※この作品はR-18です。

朱が交われば深紅に染まる   作:ですてに

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訓練前にプライベートルームで何やら相談事をするようです。

※シルバーケープは固有武装でした。
シルバーカーテンが正しいですね、修正しております。


第31話 反撃準備

 朝食後の訓練前に着替えの時間を利用して、俺達はフェイトを散々追い詰めてくれた連中への意趣返しの手法を出し合っていた。もちろん、この場にいるのはクアットロさんを除けば、海鳴組や駒王町組の人達のみ。あ、カリムさんもこちらだ。

 管理局嫌い……いまや憎しの次元になりつつある俺だが、関係のない人を巻き込むやり方をするつもりはなかった。あくまでターゲットは絞り、命は奪わないが死んだ方がマシだと思う程度には痛い目に遭ってもらう。

 

「報復の対象者はフェイトさんへの命令権があった局員を軸にすればいいんですね~?」

 

「ああ、あちらの街に暮らす住民の人達には関係ないことだ。あくまでやり返すのは管理局だけに絞る。ただ、殺すのは駄目だ。あくまで生かしながら絶望を与えるやり方が望ましい。リンカーコアの完全破壊なり、罪状のでっち上げで無人世界の牢獄へ無期幽閉も一つのやり方だろう」

 

「そこは合わせ技ですよぉ、大翔さん。フェイトさんを使い潰そうとした連中への見せしめなんですからぁ」

 

「なるほど、じゃあ罪状の擦り付け工作はそちらにお願いしてもいいのか?」

 

「こちらの売名行動と合わせてやらせてもらうので問題ないですよ~」

 

「分かった。じゃあ対象連中には直接俺が……」

 

 変身魔法で完全擬態の上で強襲し、蒐集の力を暴走させて、リンカーコアを再生不能なレベルまで砕く。転移座標を詳細に指定すれば、対象の執務室等へ直接乗り込める。フェイトから上司の名前などの聞き取りは終わっているし、クアットロさんに情報は渡した。この封時結界が解ける六日後、彼女は即座に管理局内部の密偵に確認の上、対象が一人になる時間帯や場所を手早く割り出すだろう。

 

 ……密偵で思い出した。ドゥーエさんの所へ随分と顔を出していない。ウーノさん共々、知人となってからほどなく、この数年間実弟のように可愛がってくれる人だ。

 

 原作軸の流れを知る皇貴からはドクターやその関係者には必要以上に接触するなと警告されているし、既に乖離しつつはあるが、俺達異分子がいない場合の彼らが起こす事件についても聞かされている。

 現在は俺達側とドクター達、それぞれお互いの領域への不可侵を約束している関係性だが、皇貴からすればそれも大きな不満であるらしい。なお、不定期に強制次元転移に巻き込まれることについては、悪戯の範疇と言い切るドクターなので……措置無しといったところだ。その度に、ウーノさんを始めとして、お嬢さん達に酷い目に遭わされてはいるようだし。

 さて、そんなドクターのお嬢さん達──通称『ナンバーズ』の皆さんだが、実の所、俺やすずか達との関係性は良好だったりする。敵対者には容赦せず、家族には慈愛を持って接する──そんな基本姿勢が俺と一緒だからだ。皇貴たち管理局連中には言えることじゃないが、クアットロさんからの要請で彼女達のピンチを影から助けたなんてこともある。管理局と反管理局側、両方の陣営に手を貸しているようなもんだけど、俺からすれば友人のヘルプに入っただけのこと。

 ドンパチはどうぞご勝手に、だ。すずか達を危険に巻き込まなければそれでいいし、なのは達やクアットロさん達はタイミングが合えば助けるものの、間に合わなければそれまでというラインは引かせてもらっている。

 家族を守る。その定義や優先順位は、強く守るべきものだし、俺の行動指針だから。朱乃や白音ちゃんのように、妻や妹のような存在が増えた以上なおさらだ。

 

 そもそもクアットロさんは俺と同じ転生者の類で、元の性格に引っ張られて苦慮していた部分をすずかの心理操作能力の応用により解決してからは、俺達とドクター達の間を繋ぐ役割をずっと果たしてくれている。その延長線で他の姉妹たちとも友人と言える関係になったわけなんだよな。

 

「乗り込むついでに、ドゥーエさんにも逢えたらいいんだけど」

 

「会いたがってるらしいですよぉ。というか、ドクターやウーノ姉様しか知らないドゥーエ姉様の動向をなんで大翔さんが把握してるんですかねぇ……」

 

「フローレス・セクレタリーやシルバーカーテンにディープダイバー。クアットロさん達の協力のお陰で俺はステルス能力に秀でてるから、連絡係や配達係としても俺が便利だからでしょ。契約としてウーノさんからはちゃんと報酬をもらってるし、彼女の正式な居場所はすずか達にも話していないからね」

