投稿優先で、展開も唐突で内容が雑だと感じられるかもしれません。
……ので、改変をかけました。これで正規投稿とさせて下さい。
「おはようございます、大翔さん」
「おはよう、お兄ちゃん」
「おはよう、朱乃、フェイト」
月村邸滞在二日目の朝、私やフェイトさんは大翔さんの両隣で眠る権利をもらったため、目覚めてすぐ大翔さんと挨拶を交わし、互いの頬に口づけを贈り合うことができました。何も身につけずにそのまま眠りに入ったからか、大翔さんの温もりがより強く感じられた一晩だったと思います。
大好きな人の隣で眠り目覚めた時も隣に愛しい人の寝顔があって、目を覚まし挨拶を交わし合う一日の始まりがこれほど満たされるものだなんて……癖になってしまいますね。
「お兄ちゃん、朝一番は唇同士が駄目なのはどうして?」
「一晩休むと口内は細菌の温床だよ。だから、せめて口をすすぐなりしてからじゃないと、互いに病気の素を送り込むようなものだよ。唇がご所要なら、お互いさっさと歯磨きなりしようって話さ」
「なるほど……」
こんな会話をする間も、フェイトさんも私も朝から笑顔です。私達が目覚めたことで、この巨大なベッドにいるアリサやアリシアさん達他のメンバーも順次目を覚ましていきました。
そちらの皆さんとも朝の挨拶を交わし、下着類をひとまず身につけたところで、一足先に私達三人は洗面台へと向かいました。後程、部屋つきの浴室……といっても五人程度は同時に入れる広さです。そちらで昨晩の汗を流す話になっているので、裸で動き回るのをとりあえず避けたといったところですね。
「そういえば、すずかがいなかったけど……」
「くっついて寝ない時は、すずかが一番早く起きるよ。元々の一族の特性上、本来夜に眠る必要は無いからね、すずかは。隣で寝る日は不思議とぐっすり眠れるらしいんだけど」
「……すずかさんだから、で納得できてしまいますね」
私達の声に反応してか、給湯室からすずかさんが顔を出します。いい茶葉の匂いもしてきていますから、アーリーモーニングティーの準備をされていたようです。
髪色に合わせた色合いで細かなレースが施された花柄のブラジャーやショーツが、すずかさんにとても似合ってる印象を受けます。
「おはよう、ひろくん、朱乃さん、フェイトちゃん。みんな起きたのかな?」
「ベッドの上にまだいるけど、目は覚めてるみたい」
「じゃあ、タイミングは良かったみたいだね。ひろくんの魔力が活性化し始めていたから、そろそろ準備をと思って動いていたんだけど」
「ありがたい、じゃあさっさと口を濯いでくるかな」
安定の判断基準というか、これがすずかさんですね。安心感すら感じさせてくれます。私達が順番に口をすすいだり歯を磨き終わる頃には、全員意識はハッキリしていました。
「汗を流したら着替えて、大広間でお父さんやお母さん達と一緒に朝食だよ。多分、人数も多いからバイキング形式になるんじゃないかな。そこで、なのはちゃんやはやてちゃん達とも合流することになる」
合流前の確認事項はカリムさんの意思確認。それに伴って、ミッドチルダの方達への対応が若干変わってきます。フェイトさんや私、黒歌や小猫ちゃんにしても、すずかさん達と行動を共にするのは決定済。協力者のクアットロさんに正式な要請をすれば、すぐにミッドチルダとこの海鳴の移動は基本閉鎖されることになりますので、大筋は変わることは無いのですが……。
「その前にカリムさんには、態度をハッキリしてもらわないといけないんだ。一晩、結構刺激的な場面が続いたと思うの。その上でもう一度、あの発言を撤回するのかしないのか」
「はい、その点につきまして……いつでも陛下にこの身を差し出すと申し上げましたが、訂正をさせて頂きたいのです」
「思い直してくれたんだね、良かった。王の力を受け継いでいるからといって、人生を捧げるだなんていくらなんでも……」
「違いますっ、陛下! 私が貴方様に全てを捧げたい気持ちに変わりはないのですっ!」
大翔さんが安堵感からこぼした言葉にカリムさんは迅速に反応し、ティーカップを手に持っていたはずの彼女は、すぐに大翔さんの足下へ膝を付いて懇願する姿勢へと変わっていました。なお、カップはフェイトさんが空中で中身が漏れることなく回収し、私とすずかさんがカリムさんと大翔さんとの間で素早く間に入っています。カリムさんは触れたら拒否反応が出るということが、焦りのあまりに完全に抜けてしまっているようですね。
