仕事は引継受けたものの、完全にパンク状態です。
駄文と化している気もしますが、投稿を続けることにも意義はある!(よね?)
朱乃が煤こけたグレモリーさんに治癒魔法をかけて傷を、白音が体力を回復させていく。一緒に鍛錬するようになって何回目だろう、朱乃の怒りを買うような言動をしたんだろうね。
ただ、彼女の母方の血筋であるバアルに受け継がれる滅びの魔力は自分に干渉する魔力をかき消すことも出来るという予測の元、彼女の自尊心をうまくくすぐったことで──つまりは褒め倒した結果──滅びの魔力をシールドのように広げられるようになったグレモリーさんは随分と防御力が増していた。朱乃が全力で雷光を放ってもこうして命に別状は無い。制服は何十着と買い直す羽目になっていると聞くけど。
彼女の強さの才能は朱乃や白音と比較してもずば抜けていた。俺と会わずに過ごしていてもいずれは名を馳せる強者の一人になったことだろう。あまりの才に逆に慢心してしまうのかなと思うぐらいには。
「リアスも本当に懲りませんわね。まぁ、お陰で私もこの短期間で治癒魔法の感覚がつかめてきましたが」
「いい練習台です、部長にはむしろ感謝しないと。すずか姉さまは別格として、治癒系統に才のあるカリムさんや仙術の扱いに親しんでいる黒歌姉さまも、この分野については兄さまに近しいレベルで使いこなしていますから」
「ええ、大翔さんの治癒魔法が必要な状況を私達だけに限定するためには、この分野は苦手などと言ってはいられませんわ」
治癒魔法も万能ではないから、傷は傷、体力は体力と分けて治療を試みないと効果が著しく落ちてしまう。すずかや朱乃達相手ならば俺が魔力と気を同時に通すことで自己回復力も同時に高められるけど、グレモリーさん相手にはそうはいかない。なので、朱乃と白音に魔力を供給して二人の魔力の流れを見ながら時折微調整の指示を出すのだ。
しかし、朱乃や白音の気合の入り方がすごい。高次元な治癒魔法を必ず自分のものにするという気概に溢れている。
「兄さまは本当に丁寧に治療されますよね。傷の大きさや体力の消耗に合わせて細かく魔力の強弱を変えるんですから」
「普通に治癒魔法を使っても傷は塞がるし体力も回復はするけど、何かの折に急に古傷になったり、変な気だるさが残ったりするからね。時間がある時は出来るだけ丁寧に、繊細にやるのがいいんだ」
「……しっかし、これ本当にファンタジーにあるみたいな魔法らしい魔法だよなぁ。どう見ても重傷な部長の傷が綺麗に塞がって、普段の部長の姿に戻るんだから」
アーシアのアレでも同じことが出来るのかな、と呟いた一誠君に対して……セラさん発案、実作業はすずかが実施した暗示の内容は、俺のパートナーやソーナさん、ソーナさんの眷属を性的な視線で見つめると見つめた部位が、筋骨隆々な『ミルたん』という彼らの世界に住む世紀末覇者の姿に入れ換わって見えてしまうという強烈なものだ。
これは見られた側の意識ではなく一誠君の煩悩の発露によるので、例えば最終的に顔は朱乃のままなのに首より下は世紀末覇者の身体に変わっているという、彼にとってはおぞましい視界が映っているらしい。なお、ぼんやりと全体像を見ている時など一点に集中していない場合は普段の朱乃の姿に戻っていたりするので、煩悩の有無が暗示の発動に直結しているらしかった。
それならばと『俺は部長や学校の連中のおっぱいを見るしか生きる道がない!』と対象を絞りつつある一誠君だが、そもそも邪な意識を少しは留めたらいいと思うんだが。彼曰くアイデンティティの問題に関わるということなのでこればっかりはどうしようもない。
