---イッセー---
夏休みも残り少なくなり、そろそろ人間界に戻らないといけない日が近づいて来た。今日は、街の中心となるであろうスタジアムを見に行った。シュウさんの能力で徐々に建設されている。大感謝だ。
見回っていると、後ろ姿のソーナを発見して、後ろから抱きついた。
「え?誰?」
僕の知っているソーナと体型が違うと思った瞬間、顔面に痛みが走り、後方へと飛ばされた。何が起きたのかわからない。
「おい、エロドラゴンよ、お母様に何をするんだ」
目の前に見た事無い女の子がいた。お母様?
「お前が僕を殴ったのか?」
「あぁ、そうだよ。このエロドラゴンよ」
エロドラゴン…事実ではあるが、少し心外である。
「おい、殴ったことを後悔させてやるぞ」
僕はドラゴンショットを、彼女目がけて撃ち込んだが、簡単に避けられた。
『ローリングサンダー』
彼女が魔法を唱えると、僕の身体にカミナリ属性の攻撃が撃ち込まれた。感じたことのない痛み。
「うっ…」
「どうしたよ、最強最悪のドラゴンなんだろ?そんなものか?」
くそっ…僕は力を解放して、オーフィスとグレートレッドの力を宿した鎧を纏った。
『ダイヤモンドダスト』
目の前から何かが撃ち込まれてきた。無敵の防御力のこの鎧に効くものか…え?全身に痛みが走った。
「ぐぉ…」
後方に飛ばされた僕。
「さすがに無敵の鎧だね。ヒビ1つ入らないとは…では、これはどうかしらね」
『サマエルブラスト』
今度は…身体の中から逃げろと警告が出ている。なんだこれは…何かの粉塵を吹きかけられただけのはずなのに、今迄に感じたことのない激痛がする。シスコンサーゼクスの滅びの力が痒く感じる位だ。
あまりの痛さに意識が遠のいていった。
---ソーナ---
イッセー君が地面に倒れている。ピクリとも動かない。呼吸はしているようだが、荒い。どうして、こんな目にあったの?
「おい、うかつに触るなよ。ドラゴンと悪魔にとっての最悪の毒に塗れているからな」
悪魔とドラゴンにとっての最悪の毒?それって、イッセー君にとっての最悪の毒じゃないの!
「あなたは誰?なんで、イッセー君はこんな目にあったの?」
「私はシルキー・鬼門・シトリー。そのエロドラゴンが、あなたと間違えて、私のお母様を襲ったからよ」
私と間違えて?彼女の後ろにいる女性…私に似ている…
「初めまして、ソーナ・シトリーさん。私はソーナ・鬼門・シトリーよ。貴方の彼氏は調教した方がいいわね。あとで、主人に言っておきます」
「あのぅ…シュウさんの奥様ですか?」
「そうです。この子は彼との間の子供、シルキーよ」
「イッセー君はどうすれば、助かりますか?」
「主人にしか治せないと思う。まぁ、ほっとおくしかないわね。その毒は悪魔にとっても劇薬だからね」
「なんの毒なんですか?」
「龍喰者サマエルと悪魔喰サマエルの呪いが籠もった毒。主人のエロ弟子を殺せる数少ない攻撃の1つよ」
「殺せるって…なんでそんなことを?」
「やらないと、こちらがやれるでしょ?私達は、あなたみたいな平和な世界で、生きている訳ではないのよ。油断したやられる。そういう世界から来ているの」
「この毒は感染しますか?」
「接触すれば感染するわ。普通の悪魔なら一撃かもしれない」
「シュウさんは?」
「主人は、今日は忙しいから無理ねぇ。その前に彼の謝罪が先じゃないの?私は後ろから、羽交い締めにされそうになったんだから。ガード役の娘がいなかったら危なかったわ」
あぁ、私と間違えて、シュウさんの奥様を襲ったのね、イッセー君。
「イッセー君を倒せるって、シルキーさんが、シュウさんのチームで一番強いのですか?」
「シルキーは真ん中くらいよ。チームの上位者は自分のチームを持ったり、主人のアシストとして一緒に赴任していますから」
イッセー君をしのぐ強さの彼女でも、チームの真ん中って…上位陣の強さはどうなの?
