でも、とにもかくにも更新!
※追記(6/11 0時)
だぁぁぁぁぁぁぁ、全然筆が進まないのぉぉぉぉおほぉぉぉぉぉぉ!(唐突な対魔忍風)
……閑話に逃げたい……。けど、7割は書けた気がするから、あともうちょっと……たぶん。
「アヒャヒャヒャッ! オレッちが悪魔の騎士くんより早く動けて、一撃一撃がくっそ重いと来てる! これが聖剣の力って奴ですよぉ!」
聖剣に関する情報はゲオルクから聴取済。そんなことを言いながら透明化と剣身の長さを自在に変える擬態能力を併用して、すずかのことを狙っているのはお見通しなんだよね。バルディッシュ、光力とかその辺りの流れは抜かりなく補足を宜しくね。
『Yes ma'am』
バルディッシュも付き合いが長くなってきて、多少の茶目っ気を解するようになったというか。前はSir呼びだったのにっと、早速来たねっ!
「げぇっ! なんで当たり前のように迎撃されてるんですかねぇ、ガッデム!」
金切り音と共に、連撃をバルディッシュで弾いた感覚が手に伝わってくる。なるほど、天閃と夢幻の組合せで、残像に質量を持たせて、連続攻撃を実現しているわけかぁ。
「すずか、下手に動かないでね。祐斗も戦いに集中させたいし、お兄ちゃんが変に力を使うような事態は絶対に避けたいから」
「うん、任せるよフェイトちゃん」
しかし、向こうのコカビエルという堕天使。なんだろう、人数差を全く意に介していないこの余裕は。向こうの協力者による増援があるというの?
「君の相手はこの僕だっ!」
「だからぁ、そんな勢いだけの剣で相手にならないって言ってんですよぉ? ほっほっよっと!」
そして、祐斗も感情をうまく力に変え切れていないからか、変な力みから自分の傷ばかりが増える状態になっていた。お兄ちゃんの話を、何を聞いていたの、貴方はっ……!
「おお、フリード、素晴らしいぞっ! 剣は武器でしかない、お前の言う通りだっ! 生まれながらの使い手であろうと、人工的であろうと、使い手が聖剣を使いこなせれば、聖剣の輝きは翳ることがないっ! ああ、私がもう少しだけ若ければ、私自身に聖剣を扱える因子を直接移植したものを!」
「じーさんには剣術の才能はないでしょうに~。頭脳全振りのクセして、何言ってんですかねえ」
「ふははっ、分かっておるわい! そんな夢を見るほどに今のお前は聖剣使いとして相応しいっ! 因子が足りなければ必要なだけ足せばいい、儂の理論を体現しているのがお前なのだ!」
「……副作用もあるんですがねぇ」
呟いた言葉はあのバルパーという男には聞こえていないだろう。私も唇の動きで何かを呟いたのは分かったが、駒を抜いている現状、この位置では聞こえない。
「因子の取り込みが、身体に害を及ぼすというのか……?」
祐斗の呟き、そしてソーナが念話でそれを補足してくれる。聖剣というかエクスカリバーを扱うには人体に存在する特定の因子が一定値以上必要というのは、ゲオルクなどからの聞き取りで分かっていた。
「そういう自分自身を見失って、今も崩れそうな膝を何とか支えているアンタは、聖剣計画の生き残りってとこすか?」
フリードの言葉に、息を整えようとしていた祐斗の動きが固まる。
「悪魔になって生き延びて復讐の機会を狙っていた──ってとこか。まー、オレッちも似たような計画の出身ではありますのでぇ、その執念は分からなくはないんですけどもぉ……」
そこで一旦、言葉を止めたフリード。瞳の意思は祐斗を心から見下したものへと変わっている。
「無様だぜ、アンタ。聖剣をどうにかする前に、自分の戦い方すら忘れるぐらいに感情が荒ぶるのをどうにかしろよ。余興、前座だからこそ、コカビエルの旦那も動かないんでしょーが。乱戦となったら、そっちの総大将、容赦なく俺ごと聖剣破壊に来るでしょうに。総大将が来なくても、にっくき悪魔の女どもが動くだろうしぃ? ……ああ、うぜぇな、オレっちに干渉するなっての!」
が、フリード自身にも異変が見え隠れしている。まるで、見えない誰かに毒舌を吐くような──。
「ああ、副作用ってそういうことなんだね。逆によく自分を保てているもんだと思うけど」
「お姉ちゃん?」
「……おいで。君達は、彼に声を届けたくて、必死なんでしょう?」
『大丈夫。私達には貴方達の願いを伝えられる、その力があるから』
「ぬぉっ!?」
アリシアお姉ちゃんと紗月お姉ちゃん、二人による誰かへの呼びかけ。その途端、バルパーの懐から光り輝く結晶体が飛び出して、一直線にお姉ちゃんの下へと飛び込んでいく。同時にお姉ちゃんは結界をもう一重展開し、バルパーとコカビエル、フリードの間を隔離してしまった。
「これくらいはいいよね、コカビエルさん。余興なんでしょう、あくまで」
「ふん、俺が力を見せればすぐに壊せる程度の結界を張って、何を見せようとするのか」
「変に干渉されるのも癪だからね。……黒歌、白音。少し、お願い。視界と音は向こうに届くままにしておいて。私はこちらに集中するから」
黒歌や白音の手によって結界の強度は一気に強化されて、コカビエルの顔が苦々しげに歪む。壊すにも手間がかかるほどのものに瞬時に補強されたのだから。