「王は君達眷属の象徴でもあるんだからさ。男性の場合、戦の傷も勲章になるかもしれないけど……グレモリーさんが綺麗な姿でありながら圧倒的な強さを発揮する方が、より旗印としては映えるよね。朱乃や白音の王なんだ、行き過ぎるぐらいに強く美しくあるぐらいでちょうどいいのさ。朱乃や白音を圧倒できるぐらいの実力でなければ仕えさせる意味が無い」
「朱乃さんや小猫ちゃんが仕えるに相応しい王って、やっぱり大翔さんはそういう基準なんすね。つーか、朱乃さんや小猫ちゃんを圧倒ってそれは上級悪魔の枠を超えるんじゃ……」
無茶を言うと言わんばかりの一誠君の反応だが、これは彼にとってもメリットがある話だ。
「圧倒的な強さの方がグレモリーさんの身体に傷が付きにくいし、一生残る傷も負いにくいと思うんだけど」
「そっ、それはダメっすよ! 部長のあの美しいおっぱいに傷が残るだなんて!!!!」
基準はやはりそこなんだね、ぶれないなぁ。ただ、彼女が率先して前線に突っ込んでいく傾向があるから、俺が言うのは一般論だ。彼女を王とし朱乃や一誠君達が眷属として戦う以上、一人だけ飛び抜けた強さ、あるいは一人だけ著しく戦力が劣るなど、偏りがあり過ぎればまたその弱点を突かれて、皆傷つくこともあり得るわけで。
俺がグレモリーさんと眷属全員の鍛錬を請け負ったのはそういう所だ。朱乃や白音だけに負担がかかる集団だなんて冗談じゃない。抜けさせるのは難しくない話だが、朱乃や白音の今までの交友を俺の一存で断つというのはギリギリまで避けたかった。例え、朱乃や白音が構わないと言ってくれるとしても。
「まして、セラさんが教えてくれたグレモリーさんのお兄さんの溺愛ぶりは行き過ぎてるものがあると聞くし、そういう意味でもね」
セラさんはセラフォルーさんのことだけど、本当はレヴィアたんかセラちゃんと呼べと呼ばれていた。この前の朱乃の自宅で初めてグレモリーさんに会ったあの日にそう言われたんだ。ただ、恋人でもない人にそう呼ぶのは憚られたし、すずか達だっていい顔をするわけもない。結局は『セラさん』という呼び方で押し切ったのだ。ただ、あちら側は相変わらず『ひーくん』呼びでえらく気に入られてしまっていた。
「確かにサーゼクス様は……そうですね、部長を溺愛されてますから」
「鍛錬とはいえ傷が残るとなれば、後が怖いってのもあるんだよ。まあ、祐斗君。小心者の言うことだと思ってくれ」
「どこか小心者なのか首を傾げるところですが、大翔さんの懸念されることは分かりますよ」
「だから君達ももっともっと強くなってもらうよ、祐斗君、一誠君」
先程のテラスでのカリムとの営みは男性陣には見えない位置でアリサや椿姫さん達に足止めしてもらっていたし、黒歌が音についての阻害術式を展開していた。だから、一誠君は俺に敵愾心を見せることも無く、こうして普通に話しかけてきているわけだ。
一緒に足止めというか、彼らの歓談に加わってくれていた元士郎もたいがい俺が行っている内容には勘付いているけど、むしろ体調を気にかけてくれている節すらある。
「まあ、よくこの人数を仲が悪くなったり不満を噴火することなく、毎日相手してるもんだと思いますからね。羨ましいどころか、よくやるもんだと感心してますから」
元士郎曰く、俺は自分の時間が殆ど無いように見えるらしい。確かに一人でいる時間帯は殆ど無いけど、悪魔や堕天使の寿命を手に入れたことで封時結界内で過ごす時間についてあまり気にせずによくなったため、以前よりも趣味と実益を兼ねているデバイス等の開発・改良・研究の時間は取れているし、すずか達一人ひとりとゆっくり話す時間も出来たし……また、技術開発や俺が引き継いでいく事業についても読み込む間、特にそれを邪魔されるわけじゃない。
