---リアス---
イッセが私を求めて、今宵も彼と身体を合わせる。ソーナへ預けた子供が心配であるが、夜間はイッセのフォローをしないとダメである。
「俺はどうしたらいいんだ…」
私にはわからない変化を、イッセ自身が感じとっているようだ。
「どうしたの?何があったの?」
「リアス…一緒にいたい。いつまでもだよ」
激しく私を求めるイッセ。今宵の彼はおかしい。どうしたんだ?
「私もよ。イッセ♪」
窓から月明かりが入り込む。今夜は満月のようだ…一瞬出来た隙…その時、首に激痛が走った。何?何が起きたの?
---イッセ---
満月が目に入った。何かソワソワする。目の前には愛しいリアスがいる。欲しい、リアスが欲しい。いつでも一緒にいたい…心が暴走していく感じだ。どうすれば一緒に居られるんだ?
良い考えが閃いた。そうだ。リアスを俺の一部にすればいいんだ。俺はリアスの首元に噛みつき、リアスを食べ始めた。
首を食べ終わると、リアスの頭を食べる。美味しい…悪魔の肉ってこんなにも美味しのか。イッセーは女神の肉を喰ったそうだ。女神もおいしいのかな?もっと色々な肉を食いたい。リアスの乳房はサイコーである。脂肪に甘みがある。妊婦のソーナの乳房はどんな味かな?俺の食への興味は尽きない。
---リゼヴィム---
イッセたんの制御装置に異常が発生したようだ。警報が鳴り響く。
イッセたんの元へ行くと…最愛の女性を美味しそうに食べているイッセたんがいた。その姿は、邪龍の姿であり、纏っているオーラも邪龍独特なものであったん。
どうして…邪龍化に?イッセたんは僕ちんと目が合うと、襲ってきたんよ。溜まらず、転移をして逃げる僕ちん。
シュウたんを呼ばないとダメだ~
---シュウ---
リリンからエマージェンシーコールが届いた。イッセの世界へと急ぐと、最悪な事態が待っていた。イッセは邪龍化していた。
「シュウたん、どうしよ~ん」
泣きすがるリリン。こうなる予測はしていた。だから、この前、感情制御装置を新しいのに変えたのだ。だけど、想定よりも邪龍としてのイッセの思念波が強く、制御装置を破壊したようだ。
「リリン…お前がイッセに施した結果を見ろ!目を背けるな!」
はっとしたリリンが、邪龍化したイッセを見据えた。
「グレートレッドとオーフィスのDNAにより、強固な肉体を持った。リリン、お前のDNAにより、多彩な耐性も持っている。だけど精神が人間並なんだよ。F1マシンに、ど素人が乗り込み、運転して大事故を起こした結果だぞ」
イッセはこの世界で無敵である。それは今もそうだ。この世界でイッセに勝てる者はいない。たいした努力もせずに最強の座を得たイッセ。行け行けな状態であれば、その能力も発揮できていた。だけど、壊れた精神を復元した状態のイッセ。そんなリハビリ中の精神では、ドラゴンの本能、悪魔の本能を抑えきれなくなったのだろう。
VRトレーニングで本能を刺激しないように、精神だけを鍛えようとしたが、日常生活程度でも本能が刺激されていたとは…。満月が目に入った。満月から放たれる魔性の光…まさか、アレで刺激されたのか?抑え込んでいた邪龍としての欲望が…
リアスとの子供を楽しみにしていたイッセ。だけど…最近は、卵として産み出さないリアスへ、ストレスを感じていたようだ。その為、リアスの胎児を、ソーナの子宮内へ退避させ、リアスと交われる環境を作ってあげた。
リアスとの触れ合い、リアスとの愛を満喫し始めたイッセだが、アイツの本能は、誇り高きドラゴンへシフトしなかった。リリンという悪魔の因子が、アイツを邪龍へとシフトしてしまったようだった。
「リアスは?」
「食われていたんよ…エサと間違えたみたいなん…」
邪龍には性欲は無い。戦闘欲と食欲だけが際立っている感じである。今できること、リアスの魂を招魂して、魂の保管箱にしまった。
「リリン、アイツは、こっちで預かるぞ。人間界へ出たら、この世界は滅亡する」
青い顔で頷くリリン。目の前では、魔王軍と抗戦している、イッセだった邪龍。サーゼクスが簡単に払い除けられ、グレイフィアが弄ばれた上で食われていた。グレイフィアの魂も招魂して、保管しておく。そして、目の前の邪龍を、僕の専用フィールドへ強制転移させた。
「リリン、お前の招いたことだ。アイツを邪龍にしない方法を考えていてくれ」
「わかったよん。だから、イッセたんを助けてねん」
僕に対して深々と頭を下げたリリン。作戦を考える為に、僕は本拠へと戻った。
---ソーナ---
目の前に彼が仲間を引き連れて、やってきた。緊急事態らしい。
「イッセが暴走した」
「リアスは?」
一緒にいるはずの親友のことを訊いた。
「食われたそうだ。僕の目の前でグレイフィアも食われていた」
食われた?性欲ではなく、食欲として?
