---イッセー---
シュウさんに連れられて来た。
「ここは、僕達のチームの本拠地だよ。まぁ、カオス塗れな家だけど、気にしないでくれ」
家の中のオーラは、まさにカオスだ。多種族共存しているみたいで、様々な種族のオーラを感じる。リビングルームに通された。みんなまったりモードだけど、よくまったりできるな。ついつい身構えてしまう。
「ここは一番安全なエリアなんだけど…ここで、身構えたら、この家では生活できないなぁ」
シュウさんが苦笑いしている。
「これから、一番危険なエリアに行くんだけど、どうする?」
一番危険なエリア?一番安全でこれでは…大丈夫かな?
「鍛錬をしに来ましたので、まいります」
「そうか…では、行こう。時間がもったいない」
シュウさんとエレベーターに乗り込み、降下していく。扉が開くと、そこは感じた事のないオーラが渦巻いていた。
「さぁ、降りて。ここが僕達のトレーニングルームだ」
降りて周囲を見回す。高さが尋常ではない位あるみたいだ。
「あぁ、空中戦をするんでね、高さが必要なんだよ。あと、チームドラゴンも鍛錬しているので、強度もあるよ。イッセー君が本気を、出しても大丈夫だよ」
「おい、ソイツが最強なドラゴンなのか?シュウよ」
太い声ではあるが、女性みたいだ。声の方を見ると、アレコレしたいような女性が立っていた。
「レヴィアタンさん、そうです。彼が、ルシファー家の当主になったイッセー君です」
レヴィアタンさん?この世界のセラフォルーさんかな?それはそれで興味あるなぁ。
「ならば、私が相手をしよう」
セラフォルーさんが身構えた。僕は、お姉さん対策の水鉄砲を手に取り、狙いを定めた。
「おい、イッセー君。勘違いしているようだけど、レヴィアタンさんに聖水の水鉄砲は効かないからね」
え?なんで…
「それに、セラフォルーお姉さんとは別人だから。彼女は元魔王レヴィアタンさんで、その前の名前は最凶のドラゴン、リヴァイアサンさんだ」
セラフォルーお姉さんではなくて、リヴァイアサン?
「この世界は、イッセー君の世界や他の世界とは、違う道を歩んでいるんだ。この世界の天使長は初代ルシファーさんだ」
シュウさんの隣に転移陣が現れて、一人の天使が現れた。
「彼が、ルシファー家の当主のイッセー君かい?シュウ君」
「そうです。ルシファーさん」
「そうか、初めまして。天使長をしているルシファーです」
天使のルシファーさんが笑顔を浮かべて、挨拶をしてくれた。
「あっ、初めまして。イッセー・ルシファーです」
「君の世界のリリンは、心優しい者で良かった。この世界のリリンは…シュウ君の心に傷を残してくれたからな。すまない、シュウくん」
シュウさんが何かを思い出していたのか、顔付きが今まで見た事のない険しい物になっていた。
「過ぎたことですよ、ルシファーさん。あと、この世界のミカエルは、僕が切り刻んで壊したんだよ、イッセー君」
え…なんで?
「僕達は、天界にいた天使達、ガブリエル以外を殺したんだよ、イッセー君。彼らは僕の母親を殺し、僕の仲間を封印したから。いいかい?善悪は世界によって違うんだ。自分の世界を基準で考えないことだ」
殺された…お母さんを?