「まぁ、これで、この世界のレベルがわかったわ。シルキー並で、頭打ちなのか。意外に強さがないのね」
どんだけ、シュウさんの世界って、強い者が多いのだろうか。
シュウさんの奥様が、イッセー君に近寄り、イッセー君に言った。
「あなた、謝りなさいよ。じゃないと、主人には知らせないからね。うん?意識が喪失しているの?虚弱体質なの?この子は?」
イッセー君を虚弱体質って言い切るって…
「すみません。イッセー君がご迷惑をお掛けしました」
イッセー君に代わって、謝罪をする私。
---アザゼル---
イッセーの後ろ盾全員の署名が入った謝罪の書状を、シュウの奥方に手渡した。
「これで、お願いします」
「そう…もう少し、あの子に礼儀とか道徳とかを、教えなさいね。ちょっと、放任すぎませんか?」
シュウの奥方、シュウの世界のソーナは、怖いオーラが満載だった。俺達一同ビビりまくり、相談の結果、俺一人を代表として、この場に派遣しやがった。
「すみません。俺達では、手出しできない強さだったので…」
取り敢えず、全身についていた毒物は、シュウの長男というのが洗浄、無効化してくれた。イッセーを触れる状況になり、今は冥界の医療施設に収容している。
シュウの奥方の前で、正座をしている俺。目の前の女性の怒りのオーラは、心臓に悪いレベルの強さだ。それよりも、イッセーを瀕死の状態にしてしまった、アイツの長女も怖い。どんだけ、強いのだ?シュウの家族は。
「じゃ、私達は帰るわ。明日以降、主人が来ると思うから」
三人は転移していった。
---リアス---
未知の毒物中毒ということで、イッセーは面会謝絶で、兄ですら会えない状況だった。
「これからは、イッセー君を一人で行動させないようにするよ。謝罪の書面にそう宣言もしたし、道徳も教えていかないとな」
兄からそう言われた。今回のことで、兄達は衝撃を受けたみたいだ。この世界の全勢力を以て倒せないイッセーを、一人の女の子が倒してしまったのだから。
「もし、シュウさんが敵になったら、この世界は終わるな」
終わらないようにしなきゃ…私にできること…
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翌日、シュウさんが来てくれて、イッセーのダメージを消し去ってくれた。
「ソーナはそんなに怖くないよ」
「そうなのか?俺は物凄く恐怖を感じていたんだが」
アザゼルと会話をしているシュウさん。
「まぁ、これに懲りて、迂闊に女性に抱きつかないことだな」
「イッセーには、きつく言っておくよ」
「あのぅ…少しお時間をください」
シュウさんに声をかけた。
「いいけど。どうしたんだ、リアス」
二人っきりになれる場所に転移した。
「私を好きにしてください。私の謝罪の気持ちです。受け取ってください」
「はぁ?いらないよ。リアスは間に合っている」
「でも…」
「気持ちだけもらっておくよ。前に誰かに言ったんだけど、この世界での報酬はイッセーだけだ。他の者はいらない」
「私って、価値がないんですか?」
「価値の問題ではない。必要かどうかだよ。僕は自分の世界のリアスを、大切に思っている。だから、他の世界のリアスをどうこうしようって考えていないんだよ」
「この世界をどうするつもりですか?」
「イッセーが暴走しないように、サポートするだけだ」
「征服したり、攻撃しませんか?」
「しないよ。そんな無駄なことをはしない。一瞬でケリをつけられるから。例えば、この星の酸素を無価値にすれば、生物は全滅だろ?僕の力はその程度だよ。ははは」
笑顔で言われても…
「仕事以外にするとしたら、征服ではなくて休養だな。自宅でまったりしたい。それよりも君は闇を抱え過ぎているね。少し抜いてあげるよ」