「今、イッセは邪龍化している。理性は既に無い。本能だけで暴走している」
邪龍の本能…戦闘欲と食欲だけってことか…そんな…
「これから、ソーナを安全な場所へ連れて行く」
「どこへですか?」
「邪龍程度では手も出ない場所だ。転移担当は、ガイアと魔王リアスが担当しろ。いいか、ソーナは身重だ、短距離転移を連続して行え。ゼノヴィア二人とアイズは転移先に敵がいたら、速効で始末しろ。ベス、アーシア、ジョゼ、芳佳は回復に専念しろ。特に胎児二人の状況に注意してくれ。頼んだぞ」
彼が仲間達に指示を出し終わると、私は彼らと転移を始めた。
---イッセー---
シュウさんと分離して始めて、招集された。現地へ転移すると、とてつもデカい邪龍がいた。これを殺さずに戦闘不能にしろと?なんか無理な予感。今までで一番デカい敵は、巨大化した全裸のソーナだものな。それよりも遥かにデカいとわかる邪龍。
敵にビビっている僕の隣に、リアスさんが転移してきた。ドラゴニールの姉だったリアスさんである。
「デカい…でも倒さないと…彼も、ドラゴニールの被害者だものね」
ドラゴニールが支配する救われない世界で、イッセさんの心は死んだそうだ。木場さんは切腹死を選び、敵に浸食された百代さんはヴァーリさんに斬首され、優しかったメイビスさんは、その世界の兵藤一誠により食い殺された。その他にも、多くのシュウさんの仲間達が戦死したそうだ。目の前にいるこの世界の僕の魂は、最愛なる者の元に帰りたいと、シュウさんに懇願したそうだ。その結果がこれである。最愛な者を食い殺したそうだ。
「ここで止めるわよ、イッセー君」
リアスさんの指示に頷く僕。兎に角援軍が来るまで、少しでもダメージを入れないとダメだ。リアスさんは滅の力を具現化して、鎧と剣、盾を出現させた。
「その状態で、どのくらい保ちますか?」
「1時間…でも、死ぬ気でがんばります」
僕も魔人の力を覚醒させて、聖剣エクスカリバーを手にして、目の前の邪龍に向かっていく。巨大な邪龍の放つ攻撃力は、思っていた以上である。ドラゴンオーラ弾が擦っただけで、激痛が走る。オーラは魔力では無いので、吸収できない上。物理攻撃では無いので、緩和も出来ないようだ。
「きゃぁぁぁぁ~!」
尻尾で叩かれて、吹き飛ばされたリアスさん。滅の盾が粉砕されていた。
「装甲が半端無いわ。滅の力が効かないなんて…」
再度、盾を発現させるも、先程よりも強度は無さそうである。規格外の邪龍がこれほどの物とは…
「イッセー君、大丈夫か?」
木場さんとヴァーリさんが来てくれた。
「リアスさんを退去させてあげてください」
まだ30分経っていないが、リアスさんはボロボロだった。気力で立ち上がるが、そこへ尻尾とオーラ弾とブレスが襲い掛かる。既に避ける気力までは無いようで、目を瞑っている。
『バランスブレイカー』
白い鎧を纏ったヴァーリさんが、リアスさんを救出して、強制転移で、この場から避難させた。
「俺の鎧が…」
ブレス攻撃が擦っただけなのだが、ヴァーリさんの鎧はヒビだらけである。なんて、威力だ。
「イッセ君、気をしっかり持つんだ!」
木場さんが、剣で斬り掛かるが、剣は刺さらずに弾かれていた。
「こんなに固い装甲のドラゴンは初めてだ」
『ハーフディメンジョン』
ヴァーリさんが空間体積を減少させる能力を使うが、まるで効果が無い。
「デカ過ぎるって、それだけで脅威だな。ならば…」
ヴァーリさんが唄い始めた。そして、ジャガーノートドライブを発動した。僕も、唄い始めて、ジャガーノートドライブを発動する。
---ヴァーリ---
ジャガーノートドライブでの攻撃も通らない。なんだ、この装甲は…グレートレッドとオーフィスの力が融合すると、こんなにも強くなるのか?
