※この作品はR-18です。

朱が交われば深紅に染まる   作:ですてに

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話し合いは一話で終わりませんでした。


第105話 二手に分かれて

「イライライライライライライラっ☆」

 

「セラフォルー。口で私激おこだって訴えるのは分かるけど、それだったらどうして大翔の方に行かなかったにゃ」

 

「分かって言ってるよね、黒歌? 貴女の後見人の私が貴女を一人でグレイフィアちゃんの前にいさせるわけにはいかないでしょー☆」

 

 分かってるもん、私だってまだ魔王なんだし。黒歌のはぐれ認定はまだ正式に解けたわけじゃない。小猫ちゃんが此方を気遣ってか、給仕役も兼ねて同席してくれているけど……ソーナちゃんはしれっとひーくん側に参加しちゃってるしさー! ぷんぷんにもなるよね☆

 

「兄さまに後でたっぷり甘えればいいと思います。兄さまとすずか姉さまに話は通してきました」

 

「いやーん、小猫ちゃん大好きー☆ 素敵! 抱き締めてあげるー☆」

 

「お茶役ができなくなりますし、話が進まないので結構です。それに私も一緒だというのが条件ですし」

 

「……セラフォルー様、貴女は本当にセラフォルー様ですよね?」

 

 それは交渉を勝ち取った当事者の権利でしょ、当然だと思うよ☆ 私がうんうん頷いていると、グレイフィアちゃんがこめかみを押さえながら、恐る恐る声を掛けてくる。

 

「私はもちろんセラフォルーだよ? でも、自己の存在証明をやれと言われても困っちゃうな☆」

 

「グレイフィアから見れば、まるで化かされたような気分ってとこかしら? 私もここ最近のセラフォルー様を見てるから戸惑いが無いけれど、一ヶ月も期間が空いたらグレイフィアと同じ反応をすると思うわ」

 

「そっかなー?」

 

「部長に同意です。私もたいがい変わったと言われますが、セラフォルー様の変化も相当のものだと思います」

 

「その、僭越ながら……多忙の中であっても、とても充実していらっしゃるのだなと感じましたわ」

 

 レイヴェルちゃんにもそう言われてしまうと、まじまじと自分を見てしまうんだけど……小猫ちゃんみたいに外見が急に変わったわけでもないもん。ただ、毎日が幸せだとは感じてるのは確かで、それはひーくんのお陰なんだ☆

 

「まあ私の変化はともかく。説明を聞くんでしょ?」

 

 黒歌と私はユーベルーナちゃんに起こっていた症状を説明していく。解決策を見つけたひーくんについては『仙術にも精通しているスゴ腕の魔法使い』で押し通した。リアスちゃんや赤龍帝君達がごり押しだって表情で語っていたけど、今のグレイフィアちゃんへの情報開示はここまでだということも同時に言い切ったしね。

 

 もちろん、ひーくんの正体はいつまでも隠し通せることじゃないけれど、私の庇護下のひーくんに手を出すことは私への喧嘩を売ることとイコールだってことを改めてグレイフィアちゃんに示した形だね。引いては、サーゼクスちゃん達への牽制にも繋がっていく。あと、リアスちゃん達やレイヴェルちゃん達は契約で守秘義務を課してるので問題なーし☆ そこを超えるような手段を取ってくる相手からは、こっちも即座に次元を越えて冥界よサヨナラバイバイと決めてるもんね☆

 

「本当のことを言うつもりはありませんとここまで堂々と開き直られるとは。そこまで貴女が拘るだなんて……」

 

「近々、パパやママから執行部に正式な報告が上がるけど、私もひーくんと結婚前提のお付き合いだから。そう考えたら当然でしょ?」

 

「え? 何を言っているのセラフォルー。こんな時に冗談はやめなさい」

 

 うわぁ、真顔でグレイフィアちゃんが素の話し方に戻ってる。これは大混乱状態だね、内心は☆

 

「えっと……グレイフィア、驚きの連続で申し訳ないけど、本当よ?」

 

「うふふ、リアス。嘘は良くないわ。だって、少し前まで男の影なんてどこにも無かったセラフォルーよ? 彼女自身の際立った戦闘力や個性の強さで、数百年単位でそういう話がどこからも出なかったんですから」

 

