一瞬、空から落ちた衝撃で自分がおかしくなったのかと思ったが、今目の前にいるのは紛れもなくネプテューヌとネプギアだ。という事は俺は何故かゲイムギョウ界に来てしまったということか…なんて、なんて………素晴らしいんだ‼︎
「ねえねえ、私は自己紹介したんだから貴方の名前も教えてほしいな」
「…!?あ、あぁ、俺の名前は西園寺昂っていうんだ。介抱してくれてたんだよな?ありがとうな」
(駄目だ駄目だ、驚きと嬉しさの余りにボーッとしてた)
「へぇ〜昂っていうんだ〜じゃあ、のぼるんだね!あっ!介抱してたことは気にしなくて良いよ。それに実際介抱してたのは私じゃなくてネプギアだしね。ネプギアっていうのはこっちの子のことだよ、私の妹なんだ。いや〜それにしてものぼるんが私の上に落ちて来たときはびっくりしたよ〜でも、私だって空から落ちたことが……」
ネプテューヌのマシンガントークで俺もネプギアも唖然としていた。何か変な愛称を付けられていた気がするが…。
「お姉ちゃん、昂さんは起きたばっかりなんだからあんまり話しちゃだめだよ」
「あ、そっか。ごめんね、のぼるん?」
やっぱりネプギアは苦労が絶えないな。
「すいません、お姉ちゃんいつもこんな感じなんです。自己紹介がまだでしたね、改めて私はネプギアっていいます。お姉ちゃんと同じくプラネテューヌの女神です。候補生なんですけどね」
「大丈夫だ、介抱してくれたお陰か特に変な所もないし、ありがとう。西園寺昂だ、よろしくな」
「お姉ちゃんも言ってましたけど本当に気にしないで下さいね、女神として当たり前のことをしただけですから」
そう言ってネプギアはニコッと微笑んだ。う〜ん、ギアちゃんマジ天使。
「それでのぼるんはどうして空から降って来たの?」
「ああ、それは………」
「そんなことがあったんだ〜何か私とネプギアが零次元に行った経緯と似てるね。ということは、のぼるんは別の次元からこのゲイムギョウ界の次元に来ちゃったってことなのかな?」
「そうとも限らないんじゃないかな?聞いた話じゃ昂さんのいた世界はゲイムギョウ界じゃないらしいし、それこそ異世界っていうこともあり得ると思うよ」
2人が横でそんな話をする中で俺は今後のことを考えていた。ゲイムギョウ界に来てしまった理由はわからないが、暫くはこっちで生きて行かなければならないだろう。そうなると当面の課題は金と住む場所だ。恐らくこちらの世界も働くには住所がいるだろう。だが、そもそも住む場所を借りる金がないし、資金がまったくないというのも心配だ。手っ取り早く金を稼ぐにはやはりモンスターを倒すのが良いだろうが、ごく普通の一般人の俺がモンスターを倒せるとは思えない。精々スライヌ辺りが限界だろう。
などと思案していると……
「うん、取り敢えず私達だけで話ててもしょうがないよね。いーすんなら何か分かるかもしれないし、いーすんの所へ行こう!」
「そうだね、いーすんさんなら何か分かるかも」
どうやら話が纏まったらしい。そういえばまだイストワールには会っていなかった。
「という訳でのぼるん、いーすんっていうとっても頭の良い人?がプラネテューヌの教会にはいるから心配しなくて良いよ、元の世界きっと帰れるから」
ネプテューヌはそう言ってくれてはいるが俺は今の所元の世界に戻るつもりはない。未練がないと言えば嘘になるが、折角ゲイムギョウ界来れたんだから帰るなんてとんでもない。
「それじゃあいーすんさんの所へ行きましょうか。丁度教会に帰ってきたようですし」
ネプギアに促されて俺たちは部屋を出て教会の聖堂へと入って行った。その際ゲームでは分からない教会の間取りなどを知り内心興奮気味だったのは言うまでもない。
聖堂に入るとそこにはネプギアの言う通りイストワールがいた。
「あれ、ネプテューヌさんに、ネプギアさん?ノワールさんに会われに行ったはずだったのでは?それにその後ろの方は?(・_・;?」
どうやらネプテューヌとネプギアの後ろにいた俺のことに気付いたらしい。というかノワールに会いに行く途中だったのか…ノワール絶対怒ってるだろ。
「あ〜そう言えばそうだった〜!ノワール、怒ってるだろうな〜。ま、今はそれよりのぼるんのことだよね。実はねいーすん、かくかくしかじかな訳なんだけど」
「なるほど、分かりました。かくかくうまうまな訳なんですね」
「さっすがいーすん、このやり取りだけで経緯を理解するなんて、私といーすんだからこそ成せる技だね!」
「私はプラネテューヌの歴史の記録者なんですからこのくらいは当然ですo(`ω´ )o」
本当にあれだけで内容を理解したんだろうか。流石ゲームの世界は違うな。
「ねぇギアちゃん、いまの会話なんて言ってたか分かった?あ、ギアちゃんって呼んでも良いかな?」
「はい、男の人にそう言われるのは少しはずかしいですけど。私もお姉ちゃんといーすんさんが何て話てたかは分かりませんでしたから大丈夫ですよ」
良かった…俺がおかしいんじゃなくてあの2人の方がおかしいんだと分かって安心した。やっぱりあれか?主人公補正か?