イッセー君が尻尾と格闘していた。鞭を打つような攻撃である。衝撃が激しいのだ。あれをまず、封じないと。イッセー君へブレス攻撃が向かないように、俺と木場で、邪龍の気を引きつけていく。
「援軍到着♪」
魔王リアスとガイアが来てくれた。
『ホーリーニードル』
ガイアの放つ聖なる針が、弾かれてきた。マズい。俺達悪魔属性には猛毒だぞ。
『ダイヤモンドウォール』
シルキーが来てくれて、カウンターされた聖なる針を防いでくれた。
「弾かれるとは…攻撃手段は限られるな」
ガイアの表情が険しい。
『ダイヤモンドダスト』
シルキーの必殺技…弾かれる事無く、刺さっている。刺さるだけなのか…
『天空の裁き』
シルキーが大技を連発していく。刺さったダイヤモンドの微粒子を避雷針にして、雷撃を放っていく。
「えっ!効果無いの…」
ウロコの下に分厚い鎧を着込んでいる感じがする。あれが、耐性アップをされた結果なのか…
「奇襲部隊到着!」
ゼノヴィアとアイズが飛ぶ斬撃を一点集中で撃ち込んでいく。ねらいは、右膝であるが、
「ブレスが来るぞ!」
木場の叫び声…何…これって…
『ダイヤモンドウォール』
頭上に防御壁を発現させたシルキー。他の者達で、防御壁が落ちないように、みんなで支える。まさか、ホーリーブレスなんかを吐き出せるとは…予想外の攻撃に、俺達はボロボロになっていく。
「お待たせ♪」
やっと鬼が降臨してくれたようだ。ヤマトとムゲンもいる。
「みんな退去しろ。誤爆は避けたい」
俺達は転移してこの場を離脱した。
---シュウ---
「なんだよ。やれば強いじゃないか」
聞く耳を持たない者に声を掛けた。殺すなら簡単である。だけど…
「どうします、団長」
ヤマトに訊かれた。
「下半身はまかせていいか?ヤマト、ムゲン」
二人が頷いたので。僕は翼を展開して、上半身へと飛びだった。
コイツ、またデカくなったのでは?そう思える程、コイツの頭部がある高度に到達するのに時間がかかった。
「よぉ、相変わらず、殺さない前提で戦うと、強いなぁ♪」
「ぐぉぉぉぉぉぉ~!」
勝ち誇ったような雄叫び。だけどね、
「攻略方法は見つけてあるよ♪」
『衝撃波』をコイツの右腕の付け根に叩き込み、インパクトの瞬間、一拍遅らせて『振動波』を放った。
「ごぉぉぉぉぉぉ~!」
何かを耐えるような雄叫び。衝撃波でウロコが固く弾力性のある筋肉に一瞬埋まり、はじき出された処で、振動波がぶつかり共鳴して、共振波が、筋肉繊維を弦見立てて鳴り響かせていき、コイツの骨を揺さぶり、反復した波と共鳴した波が更なる共鳴波を産み出し、骨自体を破壊させたのだ。
「はぁ~い、右腕はロストね。次は左腕だよ~」
グゥィ~ン!と、尻尾が僕を狙うように叩き込まれて来たが、その尻尾の先端を『真空刃』で断ち切った。
「なぁ、デカいだけのドラゴン君、知っていたか?尻尾にはウロコは無いんだよ、君の場合はね。で、知っていたか?君は尻尾の先端が無いと、立っていられないんだよ。3点立位だからね。尻尾の先端で地面を掴み、バランスを取っていたんだよ♪」
目の前のデカいだけのドラゴンは横倒しになった。無意識のうちに、左右の腕でバランスを取っていたのだけど、右腕を使えなくした為、バランスは取れなくなったのだ。
地面に降り立った僕。左腕だけで立ち上がろうとしているが、腕一本で支えられる巨体では無いのだった。
「意外に早く、倒しましたね」
って、ヤマト。
「いや、寧ろ問題はここからだよ。コイツをどうするかだ。デカいだけが取り柄の邪龍。使役させる必要性が無いし、殺すとリリンが反省しないからなぁ」
そう、リリンを反省させる意味でも、コイツは生かさないとダメだ。こんな化け物を作りだした製造責任を反省して欲しい。
「イッセの心は戻りそうか?」
ヤマトに訊いた。
「難しいですね。身も心も邪龍していますよ」
そうなると、駒にバックアップした記憶と心で、再生かな。
「制御装置付きの駒が、定着するといいんだけど…」
額に駒を埋め込んだ。しかし、邪龍になってしまったコイツは、制御が無理っぽい。せめて、人間体系に戻したいんだけど…
「ダメ?」
ヤマトに訊かれた。
「ダメだな。戻らない。邪龍化ではなくて、邪龍になっているし…」
一時的な変異ではないようだ。どうするかな…
「行動の制御は出来そうだけど…変異状態は制御が出来ないようだよ」
コイツのDNAを探査してみた。人間としてのDNAが見当たらない。
『どうすんだよ、リリン!』
元凶に念話を送った。
『イッセたんは?』
『邪龍になったぞ!おい、戻し方を考えろよ。お前が作ったんだからな!』
このまま、放置は出来ないので、カプセルに収納した。これで、カプセル怪獣として、呼び出せるはずだ。