※この作品はR-18です。

リゼヴィムの楽しみ   作:もっち~!

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イッセに足り無い物

 

---イッセー・ルシファー---

 

VR鍛錬を終えて、家に帰ると、リアスの様子がおかしかった。

 

「どうしたんだ?」

 

「できたよ♪」

 

「飯か?」

 

「イッセーとの子供♪」

 

はぁ?この前、交わったばかりでないか。

 

「気のせいでは?結果がわかるまで、まだかかるだろ?」

 

種を植えたソーナでさえ、出来たかは植えてから3ヶ月かかったらしいし。

 

「ふふふ♪団長がねぇ、出来たって言うの。それも男の子だって♪」

 

えっ?ちょっと、待て!団長…って…

 

「団長が来たのか?」

 

「うん、うん♪」

 

何故か嬉しそうなリアス。

 

「用件は?」

 

「私が呼び出したの~」

 

よ、よ、呼び出した~って…

 

「おい!呼び出し賃は高額だぞ」

 

「今回はチャラでいいって。残念だけど、取引が成立しなかったから…」

 

残念そうなリアス。

 

「何を願ったんだ?」

 

「イッセを助けてって…」

 

「供物は?」

 

成立しなかったってことは、見合わない物だったんだろう。

 

「生まれて来る子供…」

 

おい…何を差し出そうとしたんだ?

 

「でも、男の子だから、出来無いからいらないって…」

 

女の子だったら、持って行かれたのか…

 

「おい、そんな願いをするな!」

 

「でね、私ならどうかって持ちかけたんだけど、いらないって」

 

いやいや、ダメだって。

 

「困る。リアスがいないと困るよ!」

 

「言われたわ。私がいなくなると、私の亭主はもっとダメになるって。団長は、イッセのことを見てくれているんだよ」

 

見ていてくれても、俺は団長の期待に沿えない。

 

「で、どうにかして、欲しいって、せがんだら…イッセの手で私を差しだして、イッセの覚悟を見せろって…」

 

俺を見つめるリアス。目は涙で潤んでいる。悔し涙っぽい。俺が不甲斐ないから。

 

「もっと強くなって、団長に拾って貰えるようになる。だから、リアスは、無茶をしないでくれ!なぁ、頼むよっ」

 

リアスに縋り付く俺。リアスだけは護りたい。鬼の手から…

 

------

 

翌日…VR装置へ…リゼおじさんと相談して、このステージを楽勝で終わらせる事が出来たら、次のステージに挑むということになった。体験しているので、ペース配分を考えることに注視していく。

 

1ヶ月後…ようやく楽勝に近くなり、次のステージへ挑むことにした。

 

「イッセーたん…最初の邪龍と抗戦したら、ギブアップは出来無いからねん」

 

抗戦前ならギブアップ出来るのか…って…なんで抗戦前にギブアップ出来るんだ?嫌な予感が脳裏を過ぎる。単なる邪龍では無いのか?

 

「あとねん、邪龍が拠点に到達したら、ゲームオーバーだからねん…スタートからやり直しで、ギブアップは出来無いから、注意よん!」

 

リゼおじさんの顔が、珍しく険しい。どんなステージなんだ?VRヘッドギアを頭に装着して、装置の中に身を委ねた。

 

-------

 

俺の出た場所はアウロス学園の上空であった。翼は既に展開している。目の前には、空が真っ黒になるほどの邪龍の群れ…これを倒すだけか?拠点はアウロス学園だろうな…脳裏にギブアップしろと文字が浮かんだ。このシチュエーションって…

 

『そう…シュウの心が壊れた戦いの幕開けだよ』

 

ヴァーリの声が聞こえた。確か、邪龍は聖杯によって強制変異させられた仲間達だったっっけ…

 

『お願い…ソーナを殺す前に私を殺して…』

 

リアスの声が脳裏に響いた。おい…あの中にリアスがいるのか?

 

『この前半戦は、君の覚悟を決めることにある』

 

ヴァーリの声がした。ダメだ…リアスは身重なんだぞ!

 

「ギブアップだ!」

 

『残念だ…次回はハンデが重くなる。覚悟をしておけ!』

 

ヴァーリの声…そして、VR装置の中で目覚めた。

 

「残念だよ~ん、イッセーたん」

 

リゼおじさんの表情は暗い。まさか…俺は自分の家へと急いだ。

 

------

 

家にはリアスがいるはずだったが、リアスはいない。どこへ行ったんだよ!家中を探し回る俺…俺の部屋の机の上に、リアスが書いたメモが置かれていた。

 

『団長へ、イッセの覚悟を見せつけろよ!』

 

そんな…あの邪龍の中にリアスがいるのか…殺せる訳無いだろ…

 

「私の亭主はヘタレだったんだ~!」

 

え?顔を上げるとリアスがいた。

 

「リアス♪」

 

彼女に抱きつく俺。俺をかわす彼女…なんで?

