---イッセー---
プレオープンの日が近づいている。なので、土日は冥界でスタジアムの最終調整をしている。岩山をくり抜いたホテル、『奇岩城』と名付けた。プレオープンに間に合った。今は、ホテルスタッフの養育をグレイフィアさんに頼んで、鍛え上げてもらっている。グレイフィアさん自体が旧魔王派の出身なので、反発もなく育成できていると、報告が来ている。
スタジアムのフィールドを実際に確かめに行った。転移陣が2チーム分あり、ここから仮想フィールドに転移されるそうだ。戦っている映像は、このフィールドの上にある、映像モニタ用の魔法陣で、写し出されるそうだ。
僕以外に、フィールドを確かめている者を発見。あの青髪は…ふふふ。間違えようがないゼノヴィアだ。僕は後ろから抱きつこうとすると、腹部に激痛が走った。
「うげっ…」
後方に吹き飛ばされた。デジャブか?
「お前か?シルキーさんに半殺しにされたというエロドラゴンは?」
事実だが心外だ。ゼノヴィアに言われるとは。次の瞬間、僕とゼノヴィアは仮想フィールドに転移していた。
僕の身体の中の人達が、逃げろっと大合唱している。なんでだ?ゼノヴィアだぞ?ゼノヴィアの方へ顔を向けた瞬間、とてつもないエネルギーの束が、僕を襲った。僕は真面に喰らってしまい、後方へ大きく飛ばされた。
「大丈夫か?イッセー」
「アイツは、この世界の者ではないぞ」
2巨頭様達は、僕の身体から避難して、具現化していた。
「その程度か?イッセー、ふふふ、殺し合おうぜ!」
ゼノヴィアが手にした得物で、僕を攻撃してくる。剣でこの距離なら、斬られることはない。おつむはこの世界のゼノヴィア並だなぁって、思っていたら、斬撃が飛んできて僕を襲った。
「なるほど、ドラゴンだけに、タフではあるんだな」
僕は鎧を纏った。最強の鎧にミラーラインを巻き付けた、カウンタータイプの物を。これで、斬撃ならカウンター攻撃してダメージはない。
また、斬撃が飛んで来た。これまで見た事が無い速度で飛んで来た。避けきれないので、カウンターで凌ごうと思う。結果、僕の身体に激痛が走っていく。
「ふふふ、カウンターできると思ったのか?そんなの研究済みだぞ。そのミラーラインのラインは悪魔属性なので、聖なるオーラは吸収出来ない。そして、そのカウンターミラーはインパクト時に発動するエネルギーは反射できないんだよ。知らなかったのか?エロドラゴンよ」
そうか…研究去れ尽くされていたのか、僕は。ならば、これならば?僕は力を解放して、ドラゴン化した。
「話には聞いていたが、500mって、デカすぎだろ?」
あの女を踏みつぶす。踏んだはずなのに、つぶれた感触が伝わって来ない。
「痛っ…」
僕の右足の甲の部分が切断された。
「エクス・デュランダルの切れ味を舐めるなよ!」
今まで戦ってきた相手とは違う。僕の能力に驚き、恐怖していた者達とは違う。右足で立っていられずに、右膝をついた。
「チーム・シュウの切り込み隊長を舐めるなよ!」
僕は何もできずに、右腕を斬り落とされた。悔しさから、涙が止まらない。
『勝負ありだ。勝者はゼノヴィア!これから転送をする。イッセーは医療施設行きだ』
シュウさんの声のアナウンスが聞こえた。
医療施設で、シュウさんに、切断された腕と足の甲をくっつけてもらった。
---ソーナ---
シュウさんがいらして、練習試合の結果を聞いた。イッセー君が負けたって…それもドラゴン化をして。この世界では、それで無敵だったはずなのに。足と腕を切断されての大敗だったそうだ。
「それで、プレマッチなんだけど、イッセーは出さない。あんな強さではダメだ」
「では、どうします?」
「イッセーの練習試合の結果を聞いて、イリナとバラキエルさんも棄権するって。さて、どうしようかな。イッセーのことは買っていたんだけど、流石に1軍クラスでは分が悪いようだな」
「イッセー君の相手って、どんな人だったんですか?」
「青髪ゼノヴィアだ。ただ、鬼相手に数十億年の鍛錬をしている。サタン、初代も勝てないと思う」
「悪魔キラ-?」
「そうだよ。得物は聖剣エクス・デュランダル。イッセーの持っているエクスカリバーよりじゃじゃ馬でパワーも上だよ」
そんな剣があるんだ…
「耐久性も、青髪ゼノヴィアは鎧無しでも、打撃系には無敵だよ。剣類だと無敵ではないが、アイツも剣士だから、簡単には斬られないと思う」
「ゼノヴィアさんが一番強い剣士なんですか?」
「違う。アイツの攻略は簡単だから。そうだな、僕のチームで厄介な剣士は、アイズかな。フェニックスの翼を持つ風の精霊だよ」
へ?また、とんでもない種族ですね…
「ただ、実戦だとゼノヴィアかな、格闘術も体術もできるからね。アイズは剣術のみだし」
「一番強い戦士って、どういう方なんですか?」
「一番強いのは一誠だな」
「シュウさんの世界のイッセーさんですか?」
「実戦の場合だよ。試合だと…アイツの神器は使用禁止だから、めっちゃ弱いよ」
わぁ…両極端なんだぁ…
「あいつの神器は反則級だからね。今回のプレオープンでは使用禁止にしなければ、アイツを出せるな。それはそれで、サプライズにはなるな。ははは」
シュウさんが何かを企んでいる。その事にワクワクしている私がいる。
「では出場OKにしましょう」
「そうなると、この世界からはサタン、ルシファーだけだな。あと、僕の世界から、僕と一誠、ガブリエル、初代レヴィアタン、誠、一香にするかな」
「シュウさんの世界からの参加者は、シュウさんのチームで1軍の方々ですか?」
「一誠は学校の先生だ、ガブリエルは小間使い、レヴィアタンさんはチームドラゴンの隊長、誠と一香は最強の人間だ」
「1軍の方は出ないんですか?」
「だって、サタンとかルシファーが、一撃で倒されたらマズイだろう?1軍クラスは手加減が出来ないんだよ。不器用な奴ばかりだからね。僕を含めて」
1軍クラスって、どんだけの強さなのよ…私の興味は、ソレなのに。
「そうかぁ…ソーナの興味はそこかぁ…どうするかな」
あっ…心が読まれているんだった。恥ずかしさから顔が火照ってきた。ふと、顔を上げるとシュウさんの顔が近い。いつの間に…私は、そのままゆっくりと倒れていった。
私の身体の上にはシュウさんがいた。ブラウスのボタンを総て外されて、シュウさんの鼻先が私の身体をくまなく通過していく。
「とても良い香りだね、ソーナ」
ブラのホックにシュウさんの手がかかり…
どっご~ん!
