「黒歌の汗や付いた俺の精液とかを流してあげたいから、何人かもう一度手伝ってもらっていいかな……?」
さて、大翔さんは黒歌のレクチャーにより気の取り込み方をつかんだからと、連続絶頂を味わい続けた黒歌の脱力ぶりを見て繋がりを解こうとしたのですが、黒歌が納得せず求められる形で二度……そう、二度も! 精を放った結果、黒歌は涎をこぼしながら幸せそうな顔で意識を失っていました。
相手側の充足を重視する大翔さんは自身のオーガズムについてはあまり重視されていないのですが、回復直後の放出量は羨ま……いえ、とても多く、大翔さんが引き抜いた結合口はまだ物欲しそうにひくひくと震えていて、その震えの度にとろり、とろりと大翔さんの放った白濁液が零れ落ちていきます。
「うん。分かったよ、ひろくん。ああ、すごい。こんなに出たんだ……」
ベッドへ落ちかけた黒歌の愛液と大翔さんの精が交じり合った白濁液を、すずかさんは広げた手のひらで受け止めてそのまま舐め取り全て飲み干してしまいます。喉に絡むのか咀嚼を何度か繰り返し、それでも彼女は一滴も掌に残すことはありません。
「濃さ、粘り気、味……大丈夫だね。気を正しく巡らせば、ひろくんの身体に大きく異常が出ることはないのかな……」
この間にお掃除は私達がと、フェイトさんと一緒に大翔さんの管に残る精液を吸い出し、また竿についた二人の分泌液が混じり合ったものを綺麗に掬い取っていきました。すずかさんのように迷いなく、さも当然のように行うにはまだ恥ずかしさがどこかに残る私達ですが……大翔さんはこういう行為に対して自分から強く望む性格でない以上、こちらだけが尽くしてもらってしまう感じになってしまいますし、私達だって大翔さんにもっと気持ち良くなってもらいたいという想いがありました。
「うん。ちゃんと苦味があるし、薄くないし……」
「……フェイトさん、普段と比べられるぐらいに大翔さんの精液を味わってはいないでしょう?」
「あ、やっぱり分かっちゃうね。すずかを真似てみたけど、あそこまで細かくは分からないよ。言ってみただけってやつ」
「いや、さも当然のようにお掃除フェラをする必要はな……」
大翔さんが後始末までする必要はないと言いたげですが、言わせませんよ? 私達の日々のお礼も含めて、してあげたくてやってることなんですから。
「必要ですわ、大翔さん」
「お兄ちゃん、必要だからね? 気持ち良くさせてくれてありがとうって感謝を込めるんだから。大事なことなんだよ」
「……はい」
ご納得頂ければ何よりです。さて、大翔さんや黒歌の身体を洗い流さなければ。私達は浴室へ行くメンバーと、入浴後の着替えなどを用意するメンバーに分かれて、ようやく就寝準備へと入っていったのでした。
◇◇◇◇
用意された別室に椿姫と二人、すぐにベッドに横になる気にもなれず、私は今日の出来事を振り返っていました。設計図を渡した後は結界内で二日程度──現実時間では二時間程度なので過ごすことを了承し、その間に試作のデバイスを造って頂けるということでしたが……正直、その主目的が薄れてしまうほどにその後の時間が強烈過ぎました。
「……価値観が今日だけで変わりそうです」
「お嬢様、相当きつかったのではないですか……? 私も知識で知ってはいましたが、現実はこんなにも生々しいのですね……」
向かい合うベッドに腰掛けた椿姫の表情にも疲れが見えます。私の顔はもっとひどいものかもしれません。最後まで見届けるといった私は意地を張った部分があったのでしょうが、椿姫の言うように男女の営みというものは互いの赤裸々な欲や感情を剥き出しにするものでした。
欲望に貪欲なのが悪魔の一面です。否定はしませんし、私にも夢や希望、目的──大枠で括れば、それも欲望の一部ですが持っているものがあります。
「朱乃や小猫さんが別人のように、見えたのよ」
大翔さんへの情欲を隠さず、狂熱と表現するような悦楽に溺れ、淫蕩な自分を肯定し激しく乱れる姿。黒歌も含めて、別人格とでも呼びたくなるような振る舞い。それでいて、彼女達は最後に充足感と多幸感に包まれた穏やかな笑顔で眠りについていた。