「すずか、朱乃、ありがとう。カリムさん、落ち着いて。割り込んだ俺が悪かったわけだし、もう一度ちゃんと座ってから最後まで話を聞かせて欲しい」
「!……かしこまりました、陛下っ。ああ、フェイトさん、カップを申し訳ありませんっ。私、慌ててしまって……」
「ふふ、気にしないで。いや、私と直接話すことは基本無かったし、はやてと話している時のカリムさんしか知らなかったから。何というか、わりとお茶目なんだね」
「お恥ずかしいですわ……陛下に否定されてしまったら、と思うとものすごく焦ってしまって……」
フェイトさんは管理局の関連で元々、顔見知りではあったようです。しかし、フェイトさんと並んで座るカリムさんを見て思ったのですが、カリムさんや小猫ちゃん以外みんな下着姿なんですよね……。
すずかさんやアリサ達は普段から慣れているのか、別段恥じらう様子もありませんし、大翔さん相手なのでもっと見て触れてもらって構わないといった感覚でしょう。私やフェイトさんは素に戻って恥ずかしい感覚があるんですけど、ある種の開き直りで堂々と振る舞うようにしています。……黒歌は語るまでもありませんね。
「にゃんか、知らないところで貶された感じがするにゃ……」
気のせいですよ、黒歌。なお、黒歌は肌襦袢と裾よけをすずかさんの手により着せられてしまったので、今も渋々ながらその格好でいます。裸体が楽と言いますが、大翔さんの精神衛生を守るのが最優先ですので拒否権はありません。着物のまま寝ろと言われるより、十分に温情ある態度だと思いますから。
「すぐにお捧げ出来ないと申し上げた理由は、陛下の寵愛を頂いているすずかさん達や、昨晩初めてその身を捧げられた朱乃さんやフェイトさんを見て痛感したことがあったのです」
「痛感ってまた大袈裟な……で、その感じ取ったことって何?」
「はい、アリサさん。今の私のみっともない身体で楽しんで頂くなど失礼極まりないと思ったのです……!」
……これは斜め上の理由でした。ええ、私ももちろん大翔さんにとって魅力的な身体であろうと思いますし、強く心がけていますから、日々の鍛練で身体を絞り込むようにしています。ただ、彼女も着衣の上から見る限り程良い肉付きで腰はちゃんと括れてますし、男性からしても抱き心地の良さそうな感じはしますけど……。
「アッハイ」
「徹底して身体を絞りこんで、私の最高の状態をお捧げしたいのですっ! お願い致します、日々のトレーニングに私も加えて頂けませんでしょうか……!」
アリサ、しっかり。完全に答えが駄目なものになってますわ。対して、こういう時の反応が早いのはすずかさんで、感心した様子でカリムさんの手を取って繰り返し頷いています。
「カリムさん、分かるよ。一番慕う人に、いつでも最高の自分を楽しんで欲しい。私も常に心がけていることなの。ただ、私達の場合はひろくんの好みに合わせた『最高の自分』にチューニングするのが大切で……」
止める間もなく熱心に語り始めるすずかさんに、熱心に耳を傾け時に質問を返し理解を深めようとするカリムさんの姿があります。二人の隣から移動していたフェイトさんが促す形で、私達は先に汗を流すために、浴室へと順番に入っていくのでした。
「なるほど、『様』付けでいくことにしたのね」
「海鳴で大翔様の元で過ごすとなれば、陛下という呼び方が無用のトラブルを呼ぶことも十分に理解できますし……ただ、私はこちらから教会へとしばらく通うような生活にしようと思います」
遅れて、浴室に入ってきたすずかさんとカリムさんは身体にシャワーをかけながら、浴槽に浸かる私達へと二人で話した内容について説明をしていきます。カリムさんは恥ずかしさと申し訳ないという気持ちからか、自分の身体を隠すように自分を抱き締めるようにしていますけれど、その仕草は余計に男性の劣情を煽ってしまうもの。まぁ、大翔さんは案の定、カリムさんを見ないように背中を向けていますので問題はないのですけど。
「正直にカリムさんの持つ力をすぐに手放さないでほしいってお願いしたの。管理局の暴走にも多少なりとも干渉出来るという期待もあるし……次元封鎖するといっても航行船での行き来が出来なくするのが目的で、個人レベルでの転移ルートは残すでしょ? ミッド側の出入口になってもらいたいなって話をしたの」
「まぁ、転移出来るルートの高さや幅を極端に縮めて、二、三人ずつぐらいしか通れなくする話だもんね。どの道、完全封鎖することで次元の流れがおかしくなる懸念もあるし……ねえ、大翔?」