「実際に手を下したのは、イリナの父親と、僕の人間界の義理の父親だ」
「不味いな…僕は帰るよ。リヴァ、後は頼むぞ!」
ルシファーさんが何かを感じとり、この場から去った。
「シュウと、このガキと私以外は、ここから離脱しろ。早く…」
リヴァイアサンさんの一声で、周りにいた人達が一斉に、エレベーターに向かっていった。
「ボウズ、シュウの心の傷に塩を塗ったようだぞ。心して戦え。相手は最凶の戦闘生物だからな」
リヴァイアサンさんの言っている意味がよくわからない。だが、すぐにわかった。俺の目の前でシュウさんが変異体へと変貌していった。見た目は、クリスタルな身体のようで、いかにも脆そうだけど…
「見た目以上にヤバいぞ!地獄の苦しみを受けたくなければ、ボウズ、最初から全力で行け」
リヴァイアサンさんのオーラも尋常ではないくらいになっていた。しかし、シュウさんからはオーラを感じない。
シュウさんは音もなく動いた。姿がクリスタルでオーラを感じないので、居場所がわからない。
大きな衝撃音がしたので、そちらに目をやると、巨大なドラゴンが壁にめり込んでいた。最凶のドラゴンといわれたリヴァイアサンさんのようだ。おい、最凶のドラゴンでこの程度って…
突然、腹部に衝撃を感じると、次の瞬間、背中に激痛が走った。俺も同じ目にあったようだ。身体中が痛い。意識がもうろうとしていく。
---朱乃---
エレベーターから大量のメンバーが降りてきた。
「どうしたの?」
「シュウが…暴走した。小猫ちゃんをすぐに呼び出してください」
木場君の顔が真っ青だった。私は、ナヴィにエマージェンシーコールを伝えた。すぐに、近場に展開していたアジとクロウの邪龍コンビが来てくれて、トレーニングルームに降りていった。
しばらくすると、エレベーターからリヴァイアサンさんが降りてきた。全身ずたずたの状態だった。こんな姿の彼女は見たことがない。武器による攻撃を無効にできる能力持ちで、素手か魔法以外は効果が無いはずなのだが、刀で切られたような傷が多数あった。
「何があったんですか?」
特薬草の青汁を飲ませながら、尋ねた。
「シュウが…また、身体がランクアップしたみたいだ。今度の姿は見えないんだ。見た目が透明だから…」
リヴァイアサンさんの意識が途絶えたようだ。小猫ちゃんは一番遠くに遠征している。早く戻って来て…
---クロウ---
全長500mのドラゴンが吹き飛ばされて、壁に埋もれていた。こんなにデカイ奴を壁にめり込ますパワーって、想像したくないなぁ。
アジが魔法陣を開けるだけ開いて、フルバーストを撃ち込むが、アジの魔法が一切効かない。透明のボディを魔法が透過しているようだった。
たちの悪さは透明なボディで、微かな光の反射以外見えないことだ。高速で動いているみたいで、攻撃が当たらない。オーラや気がまるで感じられないので、この俺でも捕捉が難しい。
アジが吹き飛ばされた。その場所にドラゴンオーラを撃ち込むが、透過したようだ。最悪な生物になったのか、アイツは…
腹部に激痛を感じて、アイツの手首を掴むことに成功した。渾身の右ストレートを撃ち込む…おい、物理攻撃も透過するのか?カウンターパンチが、俺の腹部をえぐっていく。真空刃を撃ち出せるのか…無敵だな、シュウ…意識がかすんでいった。
---白音---
エマージェンシーを受けて、本拠地に戻ってきた。いつもは、のどかなリビングルームが野戦病院状態だった。リヴァイアサンさんとクロウの身体は、切り傷だらけだった。
「小猫ちゃん、お願い。今、オーフィスとアポが時間稼ぎをしてくれているの。早く…」
朱乃先輩の声が震えていた。
私はエレベーターに乗り込み、トレーニングルームに向かった。エレベーター内は血なまぐさい臭いが充満していた。エロ方向への暴走ばかりのお兄様から、殺戮シーンは想像できなかった。何が起きたのか。
そして、トレーニングルームに降り立った私。
アポ君が切り刻まれて、倒れていた。オー君は陵虐されていた。小さな身体に、大きく太いモノが無理やり差し込まれているようで、身体が裂けているようにも見える。
「お兄様!」
目の前の獣(けだもの)に声をかけた。ゆっくりと、私の方に振り向く獣。
「白音…食べ頃か?ふふふ」
獣がオー君を放り出して、私の方に移動してきた。移動が見えない。しかし、衝撃は来なかった。目の前で百代さんが壁になって、防いでくれたようだ。
「白音さん、師匠は私が倒す!」
「モモヨン、お前では倒せない…」
百代さんの身体がピクっとして、うめき声を上げ始めた。太くて大きな肉棒が百代さんの身体の中に差し込まれていた。
「お前の性欲、精力をもらうぞ。エクスタシーに達すれば、お前は生きる屍になりさがる。それまで、感触を愉しめ。生きていた証だからなぁ。ふふふ」
あれって、エナジードレンみたいだ。私は、お兄様に、全身全霊を込めて、拳を撃ち込んでいく。が、感触がない…なんで?
