※この作品はR-18です。

朱が交われば深紅に染まる   作:ですてに

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一週間遅れが続いております。7日分です。

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第64話 儀式魔術

 「それに店主……すまない、違ったな。空知、だったか」

 

「ははは、見間違えるぐらい気に入ってもらえたのなら良かったです」

 

「君は不思議な感じがする。強い感じもするし、弱い感じも受ける。技術者でありながら、求道者にも見えるし……君から感じる力は色んなものが混じり合って、混沌としているな」

 

「欲張りなんですよ。どれも失いたくなくて無茶をすればどうにかなるならって、それでこんな感じになっちゃってます。……さて、話は後にしましょう。俺は儀式の準備に入ります」

 

「ああ、今回は君が儀式に集中できるように、周辺の警戒と万が一の外部的阻害要因を排除するように言われている。アザゼルの思い入れのある相手が今回の儀式の対象でもある。俺も協力はさせてもらうさ」

 

「ありがとうございます。後で余ったチャーシューを振る舞いますから、楽しみにしておいて下さい」

 

「ああ、それはいいことを聞いた。俺だけでなく、アザゼルも目一杯働かせるとしよう」

 

 大翔さんの言葉に茶目っ気たっぷりにおじ様も働かせるというヴァーリ君は、なんだか年相応な顔を見せている感じがします。おじ様が父親で、彼が息子のような。

 

「おいこらヴァーリ。勝手なことを言うんじゃねえ」

 

「シェムハザからもアザゼルに物申せる彼女の復活は全力で協力せよと仰せつかっている。アザゼルをこき使って構わんともな」

 

「あ、それ、こっそり私のところにも連絡来てたよ☆ 朱璃さんが身体を取り戻せば、堕天使総督の事務効率は確実に上がるから宜しくお願いしますだって☆」

 

「シェムハザぁああああああああっ!」

 

 おじ様の絶叫をよそに、エプロンや調理白衣を脱ぎシャツ一枚になった大翔さんは黒玉の宝石を模したペンダントをそっと手のひらに取り、懇願の言葉を口にしています。

 

「すまない、ヘカティー。元来、すずかを主人と仰ぐ君の力をまた借りたい。頼りないマイスターでごめんな」

 

『問題ありません。自分のデバイス作りを後回しにしてばかりのマイスターには、すずかからも私がサポートデバイスとしてフォローするように指示を受けています。貴方の魔力波長は、貴方の次に私が把握している自負もあります。さあ、マイスター。ご命令を』

 

「……ありがとう。ヘカティー、待機状態を解除。合わせてバリアジャケット、起動」

 

 大翔さんの身を包むのは彼が通う聖祥大付属高校の制服──クリーム色を基調として、真紅のラインが縁にあしらわれた色柄物のブレザーに緑色のズボン姿。手には深紅色の魔道書型のデバイス。インテリジェントデバイスである『ヘカティー』さんが起動形態へ変化した状態となっていました。

 すずかさん達の女性用制服と色合いは統一されていて、その姿を見れば彼女達が羨ましくも思えたけれど……そんな感傷はすぐに振り払います。大翔さんは今から私と私の家族のために、デバイスへお母様の霊体を融合させる儀式魔法を行ってくれるのですから……!

 

「朱璃さんはもちろんですが、朱乃にバラキエルさんも準備をお願いします。家族である貴方達の魔力や光力、祈りの強さそのものが成功に大きく関わってきますから。アリシアや紗月も俺と共にメインの術者となる。元士郎は俺とアリシア達、さらに補助組をラインで繋げ続けてもらう役割になる。それぞれ負担をかけるが、頼むな」

 

「私達はひろくん達への魔力供給が主な仕事。あとは魔法陣の維持も大切な役割だから、補助組も気は抜けないから頑張ろうね」

 

「私達ソーナ眷属は二手に分かれます。椿姫、桃、憐耶は私と一緒に補助組に入ります。大翔さんや匙達の補助です。翼紗達は周辺監視です。大掛かりな儀式魔法になるため、始まれば私達は動けなくなります。ヴァーリ殿と共に、万が一儀式に割って入る不届き者がいれば必ず留めて下さい」

 

 大翔さんに続き、矢継ぎ早に動き始めるすずかさんやソーナ達。融合型デバイスに人工知能ではなくお母様のように『魂』そのものを宿らせるのは、大翔さんもあまり経験が無いために出来うる限りの体制を取ろうとしてくれています。

 

「朱乃、大丈夫。お兄ちゃんは成功する目処が立っているからこそ、この儀式魔法を用意したんだから。まして、霊的存在への理解が深いお姉ちゃんもいる。だから、一緒にお母さんの身体を取り戻そう?」

 

「フェイトさん……」

 

