---イッセー---
リゼおじさんが機関車を整備している場所に行ってみた。
「イッセーたん、ごめんね。起動しないんだよ、コイツ」
おじさんは機関車を指差して凹んでいた。僕は、何気なく操作室に入り、アレコレを触っているうちに、ビープ音が鳴り響き、
「システムを再起動しております。ルシファー様、おかえりなさい」
って、音声が聞こえた。
「あぁ、僕ちゃんはルシファーとして認められなかったのね。さすが、僕ちゃんのイッセーたんだ。凄いわ」
おじさんは明るい表情になった。
「僕をルシファーとして認識したの?」
「そう、イッセーたんはルシファー家の跡取りとして、認識されたんだよ。ちょっと悔しいけど、嬉しいよ、イッセーたん」
おじさんが、僕に抱きつき喜んでいる。
「これで、明日出発できるよん♪」
いきなり、明日か…まぁ、いいっか♪
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翌日、僕とアーシアとシーグヴァイラと、昨日連れてきてトランクに詰めている青髪ことゼノヴィアの4名で、こっそりと、プラットホームまで移動した。
すでに執事のユーグリット兄ちゃんとヴァーリ、あとリゼおじさんが待っていた。
「ごめん、遅くなって」
「遅くないよ。この列車はイッセー君の専用列車だから、君次第で良いんだ」
執事の服がぎこちないユーグリット兄ちゃんが言った。ヴァーリは副城主として、お城が機能したら、お城に残って維持、管理してもらうことにした。ヴァーリ本人も納得済みである。
列車に乗り込んだ僕達。すると車窓から、サーゼクス兄さんの家族一同が見えた。グレイフィアさんは、俯いた姿で顔は見えない。
窓を開けて、僕はお兄さんに
「見送りありがとうございます」
って伝えて、窓を閉めて手を振った。窓を絞めると、外の雑音が聞こえなくなるんだな。お兄さんは口をぱくぱくさせている。なにか言っているみたいだけど、まぁいいか。
「あぶねぇ…俺はセーフだったよ」
って、アザゼルは乗り込んでいた。
「俺達もセーフだ」
って、アジュカさん、ファルビーさん。
「特権乱用して、乗っちゃった」
って、ミカエルさん。え?いいの?
「ミカエルさん、冥界へ行けないんじゃ…」
「大丈夫、冥界で会議あるからって、来たからね。お城も見たいし、1泊したら帰るよ」
うっ、それはもろに特権乱用ですよ。
みんなで車両を見て回る。
「さすがに、最近のと違って装飾がすごいなぁ」
色々な装飾が、いたる所に飾ってあるというより、当然のように置いてある。
「天使像とかもあるし、来て正解だったよ」
ミカエルさんのいう通り、禍々しい物もあれば、聖なる物もあり、見ていてあきない。
「お食事の準備ができました。食堂車の方へいらしてください」
アナウンスが入った。ヴァーリの声だ。
みんなで食堂車に移動した。食堂車は他の車両に比べると、シンプルだ。のんびりと食事ができそうなスペースになっていた。装飾品も少なめで、代わりに車窓が大きめであった。
外を見ると、カメラを構えた天使、悪魔、堕天使がたくさん群がっていた。
「あんなに(鉄)っているの?」
「あぁ、あれは、多すぎるな。歴史ヲタとかメカヲタとかもいるようだ。うん?なんで、シェムハザが…あいつ、仕事はどうしたんだ?」
アザゼルもだろう、仕事いいのか?総督さんよ。
食事が運ばれてきた。おいしそうなフルコースだ。でも、疑問が…料理を運んできたヴァーリに聞いてみた。
「料理は誰が作っているの?」
「元ルシファー家の料理人の者達が、戻って来てくれて、作ってくれている。この列車が…この運行している列車に必要な人材だって、今朝乗り込んで準備してくれたいたんだ」
「そうかぁ。初代ルシファーさんってすごい人だったんだな」
「そうだね。僕の祖先が誇れる人で良かったよ」
あぁ、リゼおじさんでは誇るにしてはホコリが多いもんね。ははは
食事が終わると、コーヒーをサーブしに来たユーグリット兄ちゃんが、
「食事の後は、遊戯車両で、食後の一時をお楽しみください」
って、まだぎこちない執事の服装。でも、段々と執事らしくなっていくんだろうな。珈琲を飲み終えると、遊戯車両に移動した。
あぁ、昔の遊戯だものな。僕の遊べる物はなかった。ビリヤードやチェス、ダーツなど古典的な物しかなかった。でも、お客さんが群がったのはバーカウンターだったりする。お酒飲める人は良いんだろうな。窓をふと見ると、この車両は小さな丸窓だった。ゲームに集中するための配慮だとか。
お酒の飲めない組は、色々な車両を探検した。これといって、興味を引く部屋はないなぁっと思っていたら、拷問車両があった。おぉ…でも、ここの拷問器具は、本当に死んじゃうようなヤツばかりで、プレイできそうな物がなかった。
「ルシファー家が再興できたら、イッセーたんの列車を作るからね」
リザおじさんが提案してくれたらしい。そういう計画も復興計画に練り込んであるそうだ。がんばって再興させよう。
昨年よりも冥界までの時間はかかった。最近の列車のような速さよりも、乗り心地、滞在価値を大事にしているそうだ。
朝、出発して夕方近くに、ルシファー城の地下ホームに着いた。驚いたことに、ホームには出迎えてくれる者がたくさんいた。
「昔、ここで働いていた者たちだよ」
って、ファルビーさんが教えてくれた。やっぱり、初代ルシファー様は偉大で尊敬できそうな悪魔だったんだなって、再認識した僕。うん?出迎えの者達の中にサーゼクスお兄さんとリアス、セラフォルーお姉さんとソーナを見つけた。見なかったことにしよう。
列車の扉が開いて、列車から降りると、赤い絨毯が敷かれていた。僕達はその上を、威風堂々と歩いて行く。時折、リザおじさんに言われて、みんなに手を振ったりをして、城内に入城していった。
城の中は、悲惨なくらい、荒れているんだろうと思っていたら、機能しているお城のようにきれいだった。僕とリゼおじさん、アーシア、シーグヴァイラは当主の間に通され、お客様達は、客間に案内されたようだ。
「おじさん、すごいね」
「僕ちゃんが幼かった頃は、もっと使用人がいたんだけど。まぁ、みんな年寄りだな」
「僕、がんばって、再興するからね」
「無理は禁物だよ。イッセーたんのペースで良いから」
「旦那様、お帰りなさい。女中長に抜擢されましたカテレア・レヴィアタンです」
「イッセーたん、君が旦那様だからね」
耳元でリゼおじさんが教えてくれた。リゼおじさんじゃないのね。
「今後、お家が再興できたら、更にこのお城を維持してくださいね」
と、僕が声をかけると
「わかりました」
一礼をして、この場を去って行った。
「旧魔王派の働き口として、この城の働き手を募集するよん」
「平和な冥界にしようね、おじさん」
頷く、リゼおじさん。
明日から復興のために働こうっと。
あっ、青髪をトランクから出すのを忘れていた。
あっ、青髪に食事を与えるのを忘れた。
青髪をトランクから救出した。夕食会へは連れて行くと伝えたが、覇気を感じないくらい窶れていた。医務室に連れて行くと、当分の間、入院となった。