「潰すぞグレイフィアちゃん? ……ああ、そっかぁ。察したよ。そうだよね、優しいけど淡白そうだもんね。だから逆に僻んでるのかなぁ? ひーくんはすごいよ、毎日ちゃぁんと心も身体もとろっとろに蕩けさせてくれるもん☆」

 

 というか、夫婦生活たぶん無いよね。サーゼクスちゃんはグレイフィアちゃんには誠実だけど全くガツガツしてないから、ミリキャスちゃんが生まれてからはものすごくご無沙汰だと見た。グレイフィアちゃんは自他共に厳しい性格だから、仮にサーゼクスちゃんがその気になっても魔王の責務を果たさずに情欲に流される一夜なんて以ての外だって言っちゃう子だもんね。

 

「……いい年して若い男にど嵌りしている貴女に言われたくはないわ、セラフォルー?」

 

 不思議だね、綺麗な夜空なのに突然この部屋には瘴気が漂い始めちゃったよ☆ あーやだやだ☆ 外面がしっかりし過ぎているムッツリさんが強引に言い寄ってくれないからと不満を持つとか、そんなの我がままじゃない?

 

「魔王のお勤めとか、やるべきことはちゃんとやってますよーだ☆ 完全に素に戻っちゃうぐらい羨ましくて仕方ないのかな、女盛りなのに男日照りのグレイフィアちゃん? 自分から誘うだなんて、みっともないとか思ってるんでしょー?」

 

 言っちゃった、テヘペロ☆ そもそも『欲望には忠実に』の私達が、大好きな相手と繋がりたいって思うのをなぜ我慢するのかって話だよ! 不特定多数と繋がり合う男が相手でもないし、グレイフィアちゃんはサーゼクスちゃん一途。愛されたいと思うなら夜の寝室に忍びこむぐらいすればいいのに。

 あ、ひーくんは別格だよ☆ ハーレムの主として、全員を満たし続けるために必要な体力、気遣い、精力を保ち続けるのが当たり前だっていう求道者みたいな男の子だから。荒々しく奪い尽くすようなセックスも、優しく身体の隅々まで可愛がってくれるセックスも、繋がったまま甘えて愛の言葉を交わし合うスローなやり方もぜぇんぶ心行くまで叶えてくれるんだからね☆ 今朝だって、子宮が降り切ったところに押しつけるように精を浴びせられて朝から気をやっちゃったもん……。

 

「ねー、セラフォルー。全部言っちゃってるにゃ。ルシファーの女王の膨らみかけた怒気もどこへやら、他の子も含めて恥ずかしくて顔を伏せてる子ばかりよ?」

 

「私や黒歌姉さまは別として、他の皆さんには刺激が強いかと。レイヴェル様、一旦深呼吸なさってください。はい、冷たいお水です」

 

「……も、申し訳ありませんわ。刺激が強くて、ちょっとまともに顔が上げられませんの」

 

 あちゃー、やっちゃった。でも、私自身は何も恥じること無いもんねー☆ ひーくんが望むならいつでも子供を宿すぐらいの心積もりでいるし。数十年、数百年……まずは、そういう年月を大事に重ねていって、千年二千年先もひーくんと一緒に歩めればいい。

 

 さて、こっちはある程度ケリがついたんだけど、ひーくんの方はどんな感じかな~?

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

「礼は言っておく。俺の女達が俺が良く知っている状態に戻ったのは、お前とお前のパートナー達のお陰だろう。……ちっ。眷属達の恩人のパートナーでさえなければ、こんな見麗しい女性達を放っておく訳がないんだが。お前の友人だというヒロム嬢といい、恋人や友人は綺麗所を独占とはな。ハーレムを築いている俺ですら、正直心がざわめいて仕方ない。正直、貴様には過ぎた女性達だ」

 

 ライザーさんの後ろに集った彼の眷属さん達。今は無事全員瞳に理性の色が宿っていた。

 

 セラにグレイフィアさんの対処をお願いした後に別部屋に分かれた俺達は、ユーベルーナさんへ施した対処法でひとまず平常な状態に戻せることが分かっていたので、残りの眷属さん達を転移魔法陣で連れてきてもらった後、すぐに封時結界を敷いて時間を確保して、そこからは他の眷属さん達の体内魔力の乱れがユーベルーナさんと同じような状態であることを確認していた。

