※この作品はR-18です。

朱が交われば深紅に染まる   作:ですてに

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『体調不良につき、24日の更新は21時になりそうです。ごめんなさい。』

この一話で書きたいことを書いた時点で、
自分での投稿目安に1,000文字程度足りなかったのです。

そこで余談を書き足した結果、正式なフラグが一つ成立したという感じに。

表現的に念のため、※回。


第33話 猫耳と尻尾(※)

 「手の空いた時間はマルチタスクの殆どを割いたりしてたから、思ったよりも早く取り出しまで辿り着くことが出来たよ。ただ、まだ全部の解析が終わったわけじゃないからね。引き続き勉強させてもらうつもり。この駒のシステムを作った人、いや悪魔かな……その方は本当にものすごい技術者だよ」

 

 説明を聞いている間にのぼせてもいけないということで、浴槽の縁に腰かけたり、浴槽内で立ち上がる格好で大翔さんを囲う私達。ちょっと興奮気味なせいか、大翔さんも裸の私達に囲まれても全く動揺するところが見られません。

 黒歌やカリムさんも惜しげもなくその裸身を晒している状態です。タオルで隠しているのは小猫ちゃんだけですね。

 

「アジュカ・ベルゼブブ……現在の悪魔勢力における四大魔王が一柱にゃ。本人の強さも全世界で十指に入ると言われるけど、技術者としての一面も有名にゃ。術式プログラムの構築が得意で、レーティングゲームの基礎理論も彼が作ったらしいし……プログラムに隠し要素を仕込むのが大好きとか、嘘か本当かって話まであるにゃ」

 

「多分、その話も本当だと思いますよ。この駒の容量限界近くまで『変異の駒』機能とかも含めて細かい術式が練り込んであるし、まだまだ隠された要素がありそうだから」

 

「これだから、技術者って連中は……案外、アザゼルさんみたいにアンタと気が合ったりしてね?」

 

 手のひらの上で取り出した駒を転がしながら、アリサは大翔さんに軽口を叩きます。そのアリサの手にあるのも、やはり深紅に染まった女王の駒でした。

 

「茶化すなよ、アリサ。ただ、話は合うのかもしれないな」

 

「大翔、大翔! 私や白音の駒を取り出すことも出来るよね! お願い、私や白音の駒も取外し自由にして欲しいの!」

 

「黒歌さんが望むなら、もちろんそれは出来るけど。ただ、白音ちゃんが求めているのかはちゃんと確認するべきじゃないか? それと、ごめん。前、隠して……」

 

 語尾の猫語をつける余裕すら無くなった猫ショウの駄巨乳を、目の前に出されると大翔さんも平常モードに戻ってしまい俯いた顔を必死に逸らしています。興奮で血流が良くなっていた顔色も急降下、一気に青みすら差してしまっていました。

 

「大丈夫ですか、大翔さん」

 

 声を掛けつつ、特に抱き締める必要は無くとも大翔さんの頭部を自分の胸元へと招き入れて、私の温もりを堪能してもらいます。うふふっ、拒否反応が出なくなってから、大翔さんを抱き締めたい時に抱き締められるのが本当に嬉しくて。

 もっと触れて、私に夢中になって……! そんな衝動を留めることなく。止める必要もなく、大翔さんにアプローチできるのが楽しくて仕方ありません。

 

「もう、朱乃さん手が早いっ!」

 

 引き剥がすように背中側から大翔さんの頭部を見事な形の双子山で受け止めるすずかさん。為すがままに前後に振られてしまう大翔さんはこういう時によく見る困り顔でした。

 

「うふふ、顔色が良くなかったものですから」

 

「姉さま、それとカリムさんもタオルを巻いて下さい。兄さまを困らせないで。それと、駒の話ですけど……」

 

 小猫ちゃんが黒歌と話を進めている間に、私は大翔さんの手で駒を一度取り出す作業を進めてもらうことにしました。仰っていたように、大翔さんの手が胸に入り込んで行く間は注射を行う時のような「ちくっと」した痛みを感じましたが、事前に聞いていれば悲鳴を上げるほどのものではなくて。

 

「んんっ……! ああっ……!」

 

 私の口から漏れるのはすずかさん同様、艶めいた喘ぎにも等しい声。引き抜かれる際に感じたのは、大翔さんの逞しいソレが私の中を擦り上げる時に感じる感覚と非常に近しいものだったのです。

 

「あ、朱乃、大丈夫なのか?」

 

「え、ええ……うふふ、『問題は』何もありませんわ」

 

 抱いて欲しい、そんな欲に駆られるぐらいのものです。私も箍が外れたのか、大翔さんへ感じる劣情を隠そうとする気持ちが薄れてしまっているみたい……。

 

「朱乃さん、貴女もそうだったんだ?」

 

「ええ、自分でやると物足りないと思ってしまいそうで……困りますね」

 

