「お兄ちゃん……私、ずっと夢に見てた。お兄ちゃんに一人の女として愛してもらって、お姉ちゃんと一緒にお兄ちゃんの子供を産んで育てて、奥さんとしてお婆ちゃんになってもお兄ちゃんの傍にいる……そんな夢」
黄色地のひまわり柄のインナーの上下が彼女の髪色と合わさっている、フェイトさんの下着姿。その肢体を大翔さんに堂々と見せつけながら、彼女は額、頬、唇、肩、胸板……と唇を寄せて、徐々に下腹部へと近づいていました。
「こうしてずっと触れたかった。お姉ちゃん達みたいに、お兄ちゃんの熱さを感じたくて。それが今、叶ってる」
大翔さんはもう、彼女を突き放すことはありません。受け入れると決めた彼は、後は言霊にして彼女に告げるだけなのですが……。フェイトさん、なかなかその隙を与えません。
「ちゅっ……この熱も、ずっと私が待ち侘びてたもの……」
彼の肉棒へと再び口づけたフェイトさんの仕草は淫靡さもありますが、なにより奉仕や滅私めいたものを感じさせる雰囲気をまとっていて、ある種の凄みに中てられてしまってか、私だけではなくすずかさん達も一言も発することがありません。
「私はずっとお兄ちゃんのために生きようと考えてたよ。それが妹としてのものでもあっても、私の一生はお兄ちゃんに捧げるものだと決めていた。ただ、お兄ちゃんの妹という立場は居心地が良すぎて、自分で進む勇気が何時しか持てなくなってたの」
「フェイト……く、うぅっ……」
熱い吐息をひとつ吐いた後、フェイトさんは口内の奥深くまで彼のモノをどんどん飲み込んでいきます。喉奥に当たっているのか、苦しそうに表情を歪めても決してその行為を止めようとしません。
「や、やめろ、フェイト! そこまでする必要なんてな、んぐっ! 俺はお前をっ」
『うん……もう伝わってるよ、お兄ちゃんが覚悟してくれたこと。すずか達や朱乃と同じように、私もそうしてくれるって決めてくれたこと……。だって、お兄ちゃんの身体がこんな格好の私を自然に受け入れてくれてるんだから……』
口での奉仕を止めることなく、フェイトさんは念話で大翔さんの声に答えます。それも指向性の念話ではないため、私達にもその声はハッキリと聞こえたのです。
「そうだっ、俺はお前を一人の女性として受け入れるから、だからそんな苦しいことまでしなくていいんだっ」
『うん、ありがとう。私の父や兄の役割をずっと果たしてくれてたお兄ちゃんが、恋人にまでなってくれる。私はお兄ちゃんしか男の人を詳しく知らないし、知る必要がないんだ……。全部を与えてくれたお兄ちゃんに、私も精一杯尽くしたいの。それに……』
熱心なディープ・スロート──喉奥まで男性器を受け入れるフェラチオをそう言うのだそうです──を一時的に止めて、口から一旦彼のモノを離したフェイトさんがなぜか私の方を向きます。つられて大翔さんや他の人達も皆、私を見るのですが……何かやらかしたのかしら、私。
「朱乃が痛いの、気持ちいいって言ってたでしょ。言葉だけじゃなくて、実際にものすごく気持ち良さそうだったから。それでね、その感覚がすごく分かる気がして……お兄ちゃんに痛くされたら、私どうなっちゃうかなって想像したら、さっきからお腹の中が焼けるように熱くて」
独白するフェイトさんの顔が一気に蕩けたものになって、とても扇情的な表情へと様変わりしていく中、私は体温が一気に下がり、顔が青ざめていくのを感じました。
「お兄ちゃん? 驚いちゃった? 魔力の流れ止まったね」
「お? おお、ご、ごめん。あまりに動揺して完全に思考停止してしまった」
「修行が足りないにゃと言おうと思ったけど、これは朱乃が悪いにゃ」
「ごめん、朱乃さん。擁護できないかな……」
大翔さんの熱を一心に受けていた時に叫んだ言葉は、しっかり覚えています。情欲の熱で浮かされていたとはいえ、私は確かに自分のそういう部分を顕わにしてものすごく満たされてしまったわけですが……フェイトさんが私と同じ嗜好性を持っているなんて、そんなところまで知ってるわけがないではありませんか!