 そこからはすずかと朱乃に応急手当として気脈を整えてもらう間に、シーラさんに手伝ってもらいつつ精神異常防止の魔石を人数分作成。ブレスレットすらネックレスやらイヤリングやらその辺りの加工については、ライザーさんに任せることにしたんだけども……。

 

 どうにも、人間の──特に男性を下等生物とみなす節が強いライザーさんの発言から、表情を一気に無に変えた朱乃とソーナ、すずか達の魔力が一気に膨れ上がることになってしまった。

 

「ライザーさんから見ればそうでしょうね。だけど、すずかや朱乃、ソーナ達は俺でなければ駄目なのだと、繰り返し教えてくれる。すぐに自信を失いそうになる俺に、献身を捧げてくれている。……だから、いつまでも自分が相応しくないからと、いじけていてはそれこそ彼女達の愛情への冒涜になる。俺は相応しい男になれるように、腐らず研鑽を続けて、そして彼女達を愛し抜くだけです」

 

「……ふん、既に他に何を言われようと揺れはしないか。覚悟はとっくに出来ているようだな」

 

「彼女達に見切りをつけられたら、大人しく首をくくりますけどね」

 

「確かにな。自分の女達に見切りをつけられるようじゃ……ハーレムの主の資格はないな。それは俺だって変わりはしない」

 

「俺を蔑む言葉に対して、俺以上に俺の大切な人達が怒りを覚えてくれる。その想いにあぐらをかいてるわけにはいかないですからね」

 

 朱乃の手を雷の魔力が包み、ソーナの手には蛇の形をした水がいつでも放たれる態勢になっている。すずかもやや座る位置を変えて、一足飛びで彼の身体に一撃を叩き込める場所に移動を終えていた。俺が制止のために腕を横に上げていなければ、すぐにでも戦闘に入るつもりだろう。

 

「ハハハハハッ。このライザー・フェニックスを前に生意気な物言いだが、お前も肝が据わっているようだ。ヒロム嬢がお前を紹介した理由が分か……いや、俺もいささか調子に乗り過ぎたか」

 

「ええ、ライザー様。意識を断たれたくないのであれば、恩人である彼への挑発をお止めになって下さいませ」

 

「……ああ、リアスの女王の雷光は正直、今の俺では手に余るからな」

 

「フェニックス様? どうにも勘違いをしていらっしゃるようですので、私、どうしても一言申し上げておきたいことがございますの」

 

 顔色をやや青くしたライザーさんへ叩きかけるように朱乃が話しかける。表情は無から能面のような笑顔に変わっていて、同じタイミングで朱乃へと頷いたすずかとソーナの目も剣呑な目つきのままだ。

 

「私達が大翔さんに身体も心も魂も惚れ抜いて、こちらから望んで傍に侍らせて頂いているのです。それに……お気づきではないようですが、大翔さんはこの場にいる私達を一人で相手取り圧倒出来る方。悪魔への致命的なダメージを齎す浄化の力も私より数段上の力をお持ちですわ。友誼には友誼を、愛情には愛情を、敵意には敵意を──それが大翔さんの基本姿勢ですが、貴方様は敵と見做されたいのでしょうか?」

 

『ほんとは光力も仙術も鮮やかに使いこなすんだもん、くすっ……わざわざ言ってあげる理由は無いけど』

 

『オーフィスの龍の力すら、既に大翔くんの力の一つ。秘めていることすら勘付かないライザーでは勝負にもなりませんもの。哀れにすら思いますね』

 

 ライザーさんはそのつもりはないとだけ呟き、顔を逸らしてしまう。そして、ユーベルーナさんの肩を軽く叩いて、そのまま目を閉じてしまった。あとは彼女と話せということだろう。

 

「えっと……」

 

 ひとまず、これで当座の問題は凌げたので、あとは今後の対応について注意点を伝えるだけだった。ライザーさんが目を閉じた後、揃って彼の眷属さん達に頭を深く下げられてしまい、それを見た朱乃達も力を収めていく。眷属からの慕われ方を見る限り、自分のパートナーとなった女性たちには誠実なのだろう。

 

「今回、私は先に報酬を頂きました。ですので、なぜ今回の症状に至ったかの原因については調査を続けます。皆さんの状態が改善したのは私がたまたま知っている症例と似た感じでしたので、その際の対処法がうまくハマっただけです。継続して効果が見られるかはまた別の話ですので」

 

