだ。俺にこんな役回りさせるのは高いぞ、サーゼクス。俺はサーゼクスを消し去った。
---セラフォルー---
魔王領で残務をこなしていたら、警報が鳴り響いた。冥界に攻撃をしている者がいるようだった。急いで私とファルビウムで向かうと…なんで?なんで、そんなことをするの、ソーたん…
---ファルビウム---
目の前の風景は…冥界が滅びることを予感できるものであった。イッセー君は暴走状態、ソーナ君も暴走状態のようだ。この二人を先頭に、龍化をしたチームドラゴンが続いていた。いかなる勢力であろうと、この行列は止められないであろう。原因はなんだ?
ソーナ君は無表情で、セラフォルーを氷の剣で切り裂いた。無抵抗のセラフォルーは、地面に落ちていき、暴走したイッセー君に踏まれて、つぶれた…