「私の妹を完全にマゾヒズムに目覚めさせるだなんて……!」
『朱乃さんがフェイトの本性を目覚めさせたのだぁ!』
「ちょっと待って下さいな! 完全にと言いましたね、紗月さん! 元からその傾向があったということではありませんかっ。それに本性って語るに落ちていますよ、アリシアさん!」
「……耳がいいね、朱乃さん」
『ちっ、気づいてしまったか……混乱のどさくさで聞き逃すと思ったけど』
「それで試してみたんだ。そうしたらお兄ちゃんのおちんちんが喉を突いてるとね、苦しいのにものすごく満たされる気持ちになって……間違いないと思ったんだ。お兄ちゃんに命令してもらって、初めてを自分から俺に捧げろって言ってもらって、お兄ちゃんの言う通りに自分からお兄ちゃんを受け入れたら、私それだけでイク感覚が分かるんじゃないかって」
この二人はさらに場をかき乱そうとなさいますし、本当にもう。さて、そんな周りの騒がしさを他所に……フェイトさんは思いの丈と言いますか、性癖を相手にそのまま赤裸々に話すという……ああ、私あんなことをしてたんですね、ああもう、大翔さんの懐の深さに本当に感謝するしかありませんね……。
「朱乃先輩以上のツワモノがいました……」
「陛下に命令頂いて、自らの身体を捧げる……嗚呼、なんて名誉なことでしょう」
「なにこのカオス」
小猫ちゃんが呆れて、カリムさんがズレた発言をし、アリサが頭を抱えて、すずかさんまで苦笑いです。でも、情欲に支配されたフェイトさんは素面に戻るまで怖いものなんてありません。例外は大翔さんの強い拒否でしょうけど、彼がそういうことをしないのはこの場にいる殆どの者が分かっていることですから。
「フェイト、俺が強引なやり方が好きじゃないのは知ってるよな。自分がやられたらって考えたら、自分の性欲を獣のように相手にそのままぶつけるのは違うって思ってる。さっきは朱乃に誘われる形で、正直強引だったのは確かだし、俺が反省しなきゃいけないことなんだ」
ええ、このように真面目に答えてしまうわけですね。私達の希望をどう汲み取るのか悩んでしまうのが彼。ただ、フェイトさんは押し所を心得ているのか、押しに押していきます。
「それはお兄ちゃんの勝手で、相手の気持ち良さを考えずに自分が気持ちいいだけのセックスをするってことだよね? だから違うよ。私だってずっとお兄ちゃんが乱暴なのは嫌だし、優しくされるのは大好き。ただ、お兄ちゃんに愛されるやり方は、人によって好みが違って、私は多分強引なのが合うから一緒に試して欲しいだけ」
「う、うーん……」
「自分の感覚に従ってるだけだし、耐えられなかったらちゃんと訴えるから。そうしたらお兄ちゃんはすぐに止まってくれるって信頼がないと、こんなこと頼めないよ」
興奮しているからか既に潤んだ瞳であの上目使いは、こちらまでゾクリとさせるような魅力に満ちています。また、フェイトさんの手がそっと大翔さんの男性器に添えられて、ゆっくりと扱くことで彼の身体は反応していることを自覚させようとしていました。
「あれ、無自覚じゃないかな。フェイトちゃんはひろくんを気持ちよくさせてあげたいって純粋な気持ちで動いてるけど、実際はものすごく誘ってるっていうね」
「え、意識してないんですか、あの動き」
「基本ひろくんのためにって感覚で動いてるところがあるから、フェイトちゃん。だから、さっさと気持ちをぶつければいいのにってずっと思ってたんだよね。無意識下にひろくんを求めてるのに、表向きは妹でいいだなんて言ってたわけだから」
な、なるほど……。フェイトさんも業が深いといいますか、大翔さんとの距離感がものすごく近しいタイプなんですね。私も彼女のことは言えませんけれど。
「あくまで、『ごっこ遊び』の延長だぞ。普段は絶対にやらない。それでいいな?」
「うん、お兄ちゃん。その二人の遊びの間だけ、私も呼び方を変えるから。お姉ちゃんに前に教えてもらった呼び方があってね……」
「そこ逃げちゃ駄目にゃ」
はい、アリシアさんは即座に拘束されました。黒歌、いい動きです。大体、大翔さんの力の動きは把握できたとのことで、アリサと共にお説教の時間に突入してくると告げて、三人は給湯室へと消えていきます。
「アリシアちゃん達、いつもどうしてもああやって身体を張る方向に行くんだろうね。面白く生きなきゃ楽しくないってことらしいんだけど、かき回し過ぎたらああやってアリサちゃんの雷が落ちるんだ」
「なんとなく、それがアリシアさん達なのかなとは思うようになりました。真面目にも出来るけど、どこか軽い雰囲気でいるようにしてるというか」
