あれからの箒の話をしよう。処女を奪われた後、箒は目に見えて憔悴していた。普段あまり交流のないクラスの女子から心配される程度には。そして、俺との関係も変化したが、そこでもやっぱり箒は絶望したままだった。再び一週間に一度は俺の部屋に訪れるよう催眠をかけて、部屋に呼んだが、箒は投げやりな態度を隠そうとしなかった。するならすればいいじゃないか、とでもいうような態度で、乾いていた。
その状態を好ましくないと思った俺は、以前から準備を進めていたあることをお披露目しようとしていた。
§
「箒、今日はセックスするぞ」
ストレートに要求していた。処女を失ってからの箒は抜け殻めいていて、あれだけ嫌がっていた口での奉仕も淡々とこなされた。なんか悔しかったので念願の口内射精はしていない。できれば彼女が本調子に戻ってからさせたかった。そして今日はアレ以来の、二度目のセックスである。だが……。
「…………そうか…………好きにしろ」
これである。完全にやけになっているな。あ、そういえば、セシリアや鈴、そして今はまだ話せないがもう一人(シャル)、それからラウラと関係を持っているとは告白しておいた。だがそれにも無反応だった。箒のことが好きと言っていたにも関わらず、不貞を働いているようなものなのに言及されることはなかった。まあ俺も箒が嫉妬とかするとは思っていなかったけどさ。
「じゃあ好きにさせてもらおうかな」
俺は箒の体を抱き上げると、ベッドにうつぶせに寝かせた。頭はベッドの下側に……と。
「?」
「今日は後背位、バックスタイルってやつでやるから」
「…………」
はいはい、無反応ね。俺は背中から手を回して箒の量感のあるおっぱいに触れていた。こねるように優しく揉む。ついでに勃起したモノを服越しに尻に当てる。いつか尻コキとかもやりたいもんだ。今日は手早くやりたいので前戯はほどほどに、でも最低限感じさせる。
「……ん……ふぅ…………はぁ」
この無反応っぷり。マグロなんてもんじゃないよ。俺は服の裾から手を差し入れて、ブラジャーの中に手を伸ばした。肉と肉が直接触れ合う。やはり箒のおっぱいはいい。たっぷりとした大きさに少し大きめの乳輪、そして乳首。美味しいものがたくさんだ。俺は箒の突起を弄くり回した。
「は…………ふ………………う」
無反応でも感度は上げてあるんだ。続ければ濡れるはず。と思い愛撫を継続する。しばらく続けるとようやく箒の息が上がってきた。
「はぁ……はぁ……はぁ」
頃合いと見た俺は右手をスカートの中に突っ込み、ショーツの上から陰裂をなぞった。腰がぴくっと動く。
「箒、キス」
「………………」
俺は首を伸ばして箒にキスをした。しかし無反応。だが見ていろ、お前の顔色を変えてやる。俺はショーツ越しに陰核もいじり、箒の準備を整える。
「箒、ショーツ、湿ってきたぞ」
「…………」
続・無反応。反応しないなら反射させるまでよ。俺はショーツのアソコ部分を脇にずらすと、直接陰唇をなぞりあげた。濡れ具合が足りないので、箒の唾液を使って指を濡らす。
「く……ふ……ふ」
少しだけ反応が返ってきた気がする。包皮に包まれた陰核を指で弾く。
「くっ!!」
箒の体が揺れた。効果あり、だ。
「あっ……あ……ああっ」
少しだけ感じ始めた箒の体。それを愛おしそうに撫でる。右手は股間に、左手はおっぱいに。口は口に。
「ん……むちゅっ……んんっ」
少しだけ膣口からにじみだした愛液を陰唇に、陰核に塗りたくる。そろそろか、俺は箒と目を合わせ、最後の手順を踏んだ。
俺のチンポを入れられている時は幸福感を感じろ!
最終手段だ。セックスと催眠の合わせ技である。これで準備は完了だ。後は俺の性技にかかっている。
「いくぞ、箒。今から俺のチンポをお前のマンコに入れるからな」
言葉で現状を説明してやる。箒にとっては二度目のセックス。生なので中出しされる危険性もある。だというのに……。
「……………………」
箒の目は冷めきっていた。全てを諦めているようだった。だがな、箒。俺は知っているぞ。お前というパンドラの箱、その中の最後に残った希望ってやつをな!