 今回の先行報酬として、俺はレイヴェルさんにフェニックスの炎球を掌に浮かべてもらって、その性質を映し取った。無論、転写したことは彼女に告げずに。そしてフェニックスの涙のサンプルとその作成法についての情報も教えてもらうことに成功していた。詳細については濁された部分もあったが、その辺りはトライアンドエラーの楽しみが残ったと思えばいい。

 

 気になるのは、彼女達は一種の魅了状態にあったことだ。そして、ユーベルーナさん達の魔力の流れを確認した結果、彼の精液が原因としか思えないということ。つまり、俺の精液と似たような効果を引き起こしていた。

 なお、双子の姉妹らしいイルちゃんとネルちゃんは年齢が幼いこともあって彼のお手つきではなかったようだ。なので、姉代わりの仲間達が徐々に変わっていく状況を怖さを感じながらもどうしようもなかったと悔しさが募り、お姉ちゃん達が元に戻ったのが嬉しいと満面の笑みでお礼を伝えられている。

 

 俺の精液が魔力や気を濃厚に含むため、膣内の粘膜で直接浴びることで吸収が良くなってしまい、適度に魔力や気を循環させるなり、あるいは吸い上げるなりしないと、過剰摂取による依存を引き起こしかねないことは分かっている。抱き合えば合うほど離れることが考えられなくなっていくのは、力が馴染んで身体が俺の魔力等の影響下にあるのを当たり前と認識するからなど……この辺りは黒歌や白音の推論として聞かされたことだ。

 この推論は俺と肉体関係にある女性陣全員が聞いているし、長年そういう関係性にあるすずかやアリサ、アリシアだけでなく、朱乃やフェイト、ソーナや椿姫、カリムやセラにしても納得を示しただけで、何も問題はないよねという話で終わってしまった。

 

『身体も心も寄り添うのが当たり前に思えるようになるのなら、私達は大翔さんと自然に末長く一緒にいられるようになるということですわ。うふふっ』

 

 その時の朱乃の言葉を借りたけれども、結局、俺達は特に何かが変わるわけでもなかったのだ。俺も彼女達を手放せるわけもなく、彼女達も同じように考えてくれている。そのことは言葉だけじゃなくて、少しずつだけどちゃんと自分の内側に落とし込むことが出来るようにもなってきていた。

 

「……今は皆さんに体内魔力の流れを整えてもらって、こうして落ち着いて話が出来ていますが、再びライザー様の寵愛を頂くことであの熱に浮かれて落ち着いて考えることが出来ず、感情の思うままに動く状態に戻ってしまうのでしょうか?」

 

「普段から精神異常に対するアクセサリを常に身につけているし、私や朱乃さん達は理解した上で、ひろくんの影響を受け入れているからいいんだけどね。ただ、過度の依存は妄信を呼んでしまうのは良く知っているし、節度と慎重さを知るひろくんのやり方を阻害しないと誓っているからこそ、私達は暴走を防げている部分も強いの」

 

「依存される男性側の方向性にもよるということです。貴女達にとってのライザーが、私達にとっての大翔くんですから。私も大翔くんに求められれば、それこそ迷わず今の立場や地位を全て投げ出しかねないと自覚しています。ゆえに私達の今の繋がりを大切に思い、また自制を重んじる彼だからこそ、うまく回っているに過ぎません」

 

 そう言い終えた後、隣に座るソーナが同意を求めるように俺を見上げてくる仕草が何とも愛らしく思えて、衝動のままにそっとその頭を撫でてしまってから、今が話し合いの最中だと我に返り慌てて姿勢を正す。俺への真っ直ぐな感情を見せてくれるようになったソーナは、普段の理知的な表情との落差が激しく……俺の琴線に触れてくるのだ。抱き締めたい、そんな衝動を呼び起こされてしまう。




完全な敵対パターン
⇒爽快感はあるけど、この後の展開に困るな。
⇒没

ライザーがハーレムの主としての同士として友好関係に
⇒こんなのライザーさんじゃない!慢心して男を下に見てなんぼだろ!
⇒没

この一週間で一回の更新分量ぐらいは書いては消しをやっておりました。

セラさんとグレイフィアさんのやり取りも過激に過ぎたので、ちょっとマイルドにしたり。
あと、ソーナさんのヒロイン力が上がってきていて、ぐいぐいと押してくるこの頃。
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