「そうよ。崩れかけた家族の絆をどのような理由があれ、繋ぎ止めたのならば決して離してはならないわ。ちっぽけな倫理観や常識など捨ててしまいなさい。空知大翔に深く関わることを決めた時点で、貴女自身もたいがいイレギュラーな存在になったことを自覚するべきよ」

 

 落ち着いた大人の女性の声に振り返れば、そこにはフェイトさんやアリシアさんが年を重ね、母親となればこのような姿なのだろうかと思える人が立っていました。

 

「大翔には次元や時空に関する知識や魔法を全て叩き込み、無詠唱レベルで扱えるように徹底させてきたわ。世界崩壊レベルの危機が迫っても、街丸ごと別次元に転移させられるぐらいの力量は身につけさせてきたつもりよ。私の娘二人を預けているのだもの、当然だけど」

 

 この大翔さんへの過剰なサディスト傾向……間違いありませんね。この方がプレシア・テスタロッサさん。フェイトさん達のお母様。

 

「母さん、本当にお兄ちゃんには容赦ないんだから……あはは」

 

「当たり前でしょう、フェイト。世界最強になれとは言ってないんだから、優しいものだと思ってもらわないと困るわ。挨拶が遅れたけれど、初めまして。私はプレシア・テスタロッサ。フェイトやアリシアの母親よ。また、空知大翔の次元や時空に関する魔法理論や技術の師匠でもあるわ」

 

「初めまして、姫島朱乃と申します」

 

「テスタロッサだとアリシアとかと混同するだろうから、私はプレシアで構わないわ。貴女も大翔のパートナーの一人ね?」

 

「はい。フェイトさん達と共に彼をずっと支えていきたいと思っています」

 

「ふふ、覚悟を決めた女はいいわね。まあ、癖のある男だから、目を離さないようにだけはしなさいな」

 

 プレシアさんが軽く手を振ると、紫色の光が彼女を包んだと思えば、光と同じ系統のローブ姿に変わっていた。魔力が込められているのを感じるということは、これがプレシアさんのバリアジャケットなのかしら。

 

「あれ~、母さん。久し振りにその姿を見たけど、腰回りやへそ回りも隠すようにしたの? 胸回りも完全に隠れてるし……。」

 

「年齢を考えなさいな、アリシア。すずか達のお陰で身体は若返ってはいても、本来は70近くのお婆ちゃんなのよ?」

 

「な、なんだとぅ!? 人間が70年経ってもあの若さを維持できるっていうのかっ!」

 

「……黙れアザゼル。身内の恥だ」

 

 おじ様がプレシアさんの若々しさに反応してますが、イッセーくんが静かなのは……ああ、プレシアさんの見事なバストをしっかり視認できる喜びに本気泣きしてますわね。ありがたい、ありがたい……って拝んですらいますけど、背後に機嫌を悪くしたリアスが迫ってることに早く気づくべきですわ。

 

「大翔。小狸は来れない状態とはいえ、今回は私が外回りのフォローをする。貴方は儀式魔法に集中なさい」

 

「はい、プレシアさん。ありがとうございます」

 

 エリオくん、キャロちゃんも念のため、祐斗くんにつく形で待機してくれています。一緒に鍛錬に参加することもある彼らもまだ子供ながら戦闘力でいえば、召喚術も含めて下級悪魔は相手にならないぐらいの力を持っていますから。

 封時結界内に入る頻度はそう多くないエリオくん達ですが、彼らの強い意向もありこうして補助の一端を担ってもらっています。

 

「大翔さん、バリアジャケット着るってことはやっぱりかなり精密な魔法になるんだな」

 

「大翔さんはジャケットを防御というよりも、円滑な魔力運用のために着るもんね。フリード、ちゃんと夕方に昼寝もしたし、私達も最後までちゃんと見張りするんだよ」

 

「キュクルー!」

 

 そして、各々が配置につき、デバイスの核となる魔石を心臓部へ埋め込まれた融合型デバイスの素体となる、魔法陣の中心の台座へ寝かされていた生前のお母様の姿の両手を私とお父様が片方ずつ手に取って──。

 

『素体の作成は基本、朱乃とアリシアさん、すずかさんでやってくれたのよね』

 

「だって、擬似的なものと分かっていても、大翔さんは女性の身体に触れるのはやっぱり駄目でしたから。アリシアさんやすずかさんは技術は確かですし、監修には大翔さんがついていましたし」

 

『そう言いながら嬉しそうよ、朱乃? 大翔くんに触れてもらえることが、彼にとって特別な存在の証明だもの』

 

「むぅ、父親の前でそういう話をされると複雑なものがあるのだが」

 

『うふふ、貴方を熱を持った身体でもう一度抱き締めるために、娘や義息子が頑張ってくれたと思いましょう?』

 

「──成功させます。必ず」

 