ずぶ、ずぶぶ。
俺は箒のマンコに挿入した。やはり濡れ具合は悪く、かつ狭い。だが最後までやる。俺は腰に力を込めると肉の壁を割り開いて入っていった。
「ぐ……ぬ……」
箒がわずかに反応する。肉体としても感触があるだろうし、精神的にもあの最悪の夜を思い出して体が固まるのだろう。しかし……。
「く……は……入ったぞ。箒、俺のチンポがお前の中に入ったぞ」
その言葉と同時に箒の体がブルッと震えた。
「は、ぁ……な、んだ……これ、は……」
今やっと自分の状況を認識して催眠が効果を発揮したのだろう。箒の体を幸福感が支配しているはずだ。俺は上体を倒し、上半身をベッドと平行にして箒の体を抱きしめる。そしてそのまま腰を動かす。パン、パンと乾いた音が響く。俺は箒の中に入っているモノに、少しずつ蜜が絡まり始めるのを感じていた。
「箒。俺、幸せだよ。お前と繋がれて」
「し……あ……わせ」
ぼーっとした状態の箒は俺の言葉を反復する。自分が今感じているものが幸福感だと気づいただろうか? いや、自覚はしていまい。ただ何か変な感覚がする、としか認識されていないだろう。だがそれで良かった。元よりこれが最後の策という訳ではないのだから。最後の策は……。俺はベッド脇に置いておいたリモコンを手にとると、TVのスイッチを入れた。素早く操作してビデオ画面にする。すると……。
§
「清香……」
「一夏君……ん」
画面の中では二人の男女が部屋――恐らくIS学園学生寮だろう――に居る姿をとらえていた。片方の男は整った容姿をしている。もう一方の女性もそれなりに美人と言えるだろう。その二人は今、抱き合っていた。キスをしていた。会話が聞こえてくる。
「清香……俺、もう我慢できないよ」
「一夏君……でも、シャルル君が……」
「あいつなら根鳥の部屋に行ってる。俺、根鳥にお願いしてシャルルを引き止めてくれるよう頼んであるんだ。あと、シャルルがこっちに向かった時はメールしてくれるようにも」
「もう……準備万端じゃない。最初からその気だったの?」
「ああ……清香と、したいからな」
「……………………わかった。そこまで言うなら……でも、優しくしてね?」
「ああ、わかってるよ」
そしてまたキス。二人の舌がからんでいるのが、一定の距離にある画面――ビデオカメラからも見てとれた。会話の通りに男が女の服を脱がせていく。そして二人は何もつけていない生まれたままの姿となった。
「清香……綺麗だよ」
「いやぁ……」
「本当に綺麗なんだから……隠さないでくれよ」
「やあぁっ……」
「かわいい胸だな……やっぱりISスーツの上から見るのとじゃ全然違うな……」
何やら一部問題になりそうな発言をする男。
「ひゃああぁぁっ……」
男が手を伸ばし女の膨らんでいる胸に触れた。
「う~~恥ずかしいよぉ」
「これ、気持ちいい?」
男は軽く胸を揉み、そう聞いた。
「やぁ……わかんない……くすぐったいよぉ、一夏君……」
「そっか、俺、こういう知識に乏しいからさ、どうしたらいいか実はあんまりわかってないんだ」
「何それ」
女が堪えきれず笑いを漏らす。馬鹿にするようなものではなく、微笑ましいものを見るような笑いだ。
「わ、笑うなよ。初めてなんだからしょうがないだろ」
「私だって初めてだよ。……それじゃあ、一緒に気持ちよくなろっか?」
「え?」
「一夏君の、好きに触っていいよ」
「いいのか?」
「もー聞き返さないでよ。恥ずかしいんだから、デリカシーがないなぁ」
「ご、ごめん。……それ、じゃあ」
男の手が再び女の胸へと伸びる。
「あっ……なんだろう、少しピリピリする」
「痛いのか?」
「ん、それは大丈夫。でもなんだか変な感じ」
画面にはしばらくそんな風景が映り続けた……。
「も、もういいの?」
「ああ、充分堪能した。それで、その、できれば別のところも触りたいな」
「……一夏君のエッチ!」
女の糾弾に慌てて弁解する男。
「え、エッチってなあ。男なら誰だってこんなもんだろ?」
「そうなの? なんだかな~」
「そ、それでさ、その……」
男の視線は女性の股間に貼り付けになっていた。
「……………………わかったよ、でも、シャワー浴びてないから汚いよ」
「清香の体に汚い所なんてないよ」
「もう、またそんなことを言って!」
女がベッドに横たわる。男はベッドの脇から女性のその部分を覗き込んだ。
「うううう」
「汚いどころか、すごく綺麗だよ……」
「一夏君……あぁぁ……」
女は恥ずかしそうに両手で顔を覆った。
「な、なあ清香、俺、もう我慢できないよ」
「え!?」
「清香の中に入れたい。セックス、したい」
その言葉通り、男の股間はもう待ちきれないとばかりにそそり立っていた。
「一夏君……私、怖い……」
「大丈夫、優しくするから。力、抜いて……。清香、俺を信じて」
「うん……一夏君……」
「清香!!」
男は女の両足を手で持って開くと、強引に割って入った。
「一夏く……ぁん……あああぁぁっ……!」
「くぅっ!」
入っていた。男のモノが、女の中に。
「はああぁぁ……痛っ……苦しっ……い……」
「…………」
女の両目から、涙が頬を伝っていた。
「くっ……ううぅん……」
「ごめん、清香……やっぱり、今日はここまでにしようか……」