 

「お前、バカか?身重の妻に正面から抱きつくなよ~!」

 

あぁ…そうだってね…

 

「まったく、戦闘力がいくら高くても、精神がダメダメじゃないの!」

 

だな…

 

「もう、団長の元へ復帰するのは、あきらめなさい!あなたには無理だから」

 

いや…それは…イッセーの笑顔が脳裏から消えてくれないんだ。俺はアイツを救えなかった…だから、今度こそ…

 

「なんで、固執するのか、私にはわからないよ~。この世界において、最強な戦士で、魔王で、私の亭主で…後、何を望んでいるの?」

 

このままでいろと、リアスは望んでいるのか。ヘタレのままの俺で…

 

「ヘタレ魔王でもいいよ。私はねぇ。イッセは何が気に入らないの?高望みしすぎだよ」

 

高望み…

 

「だって、イッセは戦死したんだよ。その程度の魔王なんだよ。もう、団長に迷惑を掛けちゃダメだよ」

 

リアスが泣いている。俺の為の涙か?団長への申し訳無さか?

 

「なんで、戦死なんかしたんだよ!なんで、生きて戻ってきたんだよ!イッセー君は団長に殺されたんだよ。メイビスさんはイッセー君に殺されて…戻って来れないのに…なんで、戻って来たのよ~!うっ…うぅぅぅ~」

 

俺に泣きすがるリアス。戦死して戻って来られなかった者達に、申し訳無い気持ちがいっぱいなんだろう。俺の覚悟が足り無かったせいで…ヴァーリさんまでも…

 

「なんで、私の元に帰りたいって、団長に望んだの?私的には嬉しいけど…イッセー君もメイビスさんも、自分の弱さを詫びて、団長に別れを告げたそうなのに…」

 

え…そうなのか…初めて聞いた真実…俺は、自分の弱さを詫びずに、リアスの元に帰りたいと願ったらしい。

 

「団長が私に謝っていったわよ。イッセの強さを読み違えたって…」

 

リアスにも言ったのか…

 

「私は、イッセのしたようにして欲しい。だけど、もう団長を振り回さないで」

 

リアスは団長を…紅髪コレクターを…慕っていた…もしかしたら、俺が団長の元で働けたのは、リアスのおかげか?

 

「うん?勘違いはしないでよ~。私の旦那はイッセだけよ。でも、団長のことは戦士として尊敬しているんだよ。ソーナもそうだし」

 

戦士…俺は戦士になれない魔王ってことか…

 

「そうだよ!お前はヘタレの魔王だよ!

 

この声は…振り抜くと、魔王になったリアスがいた。団長の元で鍛錬を積み、魔王になったリアスだ。

 

「お前も、クリス兄さんも、サーゼクス兄さんも、みんなヘタレだよ!」

 

「どうして、ここに?」

 

「団長がねぇ♪ヘタレと戦って来いって♪」

 

団長へのメロメロ加減が伝わってくれる。

 

「ヘタレを叩きのめしたら…口と口…マウストゥマウスしてくれるの~♪」

 

ずいぶんと安い褒美だな…

 

「安い褒美?ふん!お前が弱すぎるからだよ!」

 

-------

 

そして、俺は魔王リアスと、スタジアムで戦うことになった。ここなら、死ぬ事は無いはずだ。問題は魔法リアスの能力だ。殲滅姫と呼ばれているらしい魔王リアス。危険が一杯だ。俺のリアスは、自分の新たな可能性を見る為に、観戦するそうだ。リザおじさんもいるし。

 

「審判は俺、ガイア・グレモリー・鬼門が務める」

 

団長の長男の魔王だ。

 

「リアスの攻撃で、イッセの装甲が少しでも抉れたら、リアスの勝ちにする。それ以上のダメージだと、イッセの死は確実だからな。イッセが勝利するには、リアスがまいったと言った場合だけだ。では、開始だ!」

 

え!いきなり開始か…俺はリアスから距離を取った。そして、エクスカリバーを手にして、飛ぶ斬撃を放っていく。しかし、リアスからも飛ぶ斬撃が…紅色の斬撃だし…あれって…避けないと。

 

リアスの放った斬撃が着弾した箇所は、ロストしていた。滅の力を飛ばしているようだ。危険過ぎる。避けながら斬撃を放つが、リアスの纏った紅色の鎧に触れるとロストしていく。滅びの力を具現化して装備にしているようだ。

 

「どうしたのよ!最強な魔王よ!私の前では赤子かしら♪」

 

確か、30分耐えれば、エネ切れになるんだっけ?って、不利すぎる。攻撃が総て無効化されていく。滅の力、恐るべし。

 

スタジアムがボロボロになっていく。飛ぶ滅なる斬撃は、強烈である。着弾した場所を中心に直系1メートル位ロストしているし。

 

もうすぐ30分だ。魔力キレになれば、反撃のチャンスはある。耐え無いとな。

 

「あぁ、そういうことか。悪いけど、私の魔力は30分でキレないわよ。これでも日々鍛錬を積んでいるの。ふふふ♪」

 

うっ!なんだって…マズい、足場が無くなってきた。そうか、闇雲に撃ち出しているのでは無く、俺の行動範囲を狭めていたのか…

 

あのヘタレのリアスが、ここまで化けたのか…そうか、足場が無いなら、空へ飛び出せば…翼を展開して、空へ行こうとした時、翼に激痛が走った。

 