『身体停止』
何かの呪文をかけられた私。身体が動かない…でも、思考は生きている。感覚もある。えっ…下着に振れるだけで…いやぁぁぁ
太ももを伝う暖かい液体…身体が下着に犯されているみたいだ。呼吸が荒くなっていく。心拍数も上がっている。どうしたのよ、私の身体…
気持ちが高ぶっていき、ついには意識が遠くなっていく。
---シュウ---
エクスタシーの彼方へ旅立ったリアスの意識。術を解き、祝福の聖剣で、彼女の心の奥に潜む闇を浄化してあげる。そして、汚れてしまった身体をきれいにしてあげ、真新しい下着に着替えさせた。そして、彼女を彼女の部屋のベッドに横たえてあげた。
この世界に来たついでに、建設現場で少し作業して行くかな。
---イッセー---
目が覚めると、病室のベッドにいた。なんで、ここに?また、夏休みを入院でつぶして仕舞ったのだろうか?リベンジしないと…誰にだ?記憶が混乱している。
「イッセー君、意識が戻ったのね」
ソーナの声がした。そうだ、ソーナに抱きついたら、攻撃をされたんだ。
「僕に攻撃した奴は誰だ?」
「…」
ソーナの顔が固まっていた。しばらくの沈黙の後、
「イッセー君、いきなり抱きつくのはダメだよ。もう、冷たくなっていくイッセー君は見たくない…」
ソーナが僕に縋り、号泣していた。冷たくなっていく?僕は死にかけたのか?いや、死んだのか?
「僕は死んだのか?」
「仮死状態だよ」
「仮死状態?」
「毒物中毒で、意識不明の仮死状態だったのよ」
「毒物?あの時の粉塵かな?」
「ドラゴンと悪魔に対しての劇薬だって」
「それって、僕専用の毒物じゃん…」
「イッセー君を、確実に仕留める数少ない攻撃の1つだって」
「誰に僕はやられたんだ?」
「…」
「ソーナ、教えてくれよ」
「教えたら、昨年みたいにリベンジしに行くでしょ?今度の相手はリベンジしちゃダメなの。もししたら、本当に死ぬよ」
ソーナは泣きながら、僕に縋り付いている。
「そんな相手なのか?でも、最強になりたいんだよ」
「最強でなくてもいいよ。生きていることが大事なんだから。ねぇ、わかってよ、イッセー君」
「何度やっても勝てないって」
聞き覚えがある声がした。ソーナの後ろにその人物は立っていた。冷静に見ると、ソーナに似ている気がするけど、何でだ?
「そいつって、ソーナの妹か?」
「シュウさんの娘さんよ」
え?シュウさんの娘さん…って事は…リベンジ相手は、最終的にシュウさん?…ないない、無理無理、ははは
「私はお父様に鍛えられている。エロと暴走だけで勝っているお前とは違うんだよ」
シュウさんの愛娘…ヤバっ…ケンカ相手としてはヤバい相手だ。
「おい、再戦するのか?もし私に勝ったら、今度は兄さんが仇を討ちに来てくれるぞ。ふふふ」
どうしよう…心拍数が上がっている気がする。ここは素直に
「御免なさい。反省します」
と、謝罪をした。
「ほぉ、少しは反省したようだな。許してやる。次があったら、今度は屠る気で行くからな」
シュウさんの娘さんは、そう言うと転移していった。
「イッセー君…」
「そうだよね、最強でなくても良いよね。僕…初めて怖いって感じたよ」
涙が出ていた。本当に怖かった。なんでだろう?そうだ、あのオーラだ。
「ソーナ、僕もあんなオーラが出せるようになりたいよ」
「シュウさんがねぇ、『戦わずに勝てるのが最強なんだぞ』って、イッセー君に伝えておいてくれって」
たぶん、今のオーラみたいなことなんだろうな。戦わずに纏うオーラで、敵をビビらせろって事なんだろう。
こうして、今年も夏休みの終わりギリギリまで、入院生活となった僕であった。