「白音、順番が待てないのか?お前は、モモヨンの次だ。ふふふ」
マズい…どうすれば良いのか?良い考えが浮かばないまま、百代さんが投げ捨てられた。
「白音、おいしそうに成長したなぁ。ふふふ」
「お兄様、しっかりしてください」
両方の乳房を鷲掴みにされた。人差し指と中指で乳首を刺激している。肉棒で下腹部のポッチを刺激してきた。痛さと気持ち良さが交差していく。あんなに大きなモノは、私も下腹部が避けてしまうだろう。
「白音、濡れてきたぞ。お前でも、下の口からヨダレを流すとはなぁ」
流すよ。私だって女性だよ。私は咄嗟に、両腿でモノを挟み込み締め付けていく。すると、クリスタルな肉棒が割れた。それと同時に、鷲掴みされていた乳房が解放されて、地面に落ちた。
「…」
目の前のクリスタルな人型にヒビが入り爆発して、魂だけが残った。
「白音、ありがとう…やっと、闇の世界から出られたよ」
魂からいつもの優しいお兄様の声がした。
「痛くなかったかい?ごめんな、白音」
「痛かったけど、大丈夫にゃん♪」
お兄様の魂に、笑顔を返した。
「うん、やっぱ、白音の笑顔は心が和むよ。少し休んだら、みんなを回復しないといけないな」
---シュウ---
魂を猫化した白音に抱いてもらい、身体を再生していく。魂の状態では、蘇生、回復魔法が使えないから。
「白音、今度暴走したら、ハーフ魔人のイッセーに頼んでくれ、アイツなら闇のオーラをドレンできるからな」
「にゃん♪」
「いや…凄いスペックだな。まさか、僕が自分の身体をコントロールできなくなるとは、思いもしなかったよ」
新しい戦闘用の身体。以前の見た目の惨たらしさが無くなり、見た目も心も理性も透明っていうのも問題あるなぁ。心と理性が透明っていうか無いので、味方の判別はできないし、戦う事しかできない。まだ、進化するのかな?
「ねぇ、お兄様。また暴走する危険があるので、一緒に行動をしたいんですけど…」
「そうだな。白音と銀華は傍にいてもらうかな。黒歌は一誠と教師してもらうからダメだけど」
身体が完全に再生し終わると、今日、傷つけてしまった仲間を甦らせたり、再生したり、回復していった。そして、土下座して謝った。
「大きくて太くても大丈夫な身体にする」
って、オーフィス先生が、モモヨンの身体をコピーしたのには、苦笑い。おい、中学校に通うのに、高校生をコピーするなよなぁ。
---イッセー---
物凄い物と戦った気がする。あんな生命体がいたとは…図体がでかくても武器にならないことを学んだ。スピードと動体視力の大事さを学んだ。シュウさん、曰く「戦って得よ。身体で覚えろ」って。まさに、その通り。戦わないと、わからない。僕の世界だけで鍛錬していたら、気づかなかったことだ。
暴走したことの謝罪を、シュウさんから受けた。他の人から聞いたけど、たまに暴走するらしい。その度に、被害甚大だけど、基本戦うのが好きな者ばかりだから、問題は起きないらしい。シュウさんの弱点…幼い頃に受けた心の傷…これは悪くなることがあっても治らないらしい。俺くらいになると、そんなに深い傷は負わないみたいだ。
とにかく、今現在の懸念。惨敗を避けることに注力中だ。残り時間ぎりぎりまで、トレーニングルームで鍛錬を続けようと思う。何か得られると思うし。
そして、前日にシュウさんと自分の世界に戻った。