黒歌や白音は猫の姿になって膝上でゴロゴロしているし、すずかやアリサは仕事でも技術開発でも一緒に作業をしてもらってる。最近は朱乃も俺専属の秘書になるのだからと、特に事業系の話をする時は真剣にメモを取っていることが多い。
アリシアと紗月、フェイトにカリムにしても、隣に寄り添ったり背中にくっつくぐらいのもので大人しいものだ。俺の気配や温もりを間近で感じていられるのが一番なのだという。それぞれ本を読んだり、あるいは興味のある分野であれば俺の作業や業務を見ていたりしている。
「あと一日経ったら一旦戻る日だったっけ。今回は四日分だから、向こうじゃ四時間……だよな」
「うん、夜の契約履行とかをする時間帯だね。なんというか、僕らも手帳が欠かせなくなったね」
「そうなんだよ、控えておかないと何日の何時に戻るかすっかり抜けそうでさ……結界内で過ごすのが当たり前になってるだろ? 大翔さんに言われてなんでメモするのかなとか思ってたけど、実感としてマジよく分かってきた。学校終わって集合して自宅で晩飯の時間までと考えても三時間弱だろ? 外で食ってくると伝えてたら、六時間くらいか」
「つまり最低三日間、あるいは六日間、結界内で鍛錬漬けの生活。おまけに学校の授業の復習も込みだからね」
「会長とか、意外に部長も厳しいからな、教え方。大翔さんと、視界の体格に目を瞑ればアリシアさんが一番丁寧っていうな……」
「地頭がいい子ばかりだからね、朱乃もそうだし。俺はそこまでじゃないから、ひたすら反復でモノにしてきたタイプだからさ。教え方も自然と何回も繰り返すってやり方になってるかもしれないね」
ソーナさん達も含めてこれだけの人数を鍛錬するとなると、朱乃の神社の境内だと手狭になってしまう。また、俺自身も日々の業務を溜め込むわけにもいかず、研究室もこの家の地下にあるわけで。封時結界で何日間も過ごすので、食材の備蓄だったり使い慣れた台所がいいな、とか。
まあ、グレモリーさん達も含めてこっちに招いたのは最終的には俺の判断だった。征二さんや飛鳥さんが中長期出張で不在時は、すずかじゃなくて俺に館の管理の管轄が委任されている。月村家の長としても人を使うことに慣れろという心遣いとのことだった。こういう気遣いはむしろ胃がキリキリ言い出すんだけど、今は置いておく。
すずかは俺の意向に従うだけといつものように答えてくれたが、皆に伝える前にアリサも含めて俺の考えを話し、朱乃や白音が従う王が慢心女王なんて耐えられないという個人的な感情の話もした。朱乃や白音が従う主人であれば、従うに相応しい人物……この場合は悪魔だろうけど、そういう相手であって欲しい俺のわがままだ。
「さて、夕食の用意に取り掛かろうかな。その間に君達は10km走をこなしておいで」
「くっそぉ、大翔さんに餌付けされてる感満載だけど、飯のためなら頑張れるよなぁ!」
「今日はオプションでとんこつラーメンも用意するよ。すずか達の口にはあんまり合わないみたいだけど、無性に食べたくなるだろ。麺類って」
「換気扇全開のまま大鍋で煮込み続けていたのはまさか……っ!」
「よく見てるね、一誠君。うん、そろそろいい出汁が出てると思うんだ」
「よし行くぜ祐斗っ! 濃厚ラーメンが俺達を待ってる!」
張り切る一誠君。いい人参になったみたいだ。ただ、祐斗君の表情はどちらかというと苦笑い。イケメンは食べ物の好みも上品なのかもしれない。あ、元士郎がラーメンって単語に反応してこっちにやってくるな。
「いや僕はそれほどでもないんだけど、ラーメンって」
「お前女子かよぉ!」
「大丈夫だ兵藤! 木場の分まで俺が食ってやる!」