 

 仕事として請け負うことで互いに一線を引けるし、信用にあぐらをかくのはやりたくないというウーノさんの意向だ。彼女やクアットロさんも固有技能からステルス能力は高いが、個人の戦闘能力は難がある。戦闘機人ゆえの素体の強化は行っていても後方支援がメインのため、実戦経験が少なく万が一の危険性が大きいわけだ。

 ……俺? なのはとはやてみたいなエースコンビが組んで来ない限り、逃げるのは何とでも。次元転移魔法を発動する時間を稼げればそれで十分だし、AMF下での魔法訓練もしっかり行っている。鎮圧・殲滅目的じゃなければ何とでもやりようはあるから。あと、すずかに所定時間を過ぎても戻ってこなければ、強制送還してもらう手はずも組んであるし。

 

「大翔さんが全面協力してくれれば、管理局中枢はすぐに壊せるんですけどねぇ……」

 

「領域を超える話だよ。それに、ドクターはそんなの望みはしないだろう」

 

「プライドなんぞかなぐり捨てやがれ、って感じですよぉ。結果が全てじゃないですかぁ」

 

「それ、本人には言うなよ。拗ねてしばらく自室から出てこなくなるよ?」

 

 そんな話をしながら、トレーニングウェアに身を通し終える。クアットロさんも変に慣れてしまったからか、すずか達の着替えの横で普通に話をしているし、俺の視界は避けつつも彼女もトレーニングウェアに着替え終わ……ん?

 

「あれ、クアットロさんも参加?」

 

「はい、こういう機会をちゃんと生かさないと~。それにドクターの逃げ足が早くなる一方で、追いかける体力ももう少しつけないといけないんですよ~」

 

 後方支援が主とはいえ、基礎体力は大事。そんなところは彼女にも妙に影響を与えてしまっていたみたいだ。同じような立ち位置のカリムさんも着替え終わって、柔軟体操を始めたりしている。

 

「私はクアットロさん以上に、体力がありませんから……しっかり鍛錬したいと、思います、つつつっ……」

 

「身体硬いね、カリムさん。昔の私みたいだよ」

 

「ああ、フェイトも出会った頃はすごく身体硬かったんだっけ。アリシアは最初から軟体動物みたいだったものね?」

 

「アリサちゃん、軟体ゲル生物ってひどくない?」

 

「誰がそこまで言ったっていうの!」

 

 アリアリコンビのノリツッコミはいつものこととして、フェイトがカリムさんの柔軟を手伝っている。その近くにクアットロさんも寄って行って、自分も身体をほぐしながら何やら声を掛けているようだ。

 

「報復処置についてカリムさんは黙認するという話でしたが~。えっと、預言の聖女とか言われてるはずですけど、本当に大丈夫なんですかぁ?」

 

「もしこのことが切っ掛けで追放されてしまうのならば、大翔さんへのお仕えに集中できるというものです。それに、大翔様は思った通りの方でしたから」

 

 宗教家であるカリムさんだが、一般市民に手を出さないのならば止めるまでもないという考えらしい。協力関係にはあるものの、管理局には彼女もいろいろ思う所があるようだ。

 

「聖王教会の教義そのものが戦いを否定していませんし、弱者への守護を貫く考え方も大翔さんの方向性とずれるものではありません。それに……たとえ、教義から違えるとしても、私は大翔さんに付き従うのみです」

 

 その後、クアットロさんとの話が続く中、新たな王の形を示されるのなら教会が変わって然るべきという物騒な発言すら口にするカリムさんだが、終始穏やかな笑みを浮かべながらのものだった。弱者への守護なんてものをやってるつもりはないが、無関係の人達を巻き込まない考え方や手法が彼女の解釈ではそうなっているらしい。

 

「どうかなさいましたか、大翔様?」

 

「いや、はやてがカリムさんがこれまでと別人だと言っていたから……」

 

「だって、はやてにも隠してましたもの、ふふっ。いずれお目通し致しますが、私の護衛であるシャッハぐらいだと思います。私が空虚感を感じ、密かに今が変わることを祈っていたのは。それでもあの一節のことは話していませんから、結界が解かれた後、私に会えばものすごく驚くでしょうけど」

 

 晴れ晴れとした笑顔で言われてしまうと、俺としては何も言えなくなってくる。彼女自身に後悔が無いのならば、後は俺と彼女が互いの関係性をどうしていくのか……その点に集約されていく。

 朱乃にしてもそうだ。出会ってそれほど日にちが経っていないけど、俺のパートナーになることに迷いがなく、関係をどう発展させていくかに重きを置いている。そのために必要になる知識や経験を身につけるための努力も楽しみの一つにしてしまえるしなやかさがある。