凄まじい打撃音が聞こえた。身体を起こすと、シュウさんが吹き飛ばされて、壁をぶち抜いていた。え?誰が?ブラウスのボタンを嵌めて、周囲を見回すと、金髪の少女がいた。
「忍…痛いよ~」
「この子は誰です?」
「僕のメイドの神メイビスが雇った、僕のガードで、僕がこの世界で手を出すことを阻止する、最強の吸血鬼だよ」
最強の吸血鬼?
「シュウ、妾を差し置いて、こんなガキに手を出すなんて…」
「忍、"妾"って言わないで、"私"って言いなさいって」
え?ガキって言われた。どう見ても、私より幼いように見えるのに。
「ソーナ、忍は600歳以上だよ。本当の姿だと、パフォーマンスが悪いのと、オーフィスと遊べないから、その姿なんだよ」
「シュウ 我も来た オイタはダメ」
項垂れて、トボトボこっちに歩いて来たシュウさん。
「最強のドラゴンと最強の吸血鬼がお目付役だもんなぁ…いい雰囲気だったのに」
「シュウさんのメイドさんって、神様なんですか?」
「そうだよ。僕の世界ではない世界の聖書の神だよ」
カオスすぎる…聖書の神が、最強のドラゴンと最強の吸血鬼を雇うなんて…
「で、なんだっけ?あぁ、1軍クラスの参戦かぁ。じゃ、僕と一誠が抜けて、モモヨンとゼノヴィアを入れよう。で、エキシビションとして、一誠VSイッセーと、僕とロキにしよう。ふふふ」
なにか、まだ企んでいるんですね…大丈夫ですか?
「この二人は出ないんですか?」
「オーフィスと忍は戦闘より食欲だから、試合形式はダメなんだよ。実戦向きなの」
「ロキって、どなたですか?」
「オーディンを狙うテロリスト。きっと、現れるから、その時にしばく!」
そういうことですか…
こうして、プレオープンでの出場選手は決まった。
---イッセー---
病室で、ソーナから衝撃の事実を知らされた。こんなにボコられたのに、出場決定って…あんたら鬼かぁ?
龍化してボコられたんだぞ、僕は…悔しく涙が出ていたんだぞ。
「エキシビジョンマッチに参加です。相手は兵藤一誠さんだそうです」
「別世界の自分?相手の情報はないの?」
「学校の先生で、最強の神器持ちだって」
「アザゼル、最強の神器って何?」
アザゼルは丁度、お見舞いに来てくれていた。
「なんだろうな…思い当たるのは、お前の『強奪』だな」
「でも、試合で禁止でないですよね?シュウさんの世界の試合で、禁止になるって、仰っていましたよ」
「アイツの世界の試合で禁止?後は『洋服崩壊』だが、男のお前には使わないだろうし。わからん。見た事がない神器かもしれない」
「それだと、どうすれば良いかな…」
「この世界で最強って言われたお前が、連敗だものな。アイツの世界の強さって、どんなものなんだ?」
ソーナがトーナメント表を見せてくれた。
---ソーナ---
『A サタン
B ガブリエル
C ルシファー
D 初代レヴィアタン
E 兵藤誠
F 川神百代
G 兵藤一香
H ゼノヴィア
A-Bが戦い、その勝者がC-Dの勝者と戦う。以下同じ
エキシビションマッチ
1.イッセーVS兵藤一誠
2.悪神ロキVSシュウ・ヨハネ・鬼門』
「悪神ロキだと?あいつ、何を考えているんだ?一人で勝てるのか?」
「そんなに強いんですか?」
「神だぞ、一応。普通の武器では効果がない。どうする、つもりだ?」
いや、たぶん、何を企んでいます、とは、今言えないよな。
「イッセー対決は盛り上がりそうだな」
「盛り上がらないでよ。僕の防御力は、ゼロに近いんだから。龍化しても怯まずに、攻撃してくるし」
イッセー君は、凹みまくっていた。
「問題は負け方だよな。勝てる気はまったくしないし。何もできずにやられるは、もうイヤだよ」
こんなイッセー君を、見るのは初めてかもしれない。前回やられたときは、リベンジ心が合ったのに。
「だからじゃないのか?アイツがお前を、引き取るって言ったのは。この世界では、もうお前を、鍛えることは出来ないから。アイツの世界なら、鍛えられるって自信があるのだろう。事実、お前よりも強い猛者がいっぱいいる訳だし」
アザゼルさんが、イッセー君にこれから進むべき道を示しているようだ。でも、それって、イッセー君との別れが、来るってことだよなぁ