「アリシアさん、紗月さん、御手伝い致しますね。大翔さんぐらいとはいきませんが、私も補助ぐらいは務められますので」
お兄ちゃんやすずかはいつものごとく別にしても、補助や回復系統に適性の高いカリムは元々の信心深さもあってなのか、朱璃さんが体系化したお姉ちゃんの力──霊的存在への接触や干渉能力についても適性が高かった。
『謙遜する必要ないよ、カリム』
「そーそー、カリムさんなら安心してお願いできるしね」
二人は祐斗とフリードの傍まで歩いていき、結晶体をそっと祐斗の手に持たせるのだった。
◇◇◇◇
『聞こえるかい、イザイヤ──』
『ああ、良かった。やっと声を届けられる──』
「これは一体──」
手に持たされた淡い光を放つ結晶体から懐かしい声が聞こえてくる。二度と聞けない筈のみんなの声が。
「さってと、フリードくんもちっとだけジッとする。憂いなく全力を奮いたいんでしょ? 幸い、キミの体内の因子はキミを乗っ取るために干渉してるわけじゃないし、ちっとだけ時間分けてあげなさいな。それが終われば、因子の力だけが君の内に残るからさ」
「そんなの信じられるわけが──」
「嘘ついたんだったら斬っていいからさ。私にしても憂いのない祐斗くんの本気が見たいわけで。だから、今は息を整えときなよ」
そう言って、カリムさんは僕に、そしてアリシアさんはフリードになんと回復魔法を掛けた。その行為に部長が抗議の声を上げたけれど、でも、僕はそれどころじゃなかった。僕が二度と会えなくなったあの日以来の、死に別れたはずの皆の声が聞こえる。
「ちっ、フェニックスの涙の真似事が出来るっておっそろしい力ですがぁ……なぁに考えてやがるんですかねぇ、アンタ。機会の平等でも謳うつもりですかぁ?」
「傷は負ってないけど疲労ぐらいは取れるでしょ。それに『既に身体を失った子達』の因子を取り込んでるキミにも声は聞こえているはずだよ」
「ああ、聞こえてるゼ。遺伝子操作やら身体に色んな薬物とかも突っ込まれても、聖剣を扱えるほどの適性を持てずに因子を抜かれるだけ抜かれて毒ガス処理された、弱い連中の声がね……くたばってもなお、生き残ったソイツのことを心配してやがる……とんだお人好しの連中だ。想いだけで強くなれりゃ苦労はしねぇ……力は、絶対に必要なんだ」
『フリード。君の言う通り、苦難を振り払うための力は必要かもしれない』
『僕達は力がなかったため、因子を抜かれて、今こうして残った意思ごと君に取り込まれている』
『神様なんてクソ食らえ、何度も思ったさ。いつまで僕達の意思が持つが分からなかったけど、それでも伝えたいことがあった。そして間に合ったんだ、それを助けてくれる死霊魔術師に出会えたことで』
『良い死霊魔術師って初めてだけどね! でも、こんなチャンスは二度と無いから』
みんなの笑う声が聞こえる。ああ、僕は、僕はね、みんなと一緒にいられればそれで良かったんだよ。
『イザイヤ、ごめん。一緒にいてあげられなくてごめんね』
『キミはもう君のために生きていいんだ』
『私達の分まで生きて、色んなことを知って、見て、感じて欲しいの』
そんなことを言ってもらえる資格は僕にはないよ。君達が逃がしてくれたお陰で、僕だけが、僕だけが生き残ってしまった。でも、僕は、僕はほんとは皆と一緒に──。
「そんなに死にてーのなら、いっそ一振りで首を刎ねてやるよ。命懸けで逃がした奴が生きる意思が無いってなら、せめてスッパリ殺してやるのがせめてもの優しさってもんだ。大人しくしてれば、痛みを感じさせない内に終わらせてやる。それぐらいの慈悲ってもんはオレッちにもある。これじゃ、因子になったこいつ等も浮かばれねえ」
『……フリード』
「同情なんていらねえ。オレッちはこのまま負けたままで終われねえんだよ。ちょーしに乗ってたオレに徹底的な敗北を味合わせておいて、こっちの面すらマトモに見ようともしない、あの紫髪のいけ好かねえ女の表情を歪ませてやるまで止まれねえんですよぉ……!」
「あー、うん。すずかのあの他者認識については、ごめんとしか。あの子も歪んじゃってるからねぇ……」
「……歪んでいようが、奴さんには力がある。理不尽に組み伏せられないための力がよぉ……力がなけりゃ、歯向かうことすら出来ねえ」
『フリード、憎しみだけじゃ、生きていけないよ』
「うるせえ、とっとと意思をかき消してオレッちの力になれっての。オレッちはあの壁を越えなけりゃ先に行けねぇってんですよ。おい、悪魔くんよ。いらねえなら、その因子を寄こせ。オレはコイツらの想いを食い尽くして、もっと強くならなきゃいけねえんだ」
『僕達は因子の所持者に問いかけることは出来ても、乗っ取るような力は無い。それに、少しずつ意思が薄れていくのが分かるんだ……』
『ただ、僕等はあの酷い計画から生き残った君達に生きていてほしい。それだけなんだ』
「ちっ、勝手にオレッちの記憶を覗くなっての」
この結晶を、仲間達の想いを、僕も消えてフリードに渡してしまう? それで、それでいいのか?