「勝負あり!勝者リアス!」

 

翼が撃ち抜かれていた。唖然とする俺…読まれていた。

 

「ふん!昔はヘタレってバカにされていたけど、今はアンタがヘタレよね♪」

 

完敗だった…

 

------

 

特薬草の青汁で、怪我は治った。でも、精神的にやられた…

 

「はぁ~、異世界の私に完敗って、どうなのよ!」

 

病室のベッドで寝ている俺。ベッドサイドには俺のリアスがいる。

 

「そうか、滅の力って、あんな風に使い熟せばいいんだね。って、今からは無理だな。ハードそうな鍛錬だし」

 

あれって、勝てる要因ってあったのかな?全身、無敵状態なのに…

 

「だから、お前は覚悟が出来ていないって言うんだよ!」

 

団長の声…リアスの背後に転移してきた。

 

「どういうことですか?」

 

「リアスの顔を狙えば良いんだよ。あの力は顔の前には具現化出来無い。空気をロストしてしまうからな」

 

あっ!窒息死…だから、フルフェイスの兜じゃなかったのか。

 

「女の顔すら潰せない程度の覚悟で、戦いの場に来るなよ、クソガキが!」

 

「えっ…ここじゃダメ…やめて下さい…」

 

団長が、俺のリアスの胸を揉んでいた。

 

「身籠もっても、変わらないのか…」

 

「え?小さくは成らないですよ」

 

「まさか…これより大きくなるのか?」

 

「う~ん、どうだろう?初めてだから…って、ダメです。濡れてきたよ~破水しちゃうって…」

 

団長とリアスが楽しそうだ。蚊帳の外の俺…って!

 

「俺のリアスに何をするんですか?」

 

「うん?ヘタレなのに、所有権は主張するんだな」

 

「所有権って言うか、俺のリアスの旦那は俺だけです!」

 

「それは戦って奪い取れってことか?」

 

団長の声から死の恐怖を感じている。マジ、奪い取るのか?

 

「まぁ、戦う勝ちは無いか。じゃ、リアス、またな。ソーナの処へ行かないとだ」

 

「はい♪子供が生まれてからにしてくださいよね」

 

「早々、来れないと思うよ。忙しいんだよ、僕は♪」

 

団長が転移していった。

 

「リアス…」

 

「うん?浮気はしていないよ」

 

「だって…」

 

「あぁ、アレ?乳房に異常が無いかチェックして貰ったのよ。私には手を出さないよ。私より若いリアスがいっぱいいるし♪」

 

いや、娘枠のリアスには手を出さないと思う。あの魔王リアスもそうだし。

 

「で、彼女と再戦したら、顔を潰せるの?」

 

「無理だ…だって、リアスの顔だよ」

 

その時、ふと思い出した。そうだ、団長は白音さんの顔を、粉砕したことがあるんだった。団長の言う覚悟、仲間であっても、敵になったら容赦はしないってことなのだろうか。

 

でも、邪龍の群れにリアスがいたら、それは敵では無い…どうすれば良いんだ…

 

 

 

---ソーナ---

 

出産が近いので、抱き合うことすら出来無い…せっかく来てくれたのに…涙がこぼれていく。

 

「おいおい、泣くなよ。しょうがないだろ?その腹じゃ」

 

だけど…うっうっうっ…お腹がジャマでキスすら出来ない…

 

「で、名前はどうすんだ?」

 

「リーアにしようかなって…」

 

彼が一番愛する者の愛称…彼自身はそのことに気づいてはいないのが、問題ではある。

 

「なんで、よりによって、最悪だろ?最悪な女の代名詞だぞ!」

 

やはり気づいていない。愛することを封印されていた彼。その影響で、愛情がねじ曲がっているらしい。彼の世界の私が教えてくれた。

 

「決めたの♪」

 

「う~、黒髪のリーアか…なんだかなぁ~」

 

「で、イッセ君はどうだったの?」

 

「ダメだな。アレは使い物にならない。前線には連れて行けない。どうしてもってリアスに頼まれたら、平和維持活動程度ならいいかな」

 

イッセ君の評価はガタ落ちのようだ。この世界では敵無しの彼なのだが、団長の行く世界において、使い物にならないレベルらしい。

 

「戦闘力自体は2軍クラスだけど、精神がなぁ。一度壊れているから、無理も無いが…入団基準に満たない。あと、覚悟が無さ過ぎる」

 

この世界で敵無しの彼に、覚悟は無いと思う。どう戦っても敵無しだったから。

 

「ソーナの学校で教えられないかな?その辺りをさぁ」

 

「そうですよね。有能な戦士を育てる上で、必要な事ですものね」

 

覚悟…自分の死をもってやり遂げる覚悟。味方をもう苦しませないように、生の時間を終わらせてあげる覚悟。私が教えるにしてはハードルが高い。

 

「どなたか、講師を派遣してもらえますか?」

 

「う~ん…誰が適任かな…わかった。捜してみる、少し待っていてくれ」

 

彼が唸っている。彼の、この顔も好きだ。私のことを、親身になって悩んでくれていると思えるから♪

 

 

 

 

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