「大丈夫……これ、嬉し涙だから……私、一夏君とひとつになれて、とっても嬉しいよ」
「清香……」
「だから、一夏君にも喜んで欲しい。もっと一夏君の思うようにして……」
「清香……ありがとう……」
「くううぅぅっ……!」
「つっ……! ……………………清香、動くよ?」
その言葉の後に、男が腰を使い始めた。乾いた音が画面越しに響く。
「うん……。うっ……うっ……」
「清香」
「一夏君……うっ……うあっ……はっ……あっ……くうぅぅ……あぁん……」
「清香……気持ちよくなってきた……?」
「……うん……少し……だから……もう少し強くしても……大丈夫だよ……」
「…………」
「はぅっ……くっ……あああぁっ……ひゃうぅんっ……はっ……あっ……やぁっ……んく」
「清香……清香……」
「ああ……一夏君……」
「悪い、清香。俺、もう限界だ……」
「一夏君、あの……」
「わかってるよ。中には出さない」
「うん……」
「ん……あっ……一夏君、気持ちいい……?」
「ああ、気持ちいいよ……最高に気持ちいい……」
「嬉しい……私……くぅっ……あああぁっ……あっ……そんな……激し……いっ……やっ、くはっ……あああぁっ……」
「清香……イクッ……きよかぁっ」
「ふあああぁぁ……」
寸前で引き抜かれた男のモノから白い濁液が放出され、女の腹にかかる。
「ぁぁぁぁ…………一夏くぅん」
「清香、愛してるよ」
「私も……」
二人は両手を繋いで愛を確かめ合っていた……。
§
画面を見ていた箒はおこりのように震えている。顔は先ほどの無表情よりもなお真っ青になっていた。
「う……うそだ……いちか……こんな……嘘だぁぁぁっっっ!!」
「嘘じゃないんだな、これが。だって俺、織斑に直接言われたもん。相川さんと付き合うことになったって」
相川 清香。IS学園一年一組出席番号一番の女子である。
「うそだ。こんなの、いちか、どうして、なんで」
「織斑の話だとね。二週間くらい前に相川さんに告白されたらしいよ。『好きです。恋人として付き合って下さい』ってね。で、今までそういうことが全くなかった織斑は舞い上がって、嬉しくなって、彼女と付き合うことになったって訳」
「うそだ……うそだ……そんな……いちかが……」
箒は頭をふるふると左右に振りながら、嘘だ嘘だと繰り返している。
「でも酷いんだよ、織斑の奴。デュノアと同室になっただろ? んで同じ男のデュノアに、恋人がいるから逢い引きする時間は俺の部屋にでも行っててくれって言ったらしいのよ。それで最近デュノアが俺の部屋に来ることが多くなってさ、腹が立ったから何か面白いものでも映らないかなーと思ってビデオカメラを仕掛けたらこんな映像が撮れたって訳」
「……………………」
箒はもはや言葉もない様子だ。そりゃそうか。幼馴染で初恋の相手(現在進行形)が他の女(出会って二ヶ月!)とセックス、初体験をする現場を見せられた訳だからな。
「でも、”仕方ない”んじゃない? だって箒はさ、長い間織斑を思っていたのかも知れないけど、”告白してない”んだろ? じゃあ出会って二ヶ月ちょっとしか経ってない相川さんだろうが、”告白した”彼女が織斑と付き合えるのは道理だよ。……逆に聞きたいんだけど、箒はどうして学園で再会したその日にでも告白しなかったの? 織斑は女の子に告白されたことがないから相川さんにされたことが嬉しかったって言っていた。箒が入学一日目とか、そこまでいかなくても数日経ってからでも告白していれば、織斑と付き合えている可能性があったのに、あんな風に幸せな初体験をしていた未来もあったかも知れないのに」
「…………うぁぁ、ああぁぁ、ぁああああああぁあああ!!」
箒の瞳から涙がこぼれた。これでいい、無感情に俺とセックスする箒より、セックスしないけど感情のある箒の方がよっぽどいい。……すいません嘘つきました。やっぱりセックスもしたいです。
「箒……」
俺は繋がったまま、背後から箒を抱きしめてやった。
「可哀相な箒。ホントは心のどこかで思っていたんだろ? ”いつか一夏が助けてくれるかもしれない”ってさ。ホントはまだ諦めてなかったんだろ? 織斑と付き合うことを。……でもさ、自分から行動しなきゃ、そんないつかは絶対にこないよ」
「ぁあぁぁあぁぁあぁぁぁ。うあぁぁぁぁあぁっぁあ」
泣いている。箒が泣いている。俺はそんな箒を慰めようと、結合をやめて箒を正面から抱きしめてやった。
「辛いんだな、箒。大丈夫。俺がついている。俺は箒をレイプした最低野郎だけど、織斑と違ってお前のことが好きだ。お前が好きな相手じゃないけど、お前のことが好きな男だ。大丈夫、ずっと傍に居るよ。お前が辛いときは抱きしめてやるから」
これ以上ないってくらいの身勝手な言葉を吐きながら、俺は箒を抱きしめ続けた。
一夏の男性部分をどうするか悩みましたが、「普通」にしました。
主人公はクズ男ですが、常に自分から行動しています。その行動に結果が返ってくるのはある意味当たり前です。良い結果も悪い結果も行動してこそ得られます。何も行動(告白)しない人間が何も手に入れられないのはある意味当たり前です。……まあ本来の歴史であれば今ごろ告白していましたがね。