『僕達の想いは一つ。君達の力になりたい──理不尽なあの計画から生き残った君達の──』
「祐斗くん、どうする? カリムと私のサポートがあっても、そろそろ彼らの意思が具現化しているのも限界だよ」
タイムリミット。それを告げるアリシアさんの声。それでも決め切れない僕は、急に顔をつかむ誰かの手に振り向かされて、突然の痛みが頭に響いたんだ……!
「いづっ……意外に石頭なのな、お前」
「っ……イ、イッセー君?」
「木場ぁ、お前は仲間の想いも受け止められない小っさい奴だったのか? 違うだろ!」
僕に突然の痛みを与えた張本人、頭突きを入れてきたイッセー君はとても怒っていた。同時にものすごく悲しそうな目もしていて、僕はその理由が分からなかった。
「結界の中含めたら、曲がりなりにも、結構な時間、お前とは一緒にやってきた! お前は思いやりがあって、外もイケメンの癖に中までイケメンで最初は腹も立つぐらいだった。そんなお前が何をふて腐れてんだ! 生きろよ! 託されてんだろ! いつものお前みたいに、『それが僕の役割だね』みたいにカッコよく決めてみろよ! 何も残せずに消える前に、お前の力に変わりたいって言ってんだろ! 汲んでやれよ! お前にしかできないことだろうが、なあ!」
こっちの肩を強く揺さぶりながら、今にも泣き出しそうなイッセー君。どうして君が、そんなに。
「お前にどんな過去があるのかっ、オレは確かに今まで知らなかった! 今だって完全には分かっちゃいねえ! でも、お前は仲間の中で唯一生き残って、魂だけになっちまった仲間がお前に想いを預けたいんだろ? 必死に生きてくれって訴えてんじゃねえか、最後の力を振り絞ってよぉ! そういうの全部飲み込んで、一緒に大翔さんの背中を追っかけるんじゃないのかよっ」
大翔さんを中心として、ヴァーリくんや元士郎くん、僕と一緒に切磋琢磨する日々は厳しくも楽しくて充実していて、そんな中で僕に強い友情を感じていたとイッセー君は訴えてくれていた。おっぱいが大好きなのには変わりなくても、男同士で馬鹿なことをしたり、一緒にラーメンを食べに行ってみたり、そんなことがどうしようもなく楽しかったんだと。
「祐斗、貴方は私の騎士よっ。勝手にその命の終わりを定めるなんて、許さないわ、絶対!」
僕の命を拾い上げてくれた、許さないと言いながら、涙を堪える泣き顔の部長が叫んでいる。
「祐斗さんっ、私はこれからもイッセーさんや祐斗さん達と一緒に部長さんの眷属でいたいです!」
回復役兼補助魔術の使い手として実力をつけてきているアーシアさん。ただ、彼女の根っこにある他者への慈愛は変わることが無く、それは僕にも確かに向けられていた。
「恋人に捨てられた弱い女みたいなこと言うのもその辺にしておきましょう、祐斗先輩。股の間にぶら下げてる男の象徴はどこかに落としてきたんですか?」
身も蓋もない辛辣な言い方をする小猫ちゃん。フリードからですら『あの銀髪ねーちゃん容赦ない』と呟く声が聞こえる。ただ、声に乗せられた感情がよく覚えのあるものだから、僕は誤解することはない。
「立つべき時ですよ、祐斗くん。今の貴方はリアスの騎士。過去の出来事は嬉しいことも悲しいことも全て貴方だけのものですけれど、貴方が生きる今この時は、王のために忠義を尽くす騎士の役割を果たす時です──信じていますからね、うふふ」
副部長は部長以上に厳しい一面を持つ人だった。部長同様、内面に深い情愛を持っている女性だけど、部長がどうしても僕等に甘い一面が出やすい分、副部長は引き締め役を担っていた。
「お前も厄介なもん抱えてるみたいだけどさ、これからも切磋琢磨していくんだろ。腹括ろうぜ、祐斗」
元士郎くんや会長達も、アリサさん達もそれぞれに声をかけてくれたり、目を合わせて頷いてくれた。そして──。
「祐斗。お前もここで止まるような奴じゃ、ないだろう?」
信じてくれていることを雄弁に示す、大翔さんの笑顔を見て、僕は、僕は──。
フリード書くのむずい。祐斗が思った以上に吹っ切れるように動いてくれません。うごご。。。。。。