「ああ、全てを塞ぐってのは、別の場所に綻びが出かねないから。実際には道を極端に狭くするぐらいにしておかないとな」
「基本は携帯型の転送ポートをカリムさんの執務室でしか使わないようにして、かつ、ここにいるメンバーの誰かの認証が必ず必要にしてもらう。普段はカリムさんの通勤専用で使ってもらって、なのはちゃん達もどういう結論を出すにしても、向こうに一度は戻らないといけないと言うだろうしね。行き来の手段は残しておかないと」
「宜しいでしょうか、陛下……いえ、大翔様」
「ひろくん。ごめん、一気に決めちゃったけど……駄目なら他の方法を考えるよ?」
浴槽に身を沈めてからやっと、何とか会話に加わった大翔さんに遠巻きに問いかけるお二人です。そのことについて、大翔さんはいくつかの条件を出しました。
「大筋はそれで構わないよ。ただ、カリムさんには俺達が報復措置を管理局に行うことを決して漏らしてもらっても困るし、黙認しておいてもらわないといけない。また、携帯型の転送ポートにも、妙なことをしようとしたら自壊機能を付け加えさせてもらう。カリムさんがやらないにしてもお付の人達が変な気を利かせた場合、こちらが困ることになるからね」
「もちろんです、大翔様。私は大翔様の意向に従いますし、逆に私で出来る事であれば、遠慮なくお命じ下さい」
「……ミッド側に協力者を残すのは分かるし、カリムさんが協力してくれるのはありがたい話だと思う。ただ、すずかにしてもカリムさんにしても、突然のことで戸惑ってる。朱乃からも聞いたけど、俺の護衛を任せられる信をおける女性を増やそうとしてるにしても、カリムさんは昨日の今日の話じゃないか。カリムさんにしても、出会ったばかりの男に人生を預けるような、そんな軽率な女性には正直見えないし……」
「えっと……カリムさんはね、しばらくお試し期間のつもりだし、ひろくんが最終的に判断する話なのは分かってる。ただ、次元閉鎖の兼ね合いで、カリムさんの申し出がとてもタイミングが良かったというのがあるよ」
私のように受け容れるかはあくまで大翔さんの判断、ということのようですが。ただ、大翔さんは情に絆されるところもあって、ずっと率直な好意を向けられ続ければ、最終的にはカリムさんの求愛を受け入れてしまう気がします。現に私がそれを感じていますし。
「……いきなり受け入れろってことじゃないのなら、分かったよ。ただ、カリムさんがそこまで割り切れる理由が分からない。すずかととても気が合ったみたいだけど、初めて会った俺にそこまで賭けようと思えるのは、どうして」
大翔さんの問いにカリムさんがなぜか笑みをこぼして、その理由を口にしていきます。思い出しながら話しているのか、楽しそうな笑みを浮かべたまま。
「すずかさんとも話をさせて頂いたのですが、随分前からはやてやリインフォースがよく話してくれたのです、大翔様のことを」
「えっ……アイツらが?」
「彼女達にとっての最高の騎士が、地球という出身世界にいるのだと。確かに私は大翔様にお会いしたことはありませんでした。ですが、貴方様の人となりを十分に理解できるぐらいに、彼女達は熱心に話していたのですよ。いつか私にも逢わせたい……そう言って」
「アイツら……まったく、もう約十年前だぞ。その話をいつまで……」
約十年前といえば、大翔さんがまだ小学生の頃。その頃から、大翔さんは自分を鍛え、困難に立ち向かっていたのですね……。
「闇の書、正しくは夜天の魔導書ですね。その戦いでの雄姿、折れ欠けた心を奮い立たせる言葉。不屈の心……自分達の英雄を語るように、何度も話してくれたものです」
「あ、それ、シグナム達からもよく聞いたよ。教導とかの時にも例え話でお兄ちゃんの話を出したり。なのはも私の目標だってずっと言い続けてるし、エースオブエースの目標ってどんな戦術兵器クラスなんだとか言われてたよ。たまにお兄ちゃん、なのはや私の危機にこっそり応援に来てくれたりしてたじゃない。顔は完全に隠していたけれど、謎の騎士様って一部で語り継がれていたり……」
「はやてから映像も見せて頂いたりして、お顔は見えなくとも同じ魔力でしたからすぐにお会いして分かりましたよ。聖王様の魔力も感じたのには大変驚きましたけれど……」
フェイトさんが私も映像を持っていると言ったことで、即時にお風呂場で鑑賞会が始まってしまいます。悶える大翔さんは非常に可愛らしく、またカリムさんも試験期間で私達の輪に加わることがこうして決まったのでした。
カリムさん正式(?)加入。
次回はミッドの皆と楽しい(?)食事会!