 取り出されたのはやはり深紅に染まった女王の駒。そして、大翔さんの魔力誘導もあり、自分で再脱着するやり方も分かったのですが……。

 

「何を面白くなさそうな顔をしてるにゃ? これで悪魔を止めたり始めたりが自由自在にゃのに」

 

「兄さま。私はリアス姉さまの眷属を止めるかどうかまではとても考えられません。ただ、やり方だけはしっかり覚えておきたいと思います。悪魔にとって天敵である光力や聖水の力を無効に出来るのは非常に大きいですから」

 

 黒白姉妹も話が終わり、順番に着脱方法を指南されることに。その際に、大翔さんが二人に断った上で魔力の行き来を交わしたわけですが……。

 

「黒歌さん、白音ちゃん良かったの?」

 

 大翔さんは二人の気持ちが固まっていないからと、力の譲渡を避けて魔力を流していました。ですので、二人も難なく着脱は出来るようになったのです。ただ、二人の側からは、どうにも大翔さんに力をあっさり複製させてしまったようで。

 

「もちろんにゃ。私の力の使い方を知れば、大翔の気の活用は一気に向上するだろうし、それに……」

 

「兄さまの猫耳……アリです」

 

 親指を立ててグッジョブを示す小猫ちゃん。二人の力が交ざり合ったからか、グレーの猫耳とふりふりと揺れる尻尾が表れていました。そんな姿を見て、瞳を輝かせて大暴走し始める方がここにはいらっしゃいました。

 

「黒歌ちゃん、白音ちゃん、グッジョブ! グッジョブだよっ! ひろくんっ可愛いずっとこのまま猫耳と尻尾出したままでいようよ! 外に出れないなら全部私が外のことは済ませるからずっとこのまま私の飼い猫になって! なろうね!」

 

 大翔さんを一族の力も含めて全力で拘束して、無茶苦茶を言い出した月村家のお嬢様。慌てて私やフェイトさんが引き剥がしにかかりますが、大翔さんを抱えたまま視認出来ないほどの速度で避け続け、浴室から脱出を図ろうとします。

 きっかけとなってしまった黒歌や小猫ちゃんは急展開に『ええー?』といった顔で動こうとしませんし、動きなさいな二人とも!

 

「ええ加減にしなさーいっ!」

 

 しかし、入口に回り込んでいたアリサの痛恨の一撃が炸裂! それもわざと大翔さんを狙うような軌道だったため、とっさにすずかさんはそれを庇い……。

 

「えい」

 

「えっ……」

 

 さらにアリシアさんが絶妙な位置に滑り込ませた石鹸が、すずかさんの足を浮かせることに成功します。流石に拘束が緩んだことで、大翔さんが身体の位置を置き換え、宙に漂う形ですずかさんを確保して無事捕り物は完了と相成りました。

 

「助かったよ、アリサ、アリシア」

 

「いえーい!」

 

「よく見てるわね、アリシア! イェイ!」

 

 勝利のハイタッチを交わすアリサとアリシアさん。ホッとした表情の大翔さん、そしてふるふると揺れる尻尾。ああ、すずかさんが暴走する理由、ちょっと分かってしまいそう。

 

「すずか。制御さえできるようになったら、言ってくれれば触ってもらえる時間を作るから、ね?」

 

「本当っ!?」

 

「なんでこんなことで嘘を言うのさ」

 

「大翔! アタシも触りたい!」

 

「もちろんあっしらもですぜ、ぐへへ」

 

『ぐふふ、とことんもふもふしてやりましょうぜ……』

 

「お兄ちゃん、私も!」

 

 大翔さんの言葉に反応する海鳴組の皆さん。アリサさん達も触りたいのは一緒なんですね。なお、アリシアさん達は少し自重した方が良いと思いますわ。そして、声を出せずにものすごくうずうずしてる人も一人いらっしゃって……。

 

「大翔さん、私やカリムさんにも堪能させて頂けますか?」

 

「あっ、朱乃さん!? わっ、私がそんな恐れ多い……」

 

「では、カリムさんのみ蚊帳の外で宜しいですね?」

 

「そ、そんなっ! 私も大翔様をもふもふさせて頂きたいですっ! ……あっ」

 

 愛らしさは正義でした。カリムさんも勝てるわけが無いのです。後ろでいい仕事をしたような表情でいる姉妹には一言必要でしょうけど。

 

「猫ショウは女しか生まれないけど……男の子の猫耳、尻尾……これはありにゃ」

 

「兄さまは受け身な所がありますから、ギャスパーくんに通じる所があります。兄さまが猫ショウの力を完全に会得すれば、猫姿に変わることも可能……!」

 

「ほんとっ!? 白音ちゃん!」

 

 聞き捨てならない小猫ちゃんの言動に、私達の視線が一気に集まります。真剣な表情で私達を見渡した後、小猫ちゃんは大きく一度頷いてみせました。

 