重たいタイプが多い分バランス取りなのかな、なんて深読みしてしまうぐらいに。実際、彼女は輪の中でも一歩引いた位置から全体を見ていることが多いですしね。彼女に問いかけてもはぐらかされるだけでしょうから聞いたりはしませんし、仮に彼女が無理をするようなことがあれば、長年のパートナーである大翔さんが見逃さず動きます。
『ずっと助けてくれているから、紗月は。一緒の身体にいるアリシアにしても、紗月の影響を強く受けている。だから、俺はちゃんと見てなきゃいけないし、いつも感謝しているんだよ』
そんなことを言う大翔さんです。一人ひとりをしっかり見てくれるからこそ、私達はこうして一人の男性の傍で仲良く出来るわけです。けれど、人によっては重たいと思うのでしょうね、私達の関係性は。
「結局は大翔さんを裏切らないこと。私達はそこさえ守っていれば、やり方は個人個人で違っていいのですから……」
すずかさんはそうだね、と頷いてくれました。そして、目の前の二人はフェイトさんの望みのようにスイッチを切り替えたのです。
「……フェイト。下着を脱いで、自分で俺のペニスを中に受け入れろ。腰を自分で下ろすんだ。その様子を俺は見届けてやる」
「!……はい、『ご主人様』。私の、フェイトの初めてを捧げさせて頂きます。拙いとは思いますが、どうぞお楽しみ下さい……」
大翔さんの支配者としての声に、私やすずかさんまで思わず身体を震わせます。アリです、これは。むしろ私も次の時はぜひやって欲しいと思ってしまいます。
真正面で命令を受けたフェイトさんは喜色満面にあふれた表情を浮かべて、大翔さんに見せつけるように自分の両乳や、アンダーヘアや既にしとどに濡れている結合口を彼の目の前に晒しました。
「失礼致します……」
大翔さんの男性器に手を添えて自分の入口へと導こうとするフェイトさんですが、角度からして見えない場所でもあり、そううまくいきません。焦るフェイトさんに、大翔さんは僅かに手助けをして位置合わせを完了させました。
「初めてのことだ、慣れていけばいい。さて、分かるな。俺のものがお前の子宮へと向かうための入口にピタリと合っていることを」
「はい、ご主人様……あとはこのまま腰を下ろせば、初めてを味わって頂くことが出来るのですね?」
「その通りだ、フェイト」
「それでは、今から私の初めてをお楽しみ下さい……くぅ、あぁぁぁぁっ、入ってきましたぁ、広げられていきますぅ……」
抵抗感を感じるのでしょう、それではフェイトさんはゆっくりですが確実に腰を沈めていきます。バランスが取りやすいように大翔さんも彼女の腰周りを支えていますから、フェイトさんは挿入に意識を集中していました。
「あ、ぐぅ! 破って頂けました、か、私の初めての証拠を……」
苦痛を感じながらもそれ以外の感覚も確かに感じている上気した顔を大翔さんに一身に向けながら、フェイトさんは確実に腰を落としていき──。
「あ、かはっ、ぁ……奥にドンと当たって、やっぱり私、なんか一瞬、頭真っ白になっちゃい、ましたぁ……」
両面の私と比べて特化している分、痛みを快楽に変えられるという点については彼女の予想通り、優れた感覚をお持ちだったようで……。
「あ、あぁぁっ、痛いのが痺れに変わってぇ、私、私、また真っ白なの来そうなんです! 軽いのじゃなくて、すごい真っ白なのが、ご主人様のおちんちんが私を真っ白にしてくれるの!」
フェイトさんは私と同様、初体験でオーガズムを知るという……女としては大変幸せな初夜を過ごし、大翔さんから共有する力を受け取って、悪魔や堕天使の力を差し引いたとしても、発情期つきの老化がほぼ止まる身体になったのです。
「え? お兄ちゃんの血も欲しくなるの?」
「そうみたいです。複写した力は一族の本流であるすずかさんには及びませんので、衝動もそれほどではありませんが……」
「お兄ちゃんの赤ちゃんを産むことを考えたら、今の身体が長く保てるのは有難い話だけど。そっかぁ、吸血衝動かぁ」
「たいてい発情期に重なるみたいです。お楽しみ中のアリサやアリシアさん達が教えてくれました」
「美味しく感じるのかなぁ……たぶん、感じちゃうよね。お兄ちゃんの健康管理、注意しないと」
「それと、近々取り出すことになりますが、悪魔の駒というのは──」
すずかさん達の営みをBGMとして、夜の一族の特性説明など、初夜を終えた私達は情報のやり取りを進めていきました。こうして、濃い一晩は更けていったのです……。
突っ走ってしまった感じがすごいですが、
フェイトさんの性的嗜好を一話に圧縮したらこうなりましたので
ご了承くだされ……(白目)
朱乃さんが半分ぐらい悪い。