 

 俺は自分に自信が持てない。だから、人一倍努力や鍛錬が必要だと思っているし、止まってしまえばすぐに落ちていくだけだと思っている。今は俺に想いを寄せてくれるすずかやアリサ達も、弱くなった俺に何の価値を見出すだろうか。

 彼女達は女としての魅力にあふれ、望めば大多数の男がその想いに応えるだろう。彼女達をもっと幸せに出来る相手が本当はいるはずだと、そんな想いから俺は未だに逃れられない。身も心も重ねて、真っ直ぐな想いをこれだけ向けてもらっても、そんな恐怖感が薄れてくれない。

 

 ……面倒な男なんだ、自分でも良く分かってるけど。その俺に要因があったとしても、一目惚れのような行動を起こすカリムさんは俺の理解を超えている。

 

「また、難しく考えていらっしゃいますね、大翔さん」

 

「朱乃……」

 

「思慮に耽る貴方の顔を見つめるのは私の楽しみの一つですが、苦しそうな顔に変わっているとなれば放っておけませんわ」

 

 抱き寄せられる。彼女の香りが俺の鼻腔をくすぐり、自問自答する俺の思考を打ち切らせていく。素直に温かさに甘えてしまえばいいのだと、彼女は俺の頭を強く自分の胸に押し付けて離さない。

 そして、俺の背中にもう一つ温もりが加わる。ああ、この匂いや触れ方はすずかだ。見えなくてもハッキリと彼女だと分かる。

 

「理屈じゃないんだよ、ひろくん。始まりは何であれ、ひろくんに惹かれてしまった女の子がここには集まって、ひろくんを中心として一つの家族を形成しようとしてる。私達はぶつかり合うことはあっても憎しみ合ったりはしないし、相手を理解することを諦めない。ひろくんを支えたい、その想いは皆同じものだから」

 

「懸命に頑張る貴方はカッコいいですけど、貴方の弱さも全部私は大好き。それこそ、すずかさんに弱音を吐く大翔さんを見ていると、すずかさんそこを代わって下さいって叫びたくなる。貴方に弱さをさらけ出している私が、どうして貴方の弱さを認められないだなんてことがありますか。……そんな身勝手な女は、大翔さんの傍にいれないし、いさせるものですか」

 

「これでカリムさんがもし幻滅してくれたら、私がひろくんを独占出来る時間が減らないからOKとか思ったりするんだよ? ほら、私だってこんなに意地汚いの。でも、ひろくんはこれで私を嫌ったりしないもん」

 

 強張っていた身体の力が抜けていく。その後も彼女達は黙って俺を抱き締め続けてくれているのだった。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 不安がるお兄ちゃん可愛い。すっごく可愛い。朱乃とすずかの手が早過ぎるけど、次は負けないんだから。

 

 私やすずか達が魅力的な女だから自分が相応しくないのだとお兄ちゃんは言う。ただ、そうじゃない。お兄ちゃんが相手だから私達は懸命に自分の女を磨くのであって、仮に他の男の人相手なら……あ、無理だね、全く想像できないよ。

 たとえ、お兄ちゃんが駄目人間になったとしても、私は喜んでずっと世話を焼くだろう。とっくに一生分の愛情をお兄ちゃんからもらってる。私は望んでずっと返し続けていくだけのこと。

 

 こういう時って強引にでも気分転換してあげるのがいいと思うんだけど……え? すずか、朱乃。今から襲っちゃうの? 15分後に訓練開始だよ?

 あ、すごい。二人で流れるように裸に剥いていってるよ、お兄ちゃんを。あ、クアットロがさっさと退出していった。いつの間にかものすごく空気を読む人になったよね、彼女も。

 

「こういう時って、自分達がイケなくてもいいのよ。大翔がスッキリすればいいんだし。さて、アタシもご奉仕しちゃおうっと」

 

 そう言い残し、アリサも加わっていく。どうしよ、唇も下の方も、え、ええ、お尻まで!?

 

「フェイト。手足の指も感じる場所になるんだよ?」

 

 お、お姉ちゃん。勉強になるよ! よし、私も──!

 

「ふふ、可愛いよひろくん。訓練前だけどいっぱい蕩けてね、私達に……」

 

 落ち込むお兄ちゃんの気持ちも含めて、私達は溶かし尽くしてしまうことで強引にお兄ちゃんをリセットさせてしまうのでした。なお、お兄ちゃんの快感に同調できるすずかやアリサ、お姉ちゃんは同時にイッてしまって、火照る身体の余韻をそのままに訓練へと突入してしまうことになったのは仕方がないことだと思います。




報復の件と悪循環思考に入りかけるヒロインを主人公達が強引に引き上げる、という話。

なお、主人公達は艶々している模様。
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