洗脳されていると聞かされたとしたら、普段の彼女達しか知らなければ迷わず頷いてしまっているでしょう。だけど、私も感覚の断片を体感したことで、全身があの熱に長く浸されれば、形振り構わず彼を求めてしまうだろうという予感がありました。
「ええ、私もです。でも、お腹の奥が疼くあの感覚を望むように満たしてくれた上で、安心して心を預けられる相手であれば、自分でも自覚していない一面が表に出ることもあるだろう……と感じました」
難しい話では無いのです。彼は鏡のような人で、与えた愛情が深ければ深いほど同じように返してくれる。それが身体と心、両方に感じられるように愛そうとする。
「権力を欲しがる様子も見られませんしね。すずかさんやアリサが生家の責務を果たす以上、彼女達の補佐を務めるといった感覚のようですし。得難い存在でしょう、彼は」
すずかさんやアリサが教えてくれましたが、自分達が家を捨てて一人の女として生きたいと望めば、すぐにでも一緒に高跳びしかねない人なのだと言います。そして彼女達にしても、身の回りのことだけでなく、普段の生活に関わることはそつなくこなせるようになっている。
結界内で過ごす場合、彼女達の家で働く使用人の力を借りることが難しいことも多いのでしょうが、それがなんら問題にならないのです。
「洗濯物を自分で干す良家のお嬢様って普通いないでしょう? 私にしたって、椿姫や桃たちにしてもらうことが殆どなんだから」
その手つきも非常に慣れたものでした。自分で自分のことはこなす。言葉にすれば当たり前のように聞こえますが、貴族の令嬢だったりすると着替えは侍女にしてもらうのが逆に当然だったりします。シトリー家の場合、最低限は自分で出来るようとの教えなので私はそういうことはありませんが、それでも日々の食事作りや洗濯、浴室の掃除をする習慣はありません。その家事に注力する時間を自分しかできない別の仕事に中てているわけですから。お菓子作りぐらいでしょうね、私が関わるのは。
「すずかさん達の場合、封時結界で過ごすことも多いからか、家業に関する仕事もやるし、日常家事もやりますよってことなんでしょうけど……」
随分と話が逸れましたが、大翔さんだけでなくすずかさん達もちょっと珍しいタイプのお嬢様達ですが、そんな人達の輪に朱乃であったり、小猫さん達が加わって……淫蕩な時間に耽る時もあれど、非常に楽しく過ごしていると感じます。
……二人はとても綺麗になりました。傍から見て分かるぐらいに笑顔も増えた。リアスの元にいる時も笑わないわけではなかったけれど、今、二人は本当に幸せそうに笑っている。信じる人に愛し愛されることで、驚くほど短期間で二人は変わったのです。
疲れを感じているのは、あの情態を見せられただけではない。リアスと今後の二人の関係が決して明るいとは思えないことに、どうしても心が沈んでしまうから。
「長年の悩みを解決し、しかも何か見返りを強く求めるわけでもない男性に出会ってしまえば、惹かれるのも無理はないわ。性格も付き合っていく過程で極端な問題があるわけでもない。女性恐怖症にしても、受け入れた相手だけが触れ合えるとなれば朱乃達にとって、それは特別な相手だという気持ちになりますから」
魔法使いとしても優秀。複数の女性を囲っても満足されられる体力に精力。容姿はごく普通の方ですが逆に親近感を持ちやすいとも考えられる。独占欲の強さにしても、自分が家族と認識した女性だけに向けられるのであれば当面の問題もない。
「彼の献身に偏った部分にしても、すずかさんやアリサが彼に負担を押し付ける接し方をしていない以上、後から入ってきた者達はそれに倣います。和を乱せば容赦なく放逐すると、すずかさん達が言い切っているのも大きい。大翔さんもそれには異を唱えていませんから認めていると考えるべきでしょうし……」