「待てよ匙! お代わりするのは俺だ!」
「替え玉は用意してるよ。ただ、祐斗君の分を二回目の替え玉に回すことは出来そうだね」
「決まりだな。タイムの早い方が二回目の替え玉の権利獲得だ。なお、妨害アリアリだ」
「望むところだぜ匙ぃ……!」
「あら、待ちなさいよ。イッセーに匙君。濃厚とんこつラーメン替え玉二回目の権利はこのリアス・グレモリーが頂くわ」
「部長!?」
「へへ、しっかりソウルフードの魔力に囚われてるじゃないですか、リアス部長……」
「私にはあの喉に絡みつく、旨みが濃縮されたスープと一緒に啜って食べるラーメンを欲しがらないという思考が理解できないわね……」
すずかやアリサに言わせると旨みが強すぎて舌の感覚が一時的に麻痺してしまうのだそうだ。臭いがかなり強いのもその一因らしい。ただ、年頃の男子でラーメン苦手な奴ってそんなにいない感じがする。元士郎もかなり好きな方だし、一誠君も喜んで食べてくれるのでたまに作るのだ。後は由良さんも喜んでくれているし、仁村さんが結構気に入ってくれているといった感じだろうか。
「カリム、すまないけど庭と裏山の結界強化を頼むよ。地形が変わっても洒落にならないし、増幅器を追加でいくつか持ち出してくれたらいい。白音や黒歌もフォローしてくれると助かる」
「承知致しました、大翔様」
「了解にゃ、大翔。カリムも治癒系と結界については私達の間でも一つ抜けた感じにゃしね」
「参考にしてみせます」
まぐわいの後、汗と絡み合った体液を洗い流し聖女めいた雰囲気を取り戻したカリムが主導し、黒白姉妹も快く願いを聞き入れてくれた。これで結界強化も出来るし、地形が一変する事態になりそうならば姉妹の痛撃が炸裂することになる。
「ひろくん。私はアリシアちゃんとちょっとお話があるから、夕食作りのサポートは朱乃さんやアリサちゃんにお願いするね」
「ああ、分かったよ」
「さて、やるとするわよ! 朱乃、いきましょ!」
「うふふ、大翔さんだけに任せてはおけませんからね」
夕食の手配に台所へ入っていく俺達の後ろで、もう一つ小さなせめぎ合いが密かに起こっていたことは俺は知る由もなかった。
結果として、台所で支度を始めたところに……なぜか少し髪が乱れた状態のまま笑みを押さえ切れないといった様子のフェイトが入ってきて俺達の用意を手伝うことを申し出てくれた上で、ソーナさんや椿姫さんが替え玉競争参加者が暴走しないか見張る方に回ってくれるという報告を聞いたのだ。
フェイトの報告を聞いて朱乃やアリサは何やら納得顔で頷いていたが、何に勘付いたのかは教えてはくれなかった。
「鈍感とかそういうものではないのだから、安心なさい。アタシや朱乃だから分かるようなものだから」
すずかやアリシアを追う者同士だからとアリサは口を濁したけれど、アンタの女として相応しくあろうとそれぞれ一生懸命なだけだとも言われてしまい、俺は感謝の言葉を返して目の前の夕食作りに集中するしかなくなったんだ──。
すずかさんの内情は次回へ。
主人公は例のごとく「凝り性」+「努力しただけしっかり身につく程度の能力」のおかげで、
ストレス解消の一端で、結界内で過ごす場合は食事作り担当を確保しています。
※結局、最後のくだりを修正しました。
漫画A'sは見てなかったのじゃよ……。
フェイトそん盛り付け苦手でも味は確かなものとかそれ萌えるよなぁ……。
自分で本来台所に立つ必要がない立場のすずかやアリサが
主人公のために懸命にスキルを身につけていたのを見て、
多忙のために出遅れていた自分もがむしゃらに二人や朱乃についていって
追いつけ追い越せとしている義妹的存在。アーイイ……。