「と、話が脱線しましたね。昂さんをもとの世界に戻す方法、でしたよね?調べてみないと今の所は何とも言えないですね。ですので暫く時間を頂きます。」
まあ、そうだろうな。流石にイストワールでもそう簡単には行かないだろう。今回は次元じゃなくて世界そのものが違う恐れがあるんだから。
「なので帰る方法が見つかるまで暫く掛かるのでその間、昂さんには教会に住んで貰うことにしましょう。此方の世界に来てしまって住む所もお金もないでしょうし、それにモンスターだっていますから。よろしいですね、ネプテューヌさん?」
まさか教会に住まわしてもらえるとは思っていなかった。嬉しい誤算だな。
「私はそれでも構わないよ。のぼる〜ん、私やネプギアが可愛いからってエッチなことしちゃ駄目だよ〜?」
「そ、そんなことしね〜よ。でもギアちゃんはそれで良いの?」
ネプテューヌはからかって来ているがネプギアはそれで良いのか?仮にも男と一緒に住むことになるのだし。
「は、はい、皆さんが良いのなら私もべつに構わないですよ。それに昂さんは優しいそうですから」
「あ〜れ〜、いつからのぼるんはネプギアのことをギアちゃんって呼んでるのかな〜ネプギアも顔が赤いし。はっ!さてはのぼるんがネプギアのフラグを立ててる!?」
「お、お姉ちゃんっ!?」
ネプテューヌが俺の方を見て驚いた感じを出しているが演技なのがまるわかりだ。ネプギアをからかって楽しんでいるんだろう。本当にどっちが姉なのかわからないな。
「はいはい、ネプテューヌさんその辺で」
イストワールが止めに入るとネプギアは見て分かるくらい安心していた。可愛い。
「それでは昂さんが元の世界に帰るまで教会に住んで貰うということで決まりで良いで「ネプテューヌ!いるんでしょ!いい加減来るのが遅すぎるからこっちから来たわよ‼︎」
バァーンと扉を開けてイストワールの言葉を遮り入って来たのは長い黒髪のツインテールを揺らし、怒り顏を作ったノワールだった。
「もう、今日は会う約束してたのに、何時まで経っても来ないんだもの!まさか忘れてた訳じゃないわよね?」
「そんなことないよ〜あれれ〜もしかして私に会えなくて寂しかったのかな〜ノワールぼっちだもんね〜?」
ネプテューヌが何時ものようにノワールを煽り始めてまた話が脱線しそうだな。
「そ、そんなことないわよ、友達ぐらい沢山いるわ!」
口では否定しているが、きょどっているのがまる分かりな安定のノワールだった。
「…?そういえば見ない人がいるわね、もしかして何かあったの?」
ノワールが不思議そうな顔をしてこっちを見てきた。やっぱりノワールもゲームキャラのままの可愛い顔をしているな。
「うん、そうなんだ〜実はね………」
「わかったわ。そういうことなら私に会うのが遅れても仕方ないわね。っと自己紹介がまだだったわね、私はラスティションを治めている女神ノワールよ。よろしくね、えっと確か昂よね?」
「ああ、合ってるよ。何か世話になるかもしれないからその時はよろしくたのむ」
「ええ、任せて起きなさい仮にも女神ですもの」
そうして恒例になりつつある自己紹介をしていると……
「ノワール様、大変です。緊急で伝えたいことが‼︎」
ノワールと同じくバァーンと扉を勢いよく開けて第二の乱入者が入ってきた。此処、仮にも教会だろ、なんでみんな勢いよく入ってくんの?
「その姿、貴方ラスティションの兵士ね?何があったの?」
「それが……」
ノワールがそう言うと兵士の男はノワールに何か耳打ちをしているようだ。
「…わかったわ、急いでラスティションに戻るわ」
「ありがとうございますノワール様」
「気にしなくて良いわ、自分の国のことだもの」
「流石はノワール様何と高いお志なのか!」
なんだか兵士のノワールを見る目が危険な物に見えるのは気のせいか?
「そういう訳だからわたしはラスティションに帰るわ。昂も早く元の世界に帰れるのといいわね。それじゃあね」
ノワールは少し焦った様子で教会を出ていった。やはり何かラスティションで問題があったんだろう。
「ノワールさん何かあったんでしょうか?」
ネプギアが心配そうにノワールの去っていった方を見ていた。
「う〜ん、まあ、何かあってもノワールなら大丈夫でしょ。それより何か有耶無耶になっちゃったけど改めてこれから暫くの間よろしくね、のぼるん!」
ネプギアとは違いネプテューヌはノワールのことをあんまり心配してないみたいだな。付き合いが長いからかノワールのことを信頼しているんだろう。
「こっちこそ、何時までかは分からないけど色々とよろしくな」
「もちろんだよ」
「はい、よろしくお願いしますね」
「昂さんを早く元の世界に返せるように頑張りますね」
不安がない訳ではないが、今は夢にまで見たこの3人の笑顔が俺に向けられていることを喜ぼう。元の世界に帰るつもりはないが…