悪魔の駒の着脱自在というのも、朱乃や小猫さんがリアスの眷属でいる理由が薄れる原因になる。今は、彼が強引に私達の世界と自分達の次元を切り離そうとしていないけれど、リアスが朱乃達の害になると彼が判断すれば──。
「朱乃や小猫さんが彼から離れるのは到底考えにくいです。将来的にも彼の傍で生きていくための準備も少しずつ始めているような状況ですし……」
高校卒業後の進路についても、大翔さん達と同じ大学に進むであるとか、そのための戸籍の用意であるとか……朱乃に至っては、彼の仕事を補助するために秘書業としての勉強も同時に始めていると聞かされました。
恋愛という激しい熱にその身を任せながらも、一時的な絆で終わるつもりはないという意思を二人は見せつつあります。黒歌にしてもやっと共に暮らせるようになった小猫さんと共に生きるのだと言い切っていましたから、結局大翔さんの傍を離れることもない。
「私達自身、彼と朱乃達の繋がりは強固であると認識できたし、彼らの営みはさらにその結束を強めていくでしょう。また、すずかさん達の存在があることで、悦楽に溺れきることもないとなれば……むしろ、リアスと彼女達の関係をどう保つか、それを考えるしかない。私達は私達で大翔さんと友好的な関係を持ちつつ、リアスと大翔さん達との関係の仲立ちもする必要が出てくるでしょう」
幼馴染であり、大切な友達であるリアス。良くも悪くも情で動くところが強い子だけど、あの子のお節介や情熱に私は幾度も助けられてきた。友人や家族、眷属のための労を決して厭うことはない。
王や貴族としての資質は、非情になりきれないし、他の面も含めて正直向いていない部分もある。施政者になるには情熱的に過ぎる。だけど……だけど、私は友として、リアスが不幸になるなんて見たくはない。
「……いっそ、リアス様と大翔さんがと思いもしましたが、うまくいくビジョンが見えませんね……あまりに身勝手な考えでしょうし」
「独占欲の方向性が『一人占め』だもの、あの子は。朱乃と同じく、実は甘えん坊な部分もあるしね。和を尊ぶというのは、なかなか難しい話だと思うわ。それに大翔さんの胃に穴が開きかねないでしょう」
私が大翔さんとどうなっていくのかも見えていない。ひょっとしたら、花の一人に加わっていくのかもしれないし、貴重な男女の友人関係にもなれる可能性もあると思う。椿姫は……なんとなく、分かってしまうけれど。
「あっ、それはちょっと……困りますね」
そう、椿姫はまだ彼のパートナーでもないのに。さて、どうしたものでしょうか。大翔さんに椿姫の求愛に応えないで下さいというのもおかしな話。椿姫もまだ明確な自覚に至ったわけではないでしょう。
本来、椿姫と大翔さんの間には寿命という壁が立ち塞がるのですが、彼は駒の着脱が可能でかつ、朱乃から堕天使の力も得ている──つまり、百年や二百年単位では少なくとも問題はありません。ハーフの堕天使の寿命は悪魔より短いかもしれませんが、仙術やすずかさんが私に明かしていない事情──吸血鬼に似通った気配を彼女から感じますから、皆さんの力を取り込んでいる大翔さんには別の話です。
「なんにせよ、大翔さんとの友好は維持するべきもの。いずれ私の他の眷属達とも面通しをお願いするつもりだけど、その辺りは徹底させるようにしましょう」
理性だけでは耐えられないものがある。それを体感した私は、今まで完全に制御するべきものだと考えていた『感情』に対して向き合い方を変えるべく、残りの結界内での時間、可能な範囲で感情に素直になってみよう──そう決意していました。
友好的でありたいのは、計算だけじゃない。私自身がそう望んでいる。まずはそれを認めるところから、始めるとしましょう。
名前呼びを解禁されたソーナさんや椿姫の、朱乃さんや小猫ちゃんの呼び方はイメージです。
同級生相手で知人でもある朱乃さんには名前呼び。
下級生の小猫ちゃんには、ちゃん付けで呼ぶのもということで「さん」呼び。
彼女達の人物像が崩れ過ぎてなければいいんですが。