 力強い大翔さんの宣言と共に、儀式は始まるのでした。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 ──それは強い祈りが形を取ったものだった。アザゼルの妙な予感がするからついてきてくれと来てみれば、強さとは違うものの何かを極めんとする青年に出会い、美味しいラーメンを頂いて、儀式の護衛に加わったのだが。

 

「見事なものだ。これを知れば灰色の魔術師の理事あたりが本気で勧誘に来るんじゃないか、アザゼル」

 

「かもな。……なあ、綺麗だろヴァーリ。人の想いを魔法陣を通じて力に変え、魂を再び仮初の体に宿らせる。正しくは失われし命の復活という外法なんだろうが、ただの外法がこんな温かさを感じさせるものかよ。アイツは『家族』ってもんに重たい拘りがあって、朱乃を家族とした以上、その両親のために全身全霊を尽くすのが当たり前だと本気で思ってやがる。それこそ、身体の一部も必要とあれば捧げるぐらいにな」

 

 命を容易く捧げないのは、残される者の気持ちを考えろと女達に訴えられ続けているからだという。自己評価の低さが自己犠牲に繋がりかねないようだが、それを情で包み込み一定の歯止めをかけているのがあの朱乃達ということのようだ。

 

 深紅。赤龍帝の紅色とはまた違う、深い赤。紫にもやや近い色合いは、あの男の正妻らしい紫髪の女を思わせる。もしあの女に危険が及べば、彼は秘めた力を全て解放し、羅刹となって俺に向かってきてくれるだろうか──。

 

「おいヴァーリ。もし、大翔とやりたいんなら素直に後で声掛けろ。アイツは模擬戦なら一対一を受けて、それを自分の糧にしようと貪欲になる奴だ。実際の戦いとなれば、嵌め手搦め手、一対多数、罠でも何でも使ってとにかく勝つやり方になるけどな」

 

「指揮官タイプなのか、彼は」

 

「基本、そうみたいだぜ。単騎より、一部隊とかで動く方が合ってるらしい」

 

 ふむ、そう考えると囲っている女達がそのまま彼の手足となり動くわけか。日頃から彼の考えを理解し共に鍛錬を積み、公私ともに過ごすことによる連帯感も強固なもの。ざっと見ただけでも、彼の女達は強い愛情を彼に捧げているようだ。精神干渉に対する魔道具も装着しているようだし、集団として厄介とみるべきだな。

 個々の強さでは負ける気はしないが、組まれるとなれば危ない局面も出てきそうな──それに其々が十分な伸びしろがある。

 

「なるほど。彼や彼の女達まとめて模擬戦するのもいい経験になりそうだ」

 

「この戦闘狂め」

 

「何を言う。この場で仕掛けないだけ、場は弁えて──」

 

 この空間を保つ結界の揺らぎ。何者かが強引にこの場へと転移してこようとしている──!

 

「アルビオン!」

 

『おう! 禁手を使うぞ、とんでもない何かが転移してくる!』

 

 白龍皇の鎧を即座に身に纏い、すぐに駆けつけてきた金髪姉妹の母親やアザゼルと侵入者への対処のため、俺は身構えるのだった。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 「まさか、君が話に乗ってくれるとはね」

 

「我、最近次元の狭間を行ったり来たりする存在、気になってた。まだそこまで強くないけど、面白い力を使う。我の蛇を飲ませたら、一気に強くなれる」

 

「君がいなければ、この別次元までそもそも来れなかったわけだけど。……すぐに君の眷属化するつもりか」

 

「分からない。悪魔になったと思ったら止めたりしてるしまた戻ったりしてる。我の蛇でも同じことをやるかもしれないし、今日は蛇だけを渡してもいい」

 

「それは人間どころか悪魔や堕天使どころの話じゃ無いと思うんだが……まあ、俺は彼と色々話をしてみたいな。この結界技術の見事さ! 神器無でこれだぞ、信じられないじゃないか! そして結界内時間の流れは外界と異なるとなれば、時空に対する造詣も相当なものだし……というか、アガレス家の時の力以上のものが彼は使えるという──」

 

「ほっといて、行く?」

 

 熱弁を振るう仲間を──結界魔術について拘りがあるから仕方ないところがあるのだが、ゴシックロリータ風の衣装を着た黒髪の少女が容赦なく切り捨てようと提案してくる。実際には少女の姿をしただけの神々すら屠る圧倒的な存在なのだが。

 

「いや、いきなり敵対するつもりもないし、まずは挨拶のつもりだったからね。おい、すまないが──」

 

 熱弁を強引に止めて、結界内への侵入の用意をしてもらう。上位神滅具である『絶霧』ならば、この結界効果を打ち消さずに内部へ入り込めるのだから。

 




ヴァーリくん前倒しの理由がこれ。さあ色々カオスになってきたぞぉ!
(収拾つけなきゃ……)

収拾ついたら俺、朱乃さんと粘膜が触れ合うイチャコラ書(ry
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