「理論上の話ではありますが、恐らく可能かと。そして、兄さまから力を譲渡されれば、ここにいる皆が猫形態になることも出来る日が来ます……」

 

「そうすれば、皆でお散歩にゃ。あるいは半数が猫になって半分が愛でる役になるという、癒しの循環を構築することすら可能にゃ! 私がすずかを愛でたり、白音が大翔を愛でるなんてことも……!」

 

 広がるざわめき。止める人が今度はいないため、計画は実行される運びになっていきます。いえ、実際の止め役には大翔さんがいましたが、一人で女性陣の癒しを求める力を止められるわけもなく……。

 

「というわけで、全力で大翔が猫ショウの力を使いこなすことに協力するわよー!」

 

「おーっ!」

 

 大翔さんから海鳴組の『悪魔の駒』は王の認証を受けていないフリー状態にある変異の駒であることや、黒白姉妹から僧侶や戦車の駒も取り入れたため、騎士と兵士の駒さえ手に入れれば大翔さん眷属が出来てしまうかもしれないだとか、そんな大事な話もあったのですが。

 

「もふもふねぇ……」

 

「はふぅ、これは良い尻尾……」

 

『ひろ兄ちゃん、ずっとこの耳と尻尾でいようよ~』

 

「手も肉球化出来ないかにゃ?」

 

「耳や尻尾と同じように一部の猫化ですか……まずは私達が試してみるべきでは。黒歌姉さま」

 

 ごめんなさい、大翔さん。こんな感じで癒しに囚われた女って話を聞かないんです……私も含めて。後日、この話を聞いたアザゼルおじ様が羨ましがるでもなく、大翔さんを本気で慰めた上でその技術の活用方法などを話し合ったようです。

 

「……ねえ、大翔。駒、作れそうなのかにゃ?」

 

「駒を形成している結晶体が、俺が作る魔力を込めた鉱石に似てる。今は着脱機能に特化して解析を進めていたけど、今からは全体をもっと念入りに調べてみるつもりだ」

 

「眷属候補、入れておいてくれにゃ」

 

「眷属を作るかはまた別の話だぞ? とても長い寿命は魅力としても、弱点も増えるわけだし。それにすずかのお陰で衰えが異常に遅くなるし数百年は生きられそうだからね、焦りもないというか……」

 

 浴室から出て着衣を整える中、猫姿で黒歌がすずかさんにタオルで拭き取りをしてもらいながら、大翔さんにそんなことを話しかけていました。

 

「兄さまの力を分けてもらえる信頼を得るのが先ですよ、姉さま」

 

「白音……」

 

 小猫ちゃんはアリシアさんから借りたのか、制服ではなく軽装姿になっています。長袖の白Tシャツに薄手のベストを羽織り、紺色のショートパンツといった格好です。動きやすさ重視といった感じですが、小猫ちゃんの行動的な部分を引き立てている感じですね。

 

「私もまだ考えてはいるところですけど。兄さまや黒歌姉さま、すずか姉さまと離れ離れの生活って、もう想像したくないです。だから、結論を出すにしたって大体の方向性は決まっていて、兄さまが言う家族という枠組の中でどういう立ち位置や役割をしていくのがいいのかなって、そういう部分を考えてます。今まで私を守ってくれていたリアス姉さまを放っておくっていうのも違いますし」

 

「うん。私も離れ離れの選択は無いかにゃ……。禍の団が絡んでくるから基本は海鳴にいればいいんだし、白音や朱乃達に危険が及べば大翔と一緒に駆けつけるにゃ」

 

「……たぶん、そんな中で兄さまとの関係も定まってくるのかなって。すぐに決める必要はないし、焦る必要はない。兄さまはそう言ってくれますから」

 

「うん、朱乃やカリムさんに引っ張られることは無いからさ。俺のパートナーに無理やりなる必要なんて無いんだから」

 

 大翔さんはそう言いますし、小猫ちゃんが仮にパートナーとして大翔さんを選ばなかったとしても、とやかく言う方では無いのは皆分かっていることです。でも、私は気づいていました。小猫ちゃんも黒歌も『あの感覚』を知ってしまったから……うふふ。

 

「分かっています……ただ」

 

「ただ?」

 

「駒を引き抜かれる時に感じた、あのゾクゾクする感覚。あれがすずか姉さまや朱乃先輩が兄さまとの繋がりで感じているもの……そう知りましたから。覚悟だけはしておいてくださいね、兄さま」

 

 極力痛みを与えないようにと繊細な制御をしようとするあまり、相手の女の子にキモチイイ感覚を与えてしまうのですから、大翔さんの業は深いと言えますね?




小猫ちゃん、大翔に女として見てくれと公言するの巻でした。
黒歌、頑張れ?

※kimesawaさんのコメントを参考にさせて